エヌ・ピー・シー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エヌ・ピー・シー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証グロース市場に上場し、太陽電池製造装置や太陽光パネルリサイクル装置などの装置関連事業を主力としています。当期は部品売上の減少等により、売上高93億円、営業利益19億円の減収減益となりましたが、米国主要顧客向けの案件は堅調に推移しています。


※本記事は、株式会社エヌ・ピー・シー の有価証券報告書(第33期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エヌ・ピー・シーってどんな会社?


太陽電池製造装置の大手メーカーです。米国の太陽電池メーカーを主要顧客とし、FA装置やパネルリサイクル装置も展開しています。

(1) 会社概要


同社は1992年に真空包装機の製造販売を目的として設立され、1994年に太陽電池業界向け真空ラミネーターの販売を開始しました。1996年には米国に現地法人を設立し海外展開を加速させ、2007年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たしました。その後、2014年に太陽光発電所の検査サービス、2017年にリサイクル用パネル解体ラインの販売を開始するなど事業を多角化し、2024年には環境関連事業部を装置関連事業部に統合しています。

連結従業員数は168名、単体では164名です。大株主構成は、筆頭株主が代表取締役社長の伊藤雅文氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は外国法人の常任代理人を務める銀行となっています。

氏名 持株比率
伊藤雅文 6.02%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 2.90%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505050 2.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は伊藤雅文氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
伊藤雅文 代表取締役社長 伊藤萬、日本ポリセロ工業を経て同社入社。太陽電池関連本部長などを歴任し、2011年より現職。
廣澤一夫 専務取締役管理本部長 イトマンエンジニアリング、日本ポリセロ工業を経て同社入社。管理本部長、総務部長などを歴任し、2016年より現職。
矢内利幸 常務取締役事業本部長 マツダ、アサヒ技研、テックス、メクトを経て同社入社。太陽電池事業本部長などを歴任し、2016年より現職。


社外取締役は、寺田健治(元IDEC執行役員生産本部長)、平町聡(元サッポログループマネジメント社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「装置関連事業」の単一セグメントを展開しています。

(1) 太陽電池製造装置


主に米国の太陽電池メーカーに対し、電極形成装置や真空ラミネーターなどのFA装置を提供しています。また、ペロブスカイトなどの次世代型太陽電池用装置も手掛けています。
収益は、装置の販売代金として顧客である太陽電池パネルメーカーから受け取ります。運営は主に同社および米国子会社のNPC America Automation Inc.が行っています。

(2) その他の装置・サービス


自動車・電子部品業界向けのFA装置や、太陽光パネルリサイクル装置(解体装置)を提供しています。また、太陽光発電所の検査サービスやパネルのリユース販売、植物工場ビジネスも展開しています。
収益は、装置の販売代金、検査サービス料、リユースパネルの販売代金、野菜の販売代金等として各顧客から受け取ります。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は変動がありつつも40億円台から100億円規模へ推移しています。当期は売上高93億円と前期比で減少しました。利益面では、経常利益率が10%を超える高収益体質を維持しており、当期も経常利益19億円、利益率20.7%と高い水準を確保しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 78億円 44億円 93億円 108億円 93億円
経常利益 12億円 6.2億円 10億円 24億円 19億円
利益率(%) 14.7% 14.1% 10.3% 22.5% 20.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 7.6億円 4.0億円 9.4億円 16億円 12億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の108億円から93億円へ減少しました。これに伴い売上総利益も減少しましたが、売上総利益率は33.2%から33.4%へと同水準を維持しています。営業利益は24億円から19億円へ減少しましたが、依然として20%を超える高い営業利益率を維持しています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 108億円 93億円
売上総利益 36億円 31億円
売上総利益率(%) 33.2% 33.4%
営業利益 24億円 19億円
営業利益率(%) 22.6% 20.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が3.5億円(構成比30%)、役員報酬が1.4億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期より「装置関連事業」の単一セグメントに変更されたため、全社の業績がそのままセグメント業績となります。装置関連事業の売上高は93億円、セグメント利益は19億円となりました。部品販売が想定より少なかったものの、現地作業における原価低減等により利益は確保されています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
装置関連事業 - 93億円 - 19億円 20.7%
連結(合計) 108億円 93億円 24億円 19億円 20.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

エヌ・ピー・シーは、営業活動により資金を創出し、投資活動では事業基盤強化のための支出を行い、財務活動では株主への還元を行っています。

営業活動では、利益の創出や売上債権・棚卸資産の回収が進んだ一方で、仕入債務の支払い等により資金が増加しました。投資活動では、主に設備投資等に資金を使用しました。財務活動では、配当金の支払い等により資金が減少しました。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 5.6億円 15億円
投資CF -0.9億円 -0.6億円
財務CF -1.3億円 -2.2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「我々は、もの創りを通して、自然と社会と人間に必要とされる企業を目指します。」という企業方針を掲げています。技術革新により創り出す製品を通じて、地球環境や地域社会に貢献し、あらゆるステークホルダーに必要とされる企業への成長を存在意義としています。

(2) 企業文化


同社は、持続可能な成長の根幹は人材であると考え、多様な個性を尊重し合う環境づくりを重視しています。ダイバーシティ&インクルージョン方針に基づき、性別や国籍等による差別の禁止、適材適所の人材配置、働きやすさの向上に取り組んでいます。社員同士の関係構築を支援し、互いに良い影響を与え合う風土の醸成を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2026年8月期の業績目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:80億円
* 営業利益:7.6億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:5.3億円

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の強化・拡大と新分野への取り組みにより、安定成長を目指しています。太陽電池製造装置では、米国主要顧客への対応に加え、ペロブスカイト等の次世代型電池用装置の需要を取り込みます。リサイクル装置では、独自技術の業界標準化とガラスメーカーとの連携を強化し、事業拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を成長の根幹と捉え、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を進めています。採用では差別禁止を徹底し、女性活躍を推進しています。配置においては適材適所を重視し、新卒研修や定期面談を実施しています。また、退職金制度や時間単位有休の導入、シニア人材の活用など、長期的な定着とスキル向上を支援する制度改革を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 39.3歳 11.4年 5,319,371円


※平均年間給与は賞与及び従業員に対する譲渡制限付株式報酬の制限解除に伴う給与所得を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.1%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者(正社員)に占める女性割合(20.0%)、二酸化炭素排出量削減(年間約400トン)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 大口顧客の事業環境の変動による影響


売上高において、米国の太陽電池メーカーであるFirst Solar, Inc.グループへの依存度が高くなっています。同社は信用力が高く市場も堅調ですが、万一、同社の事業環境が悪化したり取引が減少した場合には、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 繰延税金資産に関するリスク


将来の課税所得の見積りに基づき繰延税金資産を計上しています。主要顧客の設備投資動向により利益計画が変動する場合や、税制改正等が行われた場合には、繰延税金資産の取り崩しが必要となり、当期純利益に影響を与える可能性があります。

(3) 太陽電池市場の変動


売上の多くを太陽電池業界が占めており、同市場の停滞や減速の影響を受ける可能性があります。これに対し、既存パネル向けサービスやリサイクル事業、他業界向けFA装置の展開によりリスク分散を図っていますが、市場動向によっては業績への影響が懸念されます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。