マクアケ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マクアケ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証グロース市場に上場し、応援購入サービス「Makuake」を運営しています。新商品や新サービスのデビューを支援するプラットフォームとして事業を展開しています。2025年9月期の業績は、売上高が前期比25.3%増と伸長し、営業損益および最終損益ともに黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社マクアケ の有価証券報告書(第13期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月10日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マクアケってどんな会社?


応援購入サービス「Makuake」を運営し、作り手の新商品開発と生活者の応援消費をつなぐプラットフォーム企業です。

(1) 会社概要


同社は2013年にサイバーエージェント・クラウドファンディングとして設立され、同年「Makuake」の提供を開始しました。2017年に現在の商号へ変更し、2019年に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。2021年にはグローバル展開機能「Makuake Global」の提供を開始するなど、事業領域を拡大しています。

2025年9月30日時点の従業員数は単体で152名です。筆頭株主は親会社であるサイバーエージェントで、第2位は創業社長の中山亮太郎氏、第3位は金融商品取引業を行う楽天証券です。

氏名 持株比率
サイバーエージェント 50.87%
中山 亮太郎 3.49%
楽天証券 2.36%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は中山亮太郎氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
中山 亮太郎 代表取締役社長 2006年サイバーエージェント入社。2013年5月より同社代表取締役社長として現職。
木内 文昭 代表取締役 2009年サイバーエージェント入社。2013年同社取締役就任を経て、2024年12月より現職。
中山 豪 取締役 1999年サイバーエージェント入社。2020年同社取締役専務執行役員就任。2015年7月より同社取締役として現職。


社外取締役は、勝屋久(元IBM Venture CapitalGroupパートナー)、芦田千晶(公認会計士)、串田規明(弁護士)、大山陽希(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「応援購入サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) Makuake


新商品や新サービスの実現を希望する事業者(実行者)と、それを応援購入する個人(サポーター)をつなぐプラットフォームです。実行者は量産前の商品を先行販売し、サポーターは応援の気持ちを込めて購入します。テストマーケティングやPRの場としても活用されています。

同社は、プロジェクトが成立した場合に実行者からサポート手数料を受け取るほか、サポーターから応援購入金額に対するシステム利用料を受領しています。運営は同社が行っています。

(2) Makuake Incubation Studio


企業が持つ研究開発技術や独自技術を活用した新事業の創出を支援するサービスです。同社が蓄積したデータやノウハウを活かし、技術の用途開発や商品企画、ビジネス設計などをサポートしています。

同社は、企業に対して商品開発や事業化支援のコンサルティングを提供し、その対価として報酬を受領しています。運営は同社が行っています。

(3) その他


Makuakeの運営に関連する周辺サービスを展開しています。具体的には、SNS広告等を活用した広告配信代行、ECサイトでの販売取次、リアル店舗での展示販売、マーケティングデータの提供などを行っています。

収益源は、広告配信代行手数料、ECサイトやリアル店舗での販売実績に基づく手数料、データ提供サービスの利用料などです。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年9月期から2025年9月期までの業績を見ると、売上高は一時的な減少を経て、直近で大きく回復しています。利益面では赤字が続いていましたが、2025年9月期には営業利益、経常利益ともに黒字転換を果たし、V字回復の傾向を示しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 46億円 42億円 38億円 37億円 46億円
経常利益 3億円 -3億円 -5億円 -0.6億円 5億円
利益率(%) 7.1% -7.2% -12.7% -1.6% 10.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 -13億円 -5億円 -1億円 4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高が約9億円増加したことで売上総利益が拡大しました。販売費及び一般管理費は微増にとどまったため、営業利益が大幅に改善し、営業損失から黒字へと転換しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 37億円 46億円
売上総利益 28億円 34億円
売上総利益率(%) 76.0% 75.0%
営業利益 -0.6億円 4億円
営業利益率(%) -1.7% 9.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が10億円(構成比33%)、広告宣伝費が5億円(同17%)、決済関連の回収手数料が4億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、サービス別の売上高を開示しています。主力サービスのMakuakeが回復し、その他サービスも大きく伸長しました。Makuake Incubation Studioは減少しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
Makuake 29億円 33億円
Makuake Incubation Studio 1億円 0.8億円
その他 6億円 12億円
連結(合計) 37億円 46億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


2025年9月期は、本業の儲けを示す営業CFがプラスで、投資CFはマイナス、財務CFはプラスとなりました。これは営業活動で得た資金と調達した資金を合わせているものの、財務CFのプラス幅は僅少であり、実質的には営業キャッシュフローの範囲内で投資を行っている状態と言えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -11億円 10億円
投資CF -3億円 -0.8億円
財務CF 0.2億円 0.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」というビジョンを掲げています。また、「世界をつなぎ、アタラシイを創る」をミッションとし、新しいものや体験を生み出す実行者と、それを応援するサポーターをつなぐ役割を担っています。

(2) 企業文化


同社はビジョンの実現に向けて、採用時の「Makuake Recruitment Policy」や従業員の行動規範としての「Makuake Standard」、人事ポリシーである「Makuake HR Policy」を定めています。多様な価値観を持つ人材が活躍し、個人のビジョン実現と会社の成長が循環する環境づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、手数料収益の基盤となる「取扱高」(応援購入総額および安心システム利用料の合計)を重要な経営指標として位置づけています。また、プラットフォームの健全性を測る指標として「掲載開始数」「アクセスUU(ユニークユーザー)」「会員数」「リピート応援購入率」をモニタリングしています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は市場定義を従来の「0次流通市場」から「小売市場全般」へ拡大し、事業者の「事業成長パートナー」への進化を目指しています。新商品の企画から一般流通までを一気通貫で支援するモデルへの変革を進めています。

重点施策としては、実行者およびサポーターのリピート利用向上、コンサルティングや審査を担う優秀な人材の確保・育成、そして不適切なプロジェクトを排除するための審査・モニタリング体制の強化に取り組んでいます。また、業務効率化のためのシステム投資や、認知度向上のための広告投資も継続する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を最も重要な経営資本と捉え、ビジョン実現に向けた成果創出を正しく評価し、個人の成長機会を提供することを基本方針としています。多様性を重視し、性別や国籍にとらわれない採用を行うとともに、時短勤務やリモートワークなどの柔軟な働き方を推進しています。また、エンゲージメント調査を定期的に実施し、組織改善に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 35.6歳 4.2年 6,760,000円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 38.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 79.2%
男女賃金差異(正規雇用) 78.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 82.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場動向について


同社事業は、新商品や新サービスの先行販売にかかる市場の動向に強く影響を受けます。市場は拡大傾向にありますが、規制強化や業界内でのトラブルによる信頼性低下、景気悪化による個人消費の冷え込みなどが生じた場合、同社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) インターネット環境等について


サービス提供はインターネットに依存しており、通信規制や技術革新、ユーザーの利用動向の変化への対応が求められます。これらの外部環境の変化に適切に対応できない場合、事業展開に支障をきたす可能性があります。

(3) 競合について


現状では全く同じビジネスモデルの競合は存在しないと認識していますが、自社ECや既存のEコマース事業者とは一部競合します。今後、国内外からの新規参入により競争が激化した場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

(4) Makuakeで取り扱うプロジェクトについて


魅力的なプロジェクトの継続的な獲得が事業成長の鍵です。また、プロジェクト実行者によるリターン提供の遅延や不履行などのトラブルが発生した場合、プラットフォームとしての信頼性が低下し、返金費用の負担などが生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。