※本記事は、THE WHY HOW DO COMPANY株式会社の有価証券報告書(第22期、自 2025年9月1日 至 2026年4月30日、2026年7月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. THE WHY HOW DO COMPANYってどんな会社?
同社は、ITソリューションからエンタメ、ライフスタイルまで幅広い事業をM&Aで展開する持株会社です。
■(1) 会社概要
2004年に携帯端末向けソフトウェア開発を目的に設立され、2006年に東証マザーズに上場しました。その後、M&Aや事業譲受を通じて飲食、教育、エンタテインメント、ライフスタイルなどへ事業領域を拡大しています。2022年に現在の社名へ変更し、2023年には純粋持株会社体制へ移行して長期伴走型のM&A戦略を加速させています。
従業員数は連結で206名、単体で10名体制です。筆頭株主は創業者の田邊勝己氏であり、第2位および第3位には資産管理業務を行う信託銀行等の常任代理人として三菱UFJ銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 田邊 勝己 | 17.24% |
| BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC) | 1.97% |
| BNYM SA/NV FOR BNYM FOR BNYM GCM CLIENT ACCTS M ILM FE | 1.48% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は亀田信吾氏が務めています。社外取締役比率は41.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 亀田 信吾 | 代表取締役社長 | 日本総合企画を経てエバーオンワード代表取締役に就任。その後、サンライズジャパン代表取締役、渋谷肉横丁代表取締役などを歴任し、2025年11月より現職。 |
| 田邊 勝己 | 代表取締役会長 | 弁護士登録後、田邊勝己法律事務所を設立。カイロス総合法律事務所代表社員などを経て、2025年11月より現職。 |
| 橋本 直樹 | 取締役副社長 | 資生堂パーラーに入社し、経営企画部長や取締役経営管理本部長などを歴任。その後同社監査役などを経て、2025年9月より現職。 |
| 伊藤 剛志 | 取締役副社長 | ソフトウエア興行等を経て同社に入社。執行役員やソリューション事業部長を歴任し、2025年9月より現職。 |
| 國吉 芳夫 | 取締役 | 電通国際情報サービス等を経て同社設立取締役に就任。エンターテイメントシステムズ代表取締役などを経て、2021年12月より現職。 |
社外取締役は、逢坂貞夫(元大阪高等検察庁検事長)、足立敏彦(元岐阜地方検察庁検事正)、佐久間博(元住友銀行取締役)、弦間明(元資生堂代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソリューション事業」「飲食関連事業」「教育関連事業」「エンタテインメント事業」「ライフスタイル事業」および「その他」事業を展開しています。
■ソリューション事業
スマートフォン向けプラットフォームソリューションやIoT関連ソリューション、ゲームアプリの受託開発等を提供しています。また、社会インフラの保守点検に用いる測定機等の輸入販売や、LED照明の販売、レンタル、保守なども手がけています。
受託開発や製品販売、レンタル料などを収益源としています。運営はWHDCアクロディア、グッドマン、コーウェルなどの子会社各社が行っています。
■飲食関連事業
不動産のサブリースや、飲食店に関する商標権の管理サービスを顧客やテナントに向けて提供しています。「渋谷肉横丁」を軸としたブランド価値の創造に努めています。
不動産の転貸による賃料や、商標権の利用に伴う管理料などを主な収益源としています。当該事業の運営は、子会社の渋谷肉横丁が行っています。
■教育関連事業
求職者を対象に、訓練期間を約半年とするITスクールのセミナー等を提供しています。また、労働者派遣事業や有料職業紹介事業を通じた人材活用サービスも展開しています。
主に行政や受講生からの研修費用などを収益源としています。ITスクール等の運営は、子会社のインタープランが行っています。
■エンタテインメント事業
著名な音楽家を中心とした楽曲製作やコンサート活動等の音楽関連事業を展開しているほか、全国の飲食店や小売店等におけるカプセルトイ販売機の設置および商品販売を提供しています。
著作権管理収益やイベント等の興行収入、ファンクラブ会費、およびカプセルトイの販売代金を収益源としています。運営はPavilions、SOUND PORT、ドリームプラネットが行っています。
■ライフスタイル事業
日焼け器具の販売や日焼けサロンの運営、化粧品の開発販売を展開しています。また、婚礼衣装や式場運営などのブライダル事業、土木・舗装工事を中心とする建設事業、金の取引に関する事業も提供しています。
商品の販売代金、サービス利用料、建設工事の請負代金などを主な収益源としています。運営はサンライズジャパン、スティルアン、飯山土建、日本純金行などの各子会社が行っています。
■その他
報告セグメントに含まれないその他の事業活動を展開しています。
具体的な事業から得られる収益を計上しており、同社グループの各関連会社が運営を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高はM&Aの積極的な推進により直近2期間で大きく拡大していますが、各期において経常赤字が続いています。事業規模の拡大に伴う先行投資やのれん償却費などの費用増加が利益を圧迫しており、収益性の改善が今後の課題となっています。
| 項目 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9.2億円 | 9.4億円 | 7.5億円 | 17.5億円 | 23.3億円 |
| 経常利益 | -1.6億円 | -3.0億円 | -2.9億円 | -7.9億円 | -9.0億円 |
| 利益率(%) | -17.6% | -31.6% | -38.8% | -44.9% | -38.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -4.1億円 | -3.5億円 | -9.5億円 | -2.0億円 | -6.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高はM&A等により大きく増加し、それに伴い売上総利益も拡大して売上総利益率が向上しています。一方で、事業拡大に向けた体制構築により販売費及び一般管理費が増加したため、営業赤字幅が拡大する結果となっています。
| 項目 | 2025年8月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 17.5億円 | 23.3億円 |
| 売上総利益 | 9.0億円 | 13.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 51.4% | 56.6% |
| 営業利益 | -0.7億円 | -5.0億円 |
| 営業利益率(%) | -4.2% | -21.5% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が4.5億円(構成比25%)、給料手当が3.6億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
M&Aにより新規子会社が連結対象となったことで、ソリューション事業やライフスタイル事業の売上高が大きく伸長しています。エンタテインメント事業は前期の大型イベントの反動で減収となりましたが、全体としては事業領域の多角化が進んでいます。
| 区分 | 売上(2025年8月期) | 売上(2026年4月期) |
|---|---|---|
| ソリューション事業 | 2.6億円 | 4.0億円 |
| 飲食関連事業 | 0.5億円 | 0.2億円 |
| 教育関連事業 | 1.8億円 | 0.9億円 |
| エンタテインメント事業 | 10.0億円 | 5.6億円 |
| ライフスタイル事業 | 2.6億円 | 12.7億円 |
| その他 | 0.1億円 | - |
| 連結(合計) | 17.5億円 | 23.4億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
勝負型:本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続
| 項目 | 2025年8月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.6億円 | -7.2億円 |
| 投資CF | -0.2億円 | -12.1億円 |
| 財務CF | 7.4億円 | 18.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-60.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は28.9%であり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「多くの出会いや情報ネットワークを通じて、先端的でユニークな顧客価値・社員価値・社会価値を発見し、真に豊かな生活文化を創造する」という理念を掲げています。同社は、ブランディングを重視したビジネスモデルの改革を目指し、社会に貢献するサービスを提供することで企業価値の向上を追求しています。
■(2) 企業文化
同社は、全役職員が求められる役割を理解し、法令順守のもと正確かつ迅速に、適正かつ効率的に経営活動に取り組む文化を重視しています。経営の健全性、透明性および効率性を推進し、株主や顧客企業、従業員および社会の信頼に応える姿勢を重んじており、コンプライアンスを重視した経営と持続的な成長に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
M&Aの実行により足元のキャッシュ・フローを固める施策を優先し、のれんや無形資産の償却費等を除いた本業の収益性を判断する「調整後EBITDA」を最重要指標として掲げています。
* 調整後EBITDA 10億円(中期目標)
* 調整後EBITDAの継続的な黒字化と伸長
■(4) 成長戦略と重点施策
後継者不足を背景とした事業承継ニーズに対応し、売却を前提としない長期伴走型M&A(人助けM&A)を成長の主軸として推進しています。取得後のPMIとバリューアップによって企業価値を向上させるとともに、事業ポートフォリオを最適化し、各事業の市場変動リスクを吸収して安定的な収益基盤の構築を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「すべては『人助け』から始まる」という方針のもと、M&A後のPMIを円滑に推進し、グループ各社の強みを引き出せる人材の育成を重視しています。専門人材の確保やOJTを中心とした実践的な育成を進め、性別や年齢、国籍にかかわらず多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境と柔軟な働き方の整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月期 | 47.4歳 | 7.3年 | 4,961,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 関連市場動向の影響
多角的な事業展開を行っているため、各事業はそれぞれの市場の需給や景気動向、技術革新、関連法規制の影響を受けます。ビジネスモデルやユーザーの嗜好、市場環境の変化が想定と大きく異なった場合、同社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 投資に係るリスク
同社グループはM&Aを積極的に推進しており、のれんや商標権等の固定資産を保有しています。事業環境の変化等により期待通りのキャッシュ・フローを生み出さず、その収益性の低下によって投資額の回収が見込めなくなった場合、減損処理が必要となり業績に影響を与える可能性があります。
■(3) サイバー攻撃やシステムトラブル
インターネットを活用したサービスやシステムを前提としているため、外部からの不正アクセスや想定外の事態によってネットワーク障害や顧客情報の漏洩が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の低下を招き、業績や財務状況に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
■(4) 競合の参入と価格競争激化
展開する各事業において、市場環境の変化に伴い新たな競合他社が参入し、価格競争が生じるリスクがあります。その結果、同社グループの優位性が低下したり競合対策コストが増加したりすることで、収益性が悪化する可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。