オープンハウスグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オープンハウスグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(プライム市場)に上場する同社は、都心部を中心とした戸建・マンション開発、不動産仲介、収益不動産事業などを展開する総合不動産企業です。直近の業績は、売上高1兆3,365億円(前期比3.1%増)、経常利益1,395億円(同16.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,007億円(同8.3%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社オープンハウスグループ の有価証券報告書(第29期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オープンハウスグループってどんな会社?


同社グループは、「都心部で手の届く価格の住宅」を提供する製販一体型のビジネスモデルを強みとする総合不動産会社です。

(1) 会社概要


1997年に株式会社オープンハウスを創業し、不動産仲介事業を開始しました。2013年に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たし、その後も成長を加速させています。2021年には株式会社プレサンスコーポレーションを連結子会社化し、関西圏での基盤を強化しました。2022年に持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しました。2023年には株式会社三栄建築設計(現メルディア)を完全子会社化するなど、積極的なM&Aにより事業規模を拡大しています。

従業員数は連結で6,620名、単体で307名です。筆頭株主は創業者の荒井正昭氏であり、第2位はいちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド、第3位は日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)となっています。創業者によるオーナーシップと機関投資家の保有が混在する株主構成です。

氏名 持株比率
荒井 正昭 33.97%
いちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド(常任代理人香港上海銀行東京支店) 13.54%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 8.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性4名の計12名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は福岡良介氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
福岡 良介 代表取締役社長 2002年同社入社。オープンハウス・ディベロップメント社長などを経て、2025年10月より現職。
鎌田 和彦 代表取締役副社長 リクルートコスモス(現コスモスイニシア)出身。インテリジェンス(現パーソルキャリア)社長などを歴任し、2025年4月より現職。
若旅 孝太郎 専務取締役CFO 住友銀行(現三井住友銀行)、スターバックスコーヒージャパンを経て2009年同社入社。2021年12月より現職。
菊池 健太 取締役専務執行役員 2006年同社入社。ホーク・ワン社長、メルディア社長などを歴任し、2025年4月より現職。
荒井 正昭 取締役Founder 1997年同社創業、代表取締役社長に就任。グループ各社取締役を経て、2025年10月より現職。
宗正 浩志 取締役 住友銀行(現三井住友銀行)出身。三井住友フィナンシャルグループ執行役専務などを経て、2021年12月より現職。


社外取締役は、石村等(元大栄不動産社長)、大前由子(弁護士)、小谷真生子(キャスター)です。

2. 事業内容


同社グループは、「戸建関連事業」「マンション事業」「収益不動産事業」「プレサンスコーポレーション」および「その他」事業を展開しています。

(1) 戸建関連事業


主に都心部において、新築一戸建住宅および住宅用地の仲介、分譲、建築請負を行っています。製販一体型の体制を構築しており、顧客ニーズに合った住宅をリーズナブルな価格で提供しています。

収益は、顧客からの仲介手数料、住宅および土地の販売代金、建築請負代金から構成されます。運営は、仲介を株式会社オープンハウス等が、分譲を株式会社オープンハウス・ディベロップメント、株式会社ホーク・ワン、株式会社メルディア等が、建築請負を株式会社オープンハウス・アーキテクト等が担っています。

(2) マンション事業


首都圏、名古屋圏、福岡圏の都心部を中心に、新築マンションの開発および分譲を行っています。利便性の高い立地において、単身者や2人世帯向けのコンパクトタイプやファミリータイプのマンションを供給しています。

収益は、顧客へのマンション販売代金によって得られます。運営は主に株式会社オープンハウス・ディベロップメントが行っており、一部物件の建築は株式会社オープンハウス・アーキテクトが担っています。

(3) 収益不動産事業


主に首都圏において、小規模な賃貸マンションやオフィスビル等の収益不動産を取得し、リーシングやリノベーションにより資産価値を高めた後、個人富裕層や事業会社等に販売しています。

収益は、投資用不動産の販売代金および保有期間中の賃料収入等から構成されます。運営は、株式会社オープンハウス・リアルエステート、株式会社オープンハウス・ディベロップメント、株式会社MAI等が行っています。

(4) プレサンスコーポレーション


主に関西圏、東海圏において、投資用ワンルームマンションおよびファミリーマンションの企画開発と販売を行っています。また、賃貸管理事業や建物管理事業も手掛けています。

収益は、マンションの販売代金、賃貸管理手数料、建物管理委託料等から構成されます。運営は、株式会社プレサンスコーポレーション、株式会社三立プレコン、株式会社メルディアDC等が行っています。

(5) その他


米国不動産事業および金融サービス事業を展開しています。米国不動産事業では、日本在住の富裕層向けに米国不動産の販売、管理、コンサルティング等を行っています。

収益は、米国不動産の販売代金、管理手数料、金融サービスの金利収入等から構成されます。運営は、Open House Realty & Investments, Inc.や株式会社アイビーネット等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、第29期には1兆3,365億円に達しました。利益面でも、経常利益は一時的な変動は見られるものの高水準を維持しており、当期純利益も順調に推移しています。高い成長性を維持しながら、利益もしっかりと確保していることが読み取れます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 8,105億円 9,527億円 11,485億円 12,959億円 13,365億円
経常利益 976億円 1,212億円 1,369億円 1,203億円 1,395億円
利益率(%) 12.0% 12.7% 11.9% 9.3% 10.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 351億円 459億円 532億円 804億円 797億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は16.0%から18.2%へと改善しました。販売費及び一般管理費も増加していますが、増収効果と利益率の改善により、営業利益は前期比で大きく伸長しました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 12,959億円 13,365億円
売上総利益 2,069億円 2,432億円
売上総利益率(%) 16.0% 18.2%
営業利益 1,191億円 1,459億円
営業利益率(%) 9.2% 10.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与が219億円(構成比23%)、支払手数料が105億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、「プレサンスコーポレーション」および「その他」セグメントが大幅な増収となり、全社の成長を牽引しました。「戸建関連事業」も堅調に推移し増益となりましたが、「マンション事業」および「収益不動産事業」は減収となりました。利益面では、「戸建関連事業」の大幅な増益が全社の利益押し上げに寄与しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
戸建関連事業 6,528億円 6,713億円 508億円 695億円 10.4%
マンション事業 892億円 688億円 107億円 80億円 11.7%
収益不動産事業 2,321億円 2,184億円 177億円 232億円 10.6%
その他 1,214億円 1,511億円 112億円 157億円 10.4%
プレサンスコーポレーション 2,003億円 2,268億円 283億円 287億円 12.7%
調整額 -0億円 0億円 5億円 7億円 -
連結(合計) 12,959億円 13,365億円 1,191億円 1,459億円 10.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のCF状況は、本業で稼いだ資金で借入金を返済しつつ、投資も自力で賄えている「健全型」です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 1,048億円 295億円
投資CF -226億円 -111億円
財務CF -693億円 -30億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「お客様のニーズを徹底的に追求し、価値ある不動産を届けます」という企業使命を掲げています。この使命を達成するために、「正々堂々市場に向き合い、社会の信頼を得る」「慣習や常識にとらわれない発想で成長を目指す」「地域の活力向上に積極的に貢献し、街の元気を作る」という事業展望を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「全てを決めるのはお客様です」「誠実さと情熱を持ちお客様に向き合います」といった価値観を重視しています。また、「明るく前向きな態度」「やる気のある人を広く受け入れ、結果に報いる組織」「愚直に泥臭く取り組む社員に挑戦の場を提供する」といった行動指針を持ち、成果主義と挑戦を推奨する企業文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2024年9月期から2026年9月期までの3カ年の基本方針を策定しています。不透明な事業環境下でも安全性の高い財務体質を維持しつつ、成長投資と株主還元を重視した経営を目指しています。

* 3カ年累計当期純利益:3,055億円
* 自己資本比率:35%以上
* ネットD/Eレシオ:1.0倍以下
* 総還元性向:40%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社グループは、戸建関連事業を主軸としつつ、マンション事業や収益不動産事業、米国不動産事業などによるポートフォリオ経営を推進しています。特に、戸建事業では関西圏への進出強化、M&Aによるシナジー追求、グループ会社との連携による事業基盤の拡大を図っています。また、DXやサステナビリティへの投資も積極的に行い、持続的な成長を目指しています。

* 成長投資額:3カ年で5,000億円(M&A、既存事業投資含む)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「人材」を最も重要な資本と位置づけ、経歴にとらわれない優秀な人材の採用と育成に注力しています。「やる気のある人を広く受け入れ、結果に報いる組織」を目指し、年4回の昇格査定によるスピーディーな登用を行っています。また、女性活躍推進や障がい者雇用、健康経営にも取り組み、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 34.7歳 4.5年 9,143,467円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.5%
男性育児休業取得率 41.5%
男女賃金差異(全労働者) 50.5%
男女賃金差異(正規雇用) 49.2%
男女賃金差異(非正規) 55.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向・金利動向等の影響


不動産業界は景気、金利、地価、為替等のマクロ経済要因の影響を受けやすく、住宅ローン金利の動向や消費税、不動産税制の改正などが業績に影響を与える可能性があります。

(2) 営業エリアの集中と競争激化


事業が首都圏等の都市部に集中しているため、同地域の経済状況や人口動向の影響を受けやすい特性があります。また、競合他社との競争激化や災害発生時におけるリスクも存在します。

(3) 土地・資材価格の高騰


事業用地の仕入価格や木材・建材等の原材料価格、建築工事に係る人件費が高騰した場合、販売価格への転嫁が困難であれば業績に悪影響を与える可能性があります。

(4) 有利子負債への依存


事業資金を主に金融機関からの借入金で賄っているため、金利上昇や金融情勢の変化により資金調達が困難になった場合、業績や資金繰りに影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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