AVANTIA 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AVANTIA 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AVANTIAは、東証スタンダードおよび名証プレミア市場に上場し、戸建住宅事業を主力にマンション、請負工事、不動産流通を展開する企業です。2025年8月期は、主力の戸建住宅販売が苦戦し減収となりましたが、利益率の改善や不動産流通事業の好調により、各利益段階で増益を確保しました。


※本記事は、株式会社AVANTIA の有価証券報告書(第36期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. AVANTIAってどんな会社?


AVANTIAは、東海圏を基盤に全国4商圏で戸建住宅やマンション、不動産流通事業を展開する総合不動産企業です。

(1) 会社概要


同社は1989年にサンヨーハウジング名古屋として設立されました。2002年に東証・名証の市場第二部に上場し、2004年には同市場第一部へ指定替えを果たしました。2020年1月に現在のAVANTIAへ商号変更し、2022年4月の市場区分見直しを経て、現在は東証スタンダード市場および名証プレミア市場に上場しています。

同グループは連結575名、単体249名の従業員を擁する組織です。筆頭株主はSKエイトで、第2位は代表取締役社長の沢田康成氏、第3位はAVANTIAはなみずき持株会です。

氏名 持株比率
SKエイト 27.92%
沢田康成 2.27%
AVANTIAはなみずき持株会 1.37%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は沢田康成氏が務めています。社外取締役は4名選任されており、取締役全体の50%を占めます。

氏名 役職 主な経歴
沢田 康 成 代表取締役社長 1990年同社入社。営業部長、取締役執行役員営業本部長、常務取締役、代表取締役副社長を経て2018年9月より現職。
岡 本 亮 取締役開発本部長 1998年同社入社。企画開発部長、執行役員、取締役執行役員を経て2021年11月より現職。
樋 口 昭 二 取締役管理本部長兼 財務部長 1988年十六銀行入行。同行多治見支店長を経て2020年同社出向。総務部長、取締役管理本部長を経て2025年4月より現職。
海老澤 孝樹 取締役東京本部長 東栄住宅、三栄建築設計等を経てプロバンクホーム代表取締役社長(現任)。2023年同社入社。執行役員首都圏営業本部長等を経て2025年9月より現職。
木呂場 岳 取締役営業本部長 住友林業、日本住宅、ケイアイスター不動産執行役員等を経て2024年同社入社。執行役員東京本部長を経て2024年11月より現職。


社外取締役は、湯原悦子(日本福祉大学教授)、松島穣(日本エコシステム代表取締役社長)、加藤徹朗(税理士法人青葉会代表社員)、長野聡(元日本銀行金融機構局審議役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「戸建住宅事業」、「マンション事業」、「一般請負工事事業」、「不動産流通事業」および「その他」事業を展開しています。

**(1) 戸建住宅事業**
同社グループのコア事業として、新築戸建住宅の施工・販売を行っています。主な顧客は住宅の一次取得者層です。建売住宅を中心とする分譲に加え、宅地販売や規格型注文住宅の請負も展開しています。

収益は、顧客への戸建住宅や土地の販売代金から得ています。運営は、AVANTIA、五朋建設、プラスワン、DreamTown、ネクスト-ライフ-デザイン、プロバンクホームが行っています。

**(2) マンション事業**
名古屋市を中心とする利便性の高いエリアに限定して、新築分譲マンションの企画・販売を行っています。

収益は、顧客へのマンション販売代金から得ています。運営は、サンヨーベストホームが行っています。

**(3) 一般請負工事事業**
地域に根差した工務店として、建築工事や土木工事、管工事などの請負を行っています。また、グループ内の戸建住宅事業に関する造成工事や建築工事の内製化も担っています。

収益は、顧客からの工事請負代金から得ています。運営は、巨勢工務店、ジェイテクノ、宇戸平工務店が行っています。

**(4) 不動産流通事業**
中古戸建住宅や中古区分マンションのリノベーション販売、および事業用不動産の売買を行っています。実需向けだけでなく、富裕層や投資家向けの高額物件も取り扱っています。

収益は、不動産の販売代金や仲介手数料等から得ています。運営は、AVANTIA、アバンティア不動産、DreamTown、プロバンクホームが行っています。

**(5) その他の事業**
リフォーム事業や不動産仲介事業など、戸建住宅事業の周辺分野を展開しています。

収益は、リフォーム工事代金や不動産仲介手数料等から得ています。運営は、AVANTIA、プラスワン、ドリームホーム、アバンティア不動産が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年8月期は大幅な増収となりましたが、2025年8月期は戸建住宅事業の苦戦等により減収となりました。一方、利益面では2024年8月期に大きく落ち込みましたが、2025年8月期は回復傾向にあり、経常利益率も改善しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 453億円 588億円 582億円 710億円 693億円
経常利益 19億円 24億円 20億円 9億円 11億円
利益率(%) 4.3% 4.1% 3.4% 1.3% 1.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 11億円 3億円 2億円 6億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は減少しましたが、売上総利益および営業利益は増加しています。売上総利益率は改善傾向にあり、営業利益率も上昇しました。これは不採算在庫の処理が進んだことや、利益率の高い不動産流通事業の拡大が寄与したと考えられます。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 710億円 693億円
売上総利益 84億円 91億円
売上総利益率(%) 11.9% 13.2%
営業利益 9億円 13億円
営業利益率(%) 1.3% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、その他が35億円(構成比45%)、従業員給料手当が23億円(同29%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の戸建住宅事業は需要低迷により減収となり営業損失を計上しましたが、不動産流通事業が大幅な増収増益となり、全社の利益回復を牽引しました。一般請負工事事業も増収増益と堅調に推移しています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
戸建住宅事業 544億円 456億円 2億円 -2億円 -0.3%
マンション事業 30億円 23億円 0.1億円 1億円 6.1%
一般請負工事事業 56億円 71億円 2億円 2億円 3.2%
不動産流通事業 64億円 125億円 4億円 8億円 6.1%
その他 16億円 18億円 2億円 4億円 21.5%
調整額 -18億円 -11億円 -0.6億円 -0.5億円 -
連結(合計) 710億円 693億円 9億円 13億円 1.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**積極型(営業CF+ / 投資CF- / 財務CF+)**
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 39億円 43億円
投資CF 3億円 -34億円
財務CF -32億円 32億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「時代の変化に適応し、社会に愛され必要とされる企業を目指す」という経営理念を掲げています。また、長期ビジョンとして「お客様・地域・社会に寄り添い、あらゆる不動産ニーズを解決する企業集団となる」ことを目指し、ミッションとして「お客様に喜びと感動を生む不動産商品・サービスの提供」を定めています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念を頂点とする理念体系に基づき、社員一人ひとりがお客様や地域社会に寄り添い、課題解決やニーズに応える提案力を重視しています。また、持続可能な社会課題の解決に対する企業の役割を認識し、サステナビリティへの貢献を基本姿勢としています。

(3) 経営計画・目標


同社は長期ビジョン「VISION2030」において、以下の目標水準を掲げています。また、その実現に向けた第3ステップとして、2028年8月期を最終年度とする「中期経営計画2028」を始動しています。

* VISION2030目標:売上高1,000億円、経常利益60億円、ROE8%以上
* 中期経営計画2028目標:売上高850億円、経常利益32億円

(4) 成長戦略と重点施策


「中期経営計画2028」では、「収益性の改善」「売上・利益の成長回帰」「PBR及びROEの改善」を柱としています。戸建住宅事業の在庫適正化と利益回復を図りつつ、関西圏・九州圏への請負型事業や不動産流通事業の展開を加速させます。また、国内4商圏(首都圏・中部圏・関西圏・九州圏)での事業拡大に向け、グループ再編やM&Aも視野に入れた経営基盤の強化に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、長期ビジョン実現の原動力となる多様な人財の採用・育成を重視しています。「人財育成方針」に基づき、階層別研修やOJT、自己啓発支援を組み合わせ、提案力を持った人財を育成します。また、「社内環境整備方針」により、ダイバーシティと働き方改革を推進し、多様な人財が活躍できる環境づくりに努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 37.1歳 7.9年 5,630,424円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 54.7%
男女賃金差異(正規) 59.3%
男女賃金差異(非正規) 31.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理者向け研修実施率(100%)、重大労災発生件数(0件)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

**(1) 販売用不動産の仕入について**
土地仕入については、社内調査・検討・選別を行った上で、同社基準に合致した物件を取得していますが、常に円滑な土地仕入が行われる保証はなく、土地仕入に支障が生じた場合には、業績に影響を与える可能性があります。

**(2) 金利動向等について**
住宅事業は、金利水準の変動による消費者の購買意欲や、住宅税制等の変化の影響を受ける可能性があります。また、土地仕入資金は主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債比率は2025年8月期末で52.5%です。金利情勢などの変動により、財政状態に影響を受ける可能性があります。

**(3) 新規出店について**
店舗の出店については、総合的な見地から時期・場所・規模等を検討していますが、条件に合わない場合は計画を変更することもあります。新規出店が計画どおりに行えない場合には、業績見通しに影響を与える可能性があります。

**(4) 法的規制について**
不動産業界は、国土利用計画法、宅地建物取引業法、建築基準法などの法的規制を受けています。今後これらの規制の改正や新設が行われた場合には、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。