※本記事は、サイプレス・ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
サイプレス・ホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は4名、グループ連結従業員数は411名です。
同社グループは、主に飲食事業およびこれに付帯する業務を展開しています。主力ブランドである「築地食堂源ちゃん」の海鮮系和食業態を基軸に、マルチブランド戦略を推進し、東京23区内を中心に東北から九州まで計36ブランド、126店舗の直営店(2025年8月末時点)を展開しています。同社グループは連結子会社1社で構成されています。
主な国内グループ会社は、サイプレス(飲食店の経営)などです。
サイプレス・ホールディングスは、2025年10月8日付で東京証券取引所スタンダード市場に上場しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
サイプレス・ホールディングスは、飲食事業を中核とする同社グループにおいて、人材の確保と育成を重要な課題と捉えています。特に「働く仲間の成長と多様性の尊重」をマテリアリティの一つとして掲げ、多様な人材の採用と育成、そして働きやすい環境整備に注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
サイプレス・ホールディングスでは、平均年齢が比較的高く、経験豊富な人材が中心となっている傾向が見られます。一方で平均勤続年数は短めであり、組織の変革期にあるか、あるいは新しい人材が積極的に加わっている状況がうかがえます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,274,000円 |
| 平均勤続年数 | 1.25年 |
| 平均年齢 | 48.2歳 |
| 単体従業員数 | 4人 |
| 連結従業員数 | 411人 |
| 単体のグループ内比率 | 1.0% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
サイプレス・ホールディングスグループは、「食の喜びをすべての人へ」という企業理念のもと、社会の持続可能な発展と企業価値向上を目指しています。その中で、人材の確保と育成を重要な課題と捉え、「働く仲間の成長と多様性の尊重」を重点マテリアリティの一つとしています。
同社グループは、「人財」を企業成長の根幹と位置づけ、性別、国籍、職歴にとらわれない多様な人材の採用を推進しています。従業員一人ひとりがやりがいを感じ、能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を通じて、パフォーマンスの向上を目指しています。
具体的な人材育成としては、部長候補には複数店舗のマネジメントや数値管理、店長候補には従業員管理や売上施策立案といったキャリアステージに応じた研修を行う「サイプレスビジネスクール制度」を設けています。また、特定技能2号試験合格率向上のための社内勉強会も実施し、従業員の成長と自己実現を支援しています。
社内環境整備においては、育児・介護休業制度や短時間勤務制度、70歳までの定年後継続雇用制度など、柔軟な働き方を支援する制度を導入しています。さらに、資格補助や転居支援金、慶弔見舞金制度といった各種手当も充実させ、従業員が安心して長く働ける環境づくりに努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは、女性活躍推進法および育児介護休業法の公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
パート・有期労働者の男性労働者の育児休業取得率については、対象者がいないため記載しておりません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 25.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 80.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 78.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
サイプレス・ホールディングスは、飲食事業を主軸に展開する企業グループです。マルチブランド戦略を推進し、多様な業態の店舗を運営することで収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、サイプレス・ホールディングスと連結子会社1社で構成されており、主に飲食事業とその付帯業務を行っています。主力ブランドである「築地食堂源ちゃん」の海鮮系和食業態を基盤に、和食、寿司、洋食、麺、カフェ軽食など幅広い業態の自社開発ブランドを展開しています。東京23区内を中心に東北から九州まで、計36ブランド、126店舗の直営店を運営しています。
同社グループの事業は、実績豊富な店舗開発力と、高品質かつリーズナブルな商品提供を実現する体制が特徴です。各市場からの直送や日替わりメニューの考案により、常に新鮮な食材を使った商品を提供しています。また、効率的な店舗オペレーションを追求し、現場レベルでの商品提供スピード管理や店舗スタッフのOJT教育に力を入れています。ディベロッパーとの強固なリレーションシップを構築し、商業施設のニーズに合わせた出店戦略を徹底することで、継続的な店舗増加を実現しています。
収益は、主に顧客へのサービスの提供と商品の販売から得ています。サービスの提供は料理の提供時点で、商品の販売は顧客への引き渡し時点で売上収益を認識しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近3期にわたり売上収益、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益ともに増加傾向を示しています。特に当連結会計年度においては、売上収益が前期から増加し、営業利益と親会社の所有者に帰属する当期利益は大幅な伸びとなりました。国内経済の回復基調やインバウンド消費の増加、新規出店や既存店売上の好調が業績に寄与しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | - | - | 88.2億円 | 103億円 | 113億円 |
| 税引前利益 | - | - | 58.6億円 | 68.4億円 | 74.0億円 |
| 税引前利益率 | - | - | 66.5% | 66.7% | 65.5% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | - | - | 17百万円 | 1.7億円 | 4.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | 1.36 | 13.30 | 34.27 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上収益は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から大きく伸びており、組織全体の収益を創出する力が強化されていることが示されています。これらの指標の改善は、効率的な店舗運営や売上増加への取り組みが成果を上げていることを反映していると考えられます。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 26.1百万円 | 27.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.1百万円 | 1.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出し、手元資金も確保しています。財務基盤は着実に強化されており、将来に向けた投資余力も備えている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)の推移から安定性がうかがえます。自己資本比率は前期から改善し、プライム市場の非製造業平均と比較するとやや低い水準にあります。しかし、ROEはプライム市場平均を大きく上回る高い水準を示しており、効率的な経営で利益を生み出していることがわかります。
また、手元資金である現金及び現金同等物も前期から増加しており、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営基盤を築いていることを示しています。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 19.0億円 | 23.4億円 |
| 自己資本比率 | 17.6% | 20.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.4% | 20.6% |
| 現金及び現金同等物 | 5.6億円 | 8.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、その資金を投資や負債の返済に充てている状況です。営業活動によるキャッシュフローは前期からわずかに減少したものの、引き続きプラスを維持しています。これは、税引前当期利益や減価償却費及び償却費が資金増加要因となり、法人所得税の支払額を上回ったことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が増加したため、前期よりも使用した資金が増加しています。これは、新規出店など事業拡大に向けた投資が活発に行われていることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済による支出が減少したため、使用した資金が前期から減少しています。
結果として、フリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している優良な状態です。これは、同社グループが安定した事業運営と成長投資を両立できる財務体質であることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素であると考えられます。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 13.3億円 | 13.1億円 |
| 投資CF | △2.9億円 | △4.9億円 |
| 財務CF | △11.6億円 | △4.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 10.4億円 | 8.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、外食産業全体における競合に関するリスクを認識しています。競争要因として品質、味、価格が重要であり、人口減少による市場規模の成長鈍化や店舗数の増加による来店客数の減少が競争激化につながる可能性があります。
また、食材等の調達困難・価格高騰に伴うリスクも挙げられています。国内外のインフレーション、天候不順、為替変動などにより、食材や店舗用品の価格が高騰し、売上原価率の上昇等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、人材の確保に関するリスクを認識しています。事業運営において十分な人数の店長を確保することが重要であり、有能な人材の確保が困難な場合や、より高額な給与・福利厚生が求められる可能性があります。これにより、離職者数や人件費の増加、サービスの質の低下、新規出店時期の遅延につながる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サイプレス・ホールディングスは、「食の喜びをすべての人へ」という企業理念を掲げ、日々の食事に感動や喜びを提供することを目指しています。社会インフラを担う企業グループとして、持続可能な社会の発展と企業価値向上への貢献を重視する会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
サイプレス・ホールディングスグループは、「食の喜びをすべての人へ、特別ではなく、毎日食べる食事に感動や喜びを提供出来る事を目指す」を企業理念としています。すべての人に信頼され、その地域になくてはならない一番店となることを目指しています。同社グループは、運営するお店がお客様にとっての「食のインフラ」となり、持続的な成長を図ることをビジョンとしています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
サイプレス・ホールディングスグループは、サステナビリティ推進において「環境」「社会」「経営」の3つのテーマに基づき、5つのマテリアリティを策定し、企業価値向上を目指しています。これらは「地球環境への配慮」「食の安全と安心の提供」「働く仲間の成長と多様性の尊重」「地域・社会への貢献」「経営基盤の強化」です。特に「働く仲間の成長と多様性の尊重」を重視しており、性別・国籍・職歴にとらわれない多様な人材の採用と、社員一人ひとりがやりがいを感じ、能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
サイプレス・ホールディングスグループは、持続的な成長と収益基盤強化のため、複数の重点課題に取り組んでいます。特に「優秀な人材の確保」を掲げ、厳しい採用環境下での差別化と人材のリテンション(定着)を図っています。具体的には、外国人材の採用推進や、既存従業員が誇りを持ち成長を実感できる環境・制度の整備を進めています。また、「衛生・品質管理の強化」として法令改正に対応した体制強化を図り、「経営管理体制の強化」としてリスク把握と管理部門の体制強化、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
サイプレス・ホールディングスは、持続的な成長と企業価値向上を目指し、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。取締役会と監査役会が経営の監督機能を果たし、複数の委員会を通じてガバナンス体制を充実させています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成は、投資事業有限責任組合が筆頭株主であり、それに続く形で同社代表取締役社長が代表を務める会社と、代表取締役社長個人が上位株主として名を連ねています。複数の大株主が同社グループの経営を支えている状況です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 丸の内キャピタル第二号投資事業有限責任組合 | 49.30% |
| EAM | 44.90% |
| 東稔哉 | 4.90% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は東稔哉氏が務めています。社外取締役比率は71.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 東 稔哉 | 代表取締役社長 | 1983年パルク入社後、1993年に「串えもん」を創業。1994年サイプレス代表取締役社長に就任。EAM代表取締役、サイプレス代表取締役会長を経て、2024年6月より同社代表取締役社長に現職。 |
| 尾澤 一彦 | 専務取締役 | 1983年共立建設入社、1997年サイプレス入社。常務取締役、専務取締役、取締役副社長を歴任。2023年サイプレス代表取締役社長に就任し、2024年6月より同社専務取締役に現職。 |
社外取締役は、松下正氏(大東建託常勤社外取締役監査等委員・監査等委員会委員長・指名・報酬委員会委員長)、勝山章廣氏(元アンドエスティHD取締役会長・指名・報酬委員会委員)、福﨑昇平氏(丸の内キャピタル取締役)、奥見昌彦氏(丸の内キャピタル在籍)、宮永雅好氏(中央大学大学院戦略経営研究科特任教授)です。社外監査役は、原口昌之氏(英和法律事務所代表)、鉢野まり氏(鉢野まり公認会計士事務所代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営の監督機能を果たしています。独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会を設置し、ガバナンスの強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、株主総会で決定された総額の範囲内で、取締役会または監査役会が個別の報酬額を決定する仕組みです。固定の基本報酬のみで構成されており、業績連動報酬制度は採用していません。また、指名・報酬委員会が報酬決定に関する諮問機関として機能しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 86百万円 | 42.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 11.2百万円 |
| 社外役員 | 9名 | 9百万円 | 1.0百万円 |
同社グループの役員報酬等の総額は1.1億円であり、対象となる役員の総数は12名です。なお、報酬等の支給対象となる役員の人数には、期中に任期満了退任した社外取締役2名および社外監査役1名が含まれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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