ホソカワミクロン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ホソカワミクロン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(プライム市場)に上場し、粉体関連機器・システムおよびプラスチック薄膜製造装置の開発・製造・販売を展開しています。直近の業績は、世界経済の不確実性や設備投資判断の先送りなどの影響を受け、売上高780億円(前期比8.7%減)、経常利益77億円(同16.5%減)と減収減益となりました。



※本記事は、ホソカワミクロン株式会社 の有価証券報告書(第81期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ホソカワミクロンってどんな会社?


粉体技術の世界的リーディングカンパニーとして、あらゆる産業分野に粉体処理装置やシステムを提供しています。

(1) 会社概要


1949年に設立され、1951年に微粉砕機の製造・販売を開始しました。1982年にオランダのナウタミックス社、1987年にドイツのアルピネ社を買収するなどグローバル展開を推進。2016年には創業100周年を迎えました。2020年にはSolids Solutions Groupを買収し、2024年にはホソカワミクロン化粧品を吸収合併しています。

連結従業員数は1,957名、単体では431名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様にカストディ業務を行うTHE BANK OF NEW YORK MELLON、第3位は主要取引銀行である三井住友銀行となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.91%
THE BANK OF NEW YORK MELLON140042(常任代理人 みずほ銀行) 4.02%
三井住友銀行 3.84%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長社長執行役員は細川晃平氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
細川 晃平 代表取締役社長社長執行役員 2009年同社入社。ドイツ、米国駐在を経て、2018年執行役員。2019年代表取締役副社長。2021年5月より現職。
井上 鉄也 取締役副社長副社長執行役員管理部門・IR・サステナビリティ推進担当 1986年同社入社。経理本部本部長、経営戦略本部長等を歴任。2020年取締役副社長。2025年10月より現職。
渡邊 晃 取締役執行役員国内事業担当兼粉体システム事業本部長 2002年同社入社。粉体工学研究所技術開発部長、同所副所長を経て、2024年執行役員。2025年12月より現職。
稲森 正人 取締役執行役員海外事業担当兼グローバル戦略本部長 1991年同社入社。英国駐在、国際管理室長、海外営業部長等を歴任。2024年執行役員。2025年12月より現職。


社外取締役は、佐藤ゆかり(元環境副大臣)、下坂厚子(元同志社大学工学部実験講師)、星谷哲男(元ING Bank N.V.在日代表)、岩波清久(日本ピラー工業会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「粉体関連事業」および「プラスチック薄膜関連事業」を展開しています。

(1) 粉体関連事業


あらゆる産業分野を対象に、粉砕・分級装置、混合・乾燥装置、集塵装置などの製造販売を行っています。また、複合ナノ粒子を中心とした新素材開発やその商品化(化粧品等)、微粉体受託加工サービスも提供しており、幅広い顧客ニーズに対応しています。

収益は、機器・システムの販売代金、部品交換やメンテナンス等のアフターサービス料、受託加工料などから構成されています。運営は、同社および米国、欧州、アジア等の各連結子会社が行っています。

(2) プラスチック薄膜関連事業


インフレーション法による単層から最大11層までの各種プラスチック高機能フィルム製造装置の開発・製造・販売を行っています。これらの装置は、食品包装や医療用フィルムなど多岐にわたる用途で使用されるフィルムの生産に利用されています。

収益は、製造装置の販売代金および関連するアフターサービス料から構成されています。運営は、主にドイツの連結子会社であるHosokawa Alpine Aktiengesellschaft等が担当し、各国の販売会社を通じてグローバルに展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年9月期までは売上高、利益ともに増加傾向にありましたが、直近の2025年9月期においては、大型案件の投資判断延期や期初受注残高の減少などが影響し、減収減益となりました。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 608億円 669億円 795億円 854億円 780億円
経常利益 66億円 58億円 83億円 92億円 77億円
利益率(%) 10.8% 8.6% 10.5% 10.8% 9.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 17億円 29億円 25億円 37億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益が減少しています。売上原価率や販管費率の変化など、減収下でのコストコントロールの状況が見て取れます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 854億円 780億円
売上総利益 299億円 274億円
売上総利益率(%) 35.1% 35.1%
営業利益 83億円 71億円
営業利益率(%) 9.7% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が88億円(構成比44%)、法定福利費が24億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


両セグメントともに前期比で売上が減少しました。粉体関連事業では大型案件の先送り等が影響し、プラスチック薄膜関連事業でも主要市場での成約遅延などが見られました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
粉体関連事業 650億円 586億円
プラスチック薄膜関連事業 204億円 194億円
連結(合計) 854億円 780億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た資金で借入返済を行いつつ、手元資金で投資も賄っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 73億円 95億円
投資CF -30億円 -37億円
財務CF -28億円 -33億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「粉体技術の開発を通して社会に貢献する」を企業理念とし、「粉体技術」の分野において常に世界のナンバーワン企業であり続けることを志向しています。既存の機械装置に加え、新素材などのマテリアルビジネスを展開し、先端的技術の進展を図っています。

(2) 企業文化


「和と誠意と積極性」「創造の精神」「来たらざるを頼むなかれ 我に備えあるを頼む」の3つを社是としています。経済的かつ優れた技術で顧客ニーズに応えるとともに、倫理的指針に基づき自然環境の保護に努めることを使命としています。

(3) 経営計画・目標


2024年10月より第18次中期3カ年経営計画をスタートさせ、「Unique & Dominant」を基本方針としています。最終年度(2027年9月期)および10年後の目標として以下を掲げています。

* 2027年9月期:売上高1,000億円、営業利益率10%、ROE10%
* 10年後:売上高1,500億円、営業利益率12%、ROE12~13%

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では、グループシナジーの創出、DXによるデータ分析と活用、特定市場のデファクトスタンダードを目指した商品開発、コーポレート・サステナビリティの実践を基本施策としています。特にアフターサービス網の拡充や、リサイクルカーボンブラック等の環境対応技術に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材集団の形成」を経営の基本方針の一つとし、企業の競争力の源泉は「人」であるとの考えに基づき、従業員の積極的なチャレンジを可能にする職場づくりを推進しています。特別専門職制度による専門家の育成や、OJT、階層別研修、英語プログラムなどを通じて人材育成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 42.6歳 18.1年 7,394,704円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.3%
男性育児休業取得率 81.8%
男女賃金差異(全労働者) 66.0%
男女賃金差異(正規雇用) 77.8%
男女賃金差異(非正規) 78.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職研修(20.0時間/人)、Pre Board Meeting(78.0時間/人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済及び市場環境の変化


製品の需要は世界各国に及んでおり、販売先における政治・外交情勢の不安定化、貿易摩擦、景気後退などに伴う需要変動の影響を受けます。予測を超えた変動がある場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 為替変動のリスク


業績は主として日本円、米ドル、ユーロ、英国ポンド等の外国為替相場の変動による影響を受けます。換算リスクと取引リスクがあり、為替相場の変動は外国通貨で販売する製品及び調達する材料の価格に影響を与える可能性があります。

(3) 国際的活動に関するリスク


海外での生産・販売活動においては、政治・経済要因、法規制の変更、関税や移転価格税制、労働争議、テロ等のリスクがあります。また、事業展開する各国での厳格な法規制導入等により活動が制限される可能性があり、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。