プレイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(グロース)上場。ウェブサイトやアプリの顧客体験(CX)を向上させるプラットフォーム「KARTE」等のSaaS事業を展開。直近決算では売上高が前期比21.9%増の134億円、経常利益は大幅増の14億円となり、増収増益の成長トレンドを維持しています。


#プレイド転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社プレイド の有価証券報告書(第14期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プレイドってどんな会社?


CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を軸に、企業のデジタルマーケティングや顧客理解を支援するSaaS企業です。

(1) 会社概要


2011年に設立され、2015年3月にウェブ接客プラットフォーム「KARTE」の提供を開始しました。2018年には「CXプラットフォーム」へとコンセプトを拡大し、事業を成長させています。2020年12月に東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場を果たしました。2021年には株式会社エモーションテックを子会社化するなど、事業領域を広げています。

2025年9月末時点の連結従業員数は531名(単体396名)です。筆頭株主は創業者の倉橋健太氏で、第2位は取締役の柴山直樹氏となっており、経営陣が主要株主として名を連ねています。第3位は個人株主です。

氏名 持株比率
倉橋健太 26.75%
柴山直樹 17.24%
田畑正吾 9.51%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表者は代表取締役執行役員CEOの倉橋健太氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
倉橋 健太 代表取締役執行役員CEO 2005年楽天(現楽天グループ)入社。2011年10月同社設立、代表取締役CEO就任。2022年1月より現職。
柴山 直樹 取締役執行役員 2011年エスキュービズム入社。2013年4月同社入社、取締役CTO就任。2018年執行役員を経て、2019年2月より現職。
髙栁 慶太郎 取締役執行役員 2005年楽天(現楽天グループ)入社。アジャイルメディア・ネットワーク取締役副社長COOなどを経て、2018年12月より現職。


社外取締役は、松澤香(三浦法律事務所パートナー)、三村真宗(株式会社U-ZERO 代表取締役CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「SaaS事業」および「その他周辺事業」を展開しています。

(1) SaaS事業


ウェブサイトやスマートフォンアプリを運営する事業者に対し、CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を提供しています。サイト訪問者の行動データをリアルタイムに解析・可視化し、ポップアップやチャットなど、一人ひとりのユーザーに合わせた最適なコミュニケーションを実現する機能を有しています。

収益は主に、導入企業から受け取るプラットフォームの月額利用料(サブスクリプション収入)によって構成されています。利用料は原則としてウェブサイトやアプリの月間アクティブユーザー数(MAU)等に応じて決定されます。運営は主にプレイドおよびグループ会社が行っています。

(2) その他周辺事業


CX(顧客体験)という概念の普及と啓蒙を目的とした事業を展開しています。具体的には、ビジネスメディア「XD(クロスディー)」の運営や、大規模イベント「CX DIVE」の開催などを行い、企業と消費者の間にある「体験」にフォーカスした情報発信を行っています。

この事業は、同社グループのブランディングや市場形成を担うものであり、イベントスポンサー料などが収益源となりますが、主眼はCXの考え方を広めることにあります。運営は主にプレイドが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、先行投資により赤字の期間がありましたが、直近では黒字化し、利益率も大きく改善しています。成長投資と収益化のバランスが取れ始めたフェーズと言えます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 54億円 73億円 86億円 110億円 134億円
経常利益 -1.1億円 -9.8億円 -9.4億円 1.8億円 13.8億円
利益率(%) -1.9% -13.5% -10.9% 1.7% 10.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.6億円 -5.2億円 -23.3億円 3.0億円 15.4億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も順調に伸長しています。営業利益率も前期と比較して大きく改善しており、収益性が高まっています。コストコントロールが進み、売上の増加が利益に結びつきやすい構造になっています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 110億円 134億円
売上総利益 79億円 98億円
売上総利益率(%) 71.6% 73.1%
営業利益 2.6億円 14億円
営業利益率(%) 2.4% 10.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が37億円(構成比44%)、広告宣伝費が7億円(同8%)を占めています。売上原価については、サーバー利用料等の増加が主な要因です。

(3) セグメント収益


SaaS事業の単一セグメントであるため、全社の売上成長がそのまま事業の成長を示しています。KARTEの利用領域拡大や既存顧客の利用単価上昇により、前期比で大幅な増収を達成しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
SaaS事業 110億円 134億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た資金に加え、財務活動でも資金を調達し、将来の成長に向けた投資を行っている「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 9.0億円 13.8億円
投資CF -0.5億円 -3.8億円
財務CF 0.7億円 8.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は49.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「データによって人の価値を最大化する」をミッションに掲げています。インターネット上で欠如しているユーザーデータを蓄積し、生活者にとって価値あるものとして還元することで、豊かな体験を流通させることを目指しています。また、ビジネスミッションとして「個客中心のサービス体験をあたりまえに」を掲げています。

(2) 企業文化


同社は「インターネットでは人は見えない」という常識を覆し、データを活用して人を可視化することを目指しています。効率化や自動化そのものを目的とせず、人の持つ発想や創造力を引き出すことを重視するプロダクトコンセプトを持っています。デジタル技術の恩恵を取り入れつつ、人が介在する価値を高めることを大切にする文化があります。

(3) 経営計画・目標


SaaS事業の持続的な成長のため、毎月経常的に得られる収益の積み上がりを示すARR(Annual Recurring Revenue)の拡大を経営上の最重要目標としています。

* ARR(Annual Recurring Revenue)の拡大
* サブスクリプション売上高およびその比率の向上
* 導入企業数の増加

(4) 成長戦略と重点施策


「KARTE」の機能強化と顧客基盤の拡大に注力しています。具体的には、既存プロダクトの付加価値向上に加え、認知度向上のためのマーケティング活動を強化し、新規顧客の獲得を推進します。また、顧客がプロダクトの価値を十分に実感できるよう、カスタマーサポート等の人的支援にも投資を行い、顧客体験(CX)の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業成長のために、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材の採用と育成を重視しています。組織体制の整備にあたっては、従業員が働きやすい環境作りを継続的に実施しています。また、経営理念に共感し、高い意欲を持った人材を積極的に採用し、フラットで透明性の高いコミュニケーションを通じて、挑戦できる機会を創出することを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 35.2歳 2.8年 9,397,000円


※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.9%
男女賃金差異(正規雇用) 77.7%
男女賃金差異(非正規) 108.2%


※女性管理職比率については、公表する情報として選択していないため、記載を省略しております。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) CX市場および競争環境の変化


同社の事業はCX(顧客体験)およびデジタルマーケティング市場に依存しています。経済情勢や顧客ニーズの変化により市場成長が鈍化した場合、業績に影響する可能性があります。また、競合他社による類似サービスの提供や価格競争の激化もリスク要因であり、常に機能強化や差別化が求められます。

(2) 不正アクセスと情報流出


サービスを通じて顧客企業のユーザー行動データを取り扱っているため、情報セキュリティは極めて重要です。サイバー攻撃や人為的ミスにより情報流出が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜を招き、業績に重大な影響を与える可能性があります。これに対し、セキュリティ認証の取得や監視体制の強化を行っています。

(3) システム障害と第三者プラットフォームへの依存


サービス提供基盤としてGoogle CloudやAWS等の外部クラウドサービスを利用しています。これらのサービス提供元での障害や、通信ネットワークのトラブル等によりシステム障害が発生した場合、サービス提供に支障をきたす可能性があります。システムの冗長化等の対策を講じていますが、完全に回避できる保証はありません。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。