岐阜造園 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

岐阜造園 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場および名証メイン市場に上場し、造園緑化事業を展開する企業です。「ガーデンエクステリア」と「ランドスケープ」の2領域で設計・施工・管理を行い、当連結会計年度の業績は、売上高63億円(前期比20.6%増)、経常利益5億円(同20.4%増)と増収増益で着地しました。


※本記事は、株式会社岐阜造園 の有価証券報告書(第60期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 岐阜造園ってどんな会社?


造園緑化事業を主軸とし、個人住宅の庭づくりから大規模な公共・商業施設の緑化まで幅広く手掛ける企業です。

(1) 会社概要


同社は1927年に「植弥」として創業し、1966年に現在の株式会社岐阜造園へ改組しました。東海地方を地盤に事業を拡大し、2016年に名古屋証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。その後、2022年に市場再編に伴い名証メイン市場へ移行するとともに、東京証券取引所スタンダード市場へ上場しています。創業から90年以上にわたり、造園技術の蓄積と展開を続けています。

2025年9月30日現在、連結従業員数は151名、単体では135名です。筆頭株主は同社の主要取引先である住宅メーカー(積水ハウス)で、第2位は創業者一族の資産管理会社となっています。

氏名 持株比率
積水ハウス 20.20%
合同会社小栗達弘オフィス 14.19%
小栗 洋行 9.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性3名の計13名で構成され、女性役員比率は23.1%です。代表取締役会長は小栗達弘氏、代表取締役社長は山田準氏が務めています。社外取締役比率は22.2%(取締役9名中2名)です。

氏名 役職 主な経歴
小栗 達弘 代表取締役会長 1969年同社入社。常務、専務を経て2005年代表取締役社長に就任。2020年11月より現職。
山田 準 代表取締役社長 1970年同社入社。設計部長、専務取締役設計部長、専務取締役ガーデンエクステリア事業部担当などを経て2020年11月より現職。
小栗 栄一 常務取締役中部地区担当 1995年同社入社。営業部長、常務取締役営業部長、常務取締役ランドスケープ事業部担当などを経て2025年4月より現職。
舟橋 恵一 取締役ガーデンエクステリア事業部長 1972年同社入社。営業部長、取締役管理部担当、取締役特命担当などを経て2024年10月より現職。
茨 宣晴 取締役大阪営業所長関西地区担当 1997年同社入社。大阪営業所長、ランドスケープ事業部長を経て2023年12月より現職。
兼松 正道 取締役管理部長 2000年同社入社。総務部長、管理部長を経て2023年12月より現職。
佐藤 雅大 取締役東京支店長関東地区担当 2002年同社入社。東京営業所長、東京支店長を経て2023年12月より現職。


社外取締役は、山本秀樹(公認会計士山本秀樹事務所所長)、横井良栄(よこいよしえ社会保険労務士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「造園緑化事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ガーデンエクステリア


個人顧客の住宅周辺環境(庭と外構)を対象に、設計・施工を行います。樹木や天然石を多用した付加価値の高い庭づくりを特徴とし、戸建・集合住宅の景観構築や、住宅メーカーと協働した分譲地の街並みづくりを手掛けています。また、ショールーム「パインズ」を展開し、オーダーメイドの提案を行っています。

収益は、主に住宅メーカーや個人顧客からの設計・施工料によって得ています。特に富裕層向けの高級案件や大型分譲地のプロジェクトに強みを持ちます。運営は主に岐阜造園が行っています。

(2) ランドスケープ


不特定多数が利用するパブリックスペースの緑化工事を手掛けています。公共施設、商業施設、ホテル、工場などの造園工事や屋上・壁面緑化、ビオトープ工事などを行います。また、完成後の緑地メンテナンスや、公園の指定管理者としての運営・管理業務も含まれます。

収益は、官公庁や民間企業(建設会社、デベロッパー等)からの工事請負代金や、指定管理料・メンテナンス料からなります。運営は主に岐阜造園および子会社の株式会社景匠館が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が着実に増加傾向にあります。特に当期は前期比で大幅な増収となり、60億円台に乗せました。利益面でも、売上の伸長に伴い経常利益が増加基調にあり、安定した収益性を維持しています。当期利益も順調に推移しており、全体として成長トレンドにあることが読み取れます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 43億円 49億円 50億円 52億円 63億円
経常利益 3.5億円 3.7億円 4.0億円 4.6億円 5.5億円
利益率(%) 8.0% 7.6% 8.0% 8.8% 8.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.1億円 2.5億円 2.9億円 3.0億円 3.6億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の52億円から当期は63億円へと大きく伸長しました。売上総利益も増加しましたが、売上総利益率は微減しています。営業利益は増益を確保しており、事業規模の拡大に伴う利益成長が見られます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 52億円 63億円
売上総利益 15億円 18億円
売上総利益率(%) 29.0% 28.7%
営業利益 4.5億円 5.4億円
営業利益率(%) 8.6% 8.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が5億円(構成比40%)、役員報酬が1億円(同11%)を占めています。売上原価においては、外注加工費が17億円(構成比38%)、材料費が13億円(同29%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期は両セグメントともに増収となりました。ガーデンエクステリアは、大手住宅メーカーとの連携強化により高価格帯の受注が増加し、売上を伸ばしました。ランドスケープは、大型の民間工事や万博関連工事、高級旅館の造園工事などが寄与し、大幅な増収となりました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
ガーデンエクステリア 29億円 34億円
ランドスケープ 23億円 29億円
連結(合計) 52億円 63億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.7%で市場平均を上回っています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 7.2億円 3.2億円
投資CF -1.1億円 -0.0億円
財務CF -0.4億円 -0.8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「街や暮らしに潤いを与える緑空間の創造」をコンセプトに掲げています。創業以来蓄積したノウハウや造園技法を伝承しつつ、人と自然が共生でき、環境変化に対応できる技術開発に取り組んでいます。創業100年を前に、「造園業」から「景観産業会社」、さらには「環境創造企業」への進化を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「職人型現場力」を最大の強みとしています。工事監督やデザイナーであっても、現場作業や重機操作、植物の知識を併せ持ち、デザインを現実に落とし込む技術力と施工管理能力を有しています。「その景色は、こころを打つか。」を品質基準とし、社員とその家族が誇れる「業界一働きがいのある会社」を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、営業エリア展開等による規模拡大と収益力向上を目指し、売上高、売上総利益率、売上高経常利益率を重視しています。第61期(2026年9月期)においては以下の目標を掲げています。

* 売上高:63億1,200万円
* 売上総利益率:27.7%
* 売上高経常利益率:9.1%

(4) 成長戦略と重点施策


2030年に向けた成長戦略として、職人型現場力を活かした高付加価値施設の提供、イノベーション創出、SDGsへの貢献を掲げています。具体的には、積水ハウスグループとの連携強化による大型案件への参画、関東地区や福岡での拠点開設によるエリア拡大、M&Aの推進、海外事業やPFI事業の推進などに取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


専門性の高い技術者を育成するため、社内教育機関「岐阜造園アカデミー」を設置し、技術の伝承と現場経験の蓄積を推進しています。採用面では新卒・中途ともに強化し、評価制度の見える化やワークライフバランスの実現により定着を図っています。また、造園・土木施工管理技能士などの資格取得を重要方針としています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 41.3歳 7.7年 5,737,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢の影響


同社グループは官公庁、法人、個人と幅広い顧客を持ちますが、それぞれの投資動向や消費動向は経済情勢の影響を受けやすく、景気変動によっては業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定の取引先への依存


売上高のうち、積水ハウス株式会社グループおよび大和ハウス工業株式会社への依存度が高く、当連結会計年度における割合は合計で約37%を占めています。これら主要取引先からの受注が減少した場合、業績に影響が出る可能性があります。

(3) 材料価格・外注コストの変動


造園緑化工事で使用する材料価格や、施工における外注コストは需給バランスや建設需要によって変動します。これらが想定を超えて上昇した場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材の確保及び育成


施工品質を維持・向上させるためには、専門知識や技術、感性を持った人材が不可欠です。計画通りに優秀な人材を確保・育成できない場合、事業展開に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。