※本記事は、株式会社文教堂グループホールディングス の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
文教堂グループホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は1名、グループ連結従業員数は131名です。
同社グループは、書籍・雑誌等の販売業と教育プラットフォーム事業を展開しています。持株会社である文教堂グループホールディングスと3社の連結子会社によって構成されています。
主な国内グループ会社は、文教堂.3.4(書籍・雑誌等の小売業)、ジェイブック(書籍・雑誌等の通信販売業)、文教堂サービス(図書カード等・の小売業)などです。
文教堂グループホールディングスは、2019年9月27日に成立した事業再生ADR手続において同意を得た事業再生計画に基づき、事業構造改革に取り組んでいます。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、持株会社としてグループ全体の人材マネジメントと企業文化の醸成に注力しています。事業の発展と新たな価値創造のため、多様な人材の確保と育成を重視する方針です。従業員の価値創造を支えるため、適正な評価・報酬制度の充実や健康・安全に配慮した労働環境の形成に取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も長い傾向にあります。これは、長期間にわたりキャリアを築いている従業員が多いことを示しており、安定した環境で業務に取り組める可能性がうかがえます。なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,157,562円 |
| 平均勤続年数 | 24.6年 |
| 平均年齢 | 50.7歳 |
| 単体従業員数 | 1人 |
| 連結従業員数 | 131人 |
| 単体のグループ内比率 | 0.8% |
同社グループは、確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を併用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されています。
退職一時金制度もあります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、事業の発展と新たな価値創造に貢献する中核人材の登用と多様性の確保を重視しています。サステナビリティに関する重要課題の一つとして「人材、従業員価値の創造」を掲げ、適正な評価・報酬制度の充実や健康と安全に配慮した労働環境の形成に取り組んでいます。
管理職の登用においては、性別、国籍、中途採用者の区別なく、能力や適性を総合的に勘案する方針です。しかしながら、女性や外国人の管理職への登用は現状では多くないとの認識を示しています。今後は、多様性の確保に向けた人材育成方針および社内環境整備方針の策定を検討していくとしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは記載を省略しています。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱文教堂
男女間で賃金体系及び制度上の違いはありません。全労働者の男女の賃金の差異は、全労働者のうちパート・有期労働者の人員比率が高く、男女間で就業時間に差異があるためです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 54.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 87.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 96.5% |
多様性・登用
| 指標 | 目標 | 実績 |
|---|---|---|
| 正社員における女性管理職者 | 3名 | 2名 |
| 非正規社員における主任チーフ | 40名 | 31名 |
| 非正規社員における主任チーフ(内女性比率) | 50% | 67% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
文教堂グループホールディングスは、持株会社としてグループ全体の経営戦略を統括しています。主に書籍や雑誌などの販売事業と、教育プラットフォーム事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、書籍・雑誌・文具・雑貨などの販売を主力事業としています。また、プログラミング教室などの教育・学習支援を行う教育プラットフォーム事業も手掛けています。
小売販売事業では、厳しい経営環境が続く中で、書籍部門では利益率改善のため仕入を増やし、買切り書籍の取り扱いを開始しています。雑誌部門でも買切り方式を継続し、需要予測に基づいた仕入の精度向上に努めています。
文具・雑貨部門は好調を維持しており、売上拡大施策を実施しています。当連結会計年度に導入したトレーディングカード専門売場も堅調に推移しています。
教育プラットフォーム事業では、プログラミング教育の生徒獲得に地域差が見られる一方、書店併設型のシニア向け脳活性教室は順調に利用者数を伸ばしています。
収益は、主に書籍・雑誌・文具・雑貨などの小売販売、フランチャイジーへの卸売、そして出版社からの報奨金収入や教育プラットフォーム事業での授業料収入から得ています。同社グループの売上高は、国内市場が中心であり、特定の顧客への収益集中は見られません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の当連結会計年度において損失を計上する結果となりました。
特に当連結会計年度は、不採算店舗の閉店や店舗コストの増加、不採算店舗の減損損失の計上などが影響し、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは当連結会計年度にプラスを維持しており、本業からのキャッシュ創出力は一定程度あることを示しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 188億円 | 165億円 | 155億円 | 149億円 | 145億円 |
| 経常利益 | 3.8億円 | 76百万円 | 98百万円 | 58百万円 | △83百万円 |
| 経常利益率 | 2.0% | 0.5% | 0.6% | 0.4% | △0.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.7億円 | 73百万円 | 97百万円 | 43百万円 | △1.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 11.19 | 1.68 | 2.22 | 0.96 | △3.57 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、売上高の減少幅に対して連結従業員数の減少幅が大きかったことが影響していると考えられます。
従業員1人あたりの営業利益は、前期はプラスでしたが、当期は損失を計上する結果となりました。これは、当連結会計年度に営業損失を計上したことが主な要因です。これらの指標は、同社グループが事業構造改革に取り組む中で、収益体質の改善と組織全体の効率化が課題となっている状況を示しています。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 106.6百万円 | 110.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.2百万円 | △0.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業構造改革に取り組む中で変化しています。現在の資金の流れや財務基盤から、経営の安定性について確認します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、純資産は前期から減少しています。自己資本比率は前期から減少しており、非製造業のプライム市場平均と比較して低い水準にあります。
ROE(自己資本利益率)は当期にマイナスとなっており、前期のプラスから変化しています。手元資金である現金及び預金は前期から減少しており、現在の財務状況は雇用や給与の安定性を検討する上で注視すべき点であると言えます。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 13.1億円 | 11.6億円 |
| 自己資本比率 | 13.0% | 12.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.3% | -12.6% |
| 現金及び預金 | 15.3億円 | 11.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に26百万円の収入となりましたが、前期と比較すると大幅に減少しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出などにより、当期は85百万円の支出となり、前期の収入から支出に転じています。この結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、当期に59百万円のマイナスとなりました。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純減額や長期借入金の返済による支出などにより、当期は369百万円の支出となり、前期と比較して支出額が増加しています。これらの資金の流れは、事業構造改革を進める中で、資金繰りに影響を及ぼす可能性を示唆しており、今後の雇用安定性や給与水準を検討する上で重要な情報となります。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 798百万円 | 26百万円 |
| 投資CF | 31百万円 | △85百万円 |
| 財務CF | △174百万円 | △369百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 828百万円 | △59百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、お取引金融機関との事業再生ADR手続の計画期間終了後の借入金返済や資金調達に関する合意が未定です。また、当連結会計年度に重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、出版流通業界における個人消費の低迷と競合他社の増加による競争激化の影響を受けています。また、教育プラットフォーム事業においては、プログラミング教室への参入企業増加による品質・価格・サービス競争の激化がリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
文教堂グループホールディングスは、創業以来「豊かな未来に向けて-総合生活産業へ」を合言葉に、お客様が毎日寄ってみたくなる楽しい書店づくりを目指しています。地域の文化向上に貢献することを重視し、事業を展開している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
文教堂グループホールディングスは、創業以来「豊かな未来に向けて-総合生活産業へ」を合言葉に、お客様が毎日寄ってみたくなる楽しい書店づくりを目指しています。本の専門店としてだけでなく、様々なソフトを取り扱うメディアコンプレックス店として、皆様に満足していただける品揃えを心がけています。地域の文化の向上に貢献し、良書をはじめとする情報を通じて、出版界ひいては日本の文化向上に大きく寄与していきたいと考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
文教堂グループホールディングスは、きめ細かい店舗運営を通して効率経営を追求する姿勢を大切にしています。持続的な企業価値向上と社会課題解決のため、「サステナビリティ委員会」を設置し、社内各部門が横断的に連携して活動を推進しています。同社グループは「環境に配慮した店舗運営」「地域の文化向上へ貢献」「人材、従業員価値の創造」「高度なガバナンス体制の構築」を重要課題としており、事業発展と新たな価値創造に向けて、中核人材の登用における多様性を確保すべきと認識しています。管理職は性別・国籍・中途採用者の区別なく能力や適性を総合的に勘案して登用する方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
文教堂グループホールディングスは、事業再生ADR手続で同意を得た事業再生計画を着実に実行し、事業構造改革に取り組んできました。今後はさらなる収益拡大を図るべく、各種施策に積極的に力を注いでいます。具体的には、本社管理費を中心に業務の効率化による経費削減を進め、エリアマネージャー制度による組織力の強化、顧客対応及び店舗オペレーションの見直しに努めています。また、教育プラットフォーム事業を従来の書店事業に融合した新しい書店パッケージを開発し、両事業の連動によるシナジー効果の創出を通じて収益拡大を図ることを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
文教堂グループホールディングスは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営を監督する体制をとっています。取締役会は社外取締役を3名含み、経営の透明性と健全性の向上に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
文教堂グループホールディングスは、出版取次や印刷といった事業に関連の深い企業が上位株主として名を連ねています。筆頭株主は日販グループホールディングス、次いで大日本印刷が上位に位置しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日販グループホールディングス | 8.97% |
| 大日本印刷 | 7.57% |
| 楽天証券 | 2.32% |
| 前田 喜美子 | 1.87% |
| SBI証券 | 1.66% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は佐藤協治氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 協治 | 代表取締役社長 | 1988年4月、本の店岩本入社。2000年10月、同社入社。2007年6月、同社店舗開発部長。2010年11月、同社常務取締役常務執行役員事業開発部長。2018年11月、同社代表取締役社長より現職。 |
| 佐藤 弘志 | 取締役副社長 経営推進室長 | 1995年3月、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン入社。2007年6月、ブックオフコーポレーション代表取締役社長。2017年11月、同社取締役副社長経営推進室長より現職。 |
| 小林 友幸 | 取締役 財務経理部長 | 1989年4月、日本クレア入社。1992年8月、同社入社。2008年12月、同社執行役員経理部長。2019年11月、同社取締役財務経理部長より現職。 |
社外取締役は、飯田直樹氏(弁護士法人黒田法律事務所パートナー)、森俊明氏(BE1総合会計事務所代表)、平岡隆氏(日本出版販売執行役員)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は6名(うち社外取締役3名)で構成されています。社外取締役の選任にあたっては、大所高所からの意見や幅広い知識・感覚を持つことを方針としています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、経営の透明性を確保し、企業価値向上への動機付けや優秀な人材確保のため、指名・報酬委員会の審議を経て役員報酬を決定しています。報酬は固定報酬と業績連動報酬で構成され、同社グループの利益成長と配当状況を考慮し、業績連動報酬の割合を高める方針です。なお、当事業年度に提出会社の役員が受けている報酬は固定報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 18百万円 | 8.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 4.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 12百万円 | 2.9百万円 |
役員報酬の総額は34.3百万円で、報酬の支給対象となった役員は7名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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