ケイティケイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ケイティケイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証メイン上場。リユーストナー等のサプライ事業と、DX支援等のITソリューション事業を展開。直近決算では、サプライ事業の堅調な推移に加え、ITソリューション事業の伸長により、売上高・経常利益ともに過去最高を更新し、増収増益を達成しました。


※本記事は、ケイティケイ株式会社 の有価証券報告書(第54期、自 2024年8月21日 至 2025年8月20日、2025年11月11日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ケイティケイってどんな会社?


リユーストナーなどのオフィスサプライ事業を基盤に、ITソリューション事業へ領域を拡大する専門商社です。

(1) 会社概要


1971年に名古屋市でカトー特殊計紙として設立され、1992年にリパックトナーの販売を本格開始しました。2002年に現社名へ変更し、2006年にジャスダック証券取引所(現 東証スタンダード)へ上場しました。2012年には株式会社青雲クラウンを完全子会社化し、事業基盤を拡大しています。

連結従業員数は309名、単体では172名です。筆頭株主は青雲堂株式会社で、第2位は投資育成会社である名古屋中小企業投資育成、第3位はいずも産業が名を連ねています。上位株主には、代表取締役社長である青山氏やその親族が含まれており、創業家に関連する保有比率が高い構成となっています。

氏名 持株比率
青雲堂 18.54%
名古屋中小企業投資育成 7.31%
いずも産業 4.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は青山英生氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
青山 英生 代表取締役社長 1988年株式会社東海銀行入行。1993年株式会社青雲クラウン入社。2012年同社代表取締役社長に就任し、2020年より現職。
葛西 裕之 専務取締役管理本部長兼グループ戦略本部長 1991年鹿島建設株式会社入社。アサヒサンクリーン株式会社代表取締役社長等を経て、2021年より現職。
鈴木 宏紀 取締役営業本部長 2001年株式会社中京医薬品入社。2002年同社入社、執行役員営業本部長等を経て、2022年より現職。
武井 修 取締役(監査等委員) 1983年株式会社中央相互銀行入行。株式会社青雲クラウン専務取締役、株式会社キタブツ中部代表取締役社長等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、大庭崇彦(公認会計士・税理士事務所代表)、後藤もゆる(弁護士法人パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「サプライ事業」および「ITソリューション事業」を展開しています。

(1) サプライ事業


リユース製品(リパックトナー、リパックリボン等)やOAサプライ商品(トナーカートリッジ、インク等)、文具事務用品、オフィス家具などを取り扱っています。顧客は主に事業者であり、リユース・リサイクルを通じた環境貢献型商品を主力としています。

収益は主に顧客への商品販売代金から得ています。運営は主にケイティケイ、株式会社青雲クラウン、株式会社キタブツ中部が行っています。特にキタブツ中部はロジスティクス事業および倉庫業を担い、物流面を支えています。

(2) ITソリューション事業


DX推進を支援するPC、ソフトウエア、複合機、ネットワークセキュリティ機器(UTM等)の販売・保守や、ECサイト運営支援、デジタルマーケティング等を提供しています。近年はWeb受注システムの運営や就労継続支援A型事業所の運営なども含みます。

収益は機器やソフトウエアの販売、保守サービスの対価、EC運営支援などのサービス料から得ています。運営はケイティケイ、株式会社青雲クラウン、SBMソリューション株式会社、株式会社エス・アンド・エス、株式会社イコリス、東海桜井株式会社、株式会社じぶんスペースなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、売上高は着実な増加傾向にあり、直近では189億円を超え過去最高を記録しました。利益面でも安定して黒字を維持しており、経常利益は5億円前後で推移しています。利益率は2.7%前後で安定しており、堅実な成長を続けています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 173億円 172億円 176億円 181億円 189億円
経常利益 4.8億円 5.0億円 4.7億円 4.9億円 5.2億円
利益率(%) 2.8% 2.9% 2.7% 2.7% 2.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.9億円 2.6億円 2.4億円 2.4億円 2.5億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、増収に伴い売上総利益が増加し、営業利益も拡大しています。売上高の伸びが利益成長につながっており、本業の収益力が向上していることがうかがえます。売上総利益率は23.5%前後を維持しています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 181億円 189億円
売上総利益 42億円 45億円
売上総利益率(%) 23.4% 23.5%
営業利益 3.8億円 4.3億円
営業利益率(%) 2.1% 2.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11.2億円(構成比27.7%)、運賃及び荷造費が6.2億円(同15.5%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収増益となりました。主力のサプライ事業は堅調に推移し、利益の大部分を稼ぎ出しています。一方、ITソリューション事業は売上・利益ともに2桁成長を遂げ、全社業績の伸長に大きく貢献しました。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
サプライ事業 144億円 146億円 8.1億円 8.3億円 5.7%
ITソリューション事業 37億円 44億円 1.4億円 1.6億円 3.7%
調整額 -2億円 -3億円 -5.7億円 -5.7億円 -
連結(合計) 181億円 189億円 3.8億円 4.3億円 2.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ケイティケイは、営業活動により資金を獲得し、投資活動では定期預金の運用を行い、財務活動では借入と返済、配当金の支払いを行いました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益により資金が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻しと預入の差額により資金が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入による収入と長期借入金の返済、配当金の支払いの結果、資金が増加しました。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 2.8億円 2.6億円
投資CF -1.4億円 0.4億円
財務CF -1.3億円 0.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「お客様の発展をトータルでサポートし、お客様にお喜びいただき、社会に貢献する」を経営理念とし、ビジョンとして「Change the office mirai」を掲げています。リユースリサイクルによる循環型社会への貢献と、DXソリューション提供によるオフィスの未来変革を使命としています。

(2) 企業文化


サステナビリティを重視し、事業活動の中心にSDGsの理念を据える文化があります。「環境貢献」「DX」「人材育成・ダイバーシティ」「経営基盤強化」を重要課題(マテリアリティ)と特定し、社員一人ひとりがプロとしての価値を発揮し、自らも変わることを目指す風土を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


2024年10月に策定した新中期経営計画「Growth Plan 2027」において、2027年8月期の達成目標として以下の数値を掲げています。収益性を向上させつつ、成長性の高い事業への投資を推進することで目標達成を目指します。

* 売上高:200億円
* 営業利益:6億円
* 経常利益:7億円
* ROE:10.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「顧客基盤の活用と強化」と「事業ポートフォリオの転換」を基本方針としています。長年築いたサプライ事業の顧客基盤へのクロスセルでITソリューション事業を拡大し、第二の柱へと成長させます。また、サプライ事業では自社リユース製品の差別化で収益性を高め、得られたキャッシュをIT分野へ投資します。

* サプライ事業:自社ECサイト「YORIDORI」を活用したリユーストナー循環システムの提案強化。
* ITソリューション事業:複合機販売を起点とした提案型ビジネスと、デジタルマーケティングを駆使したEC事業の拡大。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「Change the office mirai」の実現に向け、従業員が自立したプロとして価値を発揮することを重視しています。果敢な挑戦やスキルチェンジを後押しするため、「人創り」と「社内職場環境の整備」を強化し、多様な人材が能力を最大限に発揮できる組織づくりとリーダーシップのある人材育成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 41.8歳 13.1年 4,602,466円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 57.8%
男女賃金差異(正規) 83.5%
男女賃金差異(非正規) 91.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 商品の在庫と仕入れについて


需要予測に基づき商品を在庫保有していますが、市場変化等により予測が外れるリスクがあります。また、原材料価格の高騰や入手困難、急激な為替変動等により安定的な仕入れが困難になった場合、評価損や機会損失が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 技術革新について


プリンターや複合機などの技術開発は著しく、同社グループが新技術への対応に遅れた場合、提供するリユース製品が陳腐化し、競争力が低下する恐れがあります。継続的な開発・改良を行っていますが、対応の遅れは業績に影響を与える可能性があります。

(3) 信頼性の維持について


情報セキュリティの維持・管理に努めていますが、システム障害やサイバー攻撃、個人情報の流出等が発生した場合、企業イメージの悪化や信頼の喪失につながる恐れがあります。これらは事業運営や業績に重大な影響を与える可能性があります。

(4) 知的所有権及び知的財産権について


主力のリユース製品において、メーカーの特許権等の知的財産権との関係には慎重な対応が求められます。万全の注意を払っていますが、将来的に訴訟等が発生する可能性は排除できず、損害賠償や差止め請求を受けた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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