グッドパッチ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グッドパッチ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場するグッドパッチは、UI/UXデザイン支援を行うデザインパートナー事業と、デザイナー特化型人材サービス等のデザインプラットフォーム事業を展開しています。直近の決算では、主力のパートナー事業が伸長し、売上高は大幅な増収、利益面でも大幅な増益を達成しました。


※本記事は、株式会社グッドパッチ の有価証券報告書(第14期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グッドパッチってどんな会社?


同社は「デザインの力を証明する」をミッションに掲げ、UI/UXデザイン支援やデザイナー向けキャリア支援サービスを展開するデザインカンパニーです。

(1) 会社概要


2011年にUI/UXデザイン支援を目的に設立され、2014年に本社を渋谷区へ移転しました。その後、2018年にフルリモートデザインチーム「Goodpatch Anywhere」やキャリア支援サービス「ReDesigner」を開始し、2020年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たしました。同年にオンラインホワイトボード「Strap」もリリースしています。

2025年8月末時点の連結従業員数は262名、単体では225名です。筆頭株主は創業者の土屋尚史氏で、第2位はインターネット広告事業などを展開するサイバーエージェント、第3位は土屋氏の資産管理会社であるブルーローズです。創業者が主要株主としてリーダーシップを発揮する体制となっています。

氏名 持株比率
土屋尚史 34.34%
サイバーエージェント 8.21%
ブルーローズ 7.07%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役社長は土屋尚史氏が務めています。取締役4名のうち3名が社外取締役であり、社外取締役比率は75%と高い水準です。

氏名 役職 主な経歴
土屋 尚史 代表取締役社長 イデアキューブ、フィードフォースなどを経て、2011年9月に同社を創業し代表取締役に就任。株式会社スタジオディテイルズ取締役等を兼務。2011年より現職。


社外取締役は、広木大地(日本CTO協会理事)、佐藤あすか(元INCJ投資事業グループ ディレクター)、小塚裕史(デジタル・コネクト代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デザインパートナー事業」および「デザインプラットフォーム事業」を展開しています。

(1) デザインパートナー事業


顧客企業のWebサイトやアプリケーション等のデジタルプロダクトに対し、UI/UXデザイン支援、戦略立案、ブランド体験デザインなどを提供しています。ユーザーインサイトの発見からプロトタイピング、開発までを一気通貫で支援し、顧客企業の課題解決と事業成長をサポートします。

収益は主に、顧客企業との準委任契約に基づくデザイン支援の対価(月額報酬等)や、一部の請負契約による成果物納品対価から得ています。運営は主にグッドパッチ、および連結子会社のスタジオディテイルズが行っており、フルリモートのデザインチーム「Goodpatch Anywhere」も活用しています。

(2) デザインプラットフォーム事業


デザインパートナー事業を支える基盤として、デザイナー特化型の人材紹介サービスや、デザインプロセスを支援するSaaS型プロダクトを提供しています。デザイナーの採用支援や、オンラインでのコラボレーションツールの提供を通じて、デザインの価値向上に貢献しています。

収益源は、「ReDesigner」等の人材紹介における紹介手数料や、「Strap」等のSaaSプロダクト利用料(サブスクリプション)です。運営はグッドパッチに加え、新たに設立された株式会社ピープルアンドデザインなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に拡大傾向にあります。特に第14期は売上高が50億円を突破し、利益面でも前の期から大きく回復して過去最高水準の利益を計上しました。利益率は変動があるものの、足元では12%を超える高い水準となっています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 27億円 37億円 39億円 39億円 51億円
経常利益 4億円 4億円 3億円 0.5億円 6億円
利益率(%) 14.4% 10.6% 7.6% 1.2% 12.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 1億円 3億円 0.1億円 4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向を見ると、売上高が大幅に増加するとともに、売上総利益率および営業利益率が大きく改善しています。特に営業利益率は前回の0.9%から11.0%へと急回復しており、収益性が高まっています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 39億円 51億円
売上総利益 22億円 29億円
売上総利益率(%) 55.4% 57.9%
営業利益 0.3億円 6億円
営業利益率(%) 0.9% 11.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が11億円(構成比47%)を占めており、人件費が主なコスト要因です。

(3) セグメント収益


デザインパートナー事業が売上・利益ともに大きく伸長し、全社の業績を牽引しています。一方、デザインプラットフォーム事業は売上が増加しているものの、営業損失が続いていますが、赤字幅は縮小傾向にあります。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
デザインパートナー事業 36億円 47億円 1億円 6億円 13.0%
デザインプラットフォーム事業 3億円 4億円 -1億円 -1億円 -13.9%
連結(合計) 39億円 51億円 0.3億円 6億円 11.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た現金を元手に、投資活動や借入金の返済を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF -1億円 8億円
投資CF -1億円 -11億円
財務CF 1億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンのもと、「デザインの力を証明する」というミッションを掲げています。デザインを通じて人々の生活がより便利になり、より暮らしやすくなることを目指し、問題の本質を掘り下げて解決へと導く「デザイン」の力をビジネスや社会に実装することを使命としています。

(2) 企業文化


同社はミッション、ビジョンを達成するためのコアバリューの一つとして「Play as a team」を掲げています。性別・国籍・宗教・学歴等に境界を持たず、多様な視点を持つメンバーを受容する環境づくりを重視しています。また、デザインを重要な経営資源として活用する「デザイン経営」を自ら実践し、デザイナー中心の企業文化を確立しています。

(3) 経営計画・目標


デザインパートナー事業においては、顧客企業のデザインプロジェクトからの月額報酬を収益の源泉としており、目標達成状況を判断する指標として「月額平均単価」および「実施顧客社数」を重視しています。これらを拡大させることで、売上高の継続的な成長を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、AI技術とUI/UXデザインの知見を掛け合わせた「デザイン×AI」によるイノベーション創出や、DX市場におけるプレゼンス向上を掲げています。また、マーケティング活動の強化や、顧客企業との長期的な関係構築、提供ソリューションの拡張(事業戦略、組織、CXテクノロジー等)に取り組みます。さらに、他社との事業連携やM&Aによる戦略的投資を通じたバリューチェーンの拡大も推進していきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人が成長する会社」を目指し、人的資本経営(Design for Talent)を推進しています。従業員のスキル向上やキャリア形成を支援するとともに、多様な視点を持つメンバーが活躍できるようDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)や健康経営を推進しています。また、優秀なデザイナー人材の採用強化や、体系的なデザイン研修による人材開発にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 36.0歳 3.1年 7,841,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全体の新規採用数(31)、全社員の育児休業取得率(100)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合状況について


DX市場の拡大に伴い、競合他社の参入が増加しています。低価格で優れたサービスを提供する競合や、資本力のある競合による人材獲得競争が激化した場合、プロジェクト獲得や人材確保に悪影響を及ぼし、経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。これに対し、同社はマーケティングの強化やソリューション領域の拡張により競争力を高める方針です。

(2) DX市場の成長性について


同社はDX市場に属しており、市場の拡大が見込まれていますが、景気悪化等により市況が長期的に低迷した場合、デザイン支援プロジェクトへの問い合わせ減少や縮小により、業績に悪影響が生じる可能性があります。同社は大手企業のDX戦略支援を推進し、顧客企業との長期的な関係構築を通じてリスク軽減を図っています。

(3) 技術革新について


インターネット関連技術の進化や顧客ニーズの変化が速い市場において、AI技術などの革新的な技術への対応が遅れた場合や、対応に追加費用が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は最新技術の情報収集やAI技術の活用に積極的に取り組み、環境変化への適応を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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