※本記事は、株式会社NEXYZ.Group の有価証券報告書(第36期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. NEXYZ.Groupってどんな会社?
同社は、初期投資ゼロの設備導入支援サービスと、電子雑誌やタレント素材を活用した企業PR支援を展開する企業グループです。
■(1) 会社概要
1990年に設立され、2000年にネクシィーズへ商号変更しました。2002年にナスダック・ジャパンへ上場し、2004年には東証一部へ上場を果たしました。2012年に現在の主力であるエンベデッド・ファイナンス事業の源流となるLED照明販売を開始し、2015年には子会社のブランジスタが上場しました。2024年1月、NEXYZ.Groupへ商号変更しています。
連結従業員数は1,066名、単体では41名です。筆頭株主は創業者で社長の近藤太香巳氏で、第2位は同氏の資産管理会社である近藤太香巳事務所です。第3位には従業員持株会が名を連ねており、創業者と従業員が主要な株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 近藤 太香巳 | 25.27% |
| 近藤太香巳事務所 | 9.81% |
| NEXYZ.従業員持株会 | 8.19% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は近藤太香巳氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 近藤 太香巳 | 代表取締役社長 | 1987年日本電機通信創業、1990年同社設立。2014年より代表取締役社長兼グループ代表。ボディアーキ・ジャパン取締役などを兼任。 |
| 大前 成平 | 取締役副社長 | 1996年同社入社。1997年取締役副社長営業本部長を経て、2004年より取締役副社長。NEXYZ.代表取締役社長を兼任。 |
| 松井 康弘 | 専務取締役管理本部長 | 1999年同社入社。2000年常務取締役管理本部長、2003年より専務取締役管理本部長。NEXYZ.ファシリティーズ代表取締役を兼任。 |
| 藤野 剛志 | 取締役管理副本部長 | 1996年同社入社。1999年取締役就任。2009年より取締役管理副本部長。NEXYZ.ファシリティーズ取締役等を歴任。 |
| 佐藤 英也 | 取締役社長室長 | 2001年同社入社。2013年執行役員社長室長を経て、2018年より取締役社長室長。ボディアーキ・ジャパン取締役等を歴任。 |
| 高橋 稔智子 | 取締役(常勤監査等委員) | 1995年同社入社。経理部長、内部監査室長、ブランジスタ内部監査室長等を経て、2023年より取締役(常勤監査等委員)。 |
社外取締役は、佐藤亨樹(Orchestra Holdings代表取締役)、青木巌(キャピタル・アドバイザリー代表取締役社長)、佐藤裕久(バルニバービ代表取締役会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エンベデッド・ファイナンス事業」、「メディア・プロモーション事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) エンベデッド・ファイナンス事業
店舗や施設を持つ顧客に対し、業務用LED照明、空調、冷蔵庫などの省エネルギー設備を、設置工事費を含めた初期投資ゼロで提供する「ネクシーズZERO」を展開しています。また、顧客ニーズに合わせて設備の販売も行っています。
顧客から設備導入に伴う利用料収入(金利を含む)を分割または一括で受け取るモデルです。運営は主にNEXYZ.Group、NEXYZ.、NEXYZ.ファシリティーズが行っています。各地の営業拠点を通じた新規開拓のほか、金融機関や代理店からの紹介による営業も行っています。
■(2) メディア・プロモーション事業
著名タレントの肖像を月額定額制で利用できる企業プロモーション支援「アクセルジャパン」や、電子雑誌「旅色」の制作・発行、ECサイト運営支援などのソリューションサービスを提供しています。地方自治体とのタイアップ誌制作による地域活性化支援も行っています。
契約企業からのサービス利用料、電子雑誌への広告掲載料、制作受託料などが収益源です。運営は主にブランジスタエール、ブランジスタメディア、ブランジスタソリューションが行っています。
■(3) その他
電力小売サービス「ネクシーズ電力」の提供を行っています。電力供給業務を行う提携先との契約に基づき、同社は取次店としてサービスを提供しています。
契約獲得時の販売手数料および顧客の継続利用に伴う継続手数料を収益として受け取ります。運営は主にNEXYZ.ファシリティーズが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は第33期以降、順調に拡大を続けています。利益面では第32期に損失を計上しましたが、その後は黒字転換し、経常利益、当期利益ともに増加傾向にあります。特に直近の第36期は売上高、利益ともに過去5期間で最高水準に達しており、成長軌道に乗っていることが伺えます。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 188億円 | 192億円 | 220億円 | 245億円 | 284億円 |
| 経常利益 | -3.5億円 | 3.8億円 | 7.3億円 | 11.6億円 | 17.4億円 |
| 利益率(%) | -1.9% | 2.0% | 3.3% | 4.7% | 6.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -10.8億円 | -1.2億円 | 2.6億円 | 0.7億円 | 0.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で約16%増加し、事業規模が拡大しています。売上総利益率は前期の52.0%から48.6%へと低下しましたが、売上高の増加により売上総利益の額自体は増加しました。営業利益は前期比で約1.5倍に伸長し、営業利益率も改善しており、収益性が高まっていることがわかります。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 245億円 | 284億円 |
| 売上総利益 | 127億円 | 138億円 |
| 売上総利益率(%) | 52.0% | 48.6% |
| 営業利益 | 12億円 | 18億円 |
| 営業利益率(%) | 4.9% | 6.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が39億円(構成比33%)、貸倒引当金繰入額が14億円(同12%)を占めています。売上原価については、商品評価損などが含まれています。
■(3) セグメント収益
エンベデッド・ファイナンス事業は、企業の設備投資意欲や金融機関との連携強化により大幅な増収増益となりました。メディア・プロモーション事業も「アクセルジャパン」の拡大等により増収増益を達成しました。全セグメントで売上高・利益ともに前期を上回る結果となっています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| エンベデッド・ファイナンス事業 | 197億円 | 232億円 | 11億円 | 17億円 | 7.2% |
| メディア・プロモーション事業 | 48億円 | 52億円 | 9億円 | 11億円 | 22.2% |
| その他 | 0.1億円 | 0.3億円 | 0.0億円 | 0.3億円 | 90.3% |
| 調整額 | -0.2億円 | -0.3億円 | -9億円 | -10億円 | - |
| 連結(合計) | 245億円 | 284億円 | 12億円 | 18億円 | 6.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業での稼ぐ力が高まっていることに加え、資産の入れ替え(子会社株式の売却等)や、短期借入から長期借入へのシフト(短期借入金の10.0億円減少と長期借入れ39.5億円の実行)など、資本・財務構造の最適化を戦略的に進めていることがわかります。
この結果、当期末の「現金及び現金同等物」は前年度から約26.0億円も増加して84.5億円へと大幅に積み上がっており、機動的で強固なキャッシュ基盤を築き上げていると言えます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.3億円 | 17.4億円 |
| 投資CF | 1.2億円 | 2.8億円 |
| 財務CF | -2.9億円 | 3.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は17.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「まだない常識を、次のあたりまえに。」を企業理念として掲げています。創業以来の強みである「企画力と営業力」を活かし、時代のニーズに合わせた商品・サービスを提供し続けることで成長してきました。常に新しい常識を探し続け、その実現に向けて挑戦することで、新しい価値を持つサービスを世の中に提供し、ステークホルダーの期待に応えることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「企画力と営業力」を強みとしており、時代の変化に合わせて新しい市場の創造に挑戦し続ける姿勢を重視しています。また、志と情熱を持つ人物に役割と機会を与え、徹底的に期待する人事を行っており、実績による評価と積極的な企業文化の浸透を図っています。社内表彰制度「N1グランプリ」などを通じて、高い目標意識を持ちながら社員同士が切磋琢磨する環境があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は長期的な成長と発展を目指していますが、有価証券報告書において特定の数値目標を含む中期経営計画などの詳細は記載されていません。各事業において売上高の増加や業容の拡大を目指す方針が示されています。
■(4) 成長戦略と重点施策
エンベデッド・ファイナンス事業では、工業分野や周辺領域の開拓を進め、キュービクル式高圧受電設備の提供強化や電気工事部門の強化を行います。メディア・プロモーション事業では、「アクセルジャパン」での金融機関との連携や「旅色」での自治体・SBIグループとの連携を強化し、新規顧客獲得を図ります。また、既存事業だけでなく、自社の強みを活かせる新規事業や業務提携、投資案件にも積極的に挑戦し、成長を加速させる方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人的資本の拡充を重要課題と捉え、新卒・中途採用を積極的に行っています。性別や国籍等を問わず多様な人材を採用し、個々の能力を発揮できる環境整備に取り組んでいます。実績に基づく評価を行い、志ある人物に機会を与える人事を採用しています。また、ライフステージに合わせた勤務エリア選択制度や育児休業制度などを整備し、社員が長く働ける環境づくりを推進するとともに、次世代経営者の育成プログラムも導入しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 36.1歳 | 9.3年 | 5,400,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.8% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。なお、女性管理職比率は連結子会社である株式会社NEXYZ.東日本の数値です。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ネクシーズZEROの競争・解約リスク
エンベデッド・ファイナンス事業における省エネルギー設備等は競合他社が多く、価格競争や市場開拓が急速に進む可能性があります。また、多店舗展開企業や大規模施設への導入が増加しているため、景気後退等により大型案件の解約が続いた場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 外部環境の変化による影響
設備導入における仕入や工事代金を金融機関への債権流動化で調達しているため、市場金利が大きく変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、為替変動や原材料価格高騰に伴う仕入価格の上昇もリスク要因となります。
■(3) 著名人を起用したサービスのリスク
メディア・プロモーション事業では多くの著名人を起用しており、これがサービスの特徴となっています。しかし、風評被害や著名人の離脱等の理由により、想定通りに著名人を起用できなくなった場合、サービスの魅力低下につながり、業績に影響を与える可能性があります。



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