アドテックプラズマテクノロジー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アドテックプラズマテクノロジー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、半導体・液晶製造装置向けのプラズマ用高周波電源などの開発・製造を主要事業としています。直近の業績は、半導体市場の拡大や生産効率の向上等により、売上高127億円、経常利益19億円、当期純利益20億円といずれも前期比で増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社アドテック プラズマ テクノロジー の有価証券報告書(第41期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アドテック プラズマ テクノロジーってどんな会社?


同社は、半導体製造プロセスに不可欠な「プラズマ用高周波電源」等の製造販売を主力とし、グローバルに展開する企業です。

(1) 会社概要


1985年に設立され、各種コントロール基板の開発製造を開始しました。1991年に半導体プロセス用のプラズマ用高周波電源の販売を開始し、事業の柱を確立しました。2004年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、同年には株式会社IDXを子会社化して事業領域を拡大しました。その後、2015年に東京証券取引所市場第二部へ市場変更を行い、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。

同社グループは連結523名、単体181名の従業員を擁しています。筆頭株主は元代表取締役会長で取締役相談役を務めた藤井修逸氏で、第2位は個人投資家の佐々木嘉樹氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
藤井 修逸 22.76%
佐々木 嘉樹 2.45%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 2.43%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名、計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は森下秀法氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
森下 秀法 取締役社長(代表取締役) 1999年入社。営業部長、常務取締役を経て、米国現地法人会長等を歴任。2018年より現職。
高原 敏浩 専務取締役 2000年入社。設計部長、品質部長、常務取締役等を歴任。米国・欧州現地法人の取締役も務める。2018年より現職。
後藤 浩樹 取締役 1995年入社。品質部長、設計部長を歴任。2018年より取締役、2021年より子会社IDXの代表取締役専務を兼務し現職。
坂谷 和宏 取締役総務・経理部長 中国銀行を経て2018年入社。総務・経理部長に就任し、米国現地法人CFO等を兼務。2018年より現職。


社外取締役は、藤代祥之(ローツェ代表取締役社長)、藤井美代子(社会保険労務士)、沖本秀幸(税理士)、神原多恵(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「半導体・液晶関連事業」および「研究機関・大学関連事業」事業を展開しています。

半導体・液晶関連事業


半導体や液晶基板の製造工程で使用される製造装置に搭載する「プラズマ用高周波電源」、「マッチングユニット(自動インピーダンス整合装置)」および計測器等の設計、製造、販売、技術サービスを提供しています。主な顧客は半導体製造装置メーカー等です。

収益は、これらの製品販売および技術サービスの提供対価として顧客から受け取ります。運営は主に同社が行っているほか、米国、欧州、ベトナム、韓国、台湾、中国の現地法人が製造・販売・サービスを担っています。

研究機関・大学関連事業


研究機関や大学で行われる医療・環境・物質科学関連の研究開発用、および一般産業用の直流電源、パルス電源、マイクロ波電源、超電導電磁石用電源等の設計、製造、販売、技術サービスを提供しています。

収益は、製品の販売および技術サービスの提供対価として受け取ります。運営は主に子会社の株式会社IDXが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は80億円台から120億円台へと拡大傾向にあります。特に2022年8月期以降は110億円を超える水準で推移しており、当期は過去最高の127億円を記録しました。経常利益も10億円台後半から30億円台で推移し、高い利益率を維持しています。当期は増収効果もあり、親会社株主に帰属する当期純利益も前期から大きく伸長しました。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 80億円 123億円 125億円 113億円 127億円
経常利益 12億円 31億円 23億円 16億円 19億円
利益率(%) 14.5% 24.7% 18.3% 14.3% 15.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 14億円 8億円 6億円 9億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は113億円から127億円へ増加しました。売上総利益率も改善傾向にあり、営業利益は15億円から18億円へと成長しています。増収効果に加え、生産効率の向上等が利益拡大に寄与していることが読み取れます。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 113億円 127億円
売上総利益 42億円 48億円
売上総利益率(%) 37.2% 38.0%
営業利益 15億円 18億円
営業利益率(%) 13.1% 14.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が9億円(構成比30%)、試験研究費が8億円(同26%)を占めています。また、売上原価においては、製品等の製造に関わるコストが計上されています。

(3) セグメント収益


当期は、主力の半導体・液晶関連事業において、最先端ロジックや中国市場向けの投資が堅調に推移し、売上高・利益ともに増加しました。研究機関・大学関連事業も、医療装置向け電源等の販売が好調で大幅な増収となり、営業損益も黒字化しました。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
半導体・液晶関連事業 105億円 113億円 15億円 17億円 15.0%
研究機関・大学関連事業 8億円 14億円 -1億円 0.4億円 2.7%
連結(合計) 113億円 127億円 15億円 18億円 14.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

アドテックプラズマテクノロジーは、営業活動で得た資金が大幅に増加し、事業の成長を支えています。投資活動では、将来の成長に向けた設備投資を抑制し、財務活動では、借入金の返済を進めながらも、新たな資金調達も行い、バランスの取れた資金繰りを実現しています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 30億円 34億円
投資CF -9億円 -3億円
財務CF -17億円 -11億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は社是として「信頼」を掲げ、「すべてのことが信頼を築くものでなければならない」を行動の心構えとしています。経営理念は「Quality(高品質)」「Unique(ユニーク)」「Innovative(革新)」「Creative(創造)」「Kind to the Earth(地球に優しく)」の頭文字をとった「Q・U・I・C・K」をスローガンとし、世界一の製品作りを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「世界に通じる技術、営業、経営」を目指し、常に最先端の技術を磨き、電子技術を通じて社会の発展に貢献することを重視しています。人材育成においては、「ものづくり意識」が高い人材、「考動」および「協調」できる人材、「新たなステージへの挑戦」ができる人材を求めており、性別や国籍を問わず多様な人材が活躍できる風土の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、企業価値の向上と財務体質の強化を目的とし、売上高および経常利益の成長を第一の目標としています。株主資本の効率的運用による高い投資効率の経営を進める方針です。2026年8月期の目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:11,600百万円
* 経常利益:1,350百万円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:1,010百万円
* 1株当たり当期純利益:117.89円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、信頼性の高いプラズマ用高周波電源関連製品のトータルサービスとソリューションの提供を目指しています。産学官連携による「プラズマ」技術の基礎・応用研究体制を整備し、半導体分野だけでなく新素材・環境等の他分野への応用を進めています。また、グループ拠点の活用や人材育成、営業・生産面での連携強化により、生産効率や品質の向上、新製品開発ニーズへの対応を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は持続的成長のため、人材の確保・育成・定着を重要視しています。知名度向上のためのブランディング活動、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用強化、新入社員へのメンター制度、譲渡制限付株式報酬制度などを導入しています。また、新たな人事制度によりキャリアパスを可視化し、従業員エンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 41.6歳 9.7年 6,280,378円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は従業員規模が300人以下のため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用者に占める女性労働者の割合(正社員)(17%)、年次有給休暇取得率(80%)、平均時間外労働時間(月平均)(9.1時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場動向の変動


同社グループの主要販売先は半導体関連企業であり、半導体市場の影響を大きく受けます。シリコンサイクル等の需給バランス調整により市場規模が変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、顧客の投資動向や受注状況を把握し、柔軟な生産体制を整備しています。

(2) 競合


プラズマ用高周波電源およびマッチングユニット事業には複数の競合が存在します。同社は製品の高性能化やサービスの充実で差別化を図っていますが、競合他社による画期的な新製品の投入やサービス拡充等により競争が激化し、価格下落等が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 海外展開


同社は北米、欧州、アジアなど海外展開を進めていますが、現地での人材確保の困難や流出、管理・事務上の問題等が発生した場合、製品供給に支障をきたす可能性があります。これにより、同社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 原材料の調達


製品製造に必要な原材料を外部から調達しており、在庫確保と安定供給に注力しています。しかし、需要急増や災害等による供給不足、遅延等により十分な原材料が確保できない場合、生産計画に支障が生じ、製品の安定供給ができなくなるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。