コシダカホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コシダカホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。カラオケ「まねきねこ」を中核に、不動産管理や温浴施設を展開。2025年8月期は、積極的な店舗展開により売上高は過去最高を更新して増収、経常利益も増益となりましたが、特別損失の計上等により当期純利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社コシダカホールディングス の有価証券報告書(第56期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コシダカホールディングスってどんな会社?


カラオケ「まねきねこ」を中核に、不動産管理や温浴事業を展開する総合余暇サービス企業です。

(1) 会社概要


1967年に前身となる有限会社新盛軒を設立し、1990年にカラオケ店経営を開始しました。2007年にジャスダック証券取引所へ上場し、2010年に持株会社体制へ移行して現社名に変更しました。2020年にはカーブス事業をスピンオフし、現在の事業体制を構築しています。

同社の連結従業員数は1,106名(単体11名)です。筆頭株主は株式会社ヨウザン、第2位は株式会社ふくる、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。ヨウザンおよびふくるは、創業家に関連する資産管理会社等と考えられます。

氏名 持株比率
ヨウザン 26.94%
ふくる 9.98%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.77%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長CEOは腰髙博氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
腰髙 博 取締役社長(代表取締役)CEO 1986年入社。1995年社長就任。2010年より現職。コシダカ社長等を兼務。
腰髙 美和子 専務取締役専務執行役員グループHR管掌 1986年入社。コシダカビジネスサポート社長等を経て、2023年より現職。
土井 義人 専務取締役専務執行役員グループCF管掌 証券会社、ゲーム会社を経て2009年入社。コシダカプロダクツ社長等を経て2023年より現職。
座間 晶 取締役執行役員海外事業部長 小売業等を経て2015年入社。海外事業担当として現地法人社長等を歴任し2022年より現職。


社外取締役は、森内茂之(公認会計士)、髙井研一(元群馬銀行専務)、村上嘉奈子(弁護士)、太田香(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「カラオケ」、「不動産管理」および「その他」事業を展開しています。

(1) カラオケ事業


日本国内において「カラオケまねきねこ」およびひとりカラオケ専門店「ワンカラ」を運営しています。また、韓国、マレーシア、タイ、インドネシアなどの海外市場でもカラオケボックス直営店を展開しています。

顧客からの利用料等を主な収益源としています。国内の運営は株式会社コシダカが行い、海外は株式会社韓国コシダカやKOSHIDAKA INTERNATIONAL PTE. LTD.等が統括・運営を行っています。

(2) 不動産管理事業


群馬県や神奈川県などに保有する不動産賃貸ビルの所有および運営管理を行っています。主要物件には「アクエル前橋」や「MANEKI新橋ビル」などがあります。

テナントからの賃貸料収入を収益源としています。運営は株式会社コシダカプロダクツが行っています。

(3) その他事業


温浴施設「まねきの湯」の運営のほか、「銀だこハイボール」や「カフェエクラ」といった飲食店舗の運営を行っています。

施設利用者からの利用料や飲食代金を収益源としています。運営は主に株式会社コシダカが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、経常利益は毎期増加し高い利益率を維持していますが、当期純利益は特別損失の計上等により変動が見られます。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 208億円 380億円 546億円 633億円 694億円
経常利益 -31億円 53億円 78億円 109億円 116億円
利益率(%) -14.9% 14.0% 14.2% 17.3% 16.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -4億円 -2億円 -0.3億円 0.6億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、売上総利益率も高水準を維持しています。営業利益は二桁の増益となり、営業利益率も向上しました。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 633億円 694億円
売上総利益 168億円 184億円
売上総利益率(%) 26.5% 26.5%
営業利益 102億円 114億円
営業利益率(%) 16.1% 16.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が13億円(構成比19.3%)、開店諸費用が9億円(同13.2%)を占めています。

(3) セグメント収益


カラオケ事業は、主力の「カラオケまねきねこ」やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」などを展開しています。競争力強化のための新規出店等が奏功し、売上高は前期比9.7%増、セグメント利益は同7.9%増と好調に推移しており、全社業績を強力に牽引しています。

不動産管理事業は、主要物件である「アクエル前橋」や「MANEKI新橋ビル」等において、既存・新規物件ともに安定的に稼働し、増収及び大幅な増益(セグメント利益前期比102.8%増)となりました。

その他事業は、飲食店舗(銀だこハイボール酒場、カフェエクラなど)や温浴施設「まねきの湯」の運営を行っています。飲食店舗の収益が堅調に推移し、前期の損失から黒字転換を果たしました。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
カラオケ 612.5億円 671.6億円 114.9億円 124.1億円 18.5%
不動産管理 15.9億円 18.6億円 1.1億円 2.2億円 12.0%
その他 8.6億円 8.8億円 -0.4億円 0.4億円 4.3%
調整額 -4.3億円 -5.1億円 -14.0億円 -12.7億円 -
連結(合計) 632.6億円 693.9億円 101.6億円 113.9億円 16.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で得た資金により借入金の返済を進めつつ、投資活動も自己資金の範囲内でコントロールする健全型です。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 126億円 128億円
投資CF -104億円 -83億円
財務CF -31億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、進化させた有意なサービス・商品を常に考案し、全世界の人々に提供し続けることによって、豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献することを経営理念として掲げています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念のもと、激しく変化する経営環境を的確に捉え、経営資源を有効活用することで企業価値の向上を目指しています。また、中期経営ビジョンのもと、「エンタメをインフラに」することを重視し、自由な発想で新しいコンテンツを開発する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中期経営ビジョン「エンタメをインフラに」(EIP)の最終目標達成時期を2027年8月期と定め、同期間までを「EIPファイナルステージ」と位置づけています。経営指標としてはROA(総資産利益率)を重視し、投下資本の効率化と早期回収に重点を置いています。

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営ビジョンの実現に向け、店舗網の拡充とカラオケルーム数の拡大、各種エンターテインメントの提供、人財の採用と育成を加速します。国内では駅前・繁華街への出店や大型化を進め、海外展開も強化します。また、エンターテインメントプラットフォーム「E-bo」の全店導入や機能拡充も進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営理念に共感し実現を推進する人材を中核人材と位置づけ、自社研修施設「まねき塾」での階層別研修やプログラムの充実を図ります。また、新人事制度(Koshidaka Workstyle Innovation Plan)を導入し、報酬制度の見直しやキャリアパス制度の新設、評価制度の改定などを通じて、働きやすい環境作りを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 49.1歳 4.6年 11,292,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.4%
男性育児休業取得率 55.6%
男女賃金差異(全労働者) 74.3%
男女賃金差異(正規) 83.8%
男女賃金差異(非正規) 98.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用者の管理職比率(80%超)、温室効果ガス排出量(50,900t-CO2)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) カラオケ事業の競争環境


より魅力的な娯楽サービスの台頭や業界内での社会問題等により、カラオケ離れが進んだ場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、中期経営ビジョンに基づくコンテンツ開発等の投資が顧客に受け入れられない場合や、出店計画通りに物件確保ができず新規店舗の業績が計画通り推移しない場合もリスクとなります。

(2) 人材の確保・育成


多店舗展開を行う接客サービス業として、人材の確保と育成は常に課題です。採用難や退職者の増加により、店長やマネージャー等の優秀な人材を十分に確保できなくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 新規事業の不確実性


「エンタメをインフラに」というビジョンのもと新規事業の開拓に取り組んでいますが、不確定要素が多く、収益化に時間を要したり、事業展開が計画通りに進まない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 法的規制の遵守


食品衛生法、風営法、消防法、建築基準法など多岐にわたる法的規制を受けています。食中毒の発生、未成年者の飲酒・喫煙、火災事故などが発生し、法令違反や行政処分を受けた場合、社会的信用の低下や損害賠償請求等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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