※本記事は、株式会社技研製作所 の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
技研製作所グループは、無振動・無騒音で環境負荷を極小に抑えた圧入工法を基盤に、建設機械の開発・製造・販売・レンタルと、圧入技術を用いた工事事業を国内外で展開しています。国民の視点に立った建設工事の実現を目指し、「建設の五大原則」を掲げ、機械・工法開発を行っています。
単体従業員数は515名、連結従業員数は703名です。セグメントは建設機械事業、圧入工事事業の2つです。
主な国内グループ会社は、技研施工(圧入工事事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社技研製作所は、建設機械事業と圧入工事事業を展開しており、その事業特性から専門性の高い人材が活躍しています。従業員の平均年齢や勤続年数を見ると、比較的若年層が多く、一定の定着感がある環境であることがうかがえます。同社グループは人的資本への投資を重視し、多様な働き方を推進する方針を掲げています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が比較的若く、平均勤続年数も一定の水準を保っています。これは、若手社員がキャリアを築きながら長く働き続ける傾向があることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,295,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.0年 |
| 平均年齢 | 35.3歳 |
| 単体従業員数 | 515人 |
| 連結従業員数 | 703人 |
| 単体のグループ内比率 | 73.3% |
同社および国内連結子会社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。在外連結子会社のうち2社は退職一時金制度を設けており、従業員の退職等に際して割増退職金を支払う場合があります。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は14.9億円、年金資産は24.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、経営戦略と連動した人材戦略のもと、企業の価値創造と持続的な発展に向けた人的資本への投資を継続しています。社員一人ひとりが専門性と独創性を磨き、挑戦を重ねながら、未来につなげる価値を創造することを人材ビジョンとして掲げています。
具体的には、「新しいことにチャレンジする文化と環境の醸成」「異業種との交流や連携による新たな価値の創出」「イノベーション人材の補強」を戦略の軸としています。多様な人材が活躍できる組織づくりを重点課題とし、多様な人材が活躍・昇進できる環境づくり、人的資本への投資、イノベーション創出のための環境整備、健康経営の実践に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。管理職に占める女性労働者の割合は2025年8月31日時点、男性労働者の育児休業取得率の対象期間は2024年4月1日~2025年3月31日、労働者の男女の賃金の差異の対象期間は2024年9月1日~2025年8月31日です。賃金差異の主な要因は、女性労働者は男性労働者に比べ賃金水準の低い若年層の割合が大きいことによるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 18.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 79.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 72.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱技研施工
当該連結子会社では、男女において賃金規程等の制度上、昇進・昇格等の運用上の差異はありません。賃金差異の主な要因は、女性労働者は男性労働者に比べ賃金水準の低い若年層の割合が大きいことによるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 71.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | - |
多様性・登用
技研製作所を対象とした集計値です。外国籍社員雇用数は技研製作所および技研施工を対象としています。男性労働者の育児休業取得率の実績対象期間は2024年4月1日~2025年3月31日です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 18.3% |
| 新卒採用者に占める女性比率 | 25.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100% |
| 外国籍社員雇用数 | 9名 |
健康・安全
技研製作所を対象とした集計値です。対象期間は2024年4月1日~2025年3月31日です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 精密検査受診率 | 39.1% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
技研製作所グループは、無振動・無騒音の圧入工法を核に、建設機械の開発・製造・販売・レンタルと、その技術を応用した圧入工事を展開しています。環境負荷を極小に抑える技術で、国内外の社会インフラ整備に貢献する事業構造を持っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、無公害圧入工法の優位性を最大限に活かした機械と新工法の開発を通じて、国内外で事業活動を行っています。国民の視点に立った建設工事の実現を目指し、「建設の五大原則」を機械・工法開発の絶対条件としています。収益は、主に建設機械の提供と圧入工事の実施から得ています。
建設機械事業
同社グループは、油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー」や周辺機械の開発・製造・販売・レンタル、および保守サービスを提供し、無公害圧入工法の普及拡大に努めています。収益は、これらの機械の販売やレンタル、保守サービスから得ています。運営は、海外子会社のGiken Europe B.V.、Giken Seisakusho Asia Pte., Ltd.、Giken America Corporationなどが機械販売と保守サービスを行っています。
圧入工事事業
同社グループは、圧入技術から生まれる新工法を開発し、その普及と市場拡大に取り組んでいます。機械式駐車場「エコパーク」や機械式駐輪場「エコサイクル」の受注・工事も行っています。収益は、圧入工事の実施や新工法の提供から得ています。運営は、国内子会社の技研施工や海外子会社が圧入工事を行っています。
同社グループの売上高は、当連結会計年度において前期から減少しました。一方で、海外での売上高は増加し、全体の売上高に占める海外の割合も前期より高まっています。特定の顧客への売上集中は当期には見られなくなりました。
| セグメント | 売上高(2024年8月期) | 売上高(2025年8月期) |
|---|---|---|
| 建設機械事業 | 209億円 | 177億円 |
| 圧入工事事業 | 85.4億円 | 86.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で変動が見られます。売上高は、数年前にピークを迎えた後、当期は前期から減少しました。経常利益も同様に、数年前をピークに当期は前期から減少する結果となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、過去に一時的な落ち込みがあったものの回復傾向にありましたが、当期は前期から減少しています。当期は、元海外連結子会社との和解に伴う訴訟関連損失および貸倒引当金繰入額を特別損失として計上しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 276億円 | 304億円 | 293億円 | 295億円 | 263億円 |
| 経常利益 | 41.6億円 | 48.3億円 | 30.6億円 | 35.8億円 | 27.3億円 |
| 経常利益率 | 15.1% | 15.9% | 10.5% | 12.2% | 10.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 30.7億円 | 32.3億円 | 8.5億円 | 24.4億円 | 14.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 112.22 | 117.65 | 30.82 | 90.99 | 55.74 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、当期において前期から減少しました。また、従業員1人あたり営業利益も前期から減少する結果となっています。これらの指標の減少は、売上高や営業利益の減少と連動していると考えられます。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 42.2百万円 | 37.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.8百万円 | 3.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で得た資金を投資に回しつつも、手元に余剰資金を残す堅実な経営状況を示しています。これにより、安定した事業運営と将来への投資を両立していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は高い水準を維持しており、強固な財務基盤を示しています。手元資金も十分に確保されており、不測の事態への耐性があると考えられます。ROEはプライム市場平均を下回る水準ですが、安定した財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも寄与する要素となります。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 404億円 | 403億円 |
| 自己資本比率 | 84.0% | 84.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.1% | 3.7% |
| 現金及び預金 | 102億円 | 85.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュフローは13.8億円の収入となりましたが、前期と比較すると減少しています。これは主に税金等調整前当期純利益によるものです。投資活動によるキャッシュフローは11.4億円の支出となり、前期の収入から支出へと転換しました。これは定期預金の預け入れによる支出が主な要因となっています。財務活動によるキャッシュフローは9.5億円の支出となり、前期と比較して支出が減少しました。これは配当金の支払いが主な要因です。
これらのキャッシュフローの状況から、同社グループは本業で安定的に資金を生み出し、その一部を投資に回しつつも、最終的には手元に資金を残す堅実な財務運営を行っていることが示されています。この資金の流れは、事業の安定性と将来への投資余力を示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素であると考えられます。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 31.4億円 | 13.8億円 |
| 投資CF | 0.6億円 | △11.4億円 |
| 財務CF | △25.0億円 | △9.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 31.9億円 | 2.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループが属する国内外の建設市場の状況、特に公共投資の動向は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外事業においては、異文化での商慣行の違いや為替レートの変動、各国の法制度や規制の変更、地政学リスクに起因するエネルギーや原材料価格の変動等が経営成績に影響を及ぼす可能性が示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
技研製作所は、建設の「工法革命」を提唱し、社会課題解決と持続可能な社会の実現を目指す開発型企業です。独創的な技術と挑戦を重んじる企業文化を特徴としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「世の中の役に立つ独創的な『物』『方法』を創造し世の中に貢献する」ことを経営理念の第一に掲げています。顧客の立場に立って価値の高いものを提供し続けること、正しい倫理に基づいた真面目な事業運営で永久繁栄を図ることを重視しています。
また、力を貸してくださる方々への利益還元と共存共栄、社員が一丸となって努力し強靭な体質を作り事業の永久繁栄を図ること、社員の人間性向上と社会的地位・財産の増強も理念としています。
経営方針としては、「インプラント工法で世界の建設を変える」ことを掲げています。これは「建設の五大原則」(環境性、安全性、急速性、経済性、文化性)を遵守する新しい建設業界への転換を図る「工法革命」を実践するものです。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、創業以来、建設のあるべき姿を追求し、新たな工法・機械の開発と普及を通じて社会課題解決に取り組んできました。事業そのものが環境や社会の課題に貢献しており、サステナビリティの推進を使命としています。
社員一人ひとりが建設の未来を切り拓くパイオニアとなり、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
人的資本経営における人材ビジョンは、「社員一人ひとりが専門性と独創性を磨き、挑戦を重ねながら、未来につなげる価値を創造する」ことです。
新しいことにチャレンジする文化と環境の醸成、異業種との交流や連携による新たな価値の創出、イノベーション人材の補強を戦略の軸としています。
多様な個人がイノベーションや価値創造に主体的かつ意欲的に取り組める職場環境の構築を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画2027において、事業を支える基盤の強化と深化を重点課題の一つとしています。
イノベーションの創出や生産性向上、これらを実現するための人的資本への投資を不可欠と捉えています。
AI技術を取り入れ、工法普及と工法・機械・構造物開発に集中する環境づくりを進めています。
社員一人ひとりが挑戦を重ねて価値を創造することを適切に評価し、イノベーションを企業文化として定着させることを図っています。
経営戦略と人材戦略を連動させ、ITを利活用する人材育成や社員の必要なスキル習得、知識・経験の多様性の拡充、人材ポートフォリオの充実といった人的資本投資を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
株式会社技研製作所は、取締役会と監査役会を設置しており、社外役員が経営の監督機能と透明性の向上に貢献する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は有限会社北村興産であり、複数の北村氏が上位株主として名を連ねています。これに加えて、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託銀行、さらに四国銀行や高知銀行などの金融機関も主要な株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社北村興産 | 22.69% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 7.87% |
| 日本カストディ銀行 | 5.28% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長CEOは大平厚氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大平 厚 | 代表取締役社長 CEO | 1981年に技研施工に入社後、Giken America Corporationへの出向などを経験。2009年に同社執行役員となり、取締役、取締役副社長を経て、2023年11月より代表取締役社長CEOに現職。 |
| 森部 慎之助 | 代表取締役会長 | 高知県庁を退職後、2012年に同社に入社。執行役員、常務取締役、専務取締役、取締役副社長を経て、2020年11月に代表取締役社長に就任。2023年11月より代表取締役会長に現職。 |
| 前田 みか | 取締役 専務執行役員 BX推進室担当 | 1989年に同社に入社。情報企画部、企画部、経営戦略部を経て、執行役員、取締役、常務取締役、専務取締役を歴任。2025年5月より取締役専務執行役員BX推進室担当に現職。 |
| 森野 有晴 | 取締役 専務執行役員 開発製造本部・圧入技術研究開発センター担当 | 1996年に同社に入社。生産管理部部門リーダー、執行役員、取締役を経て、2023年11月より取締役専務執行役員に就任。2025年9月より開発製造本部・圧入技術研究開発センター担当に現職。 |
社外取締役は、久松朋水氏(㈱太陽代表取締役社長)、岩城孝章氏(高知空港ビル代表取締役社長)、澤祥雅氏(弁護士法人大江橋法律事務所パートナー)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名が経営判断・意思決定への参画を通じて、業務執行に対する監督機能の強化と透明性の向上に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を目的として設計されています。具体的には、役位や職責に応じた固定報酬としての基本報酬、連結売上高および連結営業利益の達成度合いに応じた業績連動報酬、そして持続的な企業価値向上を目的とした譲渡制限付株式報酬で構成されています。社外取締役には、その職務を踏まえ固定報酬である基本報酬のみが支払われる体制です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.7億円 | 43.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 5.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 36百万円 | 6.0百万円 |
なお、取締役の基本報酬には、使用人兼務取締役分の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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