東名 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東名 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証プレミア市場に上場。中小企業・個人事業主向けに光回線サービス「オフィス光119」や電力小売「オフィスでんき119」等を提供しています。2025年8月期はストック型収入が順調に積み上がり、売上高291億円、経常利益34億円と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社東名 の有価証券報告書(第28期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 東名ってどんな会社?


中小企業のオフィス環境を支える光回線や電力サービスを主力とし、ストック型ビジネスを展開する企業です。

(1) 会社概要


1997年に設立され、2015年にNTT東西との契約に基づき光コラボレーションモデルによる光回線販売を開始しました。2019年に東証マザーズおよび名証セントレックスへ上場し、2020年には電力の小売事業を開始しています。その後、市場区分の見直しに伴い、2022年に東証プライム・名証プレミアへ移行、2023年には東証スタンダード市場を選択し移行しました。直近では2024年に東名グリーンエナジー等を子会社化し事業を拡大しています。

連結従業員数は586名、単体では540名です。大株主の構成は、筆頭株主が創業者であり代表取締役会長の山本文彦氏、第2位は通信機器販売等を行う株式会社エフティグループ、第3位は光通信となっています。エフティグループや光通信とは資本関係に加え、その他の関係会社としてのつながりがあります。

氏名 持株比率
山本 文彦 42.33%
エフティグループ 8.00%
光通信 7.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は日比野直人氏です。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 文彦 代表取締役会長 光通信を経て1997年東名三重(現同社)設立、代表取締役社長。東名テクノロジーズ社長等を兼務し、2024年11月より現職。
日比野直人 代表取締役社長 光通信を経て2000年同社入社。営業本部長、管理本部長等を歴任し、2024年11月より現職。
水嶋  淳 取締役営業本部長 山東建設等を経て2005年同社入社。営業統括部長等を歴任し、2024年9月より現職。
直井 慎一 取締役 光通信等を経て2002年同社入社。営業本部長等を歴任し、2024年9月より現職。東名グリーンエナジー代表取締役を兼務。


社外取締役は、伊東正晴(グランツ法律事務所所長)、吉田正道(公認会計士吉田正道事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「オフィス光119事業」「オフィスでんき119事業」および「オフィスソリューション事業」を展開しています。

(1) オフィス光119事業


全国の中小企業・個人事業主に対し、光回線やプロバイダなどオフィスの通信環境に関するサービスをワンストップで提供しています。NTT東西の光回線に、パソコントラブルサポート等の自社サービスを付加したオリジナルブランド「オフィス光119」を主力としています。

主な収益源は、顧客からの通信サービス利用料です。また、NTTグループ等の代理店としての取次手数料収入も得ています。運営は主に同社が行い、コールセンターやカスタマーセンターを自社で運営することで、契約から顧客対応までの一連の手続きを標準化しています。

(2) オフィスでんき119事業


全国の中小企業・個人事業主に対し、テレマーケティングを中心にオリジナルブランドの電力小売販売「オフィスでんき119」を提供しています。日本卸電力取引所(JEPX)から電力を調達し、一般送配電事業者の送配電網を通じて安定した電力供給を行っています。

収益源は、電力供給サービスに対する顧客からの利用料収入および取次手数料収入です。運営は同社が行っており、2025年に設立された子会社のプロエージェントを活用してテレマーケティングを強化し、事業規模の拡大を目指しています。

(3) オフィスソリューション事業


ビジネスホン、UTM機器、PC等の情報通信機器や、LED照明等の環境商材の販売を行っています。また、企業のPR用ホームページレンタルサービス「レン太君」の営業や、来店型保険ショップ「保険見直し本舗」のフランチャイズ運営も行っています。

収益は、機器や環境商材の販売代金、レンタルホームページの利用料、および保険会社からの代理店手数料などです。運営は同社のほか、工事を担う東名テクノロジーズ、太陽光発電関連のノウハウを持つ東名グリーンエナジー、Web広告運用を行うデジタルクリエーターズなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は右肩上がりで成長を続けており、特に直近の伸びが顕著です。利益面でも経常利益、当期純利益ともに増加傾向にあり、利益率も改善しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 130億円 177億円 205億円 239億円 291億円
経常利益 5億円 4億円 18億円 24億円 34億円
利益率(%) 3.5% 2.5% 8.5% 10.0% 11.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 3億円 11億円 17億円 24億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、増収に伴い売上総利益が増加しています。営業利益率も向上しており、収益性が高まっています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 239億円 291億円
売上総利益 78億円 98億円
売上総利益率(%) 32.7% 33.8%
営業利益 23億円 33億円
営業利益率(%) 9.7% 11.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が22億円(構成比34%)、賞与引当金繰入額が0.9億円(同1%)を占めています。売上原価は192億円で、売上高に対する原価率は66%程度です。

(3) セグメント収益


全てのセグメントで増収増益となりました。特にオフィスでんき119事業は売上高・利益ともに大きく伸長し、グループ全体の成長を牽引しています。オフィス光119事業も堅調に推移し、安定した収益基盤となっています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
オフィス光119事業 119億円 126億円 16億円 17億円 13.8%
オフィスでんき119事業 98億円 132億円 13億円 22億円 16.7%
オフィスソリューション事業 22億円 33億円 2億円 4億円 11.9%
連結(合計) 239億円 291億円 23億円 33億円 11.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラスで、投資CFと財務CFがマイナスの「健全型」です。本業で得たキャッシュで借入金の返済や配当支払いを行いつつ、必要な投資も実施している安定した状態と言えます。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 29億円 24億円
投資CF -4億円 -4億円
財務CF -3億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「すべての人々に感動と満足を提供し続けます。」を経営理念としています。ソリューションカンパニーとして、時代の変化をチャンスと捉え、新しい価値(感動)を提供することで全従業員のしあわせ(満足)を実現し、豊かでより良い社会づくりに貢献する企業グループであり続けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「すべての人々の満足の為に行動すること」「変化をチャンスと捉え行動すること」「新しい可能性を目指して行動すること」「社会に必要とされる会社を目指して行動すること」を行動指針として掲げています。お客様や従業員、株主、地域社会に対し、感動と満足を提供し続ける姿勢を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は3か年の中期経営計画「NEXT GROWTH 2027」を推進しています。基本方針を「中小企業の課題を『若手の積極的な活用』と『組織力』で解決するプロフェッショナルな企業グループとなる」とし、最終年度である2027年8月期の数値目標として以下を掲げています。

* 売上高:402億円
* 営業利益:46.3億円

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では、「主力事業の大幅拡大」「新規事業の育成」「経営基盤の強化」を方針としています。主力事業では営業エリアの拡充や人員増強、Web広告とテレマーケティングの併用による集客強化を進め、ストック収益の拡大を目指します。また、M&Aやアライアンスを通じて新規事業を育成し、組織の柔軟性を高める方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、全ての従業員の多様性や個性が尊重され、能力が最大限に発揮できる環境整備を目指しています。人材育成においては、変化をチャンスと捉え企業価値向上にコミットする人材の輩出を基本方針としています。また、教育ラボの活用による研修充実やジョブローテーション導入により、エンゲージメント向上や離職率改善、管理職輩出に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 30.9歳 4.3年 4,601,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.7%
男性育児休業取得率 27.3%
男女賃金差異(全労働者) 73.6%
男女賃金差異(正規雇用) 75.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 101.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理者次席比率(24.1%)、中途採用者管理職比率(85.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況等の影響について


同社の顧客である中小企業・個人事業主は景気動向の影響を受けやすく、業績悪化等により同社サービスへの需要が悪化した場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、顧客フォローによる状況把握や新サービス開発に取り組んでいます。

(2) 需給バランス調整リスクについて


電力小売事業において、需要計画と実際の需要量を一致させる義務(計画値同時同量制度)があり、需給バランスが大きく崩れインバランス料金が多額に生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。需給管理を外部委託し適正化を図っています。

(3) 当社の信用リスクについて


主要顧客が中小企業・個人事業主であり多数の小口債権を保有しているため、貸倒引当金を計上していますが、将来の経済状況の変動等により実際の貸倒損失が見積り額と異なった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。適切な与信管理体制の構築に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。