ニシオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ニシオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の総合レンタル業大手です。建設・設備工事用機器やイベント機材のレンタルを主力事業としています。直近の業績は、売上高2,150億円、経常利益188億円と増収増益で推移しました。建設DXや物流・イベント事業との融合を推進し、新たな成長を目指しています。


※本記事は、ニシオホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第67期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ニシオホールディングスってどんな会社?


総合レンタル業のパイオニアとして、建設機械からイベント機材まで幅広く展開する企業グループです。

(1) 会社概要


1959年に宝電機として設立され、1965年に道路機械のレンタルを開始しました。1983年に西尾レントオールへ商号変更し、業界初のフランチャイズ展開などを行いました。2023年4月に持株会社体制へ移行し、ニシオホールディングスに商号変更しました。現在は建設DXや海外展開にも注力しています。

同社グループの連結従業員数は4,842名(単体36名)です。大株主構成は、筆頭株主はサンコー機販で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
サンコー機販 11.02%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.72%
THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LTD. 10.46%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は西尾 公志氏です。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
西尾 公志 代表取締役社長 小松製作所を経て1987年に入社。経営計画室長、東京支店長、常務取締役等を歴任し、2003年より現職。サコス取締役会長も兼任。
外村 圭弘 取締役特命事項担当 1978年入社。千葉営業部長、東京支店長、常務取締役等を歴任。2023年4月より現職。
四元 一夫 取締役管理部門担当 1980年入社。経理部長、社長室長、執行役員を経て、2018年に取締役就任。2023年4月より現職。
瀬尾 伸一 取締役安全品質部門担当 1982年サコス入社。同社取締役東京営業部長、常務取締役を経て2009年同社社長。2023年4月より現職。


社外取締役は、中小路 久美代(公立はこだて未来大学システム情報科学部教授)、三橋 さゆり(一般財団法人日本建設情報総合センター審議役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レンタル関連事業」および「その他」事業を展開しています。

レンタル関連事業

建設・設備工事用機器(土木・道路用機械、高所作業用機械等)やイベント用機材、通信機器等の賃貸および販売を行っています。また、建設機械のオペレーション業務や運送、工事請負なども手がけています。

主な収益は、顧客である建設会社やイベント主催者等からのレンタル料および商品販売代金です。運営は主に西尾レントオール、サコス、ニシオティーアンドエムなどの子会社が行い、海外ではオーストラリアや東南アジアの現地法人が展開しています。

その他

上記セグメントに含まれない事業として、海外製建設機械の輸入販売、特殊搬送車両等の製造・販売、保険代理業、不動産賃貸業などを展開しています。

収益源は、顧客からの商品販売代金や保険手数料、不動産賃貸料などです。運営は主に山﨑マシーナリー、新トモエ電機工業、西尾開発などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、経常利益ともに右肩上がりの成長トレンドを描いています。売上高は1,600億円台から2,100億円台へと順調に拡大し、利益率も8%台後半を維持するなど、安定した収益基盤を確立していることが読み取れます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 1,618億円 1,706億円 1,857億円 1,990億円 2,150億円
経常利益 135億円 143億円 157億円 174億円 188億円
利益率(%) 8.3% 8.4% 8.4% 8.7% 8.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 76億円 79億円 51億円 28億円 66億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益状況を見ると、売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。原価率や販管費率に大きな変動はなく、事業規模の拡大に合わせて利益もしっかりと確保できている効率的な経営状況がうかがえます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 1,990億円 2,150億円
売上総利益 809億円 871億円
売上総利益率(%) 40.7% 40.5%
営業利益 180億円 196億円
営業利益率(%) 9.1% 9.1%


販売費及び一般管理費のうち、減価償却費が43億円(構成比6%)、保険料が34億円(同5%)を占めています。売上原価については、賃貸原価が990億円(売上原価合計の77%)を占めています。

(3) セグメント収益


レンタル関連事業は、建設DXの推進やイベント需要の取り込みにより増収増益となりました。その他事業も海外製建機販売などで増収となりましたが、利益面では減少しています。全体として主力事業が堅調に推移し、グループ全体の成長を牽引しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
レンタル関連事業 1,914億円 2,072億円 172億円 189億円 9.1%
その他 76億円 78億円 5億円 3億円 3.8%
調整額 -6億円 -10億円 4億円 4億円 -
連結(合計) 1,990億円 2,150億円 180億円 196億円 9.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

豊富な営業キャッシュ・フローのプラスで、投資キャッシュ・フローと財務キャッシュ・フローのマイナスをカバーしています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 296億円 318億円
投資CF -94億円 -42億円
財務CF -135億円 -152億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.9%で市場平均(プライム市場9.4%)をやや下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.6%で市場平均(プライム市場・非製造業24.2%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「わがグループは総合レンタル業のパイオニアとして経済社会に貢献する」という社是を掲げています。ユーザーの立場からレンタル活用のメリットを追求し、安全な商品と安心できるサービス体制を提供することで、社員一人一人が信頼される企業集団を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「心学五則」を経営理念の根底に置いています。「持敬の心」(畏敬の念を持つ)、「積仁の心」(徳を積む)、「知命の心」(社会的有用性の創設)、「致知の心」(知恵を生かす)、「長養の心」(長期的視野)を指針とし、これらを職務執行の拠り所としています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「Next Stage 2026」では、2026年9月期を最終年度とする数値目標を掲げています。レンタル事業の進化とサステナビリティ経営の推進により、以下の目標達成を目指しています。

* 売上高:2,200億円
* 営業利益:190億円
* EBITDA:573億円
* ROI:23.2%維持

(4) 成長戦略と重点施策


建機レンタル事業を新たな成長産業へ進化させるため、「建設ロジスティックス」(建機レンタル+運送物流)や「仮設のチカラ」(建機レンタル+イベント)といった融合領域に注力しています。また、DXを活用した建設産業の生産性向上や、海外でのM&A推進、木造モジュール事業などのサステナビリティ経営も重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


自ら主体的・能動的に考え、経営環境の変化に柔軟に対応できる人材の育成を目指しています。そのために職能資格制度や目標管理制度を導入し、プロフィット制度を通じて経営感覚の向上を図っています。また、多様な人材が活躍できる職場環境の整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 45.0歳 18.7年 7,175,084円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.2%
男性育児休業取得率 39.7%
男女賃金差異(全労働者) 75.8%
男女賃金差異(正規) 77.3%
男女賃金差異(非正規) 50.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める中途採用者割合(32.9%)、管理職に占める女性労働者割合(5.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績の変動要因

主力事業である建設・設備工事用機器レンタルは、建設投資動向の影響を強く受けます。民間設備投資や公共事業予算の増減により収益が左右されるほか、イベント分野も経済情勢や企業の広告宣伝費の動向により影響を受ける可能性があります。

(2) 業績の季節変動

公共投資の予算執行スケジュールや建設工事の工期の影響により、建設機械レンタルの需要は下期(10月〜3月)に集中する傾向があります。そのため、同社グループの売上高および利益は中間連結会計期間に偏重する季節変動リスクがあります。

(3) 固定資産の減損会計

同社グループは事業用資産として多数の不動産を保有しています。経営環境の悪化等により保有資産の収益性が低下し投資利回りが悪化した場合には、減損損失の計上が必要となり、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

(4) 貸与資産の法規制

主力商品である建設機械や車両は、排ガス規制等の環境・安全に関する法規制の対象となります。将来的に規制が強化された場合、新規調達コストの増加や既存資産の陳腐化などが発生し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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