暁飯島工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

暁飯島工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する、茨城県地盤の設備工事会社。空気調和や給排水衛生設備の設計・施工・保守管理を主力事業としています。2025年8月期の連結業績は、売上高91億円、経常利益12億円、当期純利益8億円となり、増収増益を達成しました。


※本記事は、暁飯島工業株式会社 の有価証券報告書(第72期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 暁飯島工業ってどんな会社?


茨城県水戸市に本社を置き、空調・給排水衛生設備の設計・施工から保守管理までを一貫して手掛ける企業です。

(1) 会社概要


1947年に茨城県水戸市で飯島商会として創業し、1953年に法人設立されました。1963年より冷暖房機器の販売・工事を主力とし、2001年に暁建設工業と合併して現在の商号に変更しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たし、2014年には太陽光発電事業を開始しました。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

同社の従業員数は単体で144名です(連結子会社なし)。筆頭株主は株式会社UH Partners 3で、第2位は通信サービスや電力事業などを展開する光通信です。これら上位株主は、同社の「その他の関係会社」に位置付けられています。第3位には取引先持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
UH Partners 3 7.48%
光通信 7.34%
暁飯島工業取引先持株会 5.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は植田 俊二氏です。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
植田 俊二 代表取締役社長社長執行役員 1984年入社。工事部長、執行役員を経て、2013年上席執行役員茨城事業部長、2016年取締役就任。2019年11月より現職。
白石 学 取締役常務執行役員茨城事業部長 1995年入社。茨城事業部工事部長、執行役員を経て、2019年取締役上席執行役員。2021年11月より現職。
岩井 淳 取締役上席執行役員東京事業部長 1988年暁建設工業(現同社)入社。東京事業部工事部長、執行役員を経て、2020年11月より現職。
片桐 倫明 取締役上席執行役員管理統括部長 1999年入社。管理統括部経理部長、執行役員を経て、2021年11月より現職。


社外取締役は、根本 幸司(税理士事務所所長)、植崎 明夫(法律事務所所長)、大庭 幸生(税理士法人代表社員)です。

2. 事業内容


同社は、「設備事業」「太陽光発電事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 設備事業


空気調和、給排水衛生等の設備工事の設計・施工、ならびに設備・機器類の保守管理を行っています。建築設備工事、リニューアル工事、ビルケア工事などを手掛け、官公庁や民間企業を顧客としています。

収益は、顧客からの工事請負代金や保守管理料によって構成されています。運営は暁飯島工業が行っています。

(2) 太陽光発電事業


太陽光発電システムの設置および運営を行っています。再生可能エネルギーの普及に貢献する事業として展開されています。

収益は、発電した電力の売電収入によって構成されています。運営は暁飯島工業が行っています。

(3) その他事業


不動産の有効活用を目的とした事業等を展開しています。

収益は、不動産の売買や賃貸による収入から構成されています。運営は暁飯島工業が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は70億円台から90億円台へと推移しており、特に直近2期で増加傾向にあります。経常利益も増加基調にあり、直近では12億円規模に達しています。利益率も上昇傾向を示しており、収益性が向上しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 74億円 73億円 66億円 88億円 91億円
経常利益 10億円 7億円 5億円 8億円 12億円
利益率(%) 13.4% 9.9% 7.1% 8.9% 12.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 5億円 3億円 6億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も前期の14億円から18億円へと大幅に増加しました。売上総利益率も改善しています。営業利益は前期比で大きく伸長し、11億円を超えました。これに伴い営業利益率も上昇しています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 88億円 91億円
売上総利益 14億円 18億円
売上総利益率(%) 16.0% 20.1%
営業利益 8億円 11億円
営業利益率(%) 8.5% 12.3%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が3億円(構成比39%)、賞与引当金繰入額が0.6億円(同9%)を占めています。売上原価においては、外注費が37億円(構成比51%)、材料費が24億円(同33%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である設備事業は、受注工事高および完成工事高の増加により増収増益となりました。太陽光発電事業も微増収増益で推移しています。その他事業は規模が小さく、利益への貢献は限定的です。全社費用の調整額が利益を押し下げる要因となっています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
設備事業 86億円 89億円 11億円 15億円 17.2%
太陽光発電事業 2億円 2億円 0.6億円 0.8億円 39.9%
その他事業 0.0億円 0.0億円 0.0億円 0.0億円 39.8%
調整額 - - -5億円 -5億円 -
連結(合計) 88億円 91億円 8億円 11億円 12.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラスで、投資CFと財務CFがマイナスであることから、本業で稼いだ資金で借入返済や投資を行っている「健全型」と言えます。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 16億円 12億円
投資CF -3億円 -4億円
財務CF -4億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「健全なる企業活動を通じ 誠意を以って 社会に貢献する」ことを経営の基本方針としています。いかなる環境下でも持続的発展が可能な企業となり、株主をはじめとするステークホルダーの期待や信頼に応え、企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、空間のスペシャリストとして誠意を持って顧客と接し、「頼られる存在」として選ばれ続けるトップランナーを目指しています。また、きれいな水と空気を次世代に繋ぎ、持続可能な社会の実現に挑戦するトータルエンジニアリング集団であること、社員の幸せと地域の繁栄を追求し成長し続ける会社であることを目指す姿として掲げています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「NEXT Akatsuki Eazima VISION2030」の第Ⅱ期(2026年8月期まで)において、以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:92億円
* 売上高営業利益率:10.0%
* 自己資本利益率(ROE):8.0%
* 配当性向:20~35%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「確固たる地位の確立」「次の成長基盤づくり」「魅力ある企業」を重点項目としています。ビル空間事業サイクルの強化や、建築・電気設備も含めた省エネ・リニューアル提案の提供、デジタル技術活用によるビルケア事業の標準化・省力化を進めます。また、サステナビリティへの取り組みや人材教育投資を積極的に行い、技術力と人材を備えたトータルエンジニアリング集団の育成を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は従業員を重要な経営資源と位置づけ、「技術力と人材を備えるトータルエンジニアリング集団」の育成を目指しています。多様な人材の確保・育成により事業基盤を強化し、個々の能力発揮や専門性向上を支援する研修やプログラムを提供します。また、技術継承のためのOJTやキャリア形成支援、ダイバーシティ推進による働きやすい環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 42.1歳 16.5年 6,120,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.5%
男性育児休業取得率 100.0%


同社は従業員規模が300人以下のため、有報には男女賃金差異の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、技術系従業員に占める女性比率(4.5%)、有給休暇消化率(49.6%)、新卒入社3年未満の離職率(11.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績変動のリスク


同社は茨城県を中心に事業を展開しており、同地域の経済状況や公共投資の動向、天災等の影響を受ける可能性があります。戦略エリアへの投資や営業力強化により集中リスクの低減を図っています。また、資機材価格の高騰や供給不足、不採算工事の発生、工期の延長などが業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、早期調達や施工管理の徹底により対応しています。

(2) 事業体制リスク


事業戦略の遂行には優秀な人材の確保と育成が不可欠です。「技術力と人材を備えるトータルエンジニアリング集団」を維持できない場合、受注確保に支障をきたし業績に影響する可能性があります。採用支援サービスの活用や多様な働き方の推進、教育投資などにより、人材の確保と定着に努めています。

(3) 法規制リスク


建設業法をはじめとする各種法令の規制を受けており、法令の改廃や適用基準の変更があった場合、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。コンプライアンス委員会による体制整備を通じて、法令遵守の徹底を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。