コロプラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コロプラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証プライム市場に上場し、「白猫プロジェクト」などのスマートフォン向けゲームアプリの開発・運営を主力事業としています。直近の第17期連結業績は、投資育成事業が伸長したものの、エンターテインメント事業の減収が響き、売上高は微減、親会社株主に帰属する当期純損益は赤字となりました。


※本記事は、株式会社コロプラ の有価証券報告書(第17期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コロプラってどんな会社?


同社は、位置情報ゲーム「コロニーな生活」から始まり、現在は「白猫プロジェクト」等のスマートフォン向けネイティブアプリを主力とするエンターテインメント企業です。

(1) 会社概要


2008年に設立され、位置情報ゲーム「コロニーな生活」の運営を開始しました。2011年にスマホ特化ブランド「Kuma the Bear」を立ち上げ、2012年に東証マザーズへ上場、2014年には市場第一部へ指定されました。2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行し、現在はブロックチェーンゲーム等の新領域にも注力しています。

2025年9月30日現在、連結従業員数は1,148名、単体では676名です。筆頭株主は創業者の馬場功淳氏であり、第2位以降は資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
馬場 功淳 48.10%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 7.69%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 7.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名、計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長 上席執行役員 CEOは宮本貴志氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
宮本 貴志 代表取締役社長上席執行役員CEO 明治屋、ソフトバンクBB等を経てGPコアエッジ等を設立し社長CEOを歴任。2020年同社入社、マーケティング本部長等を経て2021年より現職。
馬場 功淳 取締役会長 2003年ケイ・ラボラトリー入社、グリーを経て2008年同社設立、代表取締役社長。2021年代表取締役会長を経て2024年より現職。
原井 義昭 取締役上席執行役員CFO 2011年有限責任監査法人トーマツ入所。2015年同社入社、経営企画部長、執行役員等を経て2024年より現職。
坂本 佑 取締役上席執行役員CPOエンターテインメント本部長 2009年コナミデジタルエンタテインメント入社。2013年同社入社、執行役員等を経て2019年よりエンターテインメント本部長、2024年より現職。


社外取締役は、栁澤孝旨(ZOZO取締役副社長兼CFO)、武田雅子(メンバーズ専務執行役員CHRO)、戸澤章(元大和PIパートナーズ経営企画部長)、飯田耕一郎(森・濱田松本法律事務所弁護士)、阿部 美寿穂(阿部美寿穂公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンターテインメント事業」および「投資育成事業」を展開しています。

(1) エンターテインメント事業


主にスマートフォン向けゲームアプリの開発・運営を行っています。主力タイトルには「白猫プロジェクト」「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」などがあります。また、ブロックチェーンゲームの開発・運営、家庭用ゲーム機やPC向けソフトの企画・開発、他社タイトルの受託開発も手掛けています。

収益は主に、ユーザーがゲーム内で使用するアイテム等を購入する課金収入や、他社タイトルの開発受託による収入から得ています。運営は主に同社が行っているほか、連結子会社の株式会社MAGES.や株式会社Brilliantcryptoなどがそれぞれの領域で事業を展開しています。

(2) 投資育成事業


日本およびアジアのIT関連企業やエンターテインメント企業などを対象に、幅広く投資を行っています。成長性の高いベンチャー企業等への投資を通じて、グループ全体の成長戦略とのシナジー創出を図っています。

収益は、保有する株式の売却益や、ファンドの運用益などから構成されています。運営は主に、連結子会社である株式会社コロプラネクストが管理・運営する投資事業組合を通じて行われています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にありましたが、第17期は下げ止まりの傾向を見せています。利益面では、第16期に赤字転落しましたが、第17期には経常利益が黒字に回復しました。ただし、特別損失の計上等により、親会社株主に帰属する当期純損益は2期連続の赤字となっています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 371億円 325億円 308億円 260億円 259億円
経常利益 78億円 57億円 31億円 -9億円 18億円
利益率(%) 21.1% 17.6% 10.0% -3.6% 7.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 16億円 24億円 -26億円 -7億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高はほぼ横ばいですが、売上原価の減少等により売上総利益は増加し、利益率が改善しました。販管費の抑制も進み、営業損益は前期の赤字から当期は黒字へと転換しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 260億円 259億円
売上総利益 68億円 80億円
売上総利益率(%) 26.0% 30.8%
営業利益 -12億円 10億円
営業利益率(%) -4.7% 3.9%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が19億円(構成比28%)、給料手当が13億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


エンターテインメント事業は一部既存タイトルの長期化等により減収となりました。一方、投資育成事業は株式売却益等により大幅な増収となっています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
エンターテインメント事業 245億円 233億円
投資育成事業 15億円 27億円
連結(合計) 260億円 259億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業キャッシュ・フローのプラスを超える投資を行いつつ、借入の返済を行う健全型です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 2億円 26億円
投資CF -81億円 -33億円
財務CF -9億円 -32億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-0.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は91.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「“Entertainment in Real Life” エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしく」というMissionを掲げています。これを実現するために、「最新のテクノロジーと、独創的なアイデアで“新しい体験”を届ける」というVisionを定めています。

(2) 企業文化


同社グループは3つの行動指針を掲げています。「Try(挑戦)」では変化や失敗を恐れず新しいことに挑戦し、「Value(価値あるものづくり)」では妥協せず新しい価値を独自の発想でつくりだし、「Believe(信じる心)」では困難に素直に向き合いチームの力を信じて乗り越えることを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、収益性と資本効率の向上を図るため、ROE(自己資本当期純利益率)を経営指標として意識した経営を行うとしています。ただし、事業環境の短期的変化が激しいため、具体的な数値目標は設定していません。

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営方針として、「海外市場への積極的展開」「国内IPの活用」「新しいUXの提供(唯一無二のものづくり)」の3つの戦略を掲げています。世界的なヒット創出を目指し、ブロックチェーン、AI、XR/メタバースなどの新技術領域でのコンテンツ開発を推進するとともに、適切なリソース配分と分散投資を行います。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「Entertainment in Real Life」の実現に向け、安心して働ける環境づくりやダイバーシティ、健康経営を推進しています。性別や国籍等を問わず多様な人材が活躍できるよう、ワーク・ライフ・バランスを推進する人事施策や、成長・スキルアップを目的とした研修・支援を実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 36.6歳 6.5年 6,818,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.4%
男性育児休業取得率 87.5%
男女賃金差異(全労働者) 83.0%
男女賃金差異(正規雇用) 83.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 77.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇の取得率(79.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) モバイル関連市場の変動


高性能端末の普及に伴い市場は成長していますが、成長鈍化や大手企業の新規参入による競争激化が業績に影響を与える可能性があります。また、Apple Inc.及びGoogle Inc.のプラットフォームへの収益依存度が大きいため、手数料率の変動や事業戦略の転換が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 技術革新への対応


ブロックチェーン、AI、XR/メタバースなど新技術や新サービスの導入が相次ぐ中、技術やノウハウの獲得に遅れが生じた場合、競争力が低下する可能性があります。また、新技術対応のための追加投資が収益を圧迫するリスクもあります。

(3) 特定人物への依存


創業者であり取締役会長の馬場功淳氏は、技術開発や経営方針決定において重要な役割を果たしています。経営体制の強化を進めていますが、同氏が業務継続困難となった場合、事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

コロプラの転職研究 2026年9月期1Q決算に見るキャリア機会

コロプラの2026年9月期1Q決算は、コスト最適化により営業利益が大幅改善。独自開発の地図サービスやAI領域への注力など、技術の内製化と「Global Top 20」への再挑戦を鮮明にしています。「なぜ今コロプラなのか?」、転職希望者がどの技術領域で貢献できるのかを整理します。