日本調理機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本調理機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本調理機は、東京証券取引所 スタンダード市場に上場する業務用総合厨房機器メーカーです。学校や病院などの集団給食施設向けに、厨房機器の開発から製造、販売、修理までを一貫して手掛けています。直近の業績は、売上高が181億円、経常利益が9億円となり、前期比で減収減益となりました。


※本記事は、日本調理機株式会社 の有価証券報告書(第87期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

#日本調理機転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. 日本調理機ってどんな会社?


同社は、学校給食や病院給食などの集団給食施設を主要顧客とし、厨房機器の製造販売を行う企業です。

(1) 会社概要


1947年に業務用各種調理機器メーカーとして創業し、スライサーの販売を開始しました。1953年に食器洗浄機、1959年に熱風消毒保管庫を開発するなど製品ラインナップを拡充し、1995年にはスチームコンベクションオーブンを自社開発しました。2021年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。

同社(単体)の従業員数は532名です。筆頭株主は従業員持株会であり、第2位株主には同業で業務用厨房機器大手のマルゼンが名を連ねています。第3位株主は有限会社第一エア工業です。

氏名 持株比率
日本調理機従業員持株会 11.07%
マルゼン 10.23%
有限会社第一エア工業 8.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は齋藤 有史氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
齋藤 有史 代表取締役社長 1994年同社入社。営業本部副本部長、栃木工場長、常務取締役生産部門担当役員を経て、2015年12月より現職。
三島 博史 常務取締役 1994年同社入社。販売推進部長、業務統括部長、執行役員経営企画室長、ベガ代表取締役などを経て、2024年9月より現職。
飯島 裕 取締役 1985年同社入社。製品開発部部長、技術開発部門統括部長、生産本部統括部長、ベガ代表取締役などを経て、2022年12月より現職。
猪野田 光裕 取締役 1998年同社入社。経理部長、執行役員管理本部担当を経て、2023年12月より現職。
川北 拓 取締役 1998年同社入社。業務企画部長、業務統括本部統括部長、執行役員経営企画室長を経て、2025年12月より現職。
鈴木 克明 取締役(監査等委員) 1982年同社入社。総務部長、執行役員総務部長を経て、2021年12月より現職。


社外取締役は、松浦 宏文(元ユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン監査役)、三井 聡(三井公認会計士事務所所長)、小粥 純子(東北大学大学院教授)、宮島 哲也(梶谷綜合法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「業務用厨房機器の製造・販売及び保守修理」事業を展開しています。

(1) 機器設備および修理備品事業


同社は、学校給食、病院給食、社員給食などの集団給食施設向けに、厨房機器の開発・製造・販売を行っています。主力製品には、食器洗浄機、消毒保管機、回転釜、炊飯器、スチームコンベクションオーブンなどがあります。単に製品を販売するだけでなく、コンサルティングを通じて顧客ごとの最適な厨房づくりを提案し、設計、施工までを一貫して手掛けています。

収益は、顧客である集団給食施設の運営者等からの製品・商品の販売代金、ならびに納入後の保守点検・修理サービスや食器などの備品販売から得ています。製造面では栃木工場と大分工場の2工場体制を敷き、顧客の要望に合わせた受注生産を基本としています。運営は主に日本調理機が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は150億円台から180億円台で推移しています。利益面では、第84期に一時的に落ち込んだものの、その後回復し、第86期には経常利益が10億円を超えました。第87期は前期比で減収減益となりましたが、一定の利益水準を維持しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 171億円 155億円 176億円 184億円 181億円
経常利益 7億円 3億円 6億円 11億円 9億円
利益率(%) 4.0% 2.2% 3.2% 5.8% 5.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 2億円 3億円 7億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高は微減となり、売上総利益率もわずかに低下しました。販管費は増加しており、営業利益率は前期の5.7%から4.6%へ低下しました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 184億円 181億円
売上総利益 54億円 52億円
売上総利益率(%) 29.1% 28.6%
営業利益 11億円 8億円
営業利益率(%) 5.7% 4.7%


販売費及び一般管理費のうち、その他が22億円(構成比51%)、給料及び手当が16億円(同38%)を占めています。売上原価においては、商品売上原価が91億円(売上原価合計の70%)、製品売上原価が28億円(同22%)となっています。

(3) セグメント収益


機器設備売上高は減少しましたが、修理備品売上高は増加しました。学校給食分野において大型案件が少なかったものの、入替需要の喚起や備品更新への営業活動が功を奏し、修理備品売上が伸長しました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
機器設備売上高 157億円 152億円
修理備品売上高 27億円 29億円
連結(合計) 184億円 181億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的な「末期型」です。なお、今期の営業CFのマイナスは主に仕入債務の減少(15億円)によるものです。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 4.3億円 -8.6億円
投資CF -1.4億円 -0.1億円
財務CF -2.4億円 -2.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.3%で市場平均とほぼ同じ水準です。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「誠実奉仕・堅実経営・技術開発」を社是とし、厨房業界随一を目指して前進することを基本方針としています。業界のリーディングカンパニーとして、顧客に「安心・安全な製品およびサービス」を提供し、社会生活に欠かせない「食」を通して、新たな社会の発展に貢献することを経営理念として掲げています。

(2) 企業文化


同社は、「常に消費者の視点に立って考える」「顧客満足に貢献する」という基本理念を重視しています。また、モットーとして「安心、安全、こだわり」を掲げ、顧客に信頼される行動と高品質な製品・サービスの提供を通じて社会的貢献を果たすことを目指す企業風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、戦略実行の当年度における達成状況を判断する指標として、以下の数値を重視しています。

* 売上高
* 製品売上高
* 売上総利益
* 営業利益

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、学校給食分野等の主要マーケットに対し、地域密着および広域的な販売体制を整備しています。今後は、施工年や建替時期の情報を活用した「一括設備の販売強化」、納品履歴データを基にした「製商品の入替促進」、および保守点検を通じた「機器営業タイミングの情報収集」を実行し、物件獲得率の向上と市場シェアの拡大を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を重要な財産「人財」と捉え、ダイバーシティを尊重した職場環境の整備を進めています。採用においては、あらゆる人々の尊厳と基本的人権を尊重し、差別やハラスメントを行わない方針です。育成面では、教育制度や研修を充実させ、知見・技術力の向上を図るとともに、工場従業員の多能工化や技術資格取得を奨励しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 45.3歳 20.5年 5,645,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.7%
男性育児休業取得率 25.0%
男女賃金差異(全労働者) 69.5%
男女賃金差異(正規) 71.4%
男女賃金差異(非正規) 103.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、男性の育児休業取得率目標(2030年度85%)、新入社員に占める女性の割合(2030年度50%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 季節変動


同社の売上高は、官公庁や学校給食センターなど主要顧客への引渡し時期の関係で、第2・第4四半期に偏る傾向があります。特に大型案件は夏季休暇を利用して施工されることが多く、第4四半期の検収割合が高くなります。そのため、建築工事の遅れなどで検収が期ずれした場合、業績予想を下方修正する可能性があります。

(2) 取引形態


同社の主要な販売形態はユーザーとの直接契約ですが、顧客都合によりゼネコン・サブコンや特約店等を経由する中間業者取引となる場合があります。一般的に直接販売の方が粗利益率が高いため、中間業者経由の間接販売が増加した場合、販売粗利益率の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自社製品比率


同社は自社製品だけでなく他社製品の販売も行っていますが、自社製品の方が粗利益率が高いため、自社製品比率の向上を目指しています。しかし、製品開発の遅れ等により自社製品販売比率が低迷した場合、計画通りの売上を確保できたとしても、利益計画の達成に支障が出る可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。