※本記事は、日精エー・エス・ビー機械株式会社 の有価証券報告書(第47期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日精エー・エス・ビー機械ってどんな会社?
同社は、ペットボトルなどのプラスチック容器を作る「ストレッチブロー成形機」等の製造販売を行うグローバルメーカーです。
■(1) 会社概要
1978年に長野県坂城町で設立され、翌1979年に二軸延伸ブロー成形機の基本特許を取得しました。1980年代には米国やドイツに販売拠点を設立し、グローバル展開を加速させます。1997年にはインドに生産拠点を設立し、生産能力を拡大しました。2018年には長野県佐久市に千曲川工場を開設し、インドの第3工場も稼働させています。2022年の市場区分見直しにより、東証プライム市場へ移行しました。
2025年9月30日現在の連結従業員数は2,177名、単体従業員数は216名です。大株主については、筆頭株主はエー・エス・ビー インコーポレーテッドで、第2位は信託銀行の信託口、第3位も同様に信託銀行の信託口となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エー・エス・ビー インコーポレーテッド | 43.58% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.40% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.60% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性2名、計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は藤原 誠氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青木 大一 | 代表取締役会長 | 1978年同社設立、代表取締役社長。1998年代表取締役会長。2017年10月より現職。 |
| 藤原 誠 | 代表取締役社長 | 1996年エフ・シー・シー入社。2015年同社入社。生産部長、常務取締役等を経て2023年12月より現職。 |
| 青木 高太 | 取締役副社長 | 1997年同社入社。営業事業部長、代表取締役社長等を経て、2023年12月より現職。 |
| ケールスマーケルス ミキルス カーレル | 常務取締役 | 1995年同社入社。NISSEI ASB GmbH代表取締役社長等を務め、2023年12月より現職。 |
| 依田 和也 | 取締役 | 1989年同社入社。成形技術部長兼千曲川工場長等を経て、2023年12月より技術本部長として現職。 |
| エバ アルザス グイレン | 取締役 | 2006年NISSEI ASB MEDITERRANEA, S.L.U.入社。2023年12月より現職。 |
| 山本 雄一 | 取締役 | 1994年日製産業(現日立ハイテク)入社。2022年同社入社。2023年12月より管理本部長として現職。 |
社外取締役は、酒井 正之(弁護士)、檜森 啓二(元日信工業専務取締役)、緑川 正博(公認会計士)、間瀬 まゆ子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「米州」「欧州」「南・西アジア」「東アジア」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 米州
このセグメントでは、北米、中南米地域において、ストレッチブロー成形機等の販売およびアフターサービスを行っています。主な顧客は、飲料メーカーや食品メーカー、化粧品メーカーなどの容器を使用する企業です。
収益は、顧客への製品販売および保守サービス等から得ています。運営は主に、米国にある子会社NISSEI ASB CO.や、メキシコにある子会社NISSEI ASB CENTRO AMERICA, S.A. DE C.V.などが担当しています。
■(2) 欧州
このセグメントでは、欧州全域において、ストレッチブロー成形機等の販売およびアフターサービスを行っています。環境意識の高い同地域において、リサイクル対応や省エネ性能に優れた製品を顧客に提供しています。
収益は、機械装置や金型の販売代金、部品販売およびメンテナンス料などから得ています。運営は主に、ドイツにある子会社NISSEI ASB GmbHなどが担当しています。
■(3) 南・西アジア
このセグメントでは、インド、東南アジア、西アジア(中東)等の地域において、製品の製造および販売を行っています。特にインドは同社グループの主要な生産拠点であり、グローバル市場向けの製品供給も担っています。
収益は、製品の販売に加え、インド工場から他地域への製品供給によるグループ内取引も含まれますが、外部顧客への販売も拡大しています。運営は主に、インドのASB INTERNATIONAL PVT. LTD.やシンガポールのNISSEI ASB PTE. LTD.などが行っています。
■(4) 東アジア
このセグメントでは、日本を含む東アジア地域において、製品の製造、販売および研究開発を行っています。同社(親会社)が所在し、グループ全体の技術開発や高付加価値製品の生産、販売を統括しています。
収益は、日本国内および東アジア地域の顧客への製品販売、ならびにグループ会社への部品供給等から得ています。運営は主に、日本にある同社(日精エー・エス・ビー機械)が担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は300億円台から400億円台へと順調に拡大しており、特に2025年9月期は過去最高を更新しています。経常利益も増加傾向にあり、利益率は20%前後から25%へと高水準を維持・向上させています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 359億円 | 303億円 | 348億円 | 368億円 | 437億円 |
| 経常利益 | 96億円 | 89億円 | 70億円 | 80億円 | 109億円 |
| 利益率(%) | 26.7% | 29.5% | 20.0% | 21.8% | 25.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 67億円 | 61億円 | 51億円 | 58億円 | 77億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は47%台と高い収益性を維持しており、営業利益率も20%を超える高水準で推移しています。増収効果が利益増に直結していることがわかります。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 368億円 | 437億円 |
| 売上総利益 | 174億円 | 206億円 |
| 売上総利益率(%) | 47.3% | 47.1% |
| 営業利益 | 79億円 | 106億円 |
| 営業利益率(%) | 21.5% | 24.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が22億円(構成比22%)、荷造運搬費が10億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全ての地域セグメントで増収増益を達成しています。特に南・西アジアセグメントはインド等の好調により売上・利益ともに大きく伸長しました。東アジアも大型案件の寄与により利益率が非常に高く、グループ全体の収益を牽引しています。米州、欧州も堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 米州 | 121億円 | 141億円 | 18億円 | 25億円 | 17.6% |
| 欧州 | 76億円 | 81億円 | 10億円 | 13億円 | 16.1% |
| 南・西アジア | 108億円 | 130億円 | 22億円 | 31億円 | 23.4% |
| 東アジア | 63億円 | 84億円 | 54億円 | 70億円 | 82.7% |
| 連結(合計) | 368億円 | 437億円 | 79億円 | 106億円 | 24.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で稼いだ資金で投資を行い、借入金の返済も進める「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 96億円 | 84億円 |
| 投資CF | -8億円 | -10億円 |
| 財務CF | -34億円 | -39億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「人と社会に豊かさを提供する」「高い技術、サービスで恒久的な存続を追求する」という経営理念を掲げています。PETボトル用成形機の製造・販売を通じ、高い先取的技術を蓄積し、きめ細かいサービスを提供することで、PETボトルの普及と人々の便利で豊かな生活の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、経営理念に基づく企業目標を達成するための行動指針として、「顧客満足の追求」「継続的改善への試み」「規律と活力ある職場」を設定しています。業務執行体制の整備とともに、そこに帰属する従業員の高い資質を求め、これらを業務遂行上の規範としています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、売上総利益、営業利益、経常利益の絶対額の増加、およびこれらの対売上高比率の均衡・良化を重要な経営指標としています。具体的な数値目標としては、株主還元において「連結配当性向40%を目途」とすることなどを掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、気候変動やESG経営などの社会課題に取り組みつつ、中長期的な事業拡大を目指しています。技術面では「ゼロ・クーリングシステム」の深化や環境配慮型技術の開発、営業面では新興国市場の開拓やDXによるアフターサービス強化を推進しています。また、生産面では新工場建設の検討やインド工場の活用による原価低減を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、経営理念に共感し実践できる人材を採用し、自律的に考え行動できる人材を育成する方針です。次世代リーダーやDX人材の育成、女性管理職の育成に重点を置いています。また、多様な働き方への取り組みや健康経営、多国籍社員の活用を通じて、エンゲージメントの向上と社内環境の整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 42.9歳 | 14.3年 | 8,020,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 52.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 57.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規) | 58.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコアレーティング(B)、従業員総合満足度(3.3)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 単一事業のリスク
同社グループはストレッチブロー成形機等の製造販売という単一事業を営んでいます。プラスチック容器の需要低迷や、代替となる新たな包装容器の開発などの技術革新が起きた場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。同社は新素材や新分野の容器開発を推進し対応を図っています。
■(2) 在庫品に関するリスク
主力製品の一部はインド工場で計画生産され、短納期対応等のため一定数量の在庫を保有しています。市場の著しい変化により過剰在庫が発生した場合、評価損や処分損の計上により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は在庫状況を注視し、適正管理に努めています。
■(3) 海外政治/経済情勢変化
海外売上高比率が約9割と高く、生産もインドなどで拡大しています。各地域の政治・経済情勢の変化、国際税務、各種規制の動向により事業環境が変動するリスクがあります。同社は特定地域への依存を避け、影響を最小限にする体制を整えています。



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