TWOSTONE&Sons 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TWOSTONE&Sons 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のTWOSTONE&Sonsは、ITエンジニアと企業のマッチングを行う「Midworks」を主力とするエンジニアプラットフォームサービス等を展開しています。第12期の連結業績は、売上高181億円(前期比26.5%増)、経常利益8.1億円(同81.2%増)と大幅な増収増益を達成しました。


#記事タイトル:TWOSTONE&Sons転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社TWOSTONE&Sons の有価証券報告書(第12期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. TWOSTONE&Sonsってどんな会社?


ITエンジニアやマーケターの人材マッチング事業を主力とし、M&Aや戦略コンサルティングも手掛ける企業です。

(1) 会社概要


2013年にBranding Engineerとして設立され、受託開発を開始しました。2016年にエンジニア独立支援「Midworks」を、2020年には東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。2023年に持株会社体制へ移行し、現社名へ変更しています。同年にはM&A承継機構等を設立し、事業領域を拡大しています。

2025年8月31日現在、連結従業員数は750名、単体では54名です。筆頭株主は代表取締役CEOの河端保志氏で、第2位は代表取締役COOの髙原克弥氏であり、創業経営者が大株主となっています。第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
河端 保志 29.14%
髙原 克弥 28.74%
日本カストディ銀行(信託口) 9.39%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOは河端保志氏です。社外取締役の比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
河端 保志 代表取締役CEO 2013年10月同社設立、代表取締役CEOに就任(現任)。グループ各社の代表取締役や取締役を歴任し、グループ全体の経営を牽引する。
髙原 克弥 代表取締役COO 2013年10月同社設立、代表取締役COOに就任(現任)。Branding Engineer等のグループ会社代表取締役や取締役を務め、事業運営を統括する。
加藤 真 取締役CFO兼経営戦略本部本部長 ワイ・イー・データ、湖池屋、BitStar等を経て2019年同社入社。経営企画室長、執行役員等を経て2023年11月より現職。
長谷川 創 取締役 郵政省(現日本郵政)入省後、ベクトル入社。同社取締役副社長グループCOO等を歴任し、2023年11月より現職。


社外取締役は、長尾卓(プロコミットパートナーズ法律事務所代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンジニアプラットフォームサービス」、「マーケティングプラットフォームサービス」および「コンサル・アドバイザリーサービス」事業を展開しています。

(1) エンジニアプラットフォームサービス


ITエンジニアに対しキャリア開発や就業機会を提供し、企業へITリソースを提供する事業です。「Midworks」によるフリーランスエンジニアとのマッチング、「Stars Agent」による転職支援、「tech boost」によるプログラミング教育、「FCS」による受託開発等を展開しています。

収益は、企業からの手数料や受託開発費、スクール受講料等から得ています。運営は、株式会社Branding Engineer、株式会社Branding Career、株式会社Growth One、TSR株式会社、株式会社ジンアース、株式会社MapleSystems、株式会社Carecon等が担っています。

(2) マーケティングプラットフォームサービス


デジタルマーケティング領域のソリューションを提供し、企業のマーケティングを支援する事業です。コンサルティングサービス「Digital Arrow Partners」、ASPサービス「SONOSAKI」、フリーランスマーケターのマッチング「Expert Partners」等を展開しています。

収益は、コンサルティング料、成果報酬型広告の手数料、システム利用料等から得ています。運営は、主に株式会社Digital Arrow Partnersが行っており、BtoCプラットフォーム事業については株式会社2Hundredが運営しています。

(3) コンサル・アドバイザリーサービス


企業の経営課題解決に向けた戦略・ITコンサルティングおよびM&Aアドバイザリーサービスを提供する事業です。デジタルトランスフォーメーション(DX)推進支援や、事業承継ニーズに対応したM&A仲介・支援を行っています。

収益は、コンサルティングフィーやM&A成立時の手数料等から得ています。運営は、株式会社enableX、株式会社ストラテジーキャンパスによる戦略コンサルティング事業と、株式会社M&A承継機構によるM&Aアドバイザリー事業で構成されています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大を続けており、特に直近の成長が著しいです。利益面でも、経常利益・当期利益ともに増加傾向にあり、高い成長性を維持しています。売上高の大幅な増加に伴い、利益額も着実に伸長しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 43億円 69億円 101億円 143億円 181億円
経常利益 1.3億円 2.0億円 3.1億円 4.5億円 8.1億円
利益率(%) 3.1% 2.9% 3.1% 3.1% 4.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.0億円 1.5億円 1.8億円 0.2億円 0.6億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに大きく伸長しています。特に営業利益率は改善傾向にあり、収益性が向上しています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 143億円 181億円
売上総利益 41億円 55億円
売上総利益率(%) 28.8% 30.5%
営業利益 4.7億円 8.2億円
営業利益率(%) 3.3% 4.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が16億円(構成比35%)、広告宣伝費が6億円(同13%)、採用広告費が5億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで売上高が増加しました。特にコンサル・アドバイザリーサービスは大幅な増収増益を達成しています。エンジニアプラットフォームサービスも堅調に推移し、全体の成長を牽引しています。マーケティングプラットフォームサービスは減収となりましたが増益を確保しました。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
エンジニアプラットフォームサービス 128億円 158億円 11.0億円 11.5億円 7.3%
マーケティングプラットフォームサービス 5.0億円 4.5億円 0.4億円 0.5億円 10.7%
コンサル・アドバイザリーサービス 10.3億円 18.6億円 2.8億円 4.9億円 26.1%
調整額 -0.4億円 -0.3億円 -9.5億円 -8.5億円 -
連結(合計) 143億円 181億円 4.8億円 8.3億円 4.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

TWOSTONE&Sonsは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が増加し、純資産が増加しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加があったものの、税金等調整前当期純利益や未払金の増加などにより、収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の取得や敷金・保証金の差入、有形固定資産の取得などにより、支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れや短期借入金の増加があった一方で、長期借入金の返済や配当金の支払いなどにより、収入となりました。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 7.0億円 7.5億円
投資CF -1.2億円 -12.8億円
財務CF 18.3億円 13.9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「BREAK THE RULES」を経営ビジョンとして掲げています。これは「不合理な常識を疑い、新しい常識を創り出す」という意味であり、合理的な変化をスピード感を持って行うことで、人々の生活や業界の効率化を図ることを目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「テクノロジー×HR (Human Resources)」をテーマに事業を展開しています。ITエンジニアおよびデジタルマーケティングに特化し、従来の雇用形態に捉われない働き方の提供や、人材不足の解消に向けたソリューションの提供を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、事業の成長を表す「売上高」と「営業利益」、およびそれぞれの年度毎の成長率である「売上高成長率」と「営業利益成長率」を重要な経営指標として位置付けています。IT市場の拡大を背景に、組織形成や人材配置、広告宣伝費の効率的な投下により、既存事業の着実な成長を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


エンジニアプラットフォームサービスの着実な成長に向けて経営資源を投入し、特にMidworks事業でのエンジニア獲得に注力します。また、School事業やStars Agent事業との連携強化、M&Aや事業エリア拡張による規模拡大、新規事業の創出を図ります。

* エンジニア獲得のための広告投資および自社データベースの活用
* WEBマーケティング全般へのサービス拡充
* コンサル・アドバイザリー領域における専門人材の採用とM&A支援の高度化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


既存事業の拡大に伴う従業員増加を見込み、組織の効果的な形成や人材の有用な配置による業績拡大を目指しています。事業成長に合わせて適材適所に人員を配置するための人材確保を行うとともに、拡大した組織を統率できる管理者のマネジメントスキル向上を目的とした育成を行っていく方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 32.4歳 2.5年 5,524,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 73.6%
男女賃金差異(正規雇用) 70.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 135.1%


※女性管理職比率については、女性活躍推進法等の規定による公表をしていないため、有報には本項の記載がありません。
※男性育児休業取得率については、同社は公表基準に該当していないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) Midworks事業等における人材確保競争


ITエンジニアの確保は事業拡大の重要要素ですが、IT市場の成長に伴い競合他社との競争が激化しています。労働環境の変化への対応遅れや他社による有効なサービス提供等により、十分なエンジニアを確保できない場合、事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定の集客方法への依存


エンジニアマッチング事業では、インターネット広告等により「Midworks」への登録を促進しています。広告宣伝活動の効果が計画通りに進まず、エンジニア登録者数が予想を下回る場合や既存登録者数が減少した場合、事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(3) エンジニアマッチング事業の法的規制


準委任契約に基づく業務遂行にあたり、労働者派遣法や下請法等の関係法令に従う必要があります。偽装請負とみなされるリスクや契約解除リスク等に対し管理体制を構築していますが、マニュアル運用上の不備等により法令違反が発生した場合、事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定人物への依存


代表取締役である河端保志氏及び髙原克弥氏は創業者であり、経営方針や事業戦略の決定・遂行において重要な役割を果たしています。両氏に過度に依存しない体制構築を進めていますが、何らかの理由で両氏の業務継続が困難となった場合、事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。