AFC-HDアムスライフサイエンス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AFC-HDアムスライフサイエンス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する同社は、健康食品・化粧品・医薬品の製造販売を中核とし、百貨店事業や飲食事業なども展開する企業グループです。直近の決算では、ヘルスケア事業の海外部門好調等により増収増益(売上高、各段階利益ともに前期比増)を達成しています。


※本記事は、株式会社AFC-HDアムスライフサイエンス の有価証券報告書(第45期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. AFC-HDアムスライフサイエンスってどんな会社?


健康食品・化粧品・医薬品の受託製造および販売を主力とし、百貨店や飲食、観光など多角的に事業を展開する持株会社です。

(1) 会社概要


1969年に静岡市で前身となる個人事業「あさやま商事」を創業し、1982年に健康食品の通信販売事業を開始しました。2005年にジャスダック証券取引所へ上場を果たし、2007年には本草製薬を子会社化して医薬品事業へ進出しています。近年はM&Aを積極的に行い、2021年に百貨店のさいか屋、飲食業のなすびを連結子会社化するなど、事業領域を拡大させています。

2025年8月31日現在の従業員数は連結で1,008名、単体で360名です。筆頭株主は連結子会社代表取締役の浅山忠彦氏、第2位は代表取締役会長の淺山雄彦氏であり、創業家が主要株主となっています。第3位には取引先持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
浅山忠彦 14.81%
淺山雄彦 8.39%
アムスライフサイエンス取引先持株会 3.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役会長は淺山雄彦氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
淺山雄彦 取締役会長(代表取締役) 2001年同社入社。専務取締役営業本部長などを経て、2003年代表取締役社長に就任。2021年11月より現職。
松永康裕 取締役社長 2000年同社入社。営業本部第一営業部長、専務取締役営業本部長、取締役副社長営業本部長などを歴任。2021年代表取締役社長を経て、2022年11月より現職。
福地重範 専務取締役製造統括 2000年同社入社。製造部長、取締役製造部長、常務取締役製造統括を経て、2017年11月より現職。
海野直也 取締役技術開発本部長 1998年同社入社。品質保証室長を経て、2003年9月より現職。
笹原俊二 取締役関係会社担当 2019年けんこうTV専務取締役。エーエフシー取締役副社長を経て、2020年11月より現職。エーエフシーおよびけんこうTVの代表取締役社長を兼務。
南方茂穂 取締役会長室長 2004年同社入社。本草製薬専務取締役、同社会長室長を経て、2021年11月より現職。本草製薬代表取締役社長を兼務。
高田和典 取締役管理本部長 2001年エーエフシー入社、同社取締役。2007年同社入社、管理本部長に就任。2021年11月より現職。
濱邉信江 取締役経理部長 1995年同社入社。経理部長、管理本部長を歴任し、2022年11月より現職。
前川延之 取締役総務部長 2009年エーエフシー入社。同社総務部長を経て、2018年同社総務部長。2022年11月より現職。


社外取締役は、三浦正博(元静岡鉄道専務取締役)、髙橋正樹(税理士)、相川洋介(弁護士・追手町法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ヘルスケア事業」「医薬品事業」「百貨店事業」「飲食事業」「不動産・建託事業」および「その他」事業を展開しています。

ヘルスケア事業


健康食品や化粧品の製造販売およびOEM(受託製造)を行っています。自社ブランド製品の販売に加え、国内外の他社ブランド製品の開発・製造も手掛けています。

主に一般消費者やOEM委託元企業からの製品販売代金や製造受託料が収益源です。運営は親会社のAFC-HDアムスライフサイエンス、子会社のエーエフシー、日本予防医学研究所などが担っています。海外では中国の現地法人が販売等を行っています。

医薬品事業


医療用医薬品、一般用医薬品、ジェネリック医薬品等の製造販売を行っています。特に漢方製剤やジェネリック医薬品に強みを持ちます。

病院・診療所や薬局、ドラッグストア等への医薬品販売による代金が収益源です。運営は主に子会社の本草製薬が行っています。

百貨店事業


神奈川県を中心に百貨店業を展開し、衣料品、食料品、住居関連用品などを販売しています。

来店客への商品販売による代金が主な収益源です。運営は子会社のさいか屋およびそのグループ会社が行っています。

飲食事業


飲食店の経営および企画運営を行っています。和食店やイベントの企画などを手掛けています。

来店客からの飲食代金やイベント企画料などが収益源です。運営は子会社のなすび、FSCなどが行っています。

不動産・建託事業


不動産の売買・管理・賃貸仲介、およびアパート建設などの建託業を行っています。

不動産販売代金、賃貸収入、建設工事代金などが収益源です。運営は子会社のAFCスマイル不動産、AFCスマイルプラス、AFC建託が行っています。

その他事業


観光事業、貸切バス事業、旅行業、ホテル業、給食事業などを展開しています。

旅行代金やバス運賃、宿泊料、給食費などが収益源です。運営はニューワールドエンターテイメント、ラビット急行、AFC観光、ベトナムの5SPRO Joint Stock Companyなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が継続的に増加傾向にあります。特に直近では300億円台に達し、過去最高を更新しました。利益面でも、経常利益は一時的な変動はあるものの概ね堅調に推移しており、当期は増益となっています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 224億円 230億円 256億円 302億円 327億円
経常利益 22億円 13億円 17億円 19億円 24億円
利益率(%) 9.7% 5.8% 6.5% 6.4% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 7億円 11億円 13億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、原価率の上昇等により利益率は横ばいです。営業利益率は前期より改善し、収益性が向上しています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 302億円 327億円
売上総利益 105億円 113億円
売上総利益率(%) 34.8% 34.5%
営業利益 19億円 24億円
営業利益率(%) 6.3% 7.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が28億円(構成比31%)、広告宣伝費が8億円(同9%)を占めています。売上原価は商品・製品の製造・仕入費用等が大半を占めています。

(3) セグメント収益


主力のヘルスケア事業が増収増益となり全体を牽引しました。医薬品事業も堅調です。一方、百貨店事業は減収、飲食事業とその他事業はセグメント損失を計上しています。不動産・建託事業は黒字転換しました。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
ヘルスケア事業 181億円 189億円 22億円 25億円 13.0%
医薬品事業 23億円 25億円 2億円 2億円 9.3%
百貨店事業 49億円 46億円 0.3億円 1億円 1.3%
飲食事業 22億円 24億円 -1億円 -1億円 -3.2%
不動産・建託事業 19億円 27億円 -3億円 0.2億円 0.6%
その他事業 8億円 16億円 -2億円 -2億円 -12.9%
調整額 -2億円 -3億円 -0.1億円 -1億円 -
連結(合計) 302億円 327億円 19億円 24億円 7.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

営業活動によるキャッシュ・フローは、日々の事業活動から生み出される資金の流れを示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却など、将来の事業成長に向けた資金の動きを表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、株式の発行など、資金調達や返済に関する活動による資金の増減を示しています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 15億円 18億円
投資CF -28億円 -33億円
財務CF 22億円 7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、誰もが願う「健康で長生きしたい」「美しくありたい」という想いを、予防医学と自然主義の観点から研究開発に取り組み、健康食品と自然派化粧品を通じて、明るく健やかな健康長寿社会の実現に貢献することを基本方針としています。

(2) 経営文化


消費者の目線から安心・安全を追求し、確かな製品作りで信頼性の高いメーカーへと成長するため、全社員の意識高揚を図っています。また、正しい健康情報の発信を通じて、顧客の多種多様な需要に応えることを目指す姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、毎期継続的な成長を確保したうえで、収益性の向上を目標としています。具体的な収益性の指標としては、売上高経常利益率を用いています。

(4) 成長戦略と重点施策


健康食品の企画・製造・販売から情報発信までをグループ内で統合し、業界のリーディングカンパニーを目指しています。具体的には、高度な製造管理体制の確立、トータルプロデュースの構築、物流システムの強化、海外事業の拡大、M&Aによるグループシナジーの創出などに注力します。また、差別化のための独自技術・原料の開発や、人材・組織の強化も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


各分野で専門知識を持つ人材が必要であるため、OJTを中心とした育成に加え、即戦力人材の確保を積極的に行っています。また、ダイバーシティを推進し、多様化するニーズへの対応や組織の結束力強化を図っています。社員一人一人が働きがいを感じ成長できる環境づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 40.2歳 9.8年 4,315,975円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 24.4%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.7%
男女賃金差異(正規雇用) 80.6%
男女賃金差異(非正規) 59.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場競争力に関するリスク


健康食品市場は拡大傾向にありますが、新規参入も多く競争が激化しています。顧客ニーズの変化を予測できず魅力ある製品を提供できない場合、売上高の低下を招き、業績に悪影響を与える可能性があります。

(2) 原材料、商品の調達に関するリスク


安全性の高い健康食品需要の拡大や新興国の需要増等を背景に、原材料の調達が困難になる場合や調達コストが上昇する可能性があります。これにより、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 安全性に関するリスク


製品の品質・安全確保には細心の注意を払っていますが、予期せぬ異物混入や欠陥製品の発生、表示違反等が生じる可能性があります。これらは企業イメージを損ない、回収費用等により業績に悪影響を与える可能性があります。また、トレーサビリティー強化等のシステム構築に多額の費用がかかる可能性もあります。

(4) 薬機法等、事業運営に関わる法的規制に関するリスク


健康食品等の販売において、薬機法、食品衛生法、景品表示法などの法的規制を受けます。予期しない法改正や規制強化、あるいは法令解釈の変更等により新たな対策が必要となった場合、事業運営に支障をきたし、業績に悪影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。