※本記事は、株式会社ダイイチ の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ダイイチは、食料品を主体とするスーパーマーケットを26店舗展開しています。店舗内のテナント賃貸やショッピングセンター敷地の一部賃貸も主な付帯業務としています。
単体従業員数は437名です。セグメントは単一です。
同社は、食料品を主体としたスーパーマーケット26店舗を運営し、店舗内のテナント賃貸やショッピングセンター敷地の一部賃貸も手掛けています。
直近では、2024年11月に千歳店を、2025年3月にはイトーヨーカ堂アリオ札幌店の食品販売部門を継承した店舗をオープンし、店舗数を26カ店に拡大しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社は、普段の食生活を支えるスーパーマーケット事業を展開しており、地域に根差した事業を通じて持続的な発展を目指しています。従業員の働き方や給与水準は、安定した事業基盤の中で、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っている傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数と平均年齢から、比較的長く勤める従業員が多い傾向がうかがえます。これは、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、参考となる情報です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,444,820円 |
| 平均勤続年数 | 11.4年 |
| 平均年齢 | 38.1歳 |
| 単体従業員数 | 437人 |
同社は、従業員の退職給付に備えるため、非積立型の確定給付制度である退職一時金制度を採用しています。確定給付型制度は、給与や勤続年数に応じて将来の給付額が決まる仕組みです。
この制度は国内の従業員を対象としています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は776百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、社是である「お客様の普段の食生活のお役に立つ」に基づき、本業である食の提供を通じて全てのステークホルダーと共に持続的に発展することを目指しています。中期経営計画においても、「普段の食生活を通じて、地域を笑顔に」を基本方針とし、その実現に向けて取り組んでいます。
人財は最重要な経営資産の一つであるとの認識のもと、人事諸制度の見直しや人財への積極的な投資を実施しています。キャリアアップサポートや人財育成強化として、雇用形態に応じたキャリアパスの再構築、研修制度の再構築、採用強化、各種労働環境の改善等に取り組んでいます。
当事業年度においては、社員の大幅なベースアップを実施したほか、高齢化に伴い依存度を増している嘱託の処遇改善等に取り組みました。また、女性の積極登用にも取り組み、女性管理職を増加させたほか、研修に関しても外部機関等を活用しながら拡充を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職割合は、課長以上(課長補佐を除く)と定義して算定されています。育児休業等の取得割合は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 33.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 65.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 87.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 91.0% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者等の割合(中途採用者、外国人を含む) | 5.4% |
| 労働者の男女間の賃金の差異 | 65.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ダイイチは、食料品を主体としたスーパーマーケット事業を展開しています。北海道内で26店舗を運営しており、地域のお客様の普段の食生活を支えることを事業の核としています。
スーパーマーケットの運営に加えて、店舗内のテナントやショッピングセンター敷地の一部賃貸といった付帯業務も手掛けています。これらの事業を通じて収益を上げており、地域に密着したビジネスモデルが特徴です。
同社の事業は単一セグメントで構成されており、食料品販売が収益の大部分を占めています。地域別では、札幌ブロックの売上高が大きく伸長しており、帯広ブロック、旭川ブロックがこれに続いています。商品別では、一般食品の売上高が最も大きく、青果、デイリー、畜産、惣菜、水産がこれに続きます。特定の海外事業や為替リスクに関する記述はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が増加傾向にある一方で、利益は減少傾向を示しています。新規出店が売上高の増加に寄与しましたが、出店費用や人件費の増加が利益を押し下げる要因となりました。
売上総利益率はわずかに低下し、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は上昇しています。この結果、営業利益率、経常利益率、当期純利益率も前期と比較して低下しました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員に関する情報を見ると、単体従業員数は437名です。平均年齢は38.1歳、平均勤続年数は11.4年となっています。
平均年間給与は5,444,820円です。管理職に占める女性労働者の割合は5.4%であり、男性労働者の育児休業取得率は33.3%です。労働者の男女の賃金の差異は、全労働者で65.4%、正規雇用労働者で87.2%、パート・有期労働者で91.0%となっています。これらのデータは、同社の組織構成や働きがいに関する一端を示しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務状況は、事業運営の安定性を示す重要な要素です。自己資本比率やキャッシュフローの状況から、現在の経営状態を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率の推移から安定した状態にあることが示されています。当期の自己資本比率は63.0%であり、前期の64.3%からわずかに減少しましたが、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準を維持しています。この比率は、会社の財務的な健全性を示す指標の一つです。
手元資金である現金及び預金は、当期末で70億11百万円となっています。これらの財務状況は、事業運営における安定性を示しており、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる要素であると言えます。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 64.3% | 63.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローがプラスであり、投資活動によるキャッシュフローがマイナスとなっています。当期の営業活動によるキャッシュフローは17億3百万円の収入となり、税引前当期純利益や減価償却費の増加が主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは、新店出店に伴う有形固定資産の取得や敷金及び保証金の差入等により、9億76百万円の支出となりました。
これらの結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは7億27百万円のプラスとなっています。これは、本業で得た資金が投資活動による支出を上回っており、事業の安定的な運営と成長に向けた投資を両立している状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは、リース債務の返済や配当金の支払等により10億20百万円の支出となりました。同社は営業活動によるキャッシュフローを主な財源とし、必要に応じて銀行借入も活用する方針です。この資金の流れは、同社が安定した事業基盤を持ちながら、将来に向けた投資も継続していることを示しており、従業員の雇用安定性や事業の成長性につながる要素であると言えます。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 17.0億円 |
| 投資CF | △14.4億円 | △9.8億円 |
| 財務CF | △8.1億円 | △10.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | 7.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、道内スーパーマーケット業界における競合激化の影響を受ける可能性があります。既存競合先の低価格ビジネスモデルへの転換や新たな道外資本の進出により、競争環境が厳しさを増していることが示されています。また、小売店舗の収益性が低下した場合には、減損会計の適用に伴う損失が発生する可能性もリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、更なる成長を実現するために優秀な人財の確保及び育成が重要な課題であると認識しています。今後、人財確保が予定通りに進まない場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があるとされています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ダイイチは、日々の食生活を通じて地域社会に貢献し、お客様の暮らしに欠かせない存在となることを目指しています。全てのステークホルダーと共に持続的に発展していく企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「消費者の毎日の食生活を豊かにするためのお手伝いをする」という、スーパーマーケットの社会的役割の実現を経営の基本としています。お客様の普段の食生活に役立つことをキーワードに、商品の品質・鮮度向上や品揃え強化、接客サービスの向上を重点目標としています。
お客様をはじめとするステークホルダーとの良好な関係を維持し、地域社会への貢献に努める方針です。社是である「お客様の普段の食生活のお役に立つ」の精神に基づき、「普段の食生活を通じて、地域を笑顔に」を基本方針とする中期経営計画を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ダイイチは、人財の育成を企業成長の源泉と捉え、社員一人ひとりの能力開発を推進しています。社外セミナーへの積極的な参加や社内勉強会の充実、専門講師による技術者指導など、教育投資の充実に努めています。
同社は「お客様の普段の食生活のお役に立つ」という社是に基づき、本業である食の提供を通じて全てのステークホルダーと共に持続的に発展することを目指しています。中期経営計画では「普段の食生活を通じて、地域を笑顔に」を基本方針に掲げ、地域社会やお客様、株主、従業員といった全てのステークホルダーの豊かさや幸せ、発展に貢献することを目指しています。ガバナンス態勢の維持・強化にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、厳しい経営環境が続くと予想される中で、中期経営計画に基づき複数の重点項目に取り組んでいます。具体的には、ガバナンス体制の強化を掲げており、人財の確保・育成強化やジェンダーレス推進、業務改善推進、災害対策強化を進めています。
また、コンプライアンスの徹底も重要な課題としています。食を通じた社会貢献推進も重点項目の一つであり、地域社会への貢献を重視する姿勢を示しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役制度を採用しており、社外取締役や社外監査役を設置することで、経営の透明性と公正性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ダイイチの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるイトーヨーカ堂です。その他、ダイイチ取引先持株会や野村信託銀行(投信口)が上位株主として名を連ねています。特定の事業会社が筆頭株主として同社を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| イトーヨーカ堂 | 30.56% |
| ダイイチ取引先持株会 | 4.24% |
| 野村信託銀行(投信口) | 3.26% |
なお、2023年4月21日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、フィデリティ投信は2023年4月14日現在で707,300株(株券等保有割合6.30%)を所有している旨が記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.0%です。代表取締役社長兼営業本部長は若園清氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 若園 清 | 代表取締役社長兼営業本部長 | 1979年4月同社入社、帯広店舗運営部長、取締役、常務取締役、専務取締役を経て、2020年11月同社代表取締役社長、2022年9月より現職。 |
| 西崎 進 | 常務取締役管理本部長 | 1986年4月北海道拓殖銀行入行、北洋銀行支店長、リテール戦略部長、法務コンプライアンス部長を経て、2022年11月同社入社、執行役員、取締役管理本部長兼企画IR担当を経て、2024年12月より現職。 |
| 吉田 直久 | 常務取締役販売本部長兼 札幌ブロック長 | 1984年4月同社入社、商品第二部次長、販売本部札幌ブロック長、執行役員を経て、2023年12月同社取締役販売本部担当兼札幌ブロック長、2024年12月より現職。 |
| 忠石 信之 | 取締役開発企画本部長兼 BCP・災害対策推進室長 | 1991年1月同社入社、開発企画部部長、執行役員を経て、2022年12月同社取締役開発企画部担当、2024年12月より現職。 |
| 北村 攻 | 取締役販売本部副本部長兼 帯広ブロック長 | 1999年7月同社入社、販売本部札幌ブロック長、執行役員を経て、2022年12月同社取締役販売本部担当兼帯広ブロック長、2024年12月より現職。 |
社外取締役は、宮川明氏(イトーヨーカ堂参与)、井雲康晴氏(財務経営調査研究所代表)、祖母井里重子氏(弁護士・ロジネットジャパン社外取締役)、林美香子氏(慶應義塾大学大学院SDM研究所顧問)です。
同社は監査役制度を採用しており、取締役9名中4名、監査役3名中2名が社外役員で構成されています。社外役員は、経営の監督や監査を通じて、意思決定の妥当性・適正性を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬と業績連動報酬で構成されています。業績連動報酬は、中期経営計画に掲げる経営目標(売上高、来店客数、当期純利益、CO₂排出量、女性活躍支援実績など)を指標とし、年次の達成度に応じて支給される仕組みです。報酬決定プロセスにおいては、代表取締役社長と全社外役員を委員とする指名・報酬諮問委員会が審議を行い、その結果を取締役会に答申することで、透明性、公正性、適正性を確保しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.2億円 | 23.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 8.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 22百万円 | 3.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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