fantasista 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

fantasista 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の企業です。リアルエステート事業を主軸に、ヘルスケア事業やクリーンエネルギー事業を展開しています。第80期は、不動産事業やクリーンエネルギー事業の売上が寄与し増収となりましたが、大型案件の期ずれや支払利息の増加等により経常損益および当期純損益は赤字に転落しました。


※本記事は、株式会社fantasista の有価証券報告書(第80期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. fantasistaってどんな会社?


不動産事業を中核としつつ、系統用蓄電池などのクリーンエネルギー事業やヘルスケア事業へ多角化を進める企業です。

(1) 会社概要


1950年に大阪で南野建設として設立され、2004年にジャスダック証券取引所(現・東証スタンダード)へ上場しました。2005年に持株会社体制へ移行し、その後数回の商号変更を経て、2024年1月に現在の社名となりました。近年では2022年にヘルスケア事業、2023年にクリーンエネルギー事業を開始するなど、事業ポートフォリオの多角化を推進しています。

同グループの連結従業員数は28名、単体従業員数は14名と少数精鋭の体制です。筆頭株主はコンサルティング等を行うアクセスアジア株式会社で、第2位以降は個人株主が名を連ねています。

氏名 持株比率
アクセスアジア 20.02%
黄 俊利 2.11%
江川 源 1.94%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は田野大地氏が務めています。社外取締役比率は約67%です。

氏名 役職 主な経歴
田 野 大 地 代表取締役社長 スリープログループ、ラオックス等を経て、2019年同社入社。IR推進室室長等を歴任し、2021年12月より現職。
齋 藤 顕 次 取締役 伊藤忠商事、山田建設等を経て、複数の企業で役員を歴任。2021年12月同社取締役就任。NC MAX WORLD等の子会社役員も兼任し、2021年12月より現職。
保 住 光 良 取締役 東京スタイル、良品計画、シーズメン等を経て、2025年7月日本製麻執行役員。2025年12月より現職。


社外取締役は、伏見泰治(元ツネイシホールディングス代表取締役会長兼社長)、埴原茂幸(元警視庁警視)、木多秀夫(ユーピーマネジメント代表取締役)、山本光一(山本光一国際会計事務所所長)、藤本一郎(弁護士法人創知法律事務所代表社員)、藤谷彰男(ふじたに司法書士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リアルエステート事業」「ヘルスケア事業」「クリーンエネルギー事業」を展開しています。

(1) リアルエステート事業


不動産の売買、権利調整業務、自己保有不動産の活用、および収益が見込める物件への投資を行っています。また、ホテル・民泊事業として「UNDER RAILWAY HOTEL AKIHABARA」等の運営も手掛けています。

主な収益源は、顧客への不動産販売による代金や、宿泊施設利用者からの宿泊料収入などです。運営は主に、NC MAX WORLDやSPACE HOSTELが行っています。

(2) ヘルスケア事業


5-ALA(5-アミノレブリン酸)を含むサプリメントや関連商品の流通と販売を行っています。

収益源は、ECサイト等を通じた消費者への商品販売代金です。運営は主に、ハンドレッドイヤーズおよびFAIRY FORESTが行っています。

(3) クリーンエネルギー事業


主に系統用蓄電所の建設・運営を行い、電力需給調整市場への参画を目指す事業です。第80期より新たに報告セグメントとして区分されました。

収益源は、系統用蓄電池用地の販売や、電力市場取引による収益などです。運営は主に、合同会社fantasista battery1が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は変動がありつつも一定規模を維持していますが、利益面では変動が大きく、直近の第80期は赤字となっています。第78期に大幅な増益を記録した後、第80期では経常損失および当期純損失を計上し、利益率がマイナスに転じました。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 69億円 50億円 106億円 88億円 94億円
経常利益 2億円 0.5億円 15億円 7億円 -0.1億円
利益率(%) 3.2% 1.0% 14.0% 7.5% -0.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -4億円 -11億円 -4億円 -1億円 -4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向を見ると、売上高は増加した一方で、売上総利益および営業利益は大幅に減少しています。売上原価率の上昇が利益を圧迫し、営業利益率は前期の8.0%から2.2%へと低下しました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 88億円 94億円
売上総利益 22億円 16億円
売上総利益率(%) 25.5% 16.9%
営業利益 7億円 2億円
営業利益率(%) 8.0% 2.2%


販売費及び一般管理費のうち、のれん償却費が3.3億円(構成比24%)、役員報酬が2.0億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、主力のリアルエステート事業は増収となったものの、利益は減少しました。新規のクリーンエネルギー事業は売上・利益ともに計上され始めていますが、ヘルスケア事業は減収で赤字となっています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
リアルエステート事業 84億円 90億円 13億円 7億円 7.8%
ヘルスケア事業 4億円 1億円 -0.0億円 -0.0億円 -0.8%
クリーンエネルギー事業 - 2億円 - 1億円 30.2%
連結(合計) 88億円 94億円 7億円 2億円 2.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**健全型**
営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスです。本業で得た現金を、投資や借入金の返済に充てている状態です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -40億円 25億円
投資CF -7億円 -10億円
財務CF 48億円 -26億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出できませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.0%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「多様化する世界に驚きと感動を与え続けるためにたゆまぬ努力で挑戦し続ける。」という企業理念を掲げています。この理念に基づき、中核であるリアルエステート事業の収益力強化と、新たな柱となる事業の育成に取り組んでいます。

(2) 企業文化


有価証券報告書には特定の「企業文化」や「バリュー」に関する独立した記述はありませんが、企業理念にある「たゆまぬ努力で挑戦し続ける」という姿勢や、人材育成において「従業員の特性を引き出し、やりがいを見出す職場づくり」を目指す方針が示されています。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続的成長に向けた課題として事業ポートフォリオの強化や事業規模の拡大を挙げています。また、後発事象として公表された新株予約権発行に関連し、経営目標として「ROEを3倍とする」ことや「暗号資産の運用益3%の確保」といった具体的な数値目標について言及しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向け、リアルエステート事業を経営基盤としつつ、そこで培った強みをクリーンエネルギー事業等の成長分野に応用し、新たな事業基盤の確立を目指しています。ヘルスケア事業ではマーケティング強化による顧客獲得を図ります。また、クリーンエネルギー事業への積極的な先行投資を行い、安定的な収益基盤を構築することに加え、事業資金の確保手段として暗号資産や金(ゴールド)への投資も視野に入れています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


グループの成長において人材の確保と育成を重要課題と認識しています。多様な視点や価値観を持ち専門的知見を有する人材を積極的に採用し、実務を通じた育成を行うとともに、職場環境の整備や働き甲斐のある制度設計に注力する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 44.9歳 1.8年 6,923,000円


※平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家庭介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) M&Aについて


業容拡大の手段としてM&Aを推進していますが、対象企業の経営・財務内容のデューデリジェンスを行っても、買収後に想定した利益が出ない場合や偶発債務が顕在化する可能性があります。これにより、グループの業績に悪影響を与えるリスクがあります。

(2) 不動産市場について


主力事業である不動産販売は、地価変動や競合の動向、景気、金利、税制などの経済情勢の影響を受けやすい特性があります。これらの変化により保有資産の価値が減少した場合、グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) 証券投資について


市場性のない株式を保有しており、投資先企業の業績悪化により評価額が著しく下落した場合には減損処理が発生し、グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。実施の際は十分な調査と厳密な手続きを経て選定しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。