※本記事は、株式会社キャピタル・アセット・プランニング の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
キャピタル・アセット・プランニングは、1990年4月の設立以来、金融リテールビジネスの業務プロセスを最適化するシステムを開発・提供しています。金融機関とその顧客にとって有用な情報提供や効率的な販売、最適な商品ミックスを実現するシステムの開発を手がけています。
単体従業員数は352名、連結従業員数は387名です。同社グループの事業セグメントはシステム開発事業の単一です。
主な国内グループ会社は、インフォーム、Wealth Engine、Trust Engineなどです。
同社グループは、2025年7月に台湾のSoftBI社と合弁会社「Trust Engine」を設立し、IFA向けプラットフォーム開発を推進しています。また、生成AIを活用したファミリーオフィスビジネスへの参入も進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社キャピタル・アセット・プランニングは、金融分野に特化したシステム開発を強みとする企業です。同社グループでは、従業員の専門知識と経験を競争力の源泉と捉え、多様な働き方を推進しています。給与水準やキャリア形成、福利厚生の面で、どのような環境が提供されているのかを見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数と平均年齢から、一定の定着傾向が見られます。多様な働き方を推進しつつ、社員が長期的にキャリアを築ける環境づくりに注力していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,276,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.7年 |
| 平均年齢 | 38.5歳 |
| 単体従業員数 | 352人 |
| 連結従業員数 | 387人 |
| 単体のグループ内比率 | 90.9% |
同社グループは、従業員の退職給付として確定拠出年金制度及び中小企業退職金共済制度等を採用しています(確定拠出型=会社が拠出した資金を従業員が運用する)。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、金融、特に生命保険分野におけるメンバーの知識と経験を競争力の源泉と位置づけています。人的資本の拡充を価値創造に不可欠な要素とし、従業員の人格と人権を尊重し、公平な処遇と安全で働きやすい職場環境の実現を目指しています。
2022年10月には、自己決定理論に基づいた人材戦略全体像を構築し、等級制度、評価制度、給与制度を改定しました。エンジニア社員を中心に複数のキャリアコースを設け、短期・中長期的な貢献を評価する合理的な評価体系を導入し、柔軟なキャリア形成を支援しています。
具体的には、性別や国籍にとらわれない優れた人材のキャリア採用、情報系学生だけでなく文系学生にも門戸を開く新卒採用、女性内定者3割以上を目標とする多様な人材の採用方針を掲げています。また、ITスキルと金融業務知識の両方を習得できるよう、充実した教育・研修制度を提供しており、PMP取得維持支援や資格取得援助制度、自己啓発支援のための補助制度も設けています。女性活躍推進のため、女性管理職の登用や育児休業・育児時短勤務制度の充実、在宅勤務の制度化など、働きやすい環境整備にも努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 20.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 80.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 81.2% |
人的資本に関する指標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性及び外国人管理職比率 | 12.5% |
| 有給休暇取得率 | 63.7% |
| AWS認定資格取得者数 | 43名 |
| FP資格取得率 | 58% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
キャピタル・アセット・プランニングは、金融リテールビジネスの業務プロセスを最適化するシステムを開発・提供している企業です。金融機関とその顧客にとって有用な情報提供や効率的な販売を支援するシステムを手がけています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、金融リテールビジネスの業務プロセスを最適化するシステムを開発・提供しています。金融商品や保険商品の販売に関するビジネスルールや法令に適合し、金融機関とその顧客に有用な情報提供や効率的な販売を支援するシステムを手がけています。
主力は、金融機関等の営業担当者や管理者、その顧客が直接使用する「フロントエンドシステム」の開発・提供です。また、生命保険契約管理システムなどの「バックオフィスシステム」のオープン言語化やクラウド化も推進しています。生成AIを活用した相続・財産承継に係る顧客向け提案の自動作成システムや保険募集文書チェックサービスなどの開発にも注力しています。
銀行向けにはゴールベースプランニングに基づいた資産管理プラットフォーム、証券会社向けにはIFA向け投資商品発注サポートシステムなどの開発も行っています。連結子会社であるインフォームは既存事業の拡大に貢献し、株式会社Trust Engineは台湾のSoftBI社と共同でIFA向け資産管理プラットフォームを開発しています。さらに、株式会社Wealth Engineはマルチクライアントファミリーオフィス事業を展開し、資産家向けのコンサルティングサービスを提供しています。
同社グループの収益モデルは、主に金融機関、会計事務所、金融商品仲介業者などからのシステム開発受託によるものです。システムの設計・開発・実装、開発したシステムの使用許諾、および保守運用などから対価を得ています。また、開発・保有する計算ライブラリ群の一部をAPIで提供し、使用料課金も獲得しています。
財産管理や事業承継・財産承継に関するコンサルティングサービスも提供し、コンサルティング収入を得ています。使用許諾収入は、ライフプランシステムやエステートプランシステム等の前提となるCAPライブラリの提供により課金されています。
同社グループの事業は「システム開発事業」の単一セグメントです。売上区分別に見ると、システム開発が売上高の大部分を占めており、使用許諾・保守運用はそれに比べて割合が低い傾向にあります。その他売上高は増加しています。主要な顧客としては、ソニー生命保険、三井住友海上あいおい生命保険、インフォテクノ朝日などが挙げられます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上高が着実に増加傾向にあります。特に直近の連結会計年度では、売上高は過去最高を記録し、大幅な伸びを示しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、一時的な落ち込みがあったものの、直近の連結会計年度では大きく改善し、高い成長を達成しています。営業活動によるキャッシュ・フローも直近の連結会計年度では収入に転じています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 66.3億円 | 67.5億円 | 80.5億円 | 81.8億円 | 96.9億円 |
| 経常利益 | 1.2億円 | △2.5億円 | 3.3億円 | 3.1億円 | 5.4億円 |
| 経常利益率 | 1.8% | △3.6% | 4.1% | 3.8% | 5.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 70百万円 | △2.5億円 | 2.2億円 | 1.6億円 | 4.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 12.19 | △43.45 | 38.72 | 27.35 | 69.97 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたりの営業利益も前期に比べて増加しており、収益性の改善が進んでいることを示しています。これらの指標の向上は、組織全体の効率化や事業活動の強化が寄与していると考えられます。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.7百万円 | 25.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 1.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの経営の安定性を評価する上で、財務基盤とキャッシュフローの状況は重要な指標となります。現在の財務状況と資金の流れから、同社グループの安定性と将来に向けた投資状況を読み解きます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROEの推移からその健全性が示されています。自己資本比率は安定した水準を維持しており、事業活動を支える基盤が整っていることがうかがえます。ROEは前期から大きく向上しており、効率的な資本活用が進んでいる状況です。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、事業運営における流動性も確保されています。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 33.0億円 | 39.3億円 |
| 自己資本比率 | 56.9% | 56.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.0% | 11.6% |
| 現金及び預金 | 14.1億円 | 17.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期の支出から当期は収入に転じています。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加によるものであり、売上債権の増加が一部相殺しています。投資活動によるキャッシュフローは、無形固定資産や有形固定資産の取得による支出が継続しており、将来に向けた投資が行われている状況です。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入と返済、非支配株主からの払込み、配当金の支払いなどにより収入となっています。これらの結果、フリーキャッシュフローはプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状態です。この資金状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた基盤を強化していることを示しており、従業員の雇用や給与の安定性にも良い影響を与えると考えられます。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △2.8億円 | 4.3億円 |
| 投資CF | △1.8億円 | △1.3億円 |
| 財務CF | 11百万円 | 27百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △4.6億円 | 3.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、売上高の大半を国内金融機関、とりわけ生命保険会社に依存している状況です。また、販売実績の10%を超える特定の販売先が存在しており、主要顧客の営業方針変更やシステム投資規模の減少が業績に影響を及ぼす可能性があります。金融リテール市場における競合企業の出現や、生命保険業界の法令改正、IT投資動向なども、同社グループの業績に影響を与える要因として挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、金融商品取引法に準拠したシステムの開発販売やコンサルティングを行っており、新たなサービスを展開するためには優秀な人材の確保が不可欠です。高度な能力を持つ人材の流動化が進む中で、将来にわたって必要な人材を継続して確保できるかどうかは不確定であり、これが業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
キャピタル・アセット・プランニングは、金融とITの融合を通じて、人々のファイナンシャルウェルネスを創造することを目指しています。社会課題の解決に貢献しながら、持続的な成長を追求する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「FT(Financial Technology)とIT(Information Technology)の統合により、ファイナンシャルウェルネスを創造する」ことをパーパスとして掲げています。中長期的に目指す姿として、デジタルトランスフォーメーションを実行しながら「金融サービスとアセットマネジメントのイノベーターになる」というビジョンを掲げています。
従前のシステム開発会社から、文化・金融制度・税制に適合した日本型デジタル資産運用プラットフォーマーへと独自の成長を目指すことを基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループでは、社員が共有する行動規範として「起業家精神」「サイエンス+アート」「革新性」「人と社会に貢献」という4つのバリューを制定しています。従業員の人格と人権を尊重し、公平な処遇と安全で働きやすい職場環境の実現を重視しています。
ダイバーシティ、女性活躍、テレワークなど多様な働き方を推進しており、女性管理職の登用や育児休業・育児時短勤務制度の充実、在宅勤務の制度化にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、策定した中期経営計画の着実な推進・実行を重要な課題と認識しています。また、生成AI等の先進テクノロジーの活用研究に注力し、新サービスの創出を推進しています。
優秀な人材の確保と人的資本投資も重点テーマであり、新規採用や中途採用の拡充、社内教育プログラムを通じた総合的人材教育の強化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
キャピタル・アセット・プランニングは、取締役会と監査役会を設置し、社外役員を含む体制で経営の意思決定と監督を行っています。また、指名・報酬諮問委員会を設置し、コーポレートガバナンスの充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
キャピタル・アセット・プランニングの筆頭株主は合同会社フィンテックマネジメントです。第2位の特定有価証券信託受託者SMBC信託銀行は、代表取締役社長北山雅一氏の親族が信託したものであり、同氏自身も第3位の大株主となっています。このように、創業家や経営陣が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社フィンテックマネジメント | 15.33% |
| 特定有価証券信託受託者SMBC信託銀行 (注)1 | 11.86% |
| 北山 雅一 | 9.11% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は北山雅一氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 北山 雅一 | 代表取締役社長コーポレートガバナンス統括経営部担当兼 経営管理部担当兼 コンサルティング部担当 | 1979年11月監査法人中央会計事務所入所、1983年2月公認会計士登録。1990年4月同社設立、代表取締役社長より現職。 |
| 里見 努 | 専務取締役システムソリューション事業本部担当システムソリューション事業本部本部長 管理本部担当 | 1997年8月同社入社。2011年6月同社取締役、2018年12月同社専務取締役より現職。 |
| 青木 浩一 | 取締役管理本部担当管理本部本部長 | 1988年10月監査法人三田会計社入所。2011年12月同社入社、2016年12月同社取締役、2024年10月同社管理本部担当兼管理本部本部長より現職。 |
| 安藤 恵郎 | 取締役システムソリューション事業本部担当システムソリューション事業本部副本部長兼システムソリューション第2事業部事業部長兼SS企画事業部事業部長 | 2006年11月同社入社。2018年12月同社取締役、2018年10月同社システムソリューション事業本部副本部長より現職。 |
社外取締役は、名越秀夫氏(インテックス法律特許事務所代表)、坂本忠弘氏(地域共創ネットワーク代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役2名と社外監査役2名を含む体制で経営の監視機能を高めています。社外役員は全員が独立役員として、取締役の職務執行の監査や内部統制システムの監視を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
キャピタル・アセット・プランニングの役員報酬は、月例の固定報酬を基本としています。これに加え、社外取締役を除く取締役には、株主との価値共有と企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的とした譲渡制限付株式報酬が支給されています。報酬額の決定は、指名・報酬諮問委員会の審議を経て取締役会で決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.8億円 | 43.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 5.2百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 34百万円 | 8.6百万円 |
なお、非金銭報酬等には、ストック・オプションとして付与された新株予約権及び譲渡制限付株式報酬に係る費用計上額が含まれています。また、役員退職慰労金制度は2021年12月24日開催の定時株主総会をもって廃止されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。