キャピタル・アセット・プランニング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

キャピタル・アセット・プランニング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のシステム開発会社です。生命保険会社や銀行などの金融リテールビジネス向けシステム開発を主力事業としています。2025年9月期は、生命保険会社向けの大型受託開発が好調に推移し、過去最高の売上高を達成、各利益ともに大幅な増益となりました。


※本記事は、株式会社キャピタル・アセット・プランニングの有価証券報告書(第37期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. キャピタル・アセット・プランニングってどんな会社?


金融機関や顧客向けに、ライフプランや資産管理等のシステムを開発・提供する企業です。

(1) 会社概要


1990年に大阪市で設立され、金融リテール向けシステムの受託開発を開始しました。2009年には統合的資産管理システム「Wealth Management Workstation」の提供を開始。2016年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場し、2018年9月東京証券取引所市場第二部へ市場変更しました。2024年6月Wealth Engine、2025年7月Trust Engineを設立しています。

連結従業員数は387名、単体では352名です。筆頭株主は事業会社の合同会社フィンテックマネジメントで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は創業者で代表取締役社長の北山雅一氏です。

氏名 持株比率
合同会社フィンテックマネジメント 15.33%
特定有価証券信託受託者SMBC信託銀行 11.86%
北山雅一 9.11%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は北山雅一氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
北山雅一 代表取締役社長コーポレートガバナンス統括経営部担当兼経営管理部担当兼コンサルティング部担当 監査法人勤務を経て、北山雅一公認会計士・税理士事務所を開設。1990年同社設立とともに代表取締役社長に就任し、現在に至る。
里見努 専務取締役システムソリューション事業本部担当システムソリューション事業本部本部長管理本部担当 1997年同社入社。プロダクトソリューションディビジョン部長等を経て、2018年より専務取締役。インフォーム代表取締役も務める。
青木浩一 取締役管理本部担当管理本部本部長 監査法人勤務を経て、2011年同社入社。総務経理管理部部長等を歴任し、2024年より現職。
安藤恵郎 取締役システムソリューション事業本部担当システムソリューション事業本部副本部長兼システムソリューション第2事業部事業部長兼SS企画事業部事業部長 2006年同社入社。システム開発第4部部長等を経て、2018年より取締役。現在はシステムソリューション事業本部副本部長等を務める。


社外取締役は、名越秀夫(インテックス法律特許事務所代表)、坂本忠弘(地域共創ネットワーク代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システム開発事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) システム開発・提供サービス


生命保険会社や銀行、証券会社向けに、保険設計書作成システムや顧客管理(CRM)システム等のフロントエンドシステム、および契約管理等のバックオフィスシステムを開発・提供しています。また、ライフプランや税務計算などのロジックをAPIで提供するサービスも行っています。

収益は、主に金融機関等からのシステムの受託開発収入、開発したシステムの使用許諾収入、保守運用収入によって構成されています。運営は主にキャピタル・アセット・プランニングが行い、子会社のインフォームもシステム構築支援を行っています。

(2) 資産管理プラットフォーム・コンサルティング


資産家や企業経営者向けに、全資産を時価評価し課題を見える化する統合資産管理システム(WMW)をクラウドで提供しています。また、IFA(金融商品仲介業者)向けのゴールベースプランニングシステムの提供や、ファミリーオフィスサービスの展開も進めています。

収益は、システムの使用ライセンス数等に基づく使用料課金や、資産承継・運用等に関するコンサルティング収入となります。運営はキャピタル・アセット・プランニングのほか、Wealth EngineやTrust Engineが連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実な右肩上がりで推移しており、直近の第37期には過去最高を更新しています。利益面では、一時的な赤字計上があった期も見られますが、直近2期は黒字を維持し、利益率も改善傾向にあります。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 66.3億円 67.5億円 80.5億円 81.8億円 96.9億円
経常利益 1.2億円 -2.5億円 3.3億円 3.1億円 5.4億円
利益率(%) 1.8% -3.6% 4.1% 3.8% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 -3.0億円 1.8億円 1.8億円 4.0億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率、営業利益率ともに改善しており、増収効果が利益に結びついています。販管費も増加していますが、売上の伸びが上回りました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 81.8億円 96.9億円
売上総利益 17.3億円 21.2億円
売上総利益率(%) 21.1% 21.9%
営業利益 3.0億円 5.3億円
営業利益率(%) 3.6% 5.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3.5億円(構成比22%)、役員報酬が2.4億円(同15%)を占めています。売上原価においては、外注加工費と労務費が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


各売上区分ともに順調に推移しています。特に主力のシステム開発は、生命保険会社向けの大型案件や新規顧客獲得により大きく伸長しました。使用許諾・保守運用は微減となりましたが、その他売上は増加しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
システム開発 75.9億円 91.2億円
使用許諾・保守運用 5.5億円 5.2億円
その他 0.3億円 0.5億円
連結(合計) 81.8億円 96.9億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラスで、利益を計上し資金を獲得しています。一方で投資活動はマイナスであり、将来への投資を行っています。財務活動によるキャッシュ・フローはプラスとなっており、借入等による資金調達を行っています。これは営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」の状態です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -2.8億円 4.3億円
投資CF -1.8億円 -1.3億円
財務CF 0.1億円 0.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「FT(Financial Technology)とIT(Information Technology)の統合により、ファイナンシャルウェルネスを創造する」ことをパーパスとして掲げています。個人資産の最適なアセットアロケーションと、次世代への不安のない移転の実現を目指し、金融サービスとアセットマネジメントのイノベーターになることをビジョンとしています。

(2) 企業文化


社員が共有する行動規範(バリュー)として、新しい価値創造に挑む「起業家精神」、論理性と感性を融合させる「サイエンス+アート」、常に変革を追求する「革新性」、そして事業を通じて「人と社会に貢献」することの4つを制定しています。これらに基づき、日本型デジタル資産運用プラットフォーマーへの成長を目指しています。

(3) 経営計画・目標


2025年9月期から2027年9月期までの中期経営計画を策定しています。事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させることを目標とし、特に売上規模を表す売上高、収益性を表す営業利益、資本効率を表すROEを重視する経営指標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


顧客基盤の深耕と事業ポートフォリオ改革を推進し、生命保険会社に加え銀行・証券分野への展開を強化します。また、ファミリーオフィスビジネスへの参入や、IFA向けプラットフォーム開発によるストックビジネスの拡大、東南アジアを中心とした海外市場開拓に取り組みます。さらに、生成AI等の先進テクノロジー活用による新サービス創出にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


キャリア採用では性別や国籍を問わず優れた人材を確保し、新卒採用では文系学生も含めた多様な人材の採用を目指しています。育成面では、ITスキルに加え金融知識の習得を重視し、社内大学「CAPユニバーシティ」等で教育を強化しています。また、評価制度の改定や女性管理職登用、在宅勤務の推進など、働きやすい環境整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 38.5歳 6.7年 7,276,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.9%
男性育児休業取得率 20.8%
男女賃金差異(全労働者) 80.7%
男女賃金差異(正規雇用) 81.2%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※男女賃金差異(非正規雇用)は、対象者がいないため記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性及び外国人管理職比率(12.5%)、有給休暇取得率(63.7%)、AWS認定資格取得者数(43名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 開発プロジェクトの管理について


請負契約による開発案件において、当初の見積り以上の作業工数が必要となる場合や、仕様変更による追加費用、顧客の方針変更による遅延などが発生し、採算性が悪化する可能性があります。

(2) システムの不具合について


金融商品の販売等をサポートするシステムの性質上、納品後に不具合が発見された場合、補修費用の発生や信用の低下、損害賠償請求などにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競合について


金融リテール市場において、より高度な技術やノウハウを持つ競合企業が出現し、顧客ニーズを的確に捉えたシステムを提供するようになった場合、競争力が低下し業績に影響を与える可能性があります。

(4) 顧客が特定の業界に偏っていることについて


売上高の大半を国内金融機関、特に生命保険会社に依存しています。そのため、生命保険業界の再編や法令規制の変更、IT投資動向の変化などが、業績に大きな影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。