メディア工房 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディア工房 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場の同社は、占いコンテンツの配信や電話占いサービスを行う「占い事業」を主力とし、エンタメ・マッチングサービス事業も展開しています。2025年8月期は主力事業の苦戦や先行投資の影響等により減収となり、営業損失および経常損失を計上するなど赤字幅が拡大しています。


※本記事は、株式会社メディア工房 の有価証券報告書(第28期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. メディア工房ってどんな会社?


1997年の設立以来、デジタルコンテンツ制作を手掛け、現在は占いサービスを中心に展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1997年に有限会社フラミンゴとして設立され、翌年現社名に変更しました。2000年の株式会社化を経て、2006年に東京証券取引所マザーズに上場し、2022年の市場区分見直しによりグロース市場へ移行しました。携帯電話向け占いコンテンツから始まり、電話占いサービスへの参入や海外展開、ゲーム事業の譲受と撤退など、時代の変化に合わせて事業ポートフォリオの変革を行っています。

2025年8月31日現在、同社グループの従業員数は連結・単体ともに59名です。筆頭株主は代表取締役社長である長沢一男氏が代表を務める資産管理会社の株式会社エヌカルテットで46.59%を保有し、第2位は長沢一男氏本人で17.70%を保有しています。第3位は長沢敦子氏であり、経営陣およびその関連による持株比率が高いオーナー企業としての側面を持ちます。

氏名 持株比率
エヌカルテット 46.59%
長沢 一男 17.70%
長沢 敦子 1.75%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は長沢一男氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
長沢 一男 代表取締役社長 日本債券信用銀行を経て2000年同社代表取締役に就任。2010年より社長として経営を牽引。ギフトカムジャパン代表取締役等を兼任。
長沢 匡哲 取締役デジタルコンテンツ部 部長 2002年同社入社。モバイルコンテンツ事業部長、執行役員などを経て、2021年よりデジタルコンテンツ部部長を務める。
酒井 康弘 取締役One to One Marketing部部長経理部 部長 野村證券などを経て2006年同社取締役。管理部門や事業部を担当し、現在はOne to One Marketing部および経理部を管掌。
長沢 和宙 取締役経営企画部 部長アライアンス統括部部長美容事業統括部 部長 富士通を経て2014年同社入社。管理部部長等を経て、現在は経営企画、アライアンス統括、美容事業統括の各部長を兼務。


社外取締役は、五十部紀英(弁護士法人プロテクトスタンス代表社員)、和田育子(フリービット取締役・グループ経営企画本部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「占い事業」、「エンタメ・マッチングサービス事業」および「その他事業」を展開しています。

占い事業


同事業では、自社Webサイト、ISP、各移動体通信事業者およびAppleやGoogle等のプラットフォーム向けに、占い鑑定や女性向け記事コンテンツを配信する「1対N向けサービス」と、ユーザーと占い師が電話・チャットで直接やり取りする「1対1向けサービス」を提供しています。主なターゲットは20代から40代の女性です。

収益は主にユーザーからのデジタルコンテンツ利用料や鑑定料です。キャリアやプラットフォームを通じた課金のほか、自社メディアでの直接課金も行っています。運営は同社および連結子会社の株式会社ギフトカムジャパンが行っています。

エンタメ・マッチングサービス事業


同事業では、SNSを中心にネットとリアルの両面において人々の交流・関係構築の機会や場を提供するサービスを行っています。具体的には、1対1で会話ができる「きゃらデン」や、シミュレーションゴルフ店舗の運営などが含まれます。

収益は、サービス内でのポイント利用料や店舗利用料などが中心となります。運営は同社および連結子会社の株式会社ミックスベース、株式会社X squareが行っています。

その他事業


企画・開発の初期段階にある事業を一括して管理しており、ECサイトの運営や美容関連の新規サービス「美肌ナビ」などを企画・推進しています。また、BtoB向けのマーケティング支援やデータ活用サービスなど周辺領域への展開も進めています。

これらの事業は立ち上げ段階にあり、将来的な収益源としての育成を図っています。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は減少傾向にあり、利益面では赤字が続いています。特に直近では営業損失および経常損失の幅が拡大しており、厳しい業績推移となっています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 19.3億円 22.0億円 20.7億円 20.1億円 18.7億円
経常利益 0.4億円 1.8億円 0.5億円 -1.5億円 -3.2億円
利益率(%) 2.0% 8.2% 2.4% -7.4% -16.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.1億円 1.4億円 0.3億円 -2.8億円 -5.2億円

(2) 損益計算書


売上高が減少する中で売上総利益率も低下しています。営業損失を計上しており、収益性の改善が課題となっています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 20.1億円 18.7億円
売上総利益 10.0億円 9.1億円
売上総利益率(%) 49.7% 48.5%
営業利益 -1.4億円 -3.2億円
営業利益率(%) -7.0% -17.3%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が2.8億円(構成比23%)、業務委託料が1.6億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である占い事業は減収減益となり、エンタメ・マッチングサービス事業は売上がほぼ横ばいながら赤字幅は縮小しました。その他事業は売上が増加したものの、先行投資により損失が拡大しています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
占い事業 19.0億円 17.6億円 4.9億円 3.9億円 21.9%
エンタメ・マッチングサービス事業 1.1億円 1.1億円 -1.0億円 -0.1億円 -6.8%
その他 0.0億円 0.0億円 -1.0億円 -1.6億円 -4821.0%
調整額 - - -4.3億円 -5.4億円 -
連結(合計) 20.1億円 18.7億円 -1.4億円 -3.2億円 -17.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**勝負型**
本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続している状態です。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 0.4億円 -2.2億円
投資CF -2.4億円 -2.2億円
財務CF 1.3億円 0.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-58.1%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は30.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「VALUE YOUR LIFE with Global Human Communication.」を企業理念として掲げています。これは、デジタルコミュニケーションを通じて人々を楽しませ、不安や悩みの解決を助け、世界中の人々が豊かな人間関係を構築し社会がより良くなるきっかけとなることを目指すものです。すべてのステークホルダーと良好な関係を築くことを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社グループは、創業当初よりすべてのステークホルダーと良好な関係を築き、積極的かつ継続的な取引をしたいと考えていただける企業であり続けることを重視しています。この基本方針のもと、グループ一丸となって事業活動に取り組む姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、キャッシュ・フローおよび投下資本利益率(ROI)を重視した経営への転換を進めています。これは持続的な成長と財務健全性の両立、資本生産性の向上と投資効率の最大化を目的としたものです。2026年8月期の連結業績予想として以下の数値を公表しています。

* 売上高:21億6,300万円
* 営業損失:2億9,400万円
* 経常損失:3億円
* 親会社株主に帰属する当期純損失:3億200万円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、既存の「占い事業」における知見とデータを新たな事業機会の源泉と位置づけ、BtoB向けのマーケティング支援やデータ活用サービスなど周辺領域への展開を進めることで、事業ポートフォリオの多角化を目指しています。また、SNS・インフルエンサーマーケティングやChatGPT等の生成AIの活用により、生産性とユーザー体験の向上を図る方針です。

* ユーザーの維持・拡大:決済手段の多様化、データ活用によるプロモーション、他社との提携推進。
* プラットフォーム依拠脱出:自社メディア配信の強化による収益体制の構築。
* 新規事業への参入:占いユーザー層と親和性の高い分野への進出。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は優秀な人材の確保と育成を重視しており、管理職者の育成や既存社員の離職防止を目的として職位の見直しや研修制度を導入しています。また、多様な働き方を推進するため、出社時刻の一部自由化や可能な職種でのリモートワーク導入を行っています。年齢・性別・国籍にかかわらずポテンシャルを含めた人材を採用し、OJTやE-learning等を通じて能力を伸ばせる環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 38.1歳 5.8年 5,264,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 36.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 57.1%
男女賃金差異(正規雇用) 57.1%
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男性育児休業取得率については、当事業年度において配偶者が出産した男性労働者がいなかったため該当者がおりません。男女賃金差異については、市場価値が高騰している技術職(エンジニア)の89%が男性であること、および男性が管理職に占める割合が高いことが要因とされています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 占いコンテンツの趣味嗜好性について


同社グループが提供する占いコンテンツは、個人の趣味嗜好に強く依存するサービスです。ユーザーニーズの変化に対応するため、占いの種類の充実やシステム開発によるレコメンド機能の強化等に努めていますが、ユーザーの嗜好に合致するコンテンツを提供し続けることができない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 占い師との関係および依存


占いコンテンツの制作には占い師による監修が不可欠であり、著名な占い師の人気や知名度は販売面でも重要です。そのため、監修占い師の人気低下やイメージダウン、あるいは獲得競争によるロイヤリティ(対価)の引き上げが発生した場合、売上高の減少や利益率の低下を招き、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 占いコンテンツ市場の変化


同社グループのビジネスは、デジタルコンテンツとしてネットワーク上で占いを提供する市場に基づいています。将来的に利用者のニーズが変化したり、市場規模自体が縮小したりする場合、または無料占いが主流となり課金市場が縮小した場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) コンテンツ制作人材の確保


コンテンツ制作には個人の感性や才能が重要であり、人材そのものが大きな役割を担っています。同社グループは社内制作体制の構築に注力していますが、技術革新が早く人材流動性の高い業界であるため、必要な人材の確保が困難になったり流出したりした場合、または外部委託比率が上昇した場合には、業績や事業展開に影響が出る可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

【面接対策】メディア工房の中途採用面接では何を聞かれるのか

携帯電話やパソコン向けに占いコンテンツなどを配信するメディア工房への転職。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策をすすめましょう。