ランドビジネス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ランドビジネス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のランドビジネスは、不動産賃貸・開発を主軸に、外食、服飾事業を展開しています。2025年9月期は、販売用不動産の売却やフランドル等の子会社化効果で売上高が前期比約2倍の186億円と大幅増収を達成しました。営業損益も黒字転換しましたが、最終損益は4億円の赤字となりました。


※本記事は、株式会社ランドビジネス の有価証券報告書(第41期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ランドビジネスってどんな会社?


ランドビジネスは、高級感のある不動産開発・賃貸を中心に、M&Aを通じて外食や服飾へ事業を拡大する企業です。

(1) 会社概要


1985年に総合不動産デベロップメント事業を目的に設立されました。2005年にジャスダックへ上場し、2007年には東証一部銘柄に指定(2022年にスタンダード市場へ移行)。近年は事業多角化を進め、2020年に外食事業、2021年に服飾事業を開始しました。その後、2023年に株式会社フランドル等を連結子会社化し、業容を急拡大させています。

連結従業員数は604名、単体は67名です。筆頭株主は創業者で会長の亀井正通氏、第2位は亀井綾子氏、第3位は永井詳二氏であり、創業者一族や個人が大株主の上位を占めています。

氏名 持株比率
亀井正通 38.50%
亀井綾子 22.14%
永井詳二 3.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名、計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は森作哲朗氏です。社外取締役比率は10.0%です。

氏名 役職 主な経歴
亀井正通 代表取締役会長 住友不動産販売等を経て、1985年同社設立・取締役。同年社長就任。2011年より現職。スターダスト取締役を兼務。
森作哲朗 代表取締役社長建築設計部担当兼新規事業担当 東京興産を経て、1987年同社入社。管理部長、建築設計部長等を歴任し、2019年社長就任。フランドル社長等を兼務。
佐々木廣明 取締役都市開発部担当 2002年同社入社。都市開発部長、執行役員等を経て、2019年取締役就任。建築設計部担当等を歴任し、2022年より現職。
加藤毅 取締役新規事業担当 2007年同社入社。管理部副部長、執行役員管理部部長等を経て、2019年取締役就任。2022年より現職。
安藤隆紀 取締役兼執行役員新規事業担当 住友商事入社。欧州住友商事SUMIAGRO取締役、住商アグロインターナショナル常務執行役員等を経て、2023年同社入社、現職。
吉田繁美 取締役新規事業担当 株式会社スポーツユニティー、AMERICAN MALLS INTERNATIONAL等を経て、2023年同社入社。2025年より現職。


社外取締役は、クリストフ・ジャック・ガブリエル・ランシュー(フィスカースパンアジアヴァイスプレジデント)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産関連事業」「外食事業」「服飾事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 不動産関連事業


オフィスビルやレジデンスの賃貸、ビル管理、および不動産開発・販売を行っています。リビルド工事による付加価値向上や新規物件取得を推進しています。

収益は、テナントからの賃料収入、ビル管理手数料、不動産売却益等から得ています。運営は主に同社、株式会社スターダスト、寿月興産有限会社、村田商事株式会社が行っています。

(2) 外食事業


「美しいファシリティ」「健康的で美味しい食事」「質の高いホスピタリティ」をコンセプトに、飲食店の企画・運営を行っています。

収益は、飲食店利用者からの飲食代金等から得ています。運営は主に同社および株式会社TAKEWAKAが行っています。

(3) 服飾事業


高品質な婦人服・紳士服等の商品企画、生産、販売を一貫体制で行っています。「装う楽しみ」を提供する商品の展開を目指しています。

収益は、商品購入者からの代金等から得ています。運営は主に同社、株式会社フランドル、株式会社Tex Techが行っています。

(4) その他


上記セグメントに含まれない事業として、宝飾品の製造・卸売等を行っています。

収益は、製品の販売代金等から得ています。運営は主に甲府貴宝株式会社等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は第40期に倍増、第41期もさらに大幅増収となり、急速な事業拡大が続いています。一方、利益面では第40期に大きな損失を計上しましたが、第41期には経常損益が黒字化しました。最終損益は赤字が縮小傾向にあります。

項目 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 45億円 100億円 186億円
経常利益 -5億円 -20億円 2億円
利益率(%) -10.5% -19.7% 0.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 -21億円 -0.5億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も倍増しています。営業損益は前期の赤字から黒字に転換しました。販売費及び一般管理費は増加していますが、増収効果がこれを上回りました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 100億円 186億円
売上総利益 44億円 88億円
売上総利益率(%) 44.1% 47.3%
営業利益 -16億円 6億円
営業利益率(%) -15.6% 3.4%


販売費及び一般管理費のうち、賃借料が27億円(構成比33%)、給料及び手当が19億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


不動産関連事業が大幅な増収増益となり、全社の業績を牽引しました。外食事業と服飾事業は増収となったものの、営業損失が継続しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
不動産関連事業 41億円 100億円 13億円 41億円 41.4%
外食事業 6億円 12億円 -7億円 -10億円 -84.7%
服飾事業 50億円 72億円 -11億円 -9億円 -12.8%
その他 2億円 2億円 -2億円 -0.5億円 -26.7%
調整額 - - -9億円 -15億円 -
連結(合計) 100億円 186億円 -16億円 6億円 3.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -26億円 30億円
投資CF -15億円 -50億円
財務CF -6億円 35億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-2.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は28.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「美しく安全で長期にわたり社会を支える街づくり」を理念とし、「都市にヨーロッパの光と風」をデザインコンセプトに据えています。成熟社会において美しい街と安心の生活を提供し、伝統と知性を融合した美しいデザインの建物で社会貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


業界の常識にとらわれない本質的な情報収集・分析を行い、高く長期的な収益が見込める事業に資源を集中させることを行動規範としています。常に変革を考え、信念を持った計画と的確な戦術で社会の変化に素早く対応する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


株主価値の持続的な向上を重要な経営課題と位置付け、以下の指標を考慮しながら経営を行っています。
* 自己資本比率
* EBITDA

(4) 成長戦略と重点施策


不動産関連事業では、効果的なリーシングやリビルド工事による付加価値創造、収益物件の新規取得を推進します。外食事業ではデザイン力を活かした店舗づくりと効率化、服飾事業では旗艦店の出店や生産体制の再構築に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本の充実を重要課題とし、各種研修制度の整備や女性管理職の登用、外国人採用の推進など多様な人材の活用を進めています。教育や介護と仕事の両立支援、有給休暇取得推奨など、働きやすい風土づくりにも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 50.2歳 3.1年 13,971,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 48.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 55.6%
男女賃金差異(正規雇用) 57.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 56.5%


※連結子会社(株式会社フランドル)の数値です。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 有利子負債依存度について


用地や物件の取得資金等を主に借入金で賄っているため、有利子負債依存度が高くなっています。金利変動により経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 財務制限条項について


一部の借入金には純資産維持や利益維持などの財務制限条項が付されています。これらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる可能性があります。

(3) 原材料価格や光熱費の上昇リスクについて


外食事業等において、原材料価格の高騰やエネルギー価格上昇に伴う光熱費の上昇が原価率を押し上げ、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。