※本記事は、テモナ株式会社 の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、電子商取引(EC)市場でEC事業者支援サービスを提供しています。リピート通販に特化したシステム開発から始まり、現在はサブスクリプションビジネスに特化したEC支援、エンジニアリング、フィンテックの3事業を展開しています。
単体従業員数は69名、連結従業員数は115名です。セグメントはEC支援事業、エンジニアリング事業、フィンテック事業の3つです。
主な国内グループ会社は、サックル.2(システム受託開発、SES)、AIS(Web広告、Web制作受託)、サブスクソリューションズ(フィンテック事業)などです。
また、2024年11月にはサブスクソリューションズを新設し、サブスク型ファイナンスサービスを開始しました。これに伴い、当連結会計年度より報告セグメントの変更も行われています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
テモナはEC支援事業を主軸とする企業であり、従業員の平均年齢や勤続年数から、若手が多く活気のある職場環境がうかがえます。同社グループは、人材育成や働き方に関する多様な施策を通じて、従業員の成長と働きやすさを重視しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が比較的若く、平均勤続年数も一定の水準にあることから、若手社員が中心となって活躍しつつ、一定の定着傾向が見られます。従業員数は連結と単体で差があり、グループ全体で事業を展開していることがわかります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,342,000,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.41年 |
| 平均年齢 | 33.13歳 |
| 単体従業員数 | 69人 |
| 連結従業員数 | 115人 |
| 単体のグループ内比率 | 60.0% |
同社および一部の連結子会社は、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)と退職金前払制度との選択制を採用しています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「サブスクで世の中を豊かに」というパーパスのもと、社員がパーパスに共感し、9つの行動指針を体現する人材を育成することが最も重要であると認識しています。同社は「人」を最大の財産と考え、持続的な成長を実現するための組織構築に資する人的資本の形成に努めています。
具体的には、パーパス・戦略・行動指針の総称である「テモイズム」について理解を深め、成長を実感する場として「テモイズムフォーラム」を年2回開催しています。また、全社員が参加する「グループディスカッション」を半期に1回開催し、グループや会社の成長に必要な課題を抽出し、解決策を検討しています。
人材採用と登用においては、性別や国籍、新卒・中途に関係なく、能力や適性を重視した人物本位の採用を行っています。多様な視点や価値観を尊重し、経験・技能・キャリアが異なる人材が活用できるよう社内環境整備に努めており、女性の新卒採用比率には一定の指針を持って運営しています。
働きやすい環境づくりのため、フレックス制度や時間休制度、福利厚生の充実に取り組んでいます。現在は週3日の出社制度を導入したハイブリッド型の働き方を採用し、社員間のコミュニケーション活性化と多様な働き方の両立を図っています。さらに、タレントマネジメントによる労働時間や体調管理、従業員エンゲージメントサーベイ等のデータ分析を通じて、事故防止や未病対策にも努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社は、女性活躍推進法に基づく情報公開項目として「採用した労働者に占める女性労働者の割合」と「年次有給休暇の取得率」を選択しているため、管理職に占める女性労働者の割合および男性労働者の育児休業取得率は公表されていません。連結子会社は法定開示の公表義務対象外です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 83.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 87.9% |
| 採用した労働者に占める女性労働者の割合(正規雇用労働者) | 11.1% |
| 年次有給休暇の取得率 | 62.6% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒採用に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 社員の有休消化率 | 70.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
テモナは、EC事業者を対象としたサブスクリプションビジネス支援を主軸に、システム開発の受託サービスやシステムエンジニアリングサービス、さらにフィンテックサービスを提供する企業です。同社グループは「サブスクで世の中を豊かに」をパーパスに掲げ、ストック型のビジネスモデルの普及を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、電子商取引(EC)市場において、EC事業者支援サービスを長年にわたり提供してきました。特に定期通販やサブスクリプションビジネスに特化したシステム開発に強みを持っています。収益モデルとしては、サービスの月額利用料や決済手数料が中心となっています。
同社グループの事業は、主に以下の3つの報告セグメントから構成されています。
EC支援事業
EC支援事業では、サブスクリプションビジネスに特化したECサイトを構築するシステムや、その運営を支援する集客、顧客対応、ロジスティクス関連のサービスを提供しています。主力サービスには「サブスクストア」「たまごリピート」「サブスクストアB2B」「サブスクアット」などがあります。収益は、月額利用料や決済手数料、受託開発収益から得ています。当連結会計年度の売上高は同社グループ内で最も大きな割合を占めていますが、前期からは減少傾向にあります。
エンジニアリング事業
エンジニアリング事業では、システム開発の受託サービスや、顧客にソフトウェアエンジニアのスキルを提供するシステムエンジニアリングサービスを展開しています。収益は、これらのサービス提供から得ています。運営は、株式会社サックルが行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加傾向にあります。
フィンテック事業
フィンテック事業は、当連結会計年度より追加されたセグメントです。サブスク型ファイナンスサービスであるサブスククレジット等のサービスを提供しています。収益は、これらのサービス提供から得ています。運営は、サブスクソリューションズ株式会社が行っています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、海外比率は低い状況です。また、特定の顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| EC支援事業 | 14.7億円 | 14.1億円 |
| エンジニアリング事業 | 3.6億円 | 4.1億円 |
| フィンテック事業 | - | 8百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期を見ると、前期に減少したものの、当期はわずかに増加に転じました。利益面では、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益が、過去3期連続で損失を計上していましたが、当期は黒字を達成しています。
特に前期の親会社株主に帰属する当期純損失は大きな額でしたが、これはEC支援事業における減損損失が影響していました。営業活動によるキャッシュ・フローは当期に大幅な収入となっており、税金等調整前当期純利益に加え、減価償却費やのれん償却費といった非資金支出が資金増加に寄与しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 22.5億円 | 23.4億円 | 18.3億円 | 18.3億円 |
| 経常利益 | - | △1.9億円 | △77百万円 | △58百万円 | 1.5億円 |
| 経常利益率 | - | △8.6% | △3.3% | △3.2% | 8.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | △1.8億円 | △1.3億円 | △3.9億円 | 73百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | △16.50 | △12.00 | △36.84 | 6.88 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加傾向にあり、生産性が向上していることを示しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期の損失から当期は黒字に転換し、収益性の改善が見られます。これらの指標の改善は、同社グループがコスト構造の見直しや生産性改善に注力してきた結果と言えるでしょう。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 14.2百万円 | 15.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.4百万円 | 1.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
テモナグループは、本業で安定的に資金を生み出し、投資も賄えている状況です。財務の安定性の観点から、同社グループの現在地を示します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
テモナの財務基盤は、自己資本比率が当期42.0%と、非製造業のプライム市場平均を上回る水準です。ROE(自己資本利益率)も当期は10.5%と、プライム市場平均を上回る水準となりました。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、事業継続性や成長投資の余力につながる状況です。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 7.0億円 | 7.7億円 |
| 自己資本比率 | 43.1% | 42.0% |
| ROE(自己資本利益率) | △59.3% | 10.5% |
| 現金及び預金 | 9.1億円 | 12.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費、のれん償却費などの資金増加要因により、収入が増加しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金及び保証金の回収による収入が有形固定資産の取得支出などを上回り、収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入が返済支出を上回り、収入となっています。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローはプラスに転じており、本業で安定的に資金を生み出し、投資活動による資金も収入超過となっている状況です。財務活動でも資金を調達しており、全体として資金の流入が活発な状況です。これは、事業の安定性や将来の成長に向けた基盤が整っていることを示しています。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 30百万円 | 224百万円 |
| 投資CF | △118百万円 | 7百万円 |
| 財務CF | △202百万円 | 91百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △88百万円 | 231百万円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
テモナは、「サブスクで世の中を豊かに」というパーパスを掲げ、サブスクリプションビジネスの総合支援を通じて社会に貢献することを目指しています。顧客の事業成長を支援し続けることを成長の鍵と捉え、持続的な企業価値向上に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「サブスクで世の中を豊かに」をパーパスとして掲げています。ストック型のビジネスモデルをより普及させることを目指し、サブスクリプションビジネス支援に特化したサービスを提供しています。
具体的には、「サブスクストア」「たまごリピート」「サブスクストアB2B」「サブスクアット」といったサービスを展開しています。これらのサービスを通じて、サブスクリプションビジネスの成功に欠かせない“サブスク総合支援企業”となることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「人」を最大の財産と考え、持続的な成長を実現するための人的資本形成に注力しています。パーパスに共感し、9つの行動指針(テモイズム)を体現する人材の育成を重視しています。
9つの行動指針は、「強みを作ってとがらせる」「なぜなぜ思考を深める」「スピーディーに行動する」「変化と失敗を恐れずチャレンジする」「相手の期待値を超える行動をする」「みんなのためにぶっちゃけ合う」「当事者として取り組む」「ポジティブを伝播する」「利他的に行動する」です。これらの指針を通じて、社員の成長と組織の活性化を図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、今後の成長のために人材の拡充と社員の能力向上を重要な経営課題としています。積極的な人材採用活動に加え、実力・能力主義の報酬体系の実施、教育研修制度の充実、業務の効率化、外部ノウハウの活用に取り組んでいます。
また、情報管理体制の強化も重要課題と認識しており、機密情報取り扱いフローや社内規程の整備、定期的な社内教育、セキュリティシステムの整備を進めています。さらに、コンプライアンスの徹底とコーポレート・ガバナンスの強化を通じて、内部管理体制の強化に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
テモナは、社外取締役が過半数を占める取締役会と監査等委員会を設置し、経営の健全性と透明性を高めるガバナンス体制を構築しています。また、任意の評価委員会を設置し、経営の意思決定を補佐する体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
テモナの筆頭株主は株式会社gatzであり、創業家である佐川隼人氏も上位株主として名を連ねています。これらの株主は同社の経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社gatz | 35.05% |
| 佐川隼人 | 23.01% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.46% |
| JPモルガン証券 | 0.85% |
| 株式会社ファインドスター | 0.64% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
テモナの役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役会長は佐川隼人氏、代表取締役社長は本多渉氏が務めています。社外取締役比率は71.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐川 隼人 | 代表取締役会長 | 2008年10月同社設立代表取締役社長、2016年3月株式会社gatz代表取締役、2018年12月一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会代表理事、2025年10月同社代表取締役会長より現職。 |
| 本多 渉 | 代表取締役社長 | 2018年9月同社入社、2020年12月同社執行役員COOサブスクストア事業本部本部長、2021年12月同社取締役兼執行役員COO、2025年10月同社代表取締役社長より現職。 |
社外取締役は、内藤真一郎氏(株式会社ファインドスターグループ代表取締役)、荻原猛氏(株式会社ロケットスター代表取締役社長)、岡田理氏(元日立建機取締役監査委員長・常勤監査等委員)、板倉奈緒子氏(板倉公認会計士事務所代表・監査等委員)、柗田由貴氏(サンライズ法律事務所所属・監査等委員)です。
テモナは監査等委員会設置会社を採用しています。社外取締役が過半数を占めることで、客観的かつ中立的な立場から経営の監督と助言を行う体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
テモナの役員報酬は、固定報酬と業績連動報酬で構成されています。業績連動報酬は、長期業績目標の達成に応じて当社株式が交付される株式報酬制度を採用しています。取締役(監査等委員を除く)の固定報酬は社外取締役から構成される評価委員会で審議され、取締役会で決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 42百万円 | 21.1百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 19百万円 | 3.2百万円 |
| 社外取締役(監査等委員を除く) | 2名 | 7百万円 | 3.6百万円 |
なお、総額には2024年12月24日開催の第16期定時株主総会の終結の時をもって退任した社外監査等委員1名に係る報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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