※本記事は、デジタルグリッド株式会社 の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月30日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
デジタルグリッドは、デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)の提供を通じて、発電家と需要家が直接電力取引を行える環境を構築しています。これにより、エネルギーの民主化と持続可能な社会の実現を目指しています。
単体従業員数は79名、連結従業員数も79名です。セグメントは電力PF事業、再エネPF事業、その他の3つです。
同社グループは、2024年12月より調整力事業のアグリゲーションサービスの運用を開始しました。一方で、脱炭素教育事業のGX naviは2026年7月にサービス終了を予定しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
デジタルグリッドは、電力業界においてユニークなビジネスモデルと専門性の高いソリューションを提供している企業です。このような事業特性から、専門知識を持つ人材が活躍できる環境が期待されます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が比較的短く、新しい人材が継続的に加わっている傾向が見られます。平均年齢は40代前半であり、多様な経験を持つ人材がバランス良く在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,832,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.1年 |
| 平均年齢 | 40.8歳 |
| 単体従業員数 | 79人 |
| 連結従業員数 | 79人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「エネルギー制約のない世界を次世代につなぐ」ことをビジョンに掲げ、2023年にミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を定義しました。継続的な企業価値向上を目指し、企業文化の変革に取り組んでいます。具体的には、「待ちの姿勢ではなく自律的に挑戦するカルチャー醸成」を目指し、「MVVの浸透」「人財採用」「人財の育成」に関する施策を経営、人事、各部門一体で進めています。
MVVの浸透においては、創業の精神を発展成長させたバリュー「エッジに立とう」「遠くへ、ともに」「青春をあきらめない」をキーワードとして、社内で話し合う機会を設けるなどの活動を進めています。人財採用では、優秀な人財の獲得が企業価値向上に不可欠であるとの認識から、積極的な採用活動を行い、経営理念に共感した人財の獲得を目指しています。人財育成においては、電力業界における前例のないビジネスモデルと専門性の高いソリューション提供のため、筋肉質な人財の育成が重要であると考えています。
主な取り組みとして、全部門の責任者から事業紹介や業務内容を説明する入社時研修を実施しています。また、リモート環境がメインである同社グループでは、上司と部下が定期的にコミュニケーションを取るための1on1ミーティングを設け、生産性の高い働き方を意識合わせし、組織成果の最大化を図っています。さらに、年に1回の評価面談では目標の進捗や貢献度・成果を確認し、評価結果を本人へフィードバックするバリュー評価制度を制定しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
デジタルグリッドグループは、電力取引プラットフォーム「DGP」を核に、エネルギーの民主化を目指す事業を展開しています。発電家と需要家が直接取引できる仕組みを提供し、持続可能な社会の実現に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
デジタルグリッドグループは、電力取引プラットフォーム「DGP」を通じて、発電家と需要家が直接電力取引を行えるサービスを提供しています。同社グループは市場変動リスクを負わず、発電家と需要家の取引量に応じた手数料を収益源としています。収益は主に電力PF事業、再エネPF事業、その他事業の3つのセグメントから得ています。
| セグメント | 売上高(2024年7月期) | 売上高(2025年7月期) |
|---|---|---|
| 電力PF事業 | - | 46.3億円 |
| 再エネPF事業 | - | 4.5億円 |
| その他事業 | - | 2.8億円 |
電力PF事業
この事業では、DGPで取引される電力のうち、再生可能エネルギー以外の電源を対象としています。需要家は、自社の電力使用量や予算、リスク許容度に応じて、最適な調達方法を組み合わせることが可能です。同社グループの競争優位性は、割安な手数料、契約形態の柔軟性、そしてコスト構造の透明性の高い開示にあるとしています。収益は、需要家から受領するプラットフォーム手数料から得ています。
再エネPF事業
この事業は、DGPで取引される電力のうち、再生可能エネルギー電源を対象としています。証書取引、PPA(電力購入契約)、自己託送、再エネ卸、需給管理など、多様な再エネ取引手法に対応しています。「RE Bridge」というコーポレートPPAマッチングプラットフォームや、「エコのはし」というFIT非化石証書代理調達サービスを提供し、新たな取引事例を創出しています。収益は、取引の組成支援や需給管理機能の提供、代理調達量に応じた手数料から得ています。
その他事業
この事業には、調整力事業、脱炭素教育事業、J-クレジットや海外環境価値証書等のスポット取引が含まれます。調整力事業では、系統用蓄電池の制御・運用やアグリゲーションサービスを提供しており、将来的には自社保有も視野に入れています。脱炭素教育事業の「GX navi」は、2026年7月にサービス終了を予定しています。収益は、調整力事業における運用受託報酬や、J-クレジット等の取引手数料から得ています。
同社グループの売上高はDGP手数料売上が主な要因となっています。また、「顧客との契約以外の源泉から生じた収益」として、主に一般送配電事業者との電力精算によって発生する損益も計上されています。地域ごとの情報では、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場に集中していることが示されています。特定の顧客への売上高が10%以上を占める相手先は存在しません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
デジタルグリッドグループは、2025年7月期より連結決算に移行しており、それ以前の連結経営指標は開示されていません。当連結会計年度においては、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも数値が示されています。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 61.5億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 26.1億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 42.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 18.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 308.73 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
デジタルグリッドグループの従業員1人あたり売上高(連結)は、当期に77.9百万円となっています。従業員1人あたり営業利益(連結)は、当期に34.7百万円となっています。これらの数値は、同社グループの事業活動における従業員一人ひとりの貢献度を示しており、組織全体の効率性や収益創出能力を測る指標となります。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 77.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 34.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動を通じて着実に資金を生み出し、将来に向けた投資も行っている段階です。財務基盤は安定しており、事業継続のための資金的な余裕も確保されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の製造業平均に近い水準であり、財務の安定性を示しています。ROEもプライム市場平均を上回る水準です。手元資金も確保されており、事業継続のための資金的な余裕がある状態です。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 42.3億円 | 82.8億円 |
| 自己資本比率 | - | 46.5% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 22.6% |
| 現金及び預金 | 39.8億円 | 46.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループは、本業の事業活動で資金を生み出しており、同時に将来に向けた投資も行っています。営業活動によるキャッシュ・フローはプラスであり、税金等調整前当期純利益や未払金の増加額が主な増加要因となっています。一方で、未収入金や売上債権の増加額、法人税等の支払額が減少要因となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスで、有形固定資産の取得や投資有価証券の取得に資金を投じています。財務活動によるキャッシュ・フローはプラスとなっており、株式の発行や長期借入れによる収入があった一方で、短期借入金の減少もみられます。フリーキャッシュ・フローもプラスであり、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業基盤を持ちながら、成長のための投資も継続していることを示しています。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 3.2億円 |
| 投資CF | - | △1.8億円 |
| 財務CF | - | 5.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | 1.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの収益は電力PF事業に約9割を依存しており、この事業の収益構造に変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、AIテクノロジー等を提供する企業や新規参入企業との競争激化による顧客流出やコスト増加のリスクも存在します。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業の持続的な成長を支える優秀な人材の確保と育成を重要視しています。競合他社との人材獲得競争の激化やコアメンバーの退職等により、計画通りに人材が確保できない場合、事業運営や開発計画に支障をきたす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
デジタルグリッドは、「エネルギーの民主化」をミッションに掲げ、デジタルの力で電力取引を刷新し、エネルギー制約のない世界を目指しています。顧客のリスク許容度と脱炭素ポリシーに合った電力取引の選択肢を広げることを通じ、企業価値の最大化を図っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「エネルギーの民主化を実現する」というミッションのもと、「エネルギー制約のない世界を次世代につなぐ」というビジョンを掲げています。従来の電力取引に存在するアナログかつ閉鎖的な取引構造をデジタルの力で刷新することを目指しています。
これにより、「電力取引の簡素化」と「電力価格の抑制」を実現し、多くの会社が自社のリスク許容度と脱炭素ポリシーに合った電力取引の選択肢を検討できる社会を創造することを目指しています。これらの取り組みを通じて、企業価値の最大化を図ることを経営方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、2023年にミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を定義し、継続的な企業価値向上を目指し企業文化の変革に取り組んでいます。「待ちの姿勢ではなく自律的に挑戦するカルチャー醸成」を目指しています。
人的資本経営においては、創業の精神を発展成長させたバリュー「エッジに立とう」「遠くへ、ともに」「青春をあきらめない」がキーワードとなっています。MVVに対する理解を深めることが、社風や組織文化においても非常に重要であると考えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優秀な人材の確保・教育と社内管理体制の強化を重要な課題としています。競合他社との人材獲得競争に対応するため、パフォーマンス評価に基づく賞与やストックオプション等のインセンティブ制度を導入しています。
また、独自の教育研修体制を整備することにより、従業員の早期戦力化とスキルアップに努めています。人材の拡充と同時に、企業規模に応じた社内管理体制の強化も方針としています。具体的には、業務マニュアル等の整備やコーポレート・ガバナンスの向上、予実管理の精緻化に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
デジタルグリッドは、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置する監査役会設置会社です。同社グループは、経営の透明性・公正性・迅速性の維持・向上を重要課題と認識し、コーポレート・ガバナンスの充実と強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
デジタルグリッドの筆頭株主は東芝であり、同社グループの事業を支える主要な株主の一つとなっています。創業家である豊田祐介氏も上位株主として名を連ねており、事業会社と創業家がバランス良く資本を構成していることが特徴です。特定の株主グループが経営に影響力を持つ傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 東芝 | 12.91% |
| 豊田祐介 | 5.22% |
| 株式会社FD | 5.16% |
| WIL FUND Ⅱ,L.P. | 5.16% |
| 合同会社OTS | 3.87% |
なお、2025年4月22日付の臨時報告書(主要株主の異動)にてお知らせしましたとおり、前事業年度末において主要株主であったWIL FUND Ⅱ,L.P.は2025年4月22日付で主要株主でなくなりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
デジタルグリッドの役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長CEOは豊田祐介氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 豊田 祐介 | 代表取締役社長CEO | 2012年4月 ゴールドマン・サックス証券株式会社入社、2016年8月 インテグラル株式会社入社、2018年2月 同社入社、2019年7月 同社 代表取締役社長CEO就任より現職。 |
| 嶋田 剛久 | 取締役CFO | 1993年4月 株式会社日本長期信用銀行入行、2004年9月 ゴールドマン・サックス証券株式会社入社、2016年8月 UBS証券株式会社入社、2020年4月 同社入社 執行役員CFO就任、2020年9月 同社 取締役CFO就任より現職。 |
| 近清 拓馬 | 取締役COO | 2013年4月 マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン入社、2019年5月 同社入社、2019年8月 同社 取締役COO就任より現職。 |
| 黒川 達也 | 取締役CTO | 2015年4月 株式会社ディー・エヌ・エー入社、2017年1月 株式会社PKSHA Technology入社、2020年8月 同社入社 CTO就任、2023年10月 同社 取締役CTO就任より現職。 |
社外取締役は、井上龍子氏(弁護士、渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)、大槻陸夫氏(元東京電力ホールディングス常務執行役)です。
デジタルグリッドは監査役会設置会社であり、監査役会が取締役の職務執行を監査する体制をとっています。独立社外取締役が経営の意思決定と監督に参画し、客観的な視点から助言を行うことでガバナンスの強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
デジタルグリッドの役員報酬は、固定報酬のみで構成されており、業績連動報酬制度は採用していません。取締役の報酬限度額は株主総会で決議され、その範囲内で代表取締役社長CEOが各取締役の報酬額を決定しています。監査役の報酬額は監査役会の協議により決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 71百万円 | 17.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.0百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 7百万円 | 3.6百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 8百万円 | 2.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した監査役1名(うち社外監査役1名)を含みます。また、取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれておりません。取締役会は、代表取締役社長CEO豊田祐介に対し、各取締役の基本報酬の額及び社外取締役を除く各取締役の担当部門の業績等を踏まえた賞与の評価配分の決定を委任しております。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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