2018年8月期に債務超過
文教堂グループホールディングス(文教堂GHD)は日本最大の直営書店チェーン「文教堂書店」を擁し、1994年7月に東証JASDAQに上場。2008年に持株会社体制になりました。
2018年8月期には債務超過となり、翌2019年8月末を期限とした「上場廃止に係る猶予期間入り銘柄」となっていました。
結局、不採算店舗の閉鎖などその後の経営改善も功を奏さず、債権者に返済の一時停止などを求める私的整理の手続きに移ります。会社としても、川崎市にある本部事務所を売却し7億2500万円の売却益を得る予定です。
売上高のピークは2002年度
同社の業績を見ると、売上高は1994年8月期の258億1900万円から、ピークの2003年8月期には2倍超の580億9200万円まで成長を果たしました。
しかし、その後の15年間は一貫して右肩下がり。2018年8月期には273億8800万円と、上場時の水準近くまで下がっています。
営業利益率は上場直後の1994年8月期に3.3%を記録した後は、この水準を上回ることはなく1%前後で推移。2013年8月期には初の営業赤字となります。
2017年8月期には一時的に1億2800万円の営業利益を出しますが、翌期には5億4500万円の営業赤字に転落し、約2億3000万円の債務超過を計上しています。
親会社株主に帰属する当期純利益は、上場以来24回の決算のうち、1998年8月期を皮切りに13回で赤字になっています。
2009年8月には16億1000万円という大きな最終赤字を計上。ネットには「書店ビジネスはビジネスモデルの軌道修正が必要」と指摘する声もありますが、10年以上前から危機的状況にあり、改善を図ることができなかったということでしょう。
40代男性店長「とんでもない業務量」
企業口コミサイト「キャリコネ」には、退職した20代後半の元ショップスタッフの書き込みが残されています。
「基本的にはトップである社長一族のワンマン経営。役員はほとんどが現場からの叩き上げで、店舗の改装や新店の設営などスケジュールに無理があることが多い」
社風については、基本的にかなりゆるく、「よく言えば自由だが、悪く言えば適当」と言っています。事業環境の変化に対応するには、現場経験者ではなく、しがらみのない客観的な視点での改革が必要だったのかもしれません。
株式会社 文教堂グループホールディングスの評判・転職・採用情報 | 転職・就職に役立つ情報サイト キャリコネ
https://careerconnection.jp/review/84085/株式会社 文教堂グループホールディングスの年収・給与明細・賞与(ボーナス)・評判、転職・採用面接といった転職・就活に役立つ情報を掲載しています。「現在店舗ごとの質に差が多く見られるので、今一度人材育成に力を入れるべきと考えます。明らかに赤字の店舗は閉店させ...」のような転職に役立つ口コミ・評判が観覧できます。
一方、ある店舗で店長を務めている40代男性は「とんでもない業務量があり、朝から晩まで仕事しても終わりません」と激務を訴えています。
都心の忙しい店に配属されると、朝7時に出社して、退社が11時になるとか。それでも店長職には残業代がつかないそうです。
「業界全体が沈みかかっているので、文字通り必死になって働いていますが、それでも指示をこなしながら、仕事を片付けるのは大変です」
会社としては儲かっていなくても、取次からの配本を日々さばかなければならず、来客も絶えません。そこに売上アップの工夫を求められれば、激務にならざるをえないでしょう。
ライバルは「紀伊国屋書店」だったのか?
この店長は、ライバル企業に「紀伊国屋書店」をあげています。「どこのチェーン店でも良いお店と悪いお店がある」とし、見る目のあるお客は選んでいると指摘します。確かに「書店店員」としてのライバルは、同業者になるでしょう。
しかし顧客視点でいえば、敵は「アマゾン」であり「電子コミック」だったはずです。
とはいえ、書店はどう戦えばよかったのか。一時、文教堂は、ネット通販と電子書籍のハイブリッド型書店「honto」事業を強化した時期があったようですが、アマゾンに対抗することはできませんでした。
文教堂の評判・転職・採用情報 | 転職・就職に役立つ情報サイト キャリコネ
https://careerconnection.jp/review/8812/文教堂の年収・給与明細・賞与(ボーナス)・評判、転職・採用面接といった転職・就活に役立つ情報を掲載しています。「販売スタッフなのであまり給料に反映されない。反映されればやるきが上がるのに。」のような転職に役立つ口コミ・評判が観覧できます。
もしかすると、ネット企業が手を出せない「リアルのイベント」などで対抗する道を模索した方が、かえってよかったのかもしれません。
いずれにしても、現場レベルでは構造的な変化に対応することは困難です。書店だけでできることも限られるため、ネットには「お店の努力ではどうにもならないとこを変えろ出版業界」という声も見られました。