※本記事は、川岸工業株式会社 の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
川岸工業は、鉄骨等の鋼構造物の設計、製作、現場施工を主軸とする建設業を展開しています。子会社の川岸プランニング株式会社が設計・積算業務を担い、プレキャストコンクリート事業も手掛けています。
単体従業員数は273名です。事業部門は鋼構造物部門(鉄骨)、プレキャストコンクリート部門、全社(共通)の3つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
川岸工業は、建設業を主軸とする企業であり、従業員の平均年齢や勤続年数から、比較的安定した環境でキャリアを築ける傾向が見られます。同社は人材の確保と育成に力を入れており、多様な働き方を支援する制度や、従業員の成長を促す取り組みを進めていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的若いことから、長期的にキャリアを形成しやすい環境であると考えられます。若手からベテランまで幅広い年齢層の従業員が在籍し、経験を積みながら活躍できる傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,728,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.5年 |
| 平均年齢 | 38.7歳 |
| 単体従業員数 | 273人 |
同社は、確定給付制度(退職一時金制度)及び確定拠出年金制度を採用しています。退職一時金制度があり、給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
なお、退職給付債務は1.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
川岸工業は、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を両立させるため、マテリアリティとして「安全・安心な労働環境の確保」を掲げています。従業員のキャリア形成や働きがいを向上させ、将来を担う人材の確保と育成に主眼を置き、多様な人材が自律的かつ継続的に活躍できる環境を整えることを目指しています。
同社は、働き方改革を踏まえた就労環境の整備と労働条件の改善を図っています。期待役割や成果を重視した人事制度により、従業員が自律的に考えて行動することを促し、企業価値の向上に繋げています。また、知識・技能の伝承と生活安定のため、従業員が74歳まで活躍できる環境を積極的に整備しています。ポストに関係なく、活躍する人材を積極的に評価・登用し、性別や年齢によらず能力と役割に応じた人材の登用・活躍促進を行っています。さらに、具備すべき知識・スキル・資格を明確化し、会社として自己啓発を支援する社内外の研修制度を充実させています。キャリアパスを踏まえた上で、現在の能力と要求水準を測り、自律的に研修や資格に挑戦する仕組みを構築しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合は、女性総合職の若年層が多く、管理職になるために一定の経験年数を要するため、当事業年度においては女性管理職が1名となっています。男女賃金差異は、役職・等級別の人数構成及び短時間勤務者によるものであり、正規雇用労働者及びパート・有期労働者のいずれにおいても、性別による人事制度上の差は設けていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 65.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 62.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 81.6% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒・中途採用合算に占める女性採用の比率 | 25.8% |
| 女性の管理職の人数 | 1名 |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇取得率 | 72.6% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 経営人材の育成研修の年間実施回数 | 12回 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
川岸工業は、鋼構造物とプレキャストコンクリート製品の製造・販売・施工を手がける建設関連企業です。社会インフラや建築物の基盤を支える事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
川岸工業は、鉄骨などの鋼構造物の設計、製作、現場施工を主な事業としています。子会社の川岸プランニングが設計・積算業務を担い、同社の事業を支えています。
また、建築用プレキャストコンクリート製品の製造、販売、取付工事も手がけています。同社の収益は、これらの建設関連工事の完成工事高から得られています。
直近の販売実績では、鉄骨事業が全体の大部分を占め、プレキャストコンクリート事業がそれに続いています。特定の大手建設会社が主要な取引先となっており、安定した受注基盤を構築しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の完成工事高は前期に比べて減少しましたが、営業利益と経常利益は増加しました。これは、採算性の良い大型工事が前倒しで完成したことによるものです。
一方で、当期純利益はわずかに減少しました。受注高と受注残高は前期から大きく増加しており、今後の業績に期待が持てる状況です。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務状況は、事業活動で安定的に資金を獲得し、投資活動も行いながら、手元資金を増加させている状況です。これにより、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる財務基盤が形成されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は、前期から当期にかけて増加しており、高い水準を維持しています。手元資金も増加傾向にあり、事業運営における安定性がうかがえます。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 82.5% | 82.8% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 1,260百万円 | 3,166百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益の計上や売上債権の減少などにより、資金を獲得する結果となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、資金を支出しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払などにより、資金を支出しています。
前期は営業活動によるキャッシュ・フローが資金の支出となっていましたが、当期は資金を獲得する状況に転じています。本業で安定的に資金を生み出し、投資活動も行いながら、手元資金を増加させている状況は、同社の雇用や給与の安定性、そして将来的な成長性につながるものと考えられます。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1,422百万円 | 3,243百万円 |
| 投資CF | △213百万円 | △206百万円 |
| 財務CF | △700百万円 | △1,130百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1,635百万円 | 3,037百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の主力製品である建築鉄骨は、民間の建築投資の動向により業績が影響を受ける可能性があります。外部環境の変化や顧客ニーズを的確に捉えることが重要です。また、主要材料である鋼材価格が高騰した際、上昇分が受注価格に速やかに反映されない場合は、業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社の事業は専門性を有した技術者・技能者により支えられており、優秀な人材の確保と育成、定着率が重要な課題となっています。少子高齢化による労働人口の減少により、必要な人材が確保できない場合には、業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
川岸工業は、日本の社会基盤を支えるモノづくりを通じて、持続可能な社会の実現を目指す企業です。強固な経営理念と行動指針に基づき、お客様の唯一無二のパートナーとなることを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「鉄骨で日本を支える」を経営理念(ビジョン)に掲げています。主力の鉄骨をはじめ、プレキャストコンクリートなどの鋼構造物メーカーとして、お客様の唯一無二のパートナーとなり、日本の空間や街づくりに貢献していくことを経営の基本方針としています。
「第1次中期経営計画」では、「100年先も建築鉄骨で日本を支えるトップ企業」を目指すべき姿と定めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社はビジョンの実現に向け、「3つの基軸」として使命(ミッション)、信条(バリュー)、行動指針(プリンシプル)を定めています。使命は「持続可能な社会の実現に向けて、モノづくりで貢献」することです。
信条は「良い品質、低い原価、早い仕事」であり、行動指針は「和を尊び、言い訳をせず、頭を使おう」とされています。また、サステナビリティ基本方針として「モノづくりで社会の発展に貢献することにより、持続可能な社会の実現を目指します」と掲げています。
人財の確保と育成においては、自律的に考えて行動することを促す人事制度を重視しています。従業員が74歳まで活躍できる環境を積極的に整備し、ポストに関係なく活躍する人財を評価・登用する方針です。性別や年齢によらず、能力と役割に応じた人財の積極的な登用と活躍促進も行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社を取り巻く事業環境では、担い手不足に対して人財の確保と育成、働き方改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)による省力化・省人化の推進が必須と認識されています。持続可能な企業価値向上への取り組みと、変化が激しい社会・経済情勢に対するリスク管理と対応力強化も急務です。
これらの課題に対し、同社は「第1次中期経営計画」で基本方針を公表しています。ステークホルダーとの共創・共生として、積極的な情報発信やIR活動、サステナビリティ経営の推進に取り組んでいます。
また、経営基盤の強化として、コーポレートガバナンスの充実、人的資本経営への取り組み、事業継続計画(BCP)の整備を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
川岸工業は監査役会設置会社として、取締役会と監査役会を設置し、経営の健全性、効率性、透明性の確保に努めています。取締役会は経営方針の策定や業務の意思決定、相互牽制による業務執行の監督を行い、社外取締役の選任を通じて公正性の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
川岸工業の株主構成を見ると、複数の事業会社が上位に名を連ねていることが特徴です。これらの事業会社は、同社の事業活動において重要な取引関係を持つ可能性があり、資本面から同社を支える存在となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊藤忠丸紅住商テクノスチール | 18.22% |
| エムエム建材 | 18.22% |
| 川岸興産 | 5.65% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性12名・女性1名)で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長執行役員は清時康夫氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金本 秀雄 | 代表取締役会長執行役員 | 1973年4月同社入社、1998年12月同社取締役、2015年12月同社代表取締役社長、2023年12月同社代表取締役会長執行役員より現職。 |
| 清時 康夫 | 代表取締役社長執行役員 | 1979年4月丸紅入社、2018年4月伊藤忠丸紅住商テクノスチール取締役兼副社長執行役員、2023年12月同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 松本 正憲 | 取締役専務執行役員 | 1991年4月同社入社、2016年12月同社取締役西日本支店長、2023年12月同社取締役専務執行役員西日本地区統括より現職。 |
| 松本 龍丈 | 取締役執行役員 | 1993年8月同社入社、2020年12月同社取締役東京支店営業部長、2023年12月同社取締役執行役員東京支店長兼東京支店営業統括部長より現職。 |
| 深潟 志向 | 取締役執行役員 | 1986年4月同社入社、2021年12月同社取締役東京支店千葉第一工場長、2024年1月同社取締役執行役員東京支店生産設計統括部長より現職。 |
| 薮田 浩志 | 取締役執行役員 | 1990年4月安田信託銀行入社、2020年12月同社入社、2024年12月同社取締役執行役員経営企画室長兼事務統括部長より現職。 |
社外取締役は、松原弘幸氏(伊藤忠丸紅住商テクノスチール取締役兼副社長執行役員)、菅原二康氏(エムエム建材エンジニアリング代表取締役)、神尾諭氏(りそなビジネスサービス常務取締役)、宮田桂子氏(弁護士・駒澤大学法科大学院特任教授)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役4名と社外監査役2名を選任しています。社外取締役は取締役会や経営会議に出席し、業務執行状況の監督や意見表明を通じて、経営の公正性強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
川岸工業の役員報酬は、固定報酬、賞与、そして譲渡制限付株式報酬で構成されています。報酬等の額は株主総会で定められた限度額の範囲内で、代表取締役社長が会社の業績や各取締役の担当職務、貢献度を勘案して決定しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 1.6億円 | 23.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 9百万円 | 1.5百万円 |
なお、総額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれておりません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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