粧美堂 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

粧美堂 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する、化粧品・雑貨等の企画販売を行うファブレスメーカーです。自社企画商品の強化やECビジネスの拡大により、第77期の売上高は221億円(前期比5.7%増)、営業利益は14.7億円(同45.5%増)となり、5期連続の増収増益(営業利益ベース)を達成しました。


※本記事は、粧美堂株式会社 の有価証券報告書(第77期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 粧美堂ってどんな会社?


化粧品、化粧雑貨、キャラクター雑貨等を扱うファブレスメーカーです。「美のプロフェッショナル」として、企画から販売までを一気通貫で行う対応力を強みとしています。

(1) 会社概要


1948年に化粧雑貨の卸問屋として創業し、1949年に設立されました。2010年に東証一部銘柄に指定され、2020年に現在の「粧美堂」へ商号を変更しました。2025年には化粧品のOEM製造受託等を行う株式会社ピコモンテ・ジャパンを子会社化するなど、メーカー機能の強化を進めています。

同グループの従業員数は連結260名、単体206名です。筆頭株主はTCS、第2位は取締役会長の寺田一郎氏、第3位は代表取締役社長の寺田正秀氏です。上位株主には創業家出身の役員およびその関連会社が名を連ねており、安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
TCS 28.20%
寺田 一郎 16.20%
寺田 正秀 10.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は寺田正秀氏です。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
寺田 正秀 代表取締役社長 2001年みずほ銀行入行。2004年同社入社。専務取締役等を経て2013年12月より現職。SHO-BI Labo社長等を兼任。
寺田 一 郎 取締役会長 1971年蝶理入社。1974年同社入社。1990年代表取締役社長に就任。2013年12月より現職。
吉 田 浩太郎 常務取締役事業推進本部本部長兼商品企画グループ統括部長兼生産管理担当役員 1983年同社入社。執行役員商品企画部長、取締役事業推進本部本部長等を経て2023年12月より現職。
豊 倉 忠 明 取締役営業グループ統括部長 1983年同社入社。執行役員海外事業部長、取締役OEM事業部長等を経て2021年10月より現職。
友 田 裕 士 取締役事業管理部長 1985年同社入社。内部監査室長、事業管理部長、執行役員等を経て2020年12月より現職。
斉 藤 政 基 取締役管理本部長兼総務人事部長兼経理部長 1987年富士銀行(現みずほ銀行)入行。2018年同社入社。執行役員管理本部長等を経て2020年12月より現職。
今 村 善 博 取締役(監査等委員) 1983年同社入社。財務部長、執行役員財務部長を経て2019年12月より現職。


社外取締役は、酒谷佳弘(公認会計士)、岡野秀章(公認会計士・税理士)、渡辺徹(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、化粧品・雑貨関連の事業および「その他」事業を展開しています。

(1) 化粧品


メイク関連、ネイル関連、ヘアケア関連の化粧品を提供しています。主な顧客は小売業者、卸売業者および一般消費者です。近年は人気キャラクターをあしらったコスメや、食品会社とコラボレーションした商品などが好調に推移しています。

収益は、商品の販売代金として顧客から得ています。運営は主に同社が行っていますが、2025年1月に子会社化した株式会社ピコモンテ・ジャパンも化粧品の製造販売を手掛けており、グループ全体での売上拡大に寄与しています。

(2) 化粧雑貨


メイク道具、ネイルケア用品、ヘアケア雑貨などを提供しています。主な顧客は小売業者や一般消費者です。キャラクターをデザインした雑貨類や、機能性とデザイン性を兼ね備えた自社企画商品などを幅広く展開しています。

収益は、商品の販売代金として顧客から得ています。運営は同社が行っており、企画から販売までを一貫して手掛けることで、トレンドを捉えた商品開発を行っています。

(3) コンタクトレンズ関連


コンタクトレンズおよびケア用品を提供しています。主な顧客は小売業者や一般消費者です。カラーコンタクトレンズなどを中心に展開しており、市場のニーズに合わせた商品開発を行っています。

収益は、商品の販売代金として顧客から得ています。運営は同社および連結子会社のSHO-BI Labo株式会社が行っており、SHO-BI Labo株式会社ではコンタクトレンズの受託製造も手掛けています。

(4) 服飾雑貨


バッグ、ポーチ、ケース、財布などの服飾小物を幅広く提供しています。主な顧客は小売業者や一般消費者です。キャラクターを活用した商品や、テーマパーク向けのプライベートブランド(PB)商品などが展開されています。

収益は、商品の販売代金として顧客から得ています。運営は同社が行っており、キャラクターライセンスを活かした企画力により、付加価値の高い商品を市場に供給しています。

(5) その他


ペット用品を含む生活雑貨、文具、行楽用品、ギフト商品などを提供しています。主な顧客は小売業者や一般消費者です。特にペット関連商材などが好調に推移しています。

収益は、商品の販売代金として顧客から得ています。運営は同社が行っており、多様なカテゴリーの商品開発力を活かして、新たなニーズに対応した商品を提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。特に第77期は売上高が221億円に達し、過去最高益を更新しました。経常利益も大幅に伸長しており、利益率も第73期の2.7%から第77期には6.7%へと大きく改善しています。これは自社企画商品のヒットや高付加価値化が進んだことによるものです。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 141億円 173億円 204億円 209億円 221億円
経常利益 3.9億円 6.2億円 9.7億円 9.7億円 14.8億円
利益率(%) 2.7% 3.6% 4.8% 4.6% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.1億円 5.1億円 4.8億円 7.7億円 9.8億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に加え、売上総利益率が26.3%から31.9%へと大幅に改善しています。これは自社企画商品の好調やEC販売の拡大によるものです。販売費及び一般管理費は増加していますが、売上総利益の増加がそれを上回り、営業利益率は4.8%から6.6%へ上昇しました。収益性の高い体質へと変化しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 209億円 221億円
売上総利益 55億円 71億円
売上総利益率(%) 26.3% 31.9%
営業利益 10億円 15億円
営業利益率(%) 4.8% 6.6%


販売費及び一般管理費のうち、その他が19億円(構成比34%)、給料手当及び賞与が14億円(同25%)を占めています。売上原価の内訳については、商品仕入高などが主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


全セグメントにおいて概ね堅調ですが、特に服飾雑貨の伸びが目立ちます。化粧品も主力事業として順調に拡大しており、売上の中心を担っています。一方、コンタクトレンズ関連は減少しました。全体としては、自社企画商品やキャラクター商品の好調が増収を牽引しました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
化粧品 81億円 89億円
化粧雑貨 69億円 70億円
コンタクトレンズ関連 25億円 22億円
服飾雑貨 22億円 28億円
その他 12億円 13億円
連結(合計) 209億円 221億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「改善型」のキャッシュ・フロー状態です。本業で得た現金に加え、資産売却や投資有価証券の償還などによる収入があり、借入金の返済や配当支払いに充当しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 8.3億円 9.2億円
投資CF -4.0億円 2.1億円
財務CF -8.1億円 -5.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「笑顔を、咲かせよう。」を企業理念として掲げています。存在意義として「あらゆる人たちの身近に笑顔を。」を掲げ、世界中の多様な個人に対して、特定分野を深掘りした圧倒的な情報力と商品力を持つ専門家として価値を提供することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は行動指針として「逃げずに、まっすぐ、そして最速で。」を掲げています。これは課題に対して真摯に向き合い、スピード感を持って行動する姿勢を表しています。問屋発祥の柔軟性と対応力を活かし、顧客の要望に沿った提案を行う企業文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、持続的に企業価値の向上を図るために利益率を重視しています。営業利益の継続的成長を最大の経営目標とし、特に「売上高営業利益率」の向上を経営上の重要な指標として位置付けています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「メーカー化」と「ブランド化」を推進し、高品質な商品を適正価格で提供する企業としての認知拡大を目指しています。また、大手小売業向けのOEMビジネスを強化し、安定的な収益源とします。さらに、若年層との親和性が高いECビジネスの強化や、中高年層・男性向けの新商材開発にも注力し、新たな成長機会を追求します。

* 将来的にはECビジネスの比率を30%程度まで引き上げる

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の成長と事業成長が連動すると考え、人的資本を重視しています。性別・国籍を問わず能力に基づいた処遇を行い、多様な人材を積極的に採用しています。育成面ではOJTに加え、管理職研修やノウハウ伝承研修を実施。また、時短勤務や在宅勤務、時間単位有休などの制度を導入し、ワークライフバランスを重視した環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 41.6歳 13.2年 6,219,646円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 57.5%
男女賃金差異(正規) 64.8%
男女賃金差異(非正規) 44.1%


※男性労働者の育児休業取得率は、公表義務の対象ではないため、有報には記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 販売先上位各社への依存について


同社の売上高の約6割は販売先上位20社との取引によるものです。営業効率向上のため有力企業に取引を集中させていますが、何らかの理由により上位販売先との取引が縮小・中止された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) キャラクター商品の取扱いについて


他社との差別化のためキャラクター商品を多く扱っています。キャラクターの人気変動や、版権元との商品化許諾契約が更新できない場合、または契約が終了した場合には、同社グループの業績に影響が出る可能性があります。

(3) 為替変動の影響について


仕入の過半数が外貨建てであり、その大部分が米ドル決済です。為替予約等でリスク軽減を図っていますが、急激かつ大幅な円安等の為替変動が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 生産国の経済情勢等による影響について


商品は国内外の協力工場に生産委託しています。海外生産においては、現地の政治・経済状況の変化、法規制の変更、自然災害などが発生した場合、商品の供給に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。