※本記事は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社 の有価証券報告書(第32期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月12日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. GMOペイメントゲートウェイってどんな会社?
総合決済関連サービス及び金融関連サービスを提供するGMOインターネットグループの会社です。
■(1) 会社概要
同社は1995年にカード・コール・サービスとして設立され、2005年に社名を変更し東証マザーズに上場しました。その後、2008年に東証一部へ市場変更し、2016年にはGMOフィナンシャルゲートを子会社化して対面決済分野を強化しました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証プライム市場に上場しています。
2025年9月30日時点の従業員数は連結882名、単体594名です。筆頭株主は親会社のGMOインターネットグループで、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| GMOインターネットグループ | 40.72% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.08% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.14% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性3名の計15名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は相浦 一成氏です。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 相浦 一成 | 代表取締役社長 | 日本IBMを経て2000年に同社社長に就任。2012年より代表取締役社長。GMOインターネットグループ取締役グループ副社長執行役員グループ決済部門統括を兼務。 |
| 熊谷 正寿 | 取締役会長 | 1991年にGMOインターネットグループの前身を創業。同グループ代表として、GMOグローバルサイン・ホールディングスなどグループ各社の会長職を兼務。 |
| 村松 竜 | 取締役副社長企業価値創造戦略統括本部長 | ジャフコグループを経てペイメント・ワン代表取締役CEOに就任。2004年に同社入社、2012年より現職。 |
| 礒﨑 覚 | 取締役副社長コーポレートサポート本部長 | 日本IBM執行役員等を経て2011年に同社入社。システム本部長などを歴任し、2017年より現職。 |
| 安田 昌史 | 取締役 | 公認会計士。GMOインターネットグループ取締役グループ副社長執行役員・CFO等を兼務。 |
| 山下 浩史 | 取締役 | 日本IBMを経てGMOインターネットグループ入社。グループ副社長執行役員グループシステム部門統括等を兼務。 |
| 新井 輝洋 | 取締役 | GMOインターネットグループ入社後、グループ専務執行役員として海外投資・仲間づくり等を担当。公認会計士。 |
| 稲垣 法子 | 取締役 | GMOインターネットグループ入社後、グループ常務執行役員グループ財務部長を兼務。税理士。 |
| 川﨑 友紀 | 取締役 | 弁護士。GMOインターネットグループ入社後、グループ執行役員グループ法務部長を兼務。 |
| 島原 隆 | 取締役 | 三井住友銀行理事等を経てGMOインターネットグループ入社。グループリスク管理本部長等を兼務。 |
社外取締役は、甲斐 文朗(元日本銀行金融研究所参事役)、肱黒 真之(元日本アイ・ビー・エム デジタルサービス社長)、岡本 和彦(元ビザ・ワールドワイド・ジャパン会長)、外園 有美(外園有美公認会計士事務所代表)、大川 治(弁護士法人堂島法律事務所パートナー・弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「決済代行事業」、「金融関連事業」および「決済活性化事業」を展開しています。
■決済代行事業
主にオンライン課金・継続課金分野や対面分野における決済代行サービス、BaaS支援などを提供しています。主な顧客はEC事業者、公的機関、金融機関などです。
収益源は、初期導入費用、月次固定費、データ処理件数に応じた手数料(フィー)、売上代金に対する手数料(スプレッド)などです。運営は主にGMOペイメントゲートウェイ、GMOイプシロン、GMOフィナンシャルゲートが行っています。
■金融関連事業
加盟店のキャッシュ・フロー改善に資する早期入金サービス、トランザクションレンディング、送金サービス、後払い決済サービスなどを提供しています。主な顧客は加盟店やBtoB取引を行う事業者です。
収益源は、サービス利用料や金利、決済手数料などです。運営は主にGMOペイメントゲートウェイ、GMOイプシロン、GMOペイメントサービスが行っています。
■決済活性化事業
加盟店の売上向上に繋がるマーケティング支援サービスや、医療特化型予約管理システムなどを提供しています。主な顧客は同社グループの加盟店や医療機関です。
収益源は、サービス利用料などです。運営は主にGMOペイメントゲートウェイ、GMOリザーブプラスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上収益は毎期順調に増加しており、5期間で約2倍に成長しています。税引前利益も売上収益の拡大に伴い増加傾向にあり、利益率は30%台後半で推移するなど高い収益性を維持しています。当期利益も安定して増加しており、持続的な成長を実現しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 417億円 | 503億円 | 631億円 | 738億円 | 825億円 |
| 税引前利益 | 133億円 | 348億円 | 206億円 | 275億円 | 319億円 |
| 利益率(%) | 31.9% | 69.1% | 32.7% | 37.3% | 38.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 88億円 | 242億円 | 135億円 | 187億円 | 218億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益の増加に伴い、売上総利益および営業利益はいずれも増加しています。売上総利益率は60%台後半を維持しており、営業利益率も30%台後半の高い水準で推移しています。コストコントロールも適切に行われており、効率的な経営体制が継続しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 738億円 | 825億円 |
| 売上総利益 | 481億円 | 555億円 |
| 売上総利益率(%) | 65.2% | 67.3% |
| 営業利益 | 252億円 | 313億円 |
| 営業利益率(%) | 34.1% | 38.0% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が116億円(構成比48%)、その他経費が57億円(同23%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である決済代行事業は、オンライン決済の拡大や対面分野のリカーリング型売上の増加により増収増益となりました。金融関連事業も後払い決済サービスや融資サービスが伸長し、大幅な増収増益を達成しています。決済活性化事業も医療向け予約管理システム等の好調により増収増益となりました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 決済代行事業 | 559億円 | 617億円 | 252億円 | 298億円 | 48.3% |
| 金融関連事業 | 165億円 | 192億円 | 41億円 | 54億円 | 28.2% |
| 決済活性化事業 | 15億円 | 18億円 | 4億円 | 4億円 | 23.7% |
| 調整額 | -1億円 | -1億円 | -45億円 | -43億円 | - |
| 連結(合計) | 738億円 | 825億円 | 252億円 | 313億円 | 38.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動で獲得した資金を借入金の返済や投資に充てており、財務体質の健全性を維持しながら事業運営を行っている健全型です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 495億円 | 538億円 |
| 投資CF | -52億円 | -73億円 |
| 財務CF | -37億円 | -12億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は24.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「社会の進歩発展に貢献する事で、同志の心物両面の豊かさを追求する」を経営理念としています。日本の決済プロセスのインフラとなり、消費者と事業者にとって安全で便利な決済の実現に貢献することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社グループは、GMOインターネットグループで共有する「GMOイズム」のもと、行動規範として「時流への適応」(先進性・柔軟性)、「存在価値の確立」(独自性・収益性・自主性・教育)、「利益の条件の追求」(社会性・合理性)、「株主への責務」を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、2030年から2031年の営業利益1,000億円を経営目標とし、これを通過点として中長期の持続的成長と企業価値向上の実現に向けた経営を推進しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
電子商取引(EC)市場を中心としたオンライン決済および対面決済のインフラ企業として、より安全で便利な決済環境を創造し、日本のEC化率向上やキャッシュレス化に貢献する方針です。具体的には、システム開発力の強化、業務提携型ビジネスの推進、決済代行サービスを核とした多角的な事業ポートフォリオの拡大に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業は人なり」という理念のもと、成長の源泉である人材への投資を推進しています。「多様な人材の尊重」「自発的なキャリア形成支援」「Well-beingの向上」を共創テーマとし、全員で採用し育てる方針や、自発的なキャリア機会の創出、健康経営の推進などにより、人材が能力を最大限発揮できる環境を構築しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 37.5歳 | 6.3年 | 10,973,370円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.3% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 104.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性パートナー比率(29.4%)、男性育児休業復職率(100%)、定期健康診断受診率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業環境について
決済代行業界はEC市場の拡大とともに成長してきましたが、競争の激化や技術革新のスピードが速く、新たな競合の出現やサービスの陳腐化がリスクとなります。同社は顧客ニーズに合ったサービスの開発や付加価値の提供、業務提携の強化などを通じて競争優位性の維持に努めています。また、関連法令の改正や新たな規制の導入が事業に影響を与える可能性があり、情報収集体制の強化や法務部門の拡充により適正に対処しています。
■(2) 事業活動について
同社グループは加盟店数の増加により成長してきましたが、競争激化等により稼働店舗数が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、クレジットカード決済代行サービスは外部の情報処理センターネットワークを利用しており、システム障害等の発生リスクがあります。さらに、加盟店の不正利用や倒産に伴うチャージバックリスクや、事業投資先の経営悪化、海外事業におけるカントリーリスクなども存在します。
■(3) 情報セキュリティについて
決済代行サービスを提供する上で、クレジットカード情報等の重要情報の管理は最重要課題です。サイバー攻撃やシステム障害によるサービス停止、情報漏洩が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は各種セキュリティ認証の取得や専門委員会による管理体制の強化、システム監視の徹底などを通じてリスク低減に努めています。



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