ティア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ティア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証プレミア上場の葬儀会社です。葬祭事業とフランチャイズ事業を主軸に、全国へ会館を展開しています。直近の業績は、M&Aによるグループ化や新規出店の効果で増収となり、経常利益も増加しました。年間葬儀件数は2万件を超え、着実に事業規模を拡大しています。


※本記事は、株式会社ティア の有価証券報告書(第29期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ティアってどんな会社?


葬祭事業とフランチャイズ事業を核に、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指す企業です。

(1) 会社概要


1997年に設立され、名古屋市に第1号店「ティア中川」をオープンしました。2004年にフランチャイズ事業を開始し、2014年には東証・名証の一部に指定されました。その後、2017年に株式会社ティアサービスを子会社化し、2023年には株式会社八光殿などをグループ化しました。現在は全国に会館を展開しています。

連結従業員数は971名、単体では627名です。筆頭株主は主要株主の親族が資産管理を行う株式会社夢現で、第2位は創業社長の冨安徳久氏、第3位は従業員持株会となっています。創業者のリーダーシップのもと、安定的かつ結束力の強い株主構成が特徴です。

氏名 持株比率
夢現 34.62%
冨安 徳久 4.51%
ティア社員持株会 2.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は冨安徳久氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。

氏名 役職 主な経歴
冨安 徳久 代表取締役社長 山口典礼、出雲殿を経て、1997年に同社を設立し社長に就任。現在は八光殿などのグループ会社役員も兼務し、グループ全体を統率する。2023年10月より現職。
岡留 昌吉 取締役副社長葬祭事業本部長兼未来開発事業本部管掌 名古屋丸八互助会等を経て2005年に入社。葬祭やフランチャイズ、人財開発の各本部長を歴任。ティアサービス社長等を兼務し、2024年10月より現職。
辻  耕平 専務取締役経営企画本部長兼管理本部管掌 サガミチェーンを経て2011年に入社。経営企画室長やM&A推進室長、人財開発本部長などを歴任し、管理部門を管掌。2022年10月より現職。
眞邉 健吾 専務取締役関東葬祭事業本部長兼人財開発本部長兼フランチャイズ事業本部管掌 日産自動車を経て2007年に入社。フランチャイズ事業本部長や人財開発本部長などを歴任。現在は関東葬祭事業なども担当する。2025年10月より現職。
山本 克己 常務取締役財務本部長 ファブリカコミュニケーションズ等を経て2009年に入社。経理課長、管理本部長を経て財務部門を統括。グループ会社の監査役も兼務。2024年10月より現職。
藤井 智規 取締役マーチャンダイジング推進本部長 ユーハイムを経て2011年に入社。商品開発部長や事業開発本部長を歴任。現在はマーチャンダイジング推進本部を統括する。2024年10月より現職。


社外取締役は、小木曽正人(公認会計士・税理士、トレジャリンク社長)、稲生浩子(税理士、稲生浩子税理士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「葬祭事業」「フランチャイズ事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 葬祭事業


葬儀会館「ティア」の運営を行い、葬儀の施行や付帯業務の提供、法要の請負を行っています。また、独自の会員制度「ティアの会」を運営し、会員向け特典の提供や、団体・企業との業務提携を通じて顧客基盤を拡大しています。

収益は、一般個人や法人顧客から受け取る葬儀施行料、会費、法要等のサービス料から成り立っています。運営は主に同社が行い、付帯業務の一部は株式会社ティアサービスが、関西地区等は株式会社八光殿や株式会社東海典礼などが担当しています。

(2) フランチャイズ事業


「葬儀会館ティア」を全国展開するため、異業種の事業会社とフランチャイズ契約を結んでいます。葬儀業界への参入ノウハウの提供、物件開発、開業・運営支援、葬儀付帯品の販売などを行っています。

収益は、加盟店から受け取る加盟料、出店料、ロイヤリティ、および物品販売代金等から構成されています。運営は同社が本部として行っています。

(3) その他事業


不動産事業およびリユース事業を展開しています。不動産事業では葬儀の顧客からの相続・売却相談に対応した買取・販売を行い、リユース事業では宝石・貴金属・ブランド品等の買取・販売を行っています。

収益は、不動産の売買代金やリユース品の販売代金等から得ています。運営は同社およびグループ会社が行っており、リユース店舗の運営なども含みます。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移です。売上高は着実に右肩上がりで推移しており、特に直近では200億円台に乗せました。経常利益も増加傾向にあり、利益率も7~8%程度で安定しています。M&Aや新規出店による規模拡大が業績に寄与していることが伺えます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 122億円 133億円 141億円 188億円 216億円
経常利益 9億円 10億円 11億円 12億円 16億円
利益率(%) 7.2% 7.9% 8.0% 6.6% 7.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 5億円 8億円 8億円 9億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率は若干低下しましたが、営業利益は増加しており、事業規模の拡大が利益額の伸長につながっています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 188億円 216億円
売上総利益 74億円 82億円
売上総利益率(%) 39.5% 37.8%
営業利益 14億円 16億円
営業利益率(%) 7.6% 7.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が19億円(構成比30%)、広告宣伝費が14億円(同22%)を占めています。人件費と集客のための広告宣伝への投資が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


葬祭事業は、直営会館の出店やM&Aによるグループ化の効果で大幅な増収となり、利益も確保しています。フランチャイズ事業は売上・利益ともに安定的に推移しています。その他事業も不動産やリユース事業が寄与し、規模を拡大させています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
葬祭事業 177億円 199億円 33億円 33億円 16.6%
フランチャイズ事業 6億円 6億円 1億円 1億円 16.8%
その他事業 5億円 11億円 0億円 1億円 11.3%
調整額 - - -20億円 -19億円 -
連結(合計) 188億円 216億円 14億円 16億円 7.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、葬儀施行に伴う外注費や労務費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要を賄っています。設備投資による葬儀会館建設等の資金需要は、投資活動によるキャッシュ・フローで対応しています。また、企業価値向上に資するM&A等への投資も検討しています。

財務活動においては、運転資金を営業活動で賄うことを原則としつつ、状況に応じて銀行借入も活用しています。さらに、健全な財務体質と継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出により、手元流動性を高める資金調達も可能と考えています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 20億円 24億円
投資CF -94億円 -18億円
財務CF 88億円 -4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「哀悼と感動のセレモニー」を経営理念として掲げています。これは、単なる物売りや押し売りではなく、「儀式を尊厳する形と洗練された心の追求」を忘れない姿勢で取り組むこと、およびデスケア(葬送儀礼)を通じて社会貢献することを事業の基本理念としています。

(2) 企業文化


「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指し、徹底した人財教育によるサービスの向上を重視しています。知識や技術だけでなく、ビジネスマナーや徳育的な観点からの教育にも注力し、命あるものすべてが幸せに暮らす社会の実現を目指す姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


「新生ティアグループ」のスローガンのもと、中期経営計画を策定し、次期事業年度の業績予想および3カ年利益計画の達成を経営指標としています。グループ全体でのガバナンス体制の整備やKPIの設定により、効率的かつ効果的な営業施策を推進することを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「ティアグループによる計画的な出店」「トータル・ライフ・デザイン領域の拡大」「人材確保・育成」「上場会社グループとしての体制構築」を重点施策としています。ドミナント戦略の再構築やM&Aによるエリア拡大、葬儀周辺サービスの拡充に加え、デジタル化や物流体制の強化も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業戦略推進のため、人材の確保と育成、働く環境の整備を重点項目としています。多様な採用環境への対応や、「ティアアカデミー」によるPDCAサイクルに則った教育を実施し、グループ全体への展開を図っています。また、人事制度や業務オペレーションの見直しによりエンゲージメント向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 39.9歳 7.5年 5,745,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 54.5%
男女賃金差異(正規) 72.3%
男女賃金差異(非正規) 118.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 葬儀需要の変動について


人口動態により葬儀需要は増加傾向にあるものの、核家族化や儀式の簡素化により葬儀単価が低下する可能性があります。また、季節による死亡者数の変動が業績に影響を与える場合もあります。これに対し、同社は会員数の拡大や新商品・プランの導入で対応しています。

(2) 競争環境について


異業種からの参入やポータルサイトの台頭、同業他社の出店などにより、競争が激化しています。この状況が続くと業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社はテレビCMや広告による営業促進、会員入会キャンペーンなどで競争力を維持する方針です。

(3) 個人情報について


会員情報や葬儀・法要に関する個人情報を扱っており、漏洩が発生した場合は信用低下や業績への影響が懸念されます。同社は従業員教育やシステムの情報漏洩防止策を徹底し、「プライバシーマーク」を取得するなど管理体制を強化しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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