※本記事は、株式会社アトラエ の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アトラエは、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンを掲げ、インターネット上で転職希望者と求人企業をマッチングする成功報酬型求人メディア「Green」を運営しています。組織のエンゲージメントを可視化し、人材活用と定着を促進するプラットフォーム「Wevox」も提供しており、テクノロジーで人の可能性を拡げる「People Tech Company」として事業を展開しています。
単体従業員数は124名です。セグメントはPeople Tech事業の単一です。
アトラエは、前事業年度に株式会社アルティーリの株式の一部を譲渡したことにより、連結子会社から除外しました。これにより、当事業年度から報告セグメントをPeople Tech事業の単一セグメントに変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アトラエは、テクノロジーを活用して人々の可能性を広げる事業を展開しており、その働き方や組織文化にも独自の特徴が見られます。社員一人ひとりの主体性を尊重し、高いエンゲージメントを追求する環境が整えられています。給与水準やキャリア形成においても、同社のユニークなアプローチが反映されていると言えるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アトラエでは、比較的若い年齢層の社員が中心となって活躍しており、平均勤続年数からは一定の定着傾向がうかがえます。フラットな組織文化の中で、個々の社員が長期的にキャリアを築けるような環境づくりに注力していることが示唆されます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,143,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.6年 |
| 平均年齢 | 33.0歳 |
| 単体従業員数 | 124人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
アトラエは、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンと、「テクノロジーによって人の可能性を拡げる」というミッションのもと、人材戦略を推進しています。同社は、出世を前提としたヒエラルキー型の組織ではなく、フラットで自律分散型の組織運営を徹底しています。これにより、意思決定の迅速化と社員一人ひとりの経営視点・参画意識の向上を図っています。
社員エンゲージメント向上に向けた具体的な取り組みとして、役職を撤廃した組織体制、360度評価制度、社員が株主視点を持つための株式報酬制度、従業員持株会制度などを導入しています。また、スーパーフレックスや子連れ出社、制限なしのテレワークといった柔軟な働き方を可能にする制度も整備されています。月に一度の全社員参加の組織に関するディスカッションを通じて、高い当事者意識と経営者視点を持つカルチャーの醸成に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
持続可能な組織及び経営手法の確立
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 期中平均エンゲージメントスコア | 87 |
強固でセキュアな経営基盤づくり
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次セキュリティ理解度チェックテスト実施 | 1回 |
| 自己資本利益率 | 26.0% |
社会性を重視した取組
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 社会課題解決に関する出資 | 2件 |
地球環境への貢献
本社オフィスにおける電力使用により排出されるCO2排出量を示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| Scope1(kg-CO2) | 0 kg-CO2 |
| Scope2(kg-CO2) | 238,647 kg-CO2 |
| CO2排出量合計 | 238,647 kg-CO2 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アトラエは、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンのもと、「People Tech Company」として事業を展開しています。テクノロジーを活用し、人材の流動化促進、組織活性化、ビジネスパーソン間のマッチングを支援するサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は「People Tech事業」の単一セグメントで事業を展開しており、テクノロジーを活用した人材関連サービスを提供しています。主力サービスは、成功報酬型求人メディア「Green」です。
「Green」は、求職者と求人企業の最適なマッチングを実現するプラットフォームであり、特にIT・Web業界に強みを持っています。収益は、採用が成功し求職者が入社した際に発生する成功報酬を主な源としています。従来の広告型求人メディアとは異なり、広告掲載料が掛け捨てになるリスクがない点が特徴です。
また、組織力向上プラットフォーム「Wevox」も提供しています。「Wevox」は、エンゲージメントを可視化することで組織を活性化し、人材の活用と定着化を促進するサービスです。
さらに、新規事業としてビジネス版マッチングアプリ「Yenta」を運営しています。「Yenta」は、人工知能を活用してビジネスパーソン同士の出会いを創造し、オープンイノベーションや働き方の多様化を促進しています。同社の売上高は国内の外部顧客への売上高が大部分を占めており、国内事業が中心となっています。直近では、「Green」の売上高は減少傾向にありますが、「Wevox」の売上高は増加傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の業績は、過去4期間において売上高が継続して増加する傾向を示しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、一時的な減少が見られたものの、直近の期間では大きく増加しました。全体として、売上高の成長とともに利益も回復し、堅調な推移となっています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 44.6億円 | 65.9億円 | 77.6億円 | 86.0億円 | - |
| 経常利益 | 10.1億円 | 10.6億円 | 9.2億円 | 15.4億円 | - |
| 経常利益率 | 22.5% | 16.1% | 11.9% | 18.0% | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 6.5億円 | 6.5億円 | 3.3億円 | 7.3億円 | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | 24.18 | 24.20 | 12.60 | 29.09 | - |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の生産性指標を見ると、前期の従業員1人あたり売上高および従業員1人あたり経常利益は、それぞれ一定の水準を示しています。これは、同社が従業員一人ひとりの貢献を通じて収益と利益を生み出す事業構造を持っていることを示唆しています。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 78.9百万円 | - |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 14.2百万円 | - |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の経営状況は、事業活動で得た資金を投資に充てながらも、安定した資金を生み出している状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から増加し、72.0%となっています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は前期が15.0%でした。手元資金として、当期末の現金及び預金等は41.6億円となっています。これらの状況は、同社が安定した財務体質を維持していることを示しており、事業運営の安定性につながる要素です。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 64.5% | 72.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 15.0% | - |
| 現金及び預金等 | - | 41.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、事業活動による資金の動きが安定していることを示しています。当期は営業活動により18.7億円の資金が増加しました。これは主に税引前当期純利益の計上や株式報酬費用、契約負債の増加によるものです。
一方で、投資活動では投資有価証券や有形固定資産の取得により4.6億円の資金が減少しています。この結果、本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出すフリーキャッシュフローは14.1億円のプラスとなっています。
財務活動では自己株式の取得や配当金の支払いにより16.1億円の資金が減少しました。これらの資金の流れは、同社が本業で安定的に資金を創出し、成長投資を行いながらも、健全な財務運営を行っている状況を示しており、雇用や給与の安定性につながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 12.8億円 | 18.7億円 |
| 投資CF | △8.4億円 | △4.6億円 |
| 財務CF | △8.1億円 | △16.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 4.5億円 | 14.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、主力事業である成功報酬型求人メディア「Green」への収益依存度が高い状況にあります。新規事業の創造や収益化が計画通りに進まない場合、Greenの売上変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、競合企業が多く参入障壁が低い市場環境において、若くテクノロジーに長けた企業の台頭や海外企業の本格進出により、同社の優位性が低下するリスクも存在します。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、継続的な事業拡大や新規事業推進のため、優秀な人材の確保、育成、定着を重要視しています。しかし、求める人材を必要な時期に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合、経常的な業務運営や新規事業の拡大に支障が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アトラエは「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンを掲げ、テクノロジーを通じて人の可能性を広げる「People Tech Company」として事業を展開しています。社員一人ひとりの働きがいを重視し、フラットな組織運営を追求する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アトラエは、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンを掲げています。同社は「テクノロジーによって人の可能性を拡げる事業を創造していく」という想いを込め、「People Tech Company」と自社を再定義しています。全ての社員が誇りを持てる組織と事業の創造にこだわり、関わる人々がファンとして応援したくなるような魅力ある会社であり続けることを目指しています。日本を代表するグローバルカンパニーとして、世界中の人々から必要とされる存在となることを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アトラエは、優秀で意欲ある人材の採用、育成、定着を極めて重要視しています。同社は、出世を前提としたピラミッド型の組織ではなく、フラットな組織形態とプロジェクト単位で柔軟に働ける組織運営を徹底しています。これにより、意思決定のスピードを速め、社員一人ひとりの経営視点や参画意識を高めることを目指しています。
採用活動は会社経営の最重要事項と捉え、個人の価値観や人間性、既存メンバーとの相性を十分に吟味しています。過剰な人材採用はせず、労働生産性にこだわった新卒採用を中心とした組織創りを行っています。
また、役職を撤廃した自律分散型組織や、社員のオーナーシップを尊重する多様な働き方を通じて、社員エンゲージメントの向上に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
アトラエは、今後の重点テーマとして、組織体制の強化に取り組んでいます。複数事業の迅速な拡大・成長を実現するため、多様な採用手法を用いて人材を獲得し、優秀な社員が定着し続けるような創意工夫を続けています。
また、IT・Web業界を超えた幅広い業界でのサービス知名度向上や、競合企業との差別化を明確にしたブランド確立も重要な課題です。競争優位性の高いビッグデータをさらに有効活用し、解析精度を向上させ、新規事業の創造に取り組む方針です。
さらに、個人情報保護のための情報管理体制の強化や、グローバル市場への段階的な進出も推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アトラエは、監査等委員会設置会社として、取締役の職務執行に対する監査機能を強化しています。また、取締役会の諮問機関として指名委員会と報酬委員会を設置し、経営の透明性と客観性を高める体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アトラエの株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役CEOの資産管理会社である合同会社ラウレアです。これにより、創業家が同社の経営に強い影響力を持つ資本構成であることがうかがえます。また、信託銀行などの機関投資家も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社ラウレア | 29.96% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 8.79% |
| 新居 佳英 | 6.95% |
| 日本カストディ銀行 | 2.35% |
| 鎌田 和彦 | 1.88% |
なお、2025年5月29日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、ニュートン・インベストメント・マネジメント・ジャパンが2025年5月26日現在で1,042,100株(株券等保有割合4.41%)を保有している旨が記載されていますが、同社として2025年9月30日現在における実質保有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含められていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性5名・女性3名)で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役CEOは新居佳英氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 新居 佳英 | 代表取締役CEO | 1998年4月 株式会社インテリジェンス入社。2000年7月 株式会社インサイトパートナーズ代表取締役就任。2003年10月 同社設立代表取締役CEO就任より現職。 |
| 岡 利幸 | 取締役CTO | 2007年4月 同社入社。2012年4月 同社取締役CTO就任より現職。 |
| 鈴木 秀和 | 取締役CFO | 2005年4月 大和証券SMBC株式会社(現大和証券)入社。2018年9月 同社入社。2018年12月 同社取締役CFO就任より現職。 |
社外取締役は、小笹留美子氏(指名委員会及び報酬委員会委員長)、戸塚隆将氏(ベリタス代表取締役・キュリオ代表取締役・監査等委員)、雪丸真吾氏(虎ノ門総合法律事務所弁護士・監査等委員)、森尚美氏(森尚美公認会計士事務所所長・監査等委員)、波田野馨子氏(波田野綜合法律事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることで、監督機能を強化しています。独立社外取締役が過半数を占める指名委員会及び報酬委員会を設置し、役員候補者の選任や報酬決定プロセスの透明性と客観性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アトラエの役員報酬は、役割と責任に応じた基本報酬と、株主価値との連動性を高める非金銭報酬としての株式報酬で構成されています。社外取締役の報酬は、その職務の性質から基本報酬のみが支給される仕組みです。報酬の決定は、報酬委員会での審議を経て取締役会が行い、監査等委員である取締役の報酬は監査等委員会の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 2.8億円 | 94.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 20百万円 | 3.9百万円 |
取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)の非金銭報酬等は、譲渡制限付株式の費用計上額です。
個人別報酬が開示されている役員は、鈴木秀和氏(1.39億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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