マニー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マニー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、手術用縫合針や眼科ナイフ、歯科治療機器などの医療機器の製造販売を主要事業としています。当連結会計年度の業績は、サージカル関連製品やアイレス針関連製品の販売が好調で増収となりましたが、販管費の増加や減損損失の計上により減益となりました。


#記事タイトル:マニー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、マニー株式会社 の有価証券報告書(第66期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マニーってどんな会社?


同社は、手術用縫合針や眼科ナイフなどの手術用機器、歯科治療機器を開発・製造・販売する医療機器メーカーです。

(1) 会社概要


1956年に創業し、1959年に株式会社松谷製作所として設立されました。1961年に世界初の18-8ステンレス縫合針の製造に成功し、1996年に現在の社名へ変更しました。2012年に東京証券取引所市場第一部(現プライム市場)へ指定され、ベトナムやミャンマー、ドイツなどに製造・販売拠点を展開しています。

連結従業員数は4,140名、単体では432名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は同社所在地の栃木県に拠点を置く事業会社のマニックスです。第3位も同様に同社所在地にある事業会社の松谷技研となっており、安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.44%
マニックス 10.76%
松谷技研 5.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表執行役社長は渡部眞也氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
渡部眞也 取締役 代表執行役社長 日立製作所執行役常務、みらかホールディングス(現H.U.グループホールディングス)代表執行役副社長などを経て、2024年11月より現職。
髙橋一夫 取締役 ホギ(現ホギメディカル)取締役を経て、同社代表執行役副社長などを歴任。2025年9月より現職。
髙井壽秀 取締役会副議長 日本不動産銀行(現あおぞら銀行)入行後、同社代表執行役社長、執行役会長などを経て、2021年11月より現職。


社外取締役は、矢野達司(元三洋化成工業専務執行役員)、森山裕紀子(早稲田リーガルコモンズ法律事務所参画パートナー弁護士)、光定洋介(産業能率大学経営学部教授)、松井幸郎(元アステラス製薬専務担当役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「サージカル関連製品」「アイレス針関連製品」「デンタル関連製品」の事業を展開しています。

(1) サージカル関連製品


主に外科手術や眼科手術で使用される医療機器を提供しています。主力製品には、皮膚縫合器(ステイプル)、眼科ナイフ、血管ナイフなどがあります。医師の手技を支える精密な切開・縫合用器具として、世界各国の医療機関で使用されています。

収益は、国内外の代理店や医療機関への製品販売による対価です。製造は主に同社およびベトナムの子会社MANI HANOIが行い、販売は同社やベトナム、中国、インド、アメリカなどの販売子会社が担っています。

(2) アイレス針関連製品


手術用針付縫合糸およびその材料となる縫合針を提供しています。縫合針には、糸があらかじめ付いている「アイレス縫合針」と、手術室で糸を通す「アイド縫合針」があります。特に独自の微細加工技術を活かした高品質な縫合針に強みを持ちます。

収益は、縫合糸メーカーや代理店への製品販売による対価です。製造は同社、ベトナムのMANI HANOI、ミャンマーのMANI YANGONなどが行い、販売は同社および各国の販売子会社が担当しています。

(3) デンタル関連製品


歯科治療に使用される機器や材料を提供しています。主な製品には、根管治療に使用するリーマ・ファイル(神経などを除去する器具)や、歯を削るためのダイヤバーなどの回転切削機器、歯科用修復材があります。

収益は、歯科ディーラーや代理店への製品販売による対価です。製造は同社、ベトナム、ミャンマー、ラオスの子会社に加え、ドイツのMANI MEDICAL GERMANYが歯科材料を担当し、販売は同社および各国の販売子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで成長を続けており、172億円から300億円へと拡大しています。経常利益率は30%前後の高い水準を維持していますが、直近では原材料費の高騰や販管費の増加などにより、利益率はやや低下傾向にあります。当期純利益は増減を繰り返しながらも安定した水準を確保しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 172億円 204億円 245億円 285億円 300億円
経常利益 57億円 75億円 80億円 85億円 83億円
利益率(%) 33.0% 37.0% 32.6% 29.7% 27.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 34億円 55億円 45億円 54億円 48億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は増加しましたが、売上総利益率は若干低下しました。販売費及び一般管理費の増加率が売上高の伸びを上回ったため、営業利益は減少しました。営業利益率は依然として高い水準ですが、前期間と比較すると低下しており、コストコントロールや成長投資のバランスが課題となっています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 285億円 300億円
売上総利益 179億円 193億円
売上総利益率(%) 62.8% 64.5%
営業利益 84億円 82億円
営業利益率(%) 29.4% 27.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与が29億円(構成比26%)、研究開発費が26億円(同24%)を占めています。売上原価は107億円で、売上高に対する構成比は36%です。

(3) セグメント収益


サージカル関連製品は眼科ナイフの販売が欧州やアジアで好調に推移し増収増益でした。アイレス針関連製品もアジアや中南米での受注増により増収増益を確保しました。一方、デンタル関連製品は中国での製品自主回収や欧州での販売不調が響き、減収減益となりました。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
サージカル関連製品 82億円 93億円 26億円 31億円 33.2%
アイレス針関連製品 102億円 112億円 39億円 40億円 35.8%
デンタル関連製品 101億円 95億円 19億円 11億円 11.7%
連結(合計) 285億円 300億円 84億円 82億円 27.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 78億円 70億円
投資CF -66億円 -72億円
財務CF -37億円 -39億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は92.4%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「患者のためになり、医師の役に立つ製品の開発・生産・提供を通して世界の人々の幸福に貢献する」ことを企業理念として掲げています。専門的医療機器を開発から販売まで一貫して手掛け、広く世界に提供することを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、「科学する心で熱心に粘り強く」、「『トレード・オフ』へのこだわり」、「創造・進化へのたゆまぬ挑戦」をバリュー(大切にしていく価値観)として定めています。やらないことを決める経営(トレード・オフ)を徹底し、独自の技術力と品質へのこだわりを持つ企業文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は「中期経営計画2029」において、2029年8月期の達成目標を掲げています。

* 売上高:450億円
* 営業利益:145億円(利益率32%)
* 純利益:105億円
* ROE:16%
* 売上高純利益率:23%

(4) 成長戦略と重点施策


「ダントツ製品の提供、医療現場の課題解決を通じて信頼される企業」を目指し、グローバル・ニッチ・トップ戦略を維持しつつ、事業戦略の転換を図ります。北米・欧州・アジアでの売上拡大、製品開発力の強化、M&A等の活用による新たな価値創出を重点施策としています。

* サージカル(眼科):眼科ナイフのグローバルシェア50%目標
* アイレス針:グローバルNo.2のポジション維持・強化
* デンタル:根管治療製品のポートフォリオ拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本経営を重要な経営基盤と位置づけ、「成長戦略を実行する人財育成・獲得」、「企業風土改革と挑戦するカルチャーの醸成」、「DE&I」の3本柱を推進しています。「開拓者精神」や「プロフェッショナル」など5つの求める人財像を設定し、マニー研修所での教育や人事制度の刷新を通じて、自律的な成長を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 42.0歳 14.0年 7,863,821円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.2%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.5%
男女賃金差異(正規雇用) 76.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 0.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率目標(15%以上)、キャリア採用比率(59.6%)、年間平均研修時間(59時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材力の低下


労働市場の流動化により重要ポストの人材が流出したり、専門性の高い研究者や技術者の育成が不足したりすることで、組織力やパフォーマンスが低下し、事業遂行や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) グローバル事業環境の変化およびカントリーリスク


新興国企業との価格競争や自国産優遇政策、進出国の政情不安や法規制変更、災害などにより、製品供給の遅延や収益性の低下が生じる可能性があります。また、これらが経営成績に影響を与えるリスクがあります。

(3) 薬事関連規制


国内外の薬事関連法令や規制への対応が不十分な場合、許認可の取り消しや製品回収、製造販売の中止を求められる可能性があり、事業活動や経営成績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 品質リスク


製品に予期せぬ不具合が発生し大規模な回収が必要となった場合、回収費用や損害賠償、売上減少に加え、社会的信用の低下により企業価値が毀損する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。