ネオマーケティング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ネオマーケティング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ネオマーケティングは東証スタンダード・名証メインに上場し、生活者起点のマーケティング支援事業を展開する企業です。独自パネル「アイリサーチ」を基盤に、調査からプロモーションまで一気通貫で支援します。2025年9月期の連結業績は、売上高が増加したものの、利益面では減益となりました。


※本記事は、株式会社ネオマーケティング の有価証券報告書(第26期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ネオマーケティングってどんな会社?


生活者起点のリサーチやデジタルマーケティング、PRなどをワンストップで提供するマーケティング支援会社です。

(1) 会社概要


同社は2000年に設立され、2006年にマーケティングプラットフォーム「アイリサーチ」の提供を開始しました。2012年に現社名へ商号変更し、2021年にJASDAQ(現 東証スタンダード)へ上場しました。その後、2024年12月には名古屋証券取引所メイン市場にも上場を果たしています。

2025年9月30日時点で、連結従業員数は124名、単体では121名です。筆頭株主は代表取締役である橋本光伸氏の資産管理会社であるエムスリードリームインベスターで、第2位は橋本光伸氏個人となっており、創業者とその関連会社が主要株主となっています。

氏名 持株比率
エムスリードリームインベスター 26.91%
橋本光伸 20.72%
TRMブラザーズ 10.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は橋本光伸氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
橋本 光伸 代表取締役 1999年日本経済広告社入社。2000年に同社(旧メディアインタラクティブ)設立、代表取締役就任。2023年より営業本部を管掌。2025年ネオパートナーズ取締役就任。
荒池 和史 取締役 セブン-イレブン・ジャパン、イー・ガーディアン取締役、イーオペ代表取締役を経て、2015年同社入社。2016年取締役就任。2023年よりサービス本部を管掌。
森田 尚希 取締役CFO アルメックスPE、イー・ガーディアン、レアジョブ執行役員CFO等を経て、2022年同社入社。同年取締役CFO就任。2025年ネオパートナーズ代表取締役就任。


社外取締役は、三原宇雄(公認会計士・マーブルメトリクス代表)、原島茂雄(税理士・J Glocal Accounting代表)、中川達也(弁護士・法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティング支援」事業を展開しています。

(1) インサイトドリブン


生活者パネルから対象者を抽出し、インタビューや行動観察を行うことで、数値では測れない潜在的な意識(インサイト)を発見する定性調査サービスです。顧客企業のマーケティング部門などが主なクライアントです。

収益は、顧客企業から受け取る調査業務の委託料などから成り立っています。運営は主に同社が行っており、クライアント自身がオンラインインタビューを実施できるプラットフォームの提供も行っています。

(2) カスタマードリブン


生活者パネルから収集したデータを数値化・分析する定量調査サービスです。顧客を分類し、商品購入までの行動や感情を解析することで、戦略立案や効果検証を支援します。

収益は、顧客企業から受け取るリサーチ業務の委託料が中心です。運営は同社が担っており、生活者の理解をベースにしたマーケティング戦略の立案を支援しています。

(3) デジタルマーケティング・PR


Web広告の戦略立案から運用、効果検証までを行うデジタルマーケティングと、認知拡大を目的としたPR支援サービスです。D2C支援としてECサイト構築やSNS集客なども手掛けています。

収益は、広告運用代行手数料やPR支援業務の委託料、制作費などです。運営は同社が行っており、調査で得た生活者理解をプロモーション施策に活用できる点が特徴です。

(4) カスタマーサクセス


クライアントの商品・サービス購入後の顧客に対し、解約防止やリピート率向上などを支援するサービスです。沖縄と横浜に拠点を持ち、電話やメール、Web会議システム等で対応します。

収益は、カスタマーサポート業務やサクセス支援業務の委託料です。運営は同社が行っており、サブスクリプションモデルの解約防止プログラムなども提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績を見ると、売上高は増加傾向にありますが、利益面では変動が見られます。特に2024年9月期以降、利益率が低下しており、直近の2025年9月期は増収ながらも減益となりました。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 18億円 23億円 23億円 21億円 23億円
経常利益 2.9億円 2.8億円 3.1億円 0.1億円 0.1億円
利益率(%) 15.7% 12.4% 13.8% 0.7% 0.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.1億円 -2.8億円 2.0億円 1.5億円 0.3億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しました。売上総利益率は改善傾向にあります。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 21億円 23億円
売上総利益 10億円 11億円
売上総利益率(%) 45.5% 46.8%
営業利益 0.2億円 0.1億円
営業利益率(%) 0.7% 0.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.2億円(構成比39%)を占めており、体制構築に伴う人件費等の増加が利益を圧迫する要因となっています。

(3) セグメント収益


全てのサービス区分において概ね売上が増加または維持されていますが、特にカスタマードリブン(定量調査)の伸びが顕著です。一方、BtoBマーケティング支援サービスは大きく減少しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
インサイトドリブン 5.0億円 5.5億円
カスタマードリブン 8.5億円 10.0億円
デジタルマーケティング・PR 4.0億円 4.2億円
カスタマーサクセス 2.4億円 2.3億円
BtoBマーケティング支援サービス 0.4億円 0.1億円
その他 0.7億円 1.0億円
連結(合計) 21.0億円 23.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFもプラス、財務CFもプラスの状態です。これは、営業活動で現金を稼ぎつつ、資産の回収等で投資CFもプラスになり、さらに借入等で資金調達を行っている「再建・転換型」に近い状態と言えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -0.4億円 0.5億円
投資CF 1.0億円 2.1億円
財務CF 1.9億円 0.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.3%で市場平均(7.2%)を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.0%で市場平均(48.5%)をやや下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人と企業の架け橋となる価値ある情報サービスを提供し、人々の生活向上と社会発展に貢献する」を経営理念に掲げています。また、「Make everyone Wonderful(私たちは人の心を満たす商品・サービスがあふれる社会を目指している)」をビジョンとし、顧客と社会に貢献できる組織としての成長を目指しています。

(2) 企業文化


全従業員が共有する価値観として「6つのバリュー」を定めています。また、「Professional team for client success(私たちは生活者の喜びのために顧客を成功に導くプロフェッショナル集団である)」というアイデンティティを持ち、生活者起点のマーケティング支援会社としての姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2026年9月期の数値目標として、売上高28億円を掲げています。また、経営指標として「マーケティングコンサルタント人員数」「顧客数」「顧客単価」を重視し、事業を推進していく方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


成長戦略として、マーケティングプロセスを一気通貫で支援できる体制の強化と、優良な地方企業の開拓を掲げています。具体的には、マーケティングコンサルタントの増員によるサポート体制の構築、ウェブセミナー等を通じた顧客数の増大、および独自フレームワークを活用した提案による顧客単価の最大化に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最重要の経営リソースと位置付け、マーケティングコンサルタントの安定的・継続的な採用と育成に注力しています。新卒・中途を問わず、採用から教育、エンゲージメント向上まで一貫した施策を実行し、一連のプロセスを磨き上げることで競争優位性の獲得を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 33.7歳 4.2年 5,437,406円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は、管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異については、公表項目として選択していないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材の確保と維持


専門知識を有するマーケティングコンサルタントの確保が事業拡大に不可欠です。計画通りの採用が進まない場合や、重要な人材が退職した場合には、競争力の低下や事業拡大の制約となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。教育に時間を要するため、短期間での複数名の退職は特にリスクとなります。

(2) 生活者パネルの確保


自社運営サイト「アイリサーチ」での生活者パネル確保が事業基盤となっています。競合サイトに対する優位性を維持できずパネル数が減少した場合や、連携するパートナー企業との協力関係に支障が生じた場合、案件の受注ができなくなり、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 個人情報漏えいとセキュリティ


事業において多くの個人情報を取り扱っています。サイバー攻撃やシステム障害、人為的ミスなどにより情報流出が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償などにより、事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 季節変動要因


例年、企業の決算月が多い2月から3月に売上高が増加する傾向があります。第2四半期(1月~3月)の売上構成比が高いため、この期間に需要低下や営業活動の阻害要因が発生した場合、通期の業績に大きな影響を与える可能性があります。季節変動の平準化に取り組んでいますが、現時点では解消されていません。

(了)

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。