THE WHY HOW DO COMPANY 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

THE WHY HOW DO COMPANY 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

THE WHY HOW DO COMPANYは東京証券取引所スタンダード市場に上場する企業です。M&Aを成長戦略の主軸とし、ソリューション、エンタテインメント、ライフスタイル事業等を展開しています。直近の業績は、新規連結効果により売上高が増加したものの、経常損益は減益となりました。


※本記事は、THE WHY HOW DO COMPANY株式会社 の有価証券報告書(第21期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. THE WHY HOW DO COMPANYってどんな会社?


同社グループは、M&A戦略を軸にソリューション、エンタテインメント、ライフスタイル等多角的な事業を展開し、企業価値向上を目指す事業持株会社です。

(1) 会社概要


2004年に携帯端末等の組込機器向けソフトウェア開発を行う株式会社アクロディアとして設立され、2006年に東京証券取引所マザーズへ上場しました。2022年に現在の商号へ変更し、持株会社体制へ移行しています。近年はM&Aを積極的に推進しており、2024年にカプセルトイ事業、2025年にライフスタイル事業を開始しました。

連結従業員数は76名、単体従業員数は11名です。筆頭株主は創業者の田邊勝己氏で、第2位は資産管理業務を行う楽天証券株式会社、第3位は株式会社SBI証券です。

氏名 持株比率
田邊 勝己 5.69%
楽天証券株式会社 3.01%
株式会社SBI証券 1.57%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表者は代表取締役社長の亀田 信吾氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
田邊 勝己 代表取締役会長 1989年弁護士登録。カイロス総合法律事務所代表社員。2020年同社代表取締役会長などを経て、2025年11月より現職。
亀田 信吾 代表取締役社長 2011年日本総合企画入社。エバーオンワード代表取締役。同社執行役員社長CEOを経て、2025年11月より現職。
橋本 直樹 取締役副社長 1986年資生堂パーラー入社。同社執行役員、THE WHY HOW DO COMPANY監査役等を経て、2023年より現職。
伊藤 剛志 取締役副社長 1996年ソフトウエア興行入社。2008年同社入社。執行役員、取締役ソリューション事業部管掌等を経て、2023年より現職。
國吉 芳夫 取締役 1997年リコーシステム開発入社。2004年同社設立取締役。副社長、管理部管掌等を歴任し、2021年より現職。


社外取締役は、逢坂 貞夫(元大阪高等検察庁検事長)、足立 敏彦(元岐阜地方検察庁検事正)、佐久間 博(日本ナレッジサービス代表取締役)、弦間 明(資生堂特別顧問)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソリューション事業」「飲食関連事業」「教育関連事業」「エンタテインメント事業」「ライフスタイル事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ソリューション事業


スマートフォン向けプラットフォームやIoT関連ソリューション、ソーシャルゲームアプリの提供、システム受託開発等を行っています。
アプリ内課金や開発受託費等が収益源です。運営は主にWHDCアクロディアが行っています。

(2) 飲食関連事業


不動産の転貸(サブリース)や「渋谷肉横丁」に関する商標権の管理を行っています。
サブリース賃料や商標使用料等が収益源です。運営は主に株式会社渋谷肉横丁が行っています。

(3) 教育関連事業


求職者向けITスクールのセミナー運営や、労働者派遣、有料職業紹介事業を展開しています。
行政からの委託費や人材紹介手数料等が収益源です。運営は主に株式会社インタープランが行っています。

(4) エンタテインメント事業


音楽家の小室哲哉氏を中心とした楽曲制作、コンサート活動、ファンクラブ運営のほか、カプセルトイ事業を展開しています。
興行収入、著作権使用料、カプセルトイ販売収入等が収益源です。運営は株式会社Pavilions、株式会社SOUND PORT、株式会社ドリームプラネット等が行っています。

(5) ライフスタイル事業


日焼け器具の輸出入・販売、日焼けサロン店舗の経営、化粧品の開発・販売を行っています。
機器販売代金、サロン利用料、化粧品売上等が収益源です。運営は主に株式会社サンライズジャパンが行っています。

(6) その他


報告セグメントに含まれない新規事業の受託開発案件等を行っています。
受託開発費等が収益源です。運営は主に同社グループ各社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高はM&Aの効果により直近で急増していますが、利益面では経常損失が継続しており、損失幅も拡大傾向にあります。当期利益についても損失計上が続いています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 9.0億円 9.2億円 9.4億円 7.5億円 17.5億円
経常利益 -4.1億円 -1.6億円 -3.0億円 -2.9億円 -7.9億円
利益率(%) -45.0% -17.6% -31.6% -38.8% -44.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -5.8億円 -4.0億円 -3.5億円 -9.6億円 -0.7億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高は倍増しましたが、売上原価および販管費も増加しています。営業損失は縮小しましたが、営業外費用の増加により経常損失は拡大しました。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 7.5億円 17.5億円
売上総利益 3.5億円 9.0億円
売上総利益率(%) 47.5% 51.4%
営業利益 -2.5億円 -0.7億円
営業利益率(%) -33.2% -4.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が1.9億円(構成比20%)、役員報酬が1.3億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


エンタテインメント事業が売上・利益ともに大きく伸長し、全体の牽引役となっています。新規のライフスタイル事業も売上に貢献しましたが、立ち上げコスト等により損失となりました。ソリューション事業や飲食関連事業は黒字を確保しています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
ソリューション事業 2.5億円 2.6億円 -0.6億円 0.3億円 12.0%
飲食関連事業 0.4億円 0.5億円 0.1億円 0.1億円 28.0%
教育関連事業 2.0億円 1.8億円 0.5億円 0.5億円 26.8%
エンタテインメント事業 2.6億円 10.0億円 0.8億円 1.7億円 16.7%
ライフスタイル事業 - 2.6億円 - -0.4億円 -14.1%
その他 0.4億円 0.1億円 0.6億円 0.0億円 60.2%
調整額 - - -2.9億円 -2.8億円 -
連結(合計) 7.5億円 17.5億円 -2.5億円 -0.7億円 -4.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF -0.5億円 -0.6億円
投資CF -7.7億円 -0.2億円
財務CF 9.0億円 7.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-6.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は商号「THE WHY HOW DO COMPANY」に込められた「多くの出会いや情報ネットワークを通じて、先端的でユニークな顧客価値・社員価値・社会価値を発見し、真に豊かな生活文化を創造する」という経営理念を掲げています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念の下、ブランディングを重視したビジネスモデルの改革を目指す文化を持っています。各事業の市場における変動影響をポートフォリオの最適化により吸収し、事業環境の変動に強い経営環境の構築を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、M&Aの実行により足元のキャッシュ・フローを固める施策を優先しており、「のれん及び商標権等の償却費」を除いた本業の収益性を判断する最重要指標として「EBITDA」及び「調整後EBITDA」を掲げ、EBITDAの継続的な黒字化と伸長を目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


M&Aを成長の主軸と位置付け、売却を前提としない長期伴走型M&Aを推進し、取得後のPMIとバリューアップで企業価値向上を図る方針です。既存事業では、ソリューション事業の安定収益維持と新規案件獲得、エンタメ事業での小室哲哉氏を中心とした活動継続、新規ライフスタイル事業の成長などを重点施策としています。また、内部管理体制強化やコスト削減も進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「持続的な成長と中長期的な企業価値の向上」の方針に加え、経済情勢や法令動向を視野に入れた取り組みを進めています。経営戦略との連携を強め、人材育成および社内環境整備に関して事業部門と協調し、成長を加速させる施策を検討・実施する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 46.7歳 6.2年 4,706,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) サイバー攻撃やシステムトラブル


インターネット活用を前提としており、通信切断や不正アクセス等によるネットワーク障害が発生した場合、サービス中断や停止、信頼失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 個人情報の取扱い


モバイル端末向けサイト運営等を通じて個人情報を保有しており、外部流出等が発生した場合、損害賠償請求や信用低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 子会社事業の変動要因


M&Aにより多様な事業を展開しているため、各事業特有のリスクがあります。例えば、エンタメ事業における主要アーティストへの依存、カプセルトイ事業における設置場所や人気商品確保の問題、ライフスタイル事業における消費トレンド変化などが業績に影響を与える可能性があります。

(4) 継続企業の前提に関する事象


過去からの営業損失計上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。ただし、当期は営業損失が縮小し、資金繰りも改善傾向にあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。