※本記事は、株式会社東京一番フーズ の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東京一番フーズグループは、飲食事業を起点に、卸売、養殖、加工事業を垂直的に展開する6次産業化を推進しています。水産物のSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)力を活かした総合水産企業を目指しています。
単体従業員数は132名、連結従業員数は241名です。同社グループの事業セグメントは、飲食事業、外販事業、不動産賃貸事業の3つです。
主な国内グループ会社は、長崎ファーム(飲食事業及び・外販事業)、寿し常(飲食事業・不動産賃貸事業)などです。
同社グループは、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更し、不動産賃貸事業を独立した報告セグメントとして開示しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東京一番フーズは、飲食事業を主軸とする企業として、従業員の育成と働きやすい環境づくりに力を入れています。特に、多様な人材の活躍を推進し、長期的な視点でのキャリア形成を支援する方針が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
東京一番フーズでは、平均勤続年数と平均年齢から、比較的若年層の従業員が中心となり、一定の期間にわたってキャリアを築いている傾向がうかがえます。人材の定着を促し、成長を支援する環境が整備されていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,445,000円 |
| 平均勤続年数 | 7年8ヶ月 |
| 平均年齢 | 33歳1ヶ月 |
| 単体従業員数 | 132人 |
| 連結従業員数 | 241人 |
| 単体のグループ内比率 | 54.8% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
東京一番フーズは、水産資源の確保と有効活用を経営の重点項目とし、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指しています。この方針に基づき、人材の採用・育成と職場環境の整備に注力しています。
新卒採用を積極的に行い、長期的な視点での店舗経営者や将来の経営者を含む人材育成に取り組んでいます。また、中途採用にも力を入れ、即戦力となる社員の獲得に努めています。
人材における多様性の確保と活用を目指し、従業員の成長段階や育成目的に合わせた多面的な教育研修を実施しています。具体的には、OJTを中心に、新入社員からベテラン社員まで様々な成長ステージに応じた教育や専門技能取得機会を提供しています。社外有識者による研修の受講や、将来の幹部社員育成を目的とした「坂本塾」の開催など、人材育成に力を入れています。年齢や性別にかかわらず適材適所の人事配置・登用を進め、就業環境や社内制度の整備、外国人社員のための教育・就業・生活環境の拡充も図っています。ハラスメントの防止・抑制にも取り組み、適切な対処を行うための仕組みを整備しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 19.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 54.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 90.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 82.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱寿し常
男性労働者の育児休業取得率につきましては、育児・介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 46.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 63.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 79.1% |
任意開示指標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性取締役(役員比率) | 2名(22.2%) |
| 女性店長・責任者数 | 9名(19.1%) |
| 女性従業員数 | 30名(22.7%) |
| 女性の新卒採用数 | 4名(25.0%) |
| 男女間賃金差異(正規雇用労働者) | 90.0% |
| 外国人従業員数 | 5名(3.8%) |
| 60歳以上の高齢者採用数 | 2名(7.7%) |
| ふぐ免許取得者数 | 75名(56.8%) |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東京一番フーズは、飲食事業を起点に、卸売事業、養殖事業、加工事業を垂直的に展開する「6次産業化」を推進しています。水産物のサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)力を持つ総合水産企業を目指し、お客様視点での業務改善やイノベーションを通じて新たな価値を創造しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、水産物の調達から加工、流通、店舗での提供までを一貫して行う垂直統合型の運営を強みとしています。自社養殖魚の活用により高品質な食材を安定的に確保し、中間流通コストを削減することで、お客様にお値打ち価格で商品を提供できる収益モデルを構築しています。また、ふぐ調理師免許を持つ職人を多数抱えることで、高品質な料理提供と競合他社との差別化を図っています。海外市場への展開も進めており、米国ニューヨークではシーフードレストランを運営しています。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| 飲食事業 | 67.2億円 | 65.3億円 |
| 外販事業 | 7.3億円 | 6.8億円 |
| 不動産賃貸事業 | 10百万円 | 33百万円 |
飲食事業
「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」や「おいしい寿司と活魚料理魚の飯」、「うまい寿司と魚王KUNI」といったブランドを直営およびフランチャイズで展開しています。米国ニューヨークでは「WOKUNI」ブランドのシーフードレストランも運営しており、株式会社寿し常では「寿し常」ブランドの寿司業態を展開しています。収益は、これらの飲食店舗での料理・サービスの提供から得ています。運営は、東京一番フーズ、長崎ファーム、Ichiban Foods Inc.、寿し常、Ichiban Foods Broadway Inc.が行っています。
外販事業
株式会社長崎ファームが、自社養殖魚などの活魚・鮮魚を法人や個人向けに販売しています。収益は、生産から物流・加工までの一貫体制を活かした活魚・鮮魚の卸売・販売から得ています。運営は、長崎ファームが行っています。
不動産賃貸事業
東京一番フーズおよび株式会社寿し常が、東京都その他の地域で居住用物件や賃貸商業施設を保有し、賃貸収益を得ています。収益は、これらの物件の賃貸料から得ています。運営は、東京一番フーズ、寿し常が行っています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は前期に減少に転じ、当期も減少傾向を示しています。経常利益も当期は減少となりました。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて大幅に増加しています。これは、前期に発生した固定資産売却損が当期は少額であったことが主な要因です。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 45.3億円 | 60.8億円 | 72.7億円 | 74.6億円 | 72.5億円 |
| 経常利益 | 1.2億円 | 2.7億円 | 1.8億円 | 2.5億円 | 1.9億円 |
| 経常利益率 | 2.7% | 4.5% | 2.5% | 3.3% | 2.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 17百万円 | 1.2億円 | 1.1億円 | 39百万円 | 76百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 1.97 | 13.73 | 12.24 | 4.38 | 8.51 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、従業員数の減少と売上高の減少幅を比較した際に、売上高の減少幅が小さかったことを示しています。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から当期にかけて減少しており、これは売上高の減少に加えて、人員整備や仕組み作りのための先行投資が影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 28.1百万円 | 30.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.9百万円 | 0.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、事業活動で得た資金を将来に向けた投資に充てている状況です。現在の財務状況から、今後の成長に向けた投資フェーズにあることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの純資産は当期に増加しています。自己資本比率は前期から減少傾向にあり、プライム市場の非製造業平均と比較すると高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は前期から改善しており、当期はプライム市場平均を下回る水準となっています。現金及び預金は当期に減少しており、手元資金の状況は変化しています。これらの財務指標は、同社グループの事業運営と資金状況を示しており、入社後の雇用や給与の安定性を判断する上での参考となります。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 15.8億円 | 16.7億円 |
| 自己資本比率 | 35.7% | 28.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.6% | 4.8% |
| 現金及び預金 | 9.4億円 | 8.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、当期に1億32百万円の獲得となりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加が主な要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは、当期に16億円の使用となり、有形固定資産の取得やエスクロー口座への振替による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは、当期に12億85百万円の獲得となり、長期借入れによる収入が主な要因となっています。これらの結果、フリーキャッシュフローは当期にマイナスとなり、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。この資金の流れは、同社グループが将来の成長に向けた投資を積極的に行っていることを示しており、今後の事業拡大や雇用機会の創出に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 10百万円 | 1.3億円 |
| 投資CF | △2.7億円 | △16.0億円 |
| 財務CF | △2.2億円 | 12.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.6億円 | △14.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主要事業である「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」は、業態の特性上、繁忙期と閑散期で売上高や利益水準に極端な差異が認められる傾向があります。また、米国での事業展開においては、経済状況、政治及び社会体制の変化、為替相場、法的規制や取引慣行等により、事業展開が制約を受ける可能性があります。これらの要因は、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループでは多数のパート・アルバイトを雇用しており、今後の労働人口の減少により適正な労働力を確保できない場合、人員確保のための採用費用が増加する可能性があります。また、各種労働法令の改正等により、人件費や管理費用負担が増加する可能性も示されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東京一番フーズは、本物の食材と質の高いサービスを通じて、お客様に特別な時間を提供することを重視しています。持続可能な社会への貢献と、従業員の成長を大切にする企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、自然の恵みである本物の食材をお客様に提供することを最大のモットーとしています。特に主要食材である国産高級とらふぐに徹底的にこだわり、安全安心な食材の提供を目指しています。
また、「大切な人と過ごせる空間の演出」ももう一つのモットーとして掲げています。これらのモットーを通じて、高品質な経営を実現していくことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「食材・空間・サービスへのこだわり」を深く理解し、お客様をおもてなしすることを実践する企業風土を大切にしています。独立意欲のある社員に対しては、独立教育プログラムやのれん分け制度を推進し、新たなベンチャー企業家を輩出することを目指しています。
また、コンプライアンスの徹底とリスクマネジメントを通じて、コーポレート・ガバナンス体制の継続的な強化に取り組んでいます。水産資源の確保と有効活用を経営の重点項目とし、持続可能で豊かな社会の実現に貢献しています。人材の多様性の確保と活用を目指し、男女間の機会均等や外国人社員の活躍のための環境整備も進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、従業員教育と人材の育成と輩出を重要な課題としています。店舗スタッフのサービスレベル維持・向上に向けたIT活用や、多様な人材採用・育成・評価制度の確立、ベンチャー企業家の輩出を推進しています。
食材の安全性の確保と情報発信にも力を入れており、国産高級とらふぐのトレーサビリティシステムを開発・運営しています。6次産業化の推進や産直ルートの開発を通じて、安全かつ新鮮な食材の提供と情報発信を強化しています。
また、SDGsの達成に向けた具体的活動に取り組み、水産物の養殖・卸売・加工事業において資源保護と安定供給を継続していくことを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東京一番フーズは、取締役会と監査役会を設置する監査役会設置会社です。
大幅な権限委譲による迅速な経営判断と、社外役員を含む体制による監督機能の確保を重視しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
東京一番フーズの筆頭株主は株式会社なにわです。
代表取締役社長の坂本大地氏や常務取締役の良川忠必氏も上位株主として名を連ねています。
特定の事業会社と経営陣が上位を占める資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| なにわ | 29.35% |
| 坂本 大地 | 10.83% |
| 良川 忠必 | 1.06% |
| 坂本 洋平 | 0.81% |
| 東京一番フーズ従業員持株会 | 0.81% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
東京一番フーズの役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。
代表取締役社長兼営業本部長は坂本大地氏が務めています。
社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 坂本 大地 | 代表取締役社長兼営業本部長 | 平成2年11月にふぐ料理店開業に参画し、平成8年10月にとらふぐ亭を開業しました。平成10年10月に㈲東京一番フーズ(現同社)を設立し取締役就任、平成12年9月より同社代表取締役社長を務めています。 |
| 河原 庸仁 | 取締役 | 平成13年7月に㈱リンク・ワン代表取締役専務に就任し、平成24年5月より㈱T&K Management systems代表取締役社長を務めています。平成25年12月より同社取締役、令和7年12月より同社専務取締役に就任しています。 |
| 良川 忠必 | 常務取締役 商品本部長 | 平成6年10月にふぐ料理店に就職し、平成10年10月に㈲東京一番フーズ(現同社)に入社しました。平成18年3月より㈱長崎ファーム代表取締役社長、平成30年12月より同社常務取締役商品本部長を務めています。 |
社外取締役は、前田豊司氏(元日興アイ・アール株式会社代表取締役社長)、梅原美樹氏(㈱経営共創基盤マネージングディレクター)、安田隆氏(NTW Inc.㈱代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名、社外監査役3名を選任しています。
これにより、客観的かつ中立的な立場からの経営監督・監視機能の確保を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
東京一番フーズの役員報酬は、固定報酬と業績連動型株式報酬で構成されています。
中長期的な企業価値増大への貢献と株主価値向上への責任を明確にするため、譲渡制限付株式報酬制度も導入しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 84百万円 | 21.0百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 20百万円 | 2.8百万円 |
役員報酬の総額は1.0億円で、報酬対象となった役員は合計11名です。
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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