※本記事は、株式会社ダイイチ の有価証券報告書(第71期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ダイイチってどんな会社?
北海道の帯広・旭川・札幌地区を中心に、地域密着型の食料品スーパーマーケットチェーンを展開する企業です。
■(1) 会社概要
1958年に帯広フードセンターとして設立され、1963年に第一スーパーへ商号変更しました。1991年に現在の社名へ変更し、2013年にはイトーヨーカ堂と資本業務提携を締結しています。現在はドミナント戦略に基づき店舗網を拡大し、2022年の市場区分見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。
従業員数は単体で437名です。筆頭株主は資本業務提携先である大手流通グループの事業会社で、第2位は取引先持株会、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イトーヨーカ堂 | 30.56% |
| ダイイチ取引先持株会 | 4.24% |
| 野村信託銀行(投信口) | 3.26% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.0%です。代表取締役社長兼営業本部長は若園 清氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 若園 清 | 代表取締役社長兼営業本部長 | 国分入社後、同社へ入社。販売本部長、開発企画本部長、総務部担当などを歴任し、2020年より現職。 |
| 西崎 進 | 常務取締役管理本部長 | 北海道拓殖銀行入行後、北洋銀行にて法務コンプライアンス部長等を歴任。2022年に同社へ入社し、2024年より現職。 |
| 吉田 直久 | 常務取締役販売本部長兼札幌ブロック長 | 同社入社後、商品第二部次長、販売本部札幌ブロック長等を歴任。2024年より現職。 |
| 忠石 信之 | 取締役開発企画本部長兼BCP・災害対策推進室長 | 帯広スバル自動車入社後、同社へ入社。開発企画部部長等を歴任し、2024年より現職。 |
| 北村 攻 | 取締役販売本部副本部長兼帯広ブロック長 | 新日本製鐵入社後、同社へ入社。販売本部札幌ブロック長、帯広ブロック長等を歴任し、2024年より現職。 |
社外取締役は、宮川 明(イトーヨーカ堂参与)、井雲 康晴(財務経営調査研究所代表)、祖母井 里重子(ロジネットジャパン社外取締役)、林 美香子(慶應義塾大学大学院SDM研究所顧問)です。
2. 事業内容
同社グループは、「スーパーマーケット」および「その他」事業を展開しています。
■(1) スーパーマーケット事業
北海道の帯広、旭川、札幌の各ブロックにおいて、生鮮食料品を中心としたスーパーマーケット店舗の運営を行っています。地域住民を主な顧客とし、日々の食生活に必要な商品を提供しています。
収益は、一般消費者への商品販売による代金が中心です。運営は主に同社が行っています。
■(2) その他事業
スーパーマーケット店舗内のテナントスペースやショッピングセンター敷地内の一部の賃貸業務を行っています。
収益は、テナント出店者等からの賃貸料収入等です。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は右肩上がりの傾向にあり、特に直近の2025年9月期には586億円まで拡大しています。一方、利益面では、経常利益が2021年9月期の20億円水準から2025年9月期には13億円へと減少しており、利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 440億円 | 466億円 | 480億円 | 518億円 | 586億円 |
| 経常利益 | 20億円 | 19億円 | 18億円 | 20億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 4.5% | 4.1% | 3.8% | 3.8% | 2.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 13億円 | 12億円 | 12億円 | 14億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高は前期の518億円から586億円へと約13%増加しました。しかし、売上総利益率は25.6%から25.3%へわずかに低下し、営業利益は19億円から13億円へと減少しました。営業利益率も3.7%から2.2%へと低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 518億円 | 586億円 |
| 売上総利益 | 132億円 | 148億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.6% | 25.3% |
| 営業利益 | 19億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 3.7% | 2.2% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が55億円(構成比39%)、広告宣伝費が13億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
スーパーマーケット事業では、新規出店効果などにより売上が増加しています。その他事業(不動産賃貸等)は安定的に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) |
|---|---|---|
| スーパーマーケット | 518億円 | 586億円 |
| その他 | 2億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 520億円 | 587億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 23億円 | 17億円 |
| 投資CF | -14億円 | -10億円 |
| 財務CF | -8億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「消費者の毎日の食生活を豊かにするためのお手伝いをする」というスーパーマーケットの社会的役割の実現を経営の基本としています。顧客の暮らしに欠かすことのできない店作りを通じて、売上の拡大と利益の追求を図り、ステークホルダーとの良好な関係維持と地域社会への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
「お客様の普段の食生活のお役に立つ」をキーワードに、商品の品質・鮮度の向上、品揃えの強化、接客サービスの向上などを重視する文化があります。また、『普段の食生活を通じて、地域を笑顔に』を基本方針とし、地域や顧客の日常に根差した信用・信頼される企業であることを大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画に基づき、最終年度である2026年9月期に向けた目標を掲げています。また、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」として、PBR(株価純資産倍率)などの指標も意識した経営を行っています。
* 売上高:615億円
* 営業利益:16億8000万円
* 経常利益:16億3000万円
* 当期純利益:12億円
■(4) 成長戦略と重点施策
成長戦略としてドミナント戦略を基本方針とし、帯広・旭川・札幌各地区での売上高シェア向上を図るため、新規出店やスクラップ&ビルドを進めています。特に新規出店が進んでいない旭川地区を優先した出店検討や、店舗の大型化・標準化による競争力確保、ローコストオペレーションの実現を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の育成を企業成長の源泉と捉え、社外セミナーへの参加や社内勉強会の充実、専門講師による技術者指導など、教育投資を積極的に行っています。また、多様な人材の採用・登用強化や、雇用形態に応じたキャリアパスの再構築、労働環境の改善などを通じて、社員一人一人の能力開発と働きがいの向上に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 38.1歳 | 11.4年 | 5,444,820円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.4% |
| 男性育児休業取得率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.4% |
| 男女賃金差異(正規) | 87.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 91.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 災害等の発生による影響
北海道内において店舗や物流・製造拠点を保有しているため、大規模自然災害、感染症、犯罪などが発生した場合、施設の損壊や営業停止などの被害を受ける可能性があります。これらの事象により、同社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
■(2) 競合等の影響について
北海道内のスーパーマーケット業界では、同業他社との競争に加え、他業態の進出もあり競争が激化しています。他社の新規出店や業態転換、低価格戦略などが、同社の営業基盤におけるシェア争いに影響を与え、一時的に業績へ影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 食品の安全性について
食料品を取り扱う企業として、食中毒の発生、BSE問題、鳥インフルエンザ、残留農薬問題などの予期せぬ事態が発生した場合、一時的に業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は衛生管理や鮮度管理を徹底していますが、食の安全に関するリスクは常に存在します。



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