※本記事は、日本調理機株式会社 の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本調理機は、集団給食施設向けの厨房機器の開発、製造、販売、修理を手掛ける業務用総合厨房機器メーカーです。学校給食や病院給食、社員給食施設を主要顧客とし、厨房システムの企画から施工、アフターサービスまで一貫したサービスを提供しています。
単体従業員数は532名です。同社は業務用厨房機器の製造、仕入、販売及び保守修理事業の単一セグメントで事業を展開しています。
同社は、栃木工場と大分工場の2工場体制で製品を生産し、全国に支店・営業所を設置して営業活動を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本調理機は、業務用厨房機器の製造・販売・保守修理を通じて「食」を支える企業です。同社は、持続的な成長と社会貢献のため、財務活動以外の分野、特に「人材・組織」を重点課題と位置づけ、人材育成と働きやすい環境づくりに力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が高く、勤続年数も長い傾向が見られます。これは、従業員が長期にわたって安定して働き続けることができる環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,645,000円 |
| 平均勤続年数 | 20年6ヶ月 |
| 平均年齢 | 45歳4ヶ月 |
| 単体従業員数 | 532人 |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を採用しています。これらの制度は同社単体を対象としています。退職一時金制度があり、勤務期間に基づいた一時金が支給されます。なお、同社の退職給付債務は7.9億円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
日本調理機は、人材を企業の重要な財産である「人財」と捉え、持続的な社会貢献と企業価値向上のために不可欠な存在と位置付けています。変化する市場に適切に対応できる柔軟な「人財」の育成と、ダイバーシティを尊重した職場環境の整備を重点課題としています。
具体的には、子育て支援制度の確立や、育児課題を社会全体の課題と捉えられる社風の醸成に努めています。また、一般教育や専門教育の充実、健康管理、多様な採用活動、働き方改革の強化にも取り組んでいます。人権尊重を基本とし、あらゆる差別やハラスメントを行わない方針を掲げ、高付加価値の製品や提案を提供するため、教育制度や研修を多岐にわたり実施することで、知見・技術力の向上に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 103.6% |
人材・組織
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率目標(2025年度) | 50% |
| 男性育児休業取得率目標(2030年度) | 85% |
| 新入社員に占める女性の割合目標(2030年度) | 50% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本調理機は、多数の人に食事を提供する集団給食施設向けの厨房機器の開発、製造、販売、修理を一貫して手掛けています。顧客のニーズに応じた最適な厨房システムを提案するコンサルティングサービスも提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、学校給食、病院給食、社員給食といった社会貢献に重点を置く集団給食施設の運営者を主要な顧客としています。主力製品には、食器洗浄機、消毒保管機、回転釜、炊飯器、スチームコンベクションオーブンなどがあります。
同社は、厨房設備・機械のハード面から、作業動線や使いやすさといったソフト面まで考慮した厨房システムの企画、開発、設計、生産、施工、アフターサービスに関する事業を行っています。特に、顧客ごとのベストな「厨房」づくりを実現するためのコンサルティングサービスを事業の最大の特徴としています。
自社製品だけでなく他社製品も含む最適な製品導入を提案し、顧客満足に貢献することを目指しています。生産は栃木工場と大分工場の2工場体制で行い、全国に支店・営業所を設置して販売・施工活動を推進しています。アフターサービスにも注力し、コールセンターとカスタマーエンジニアが連携して迅速な対応体制を確立しています。
同社は業務用厨房機器の製造、仕入、販売及び保守修理事業の単一セグメントであるため、セグメント別の区分表示は行っていません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益のいずれも前期から減少しています。機器設備売上は減少しましたが、修理備品売上は増加しました。
販売費及び一般管理費は、人件費の増加に伴い増加しています。営業外収益では受取配当金が増加し、営業外費用では支払利息が増加しました。
学校給食分野以外の集団給食分野への営業活動や資材価格高騰への対応が進み、利益率は期初想定より改善されたものの、前期比では減少となりました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員1人あたり売上高は、前期から減少しています。これは、売上高が前期比で減少したことによる影響と考えられます。
従業員1人あたり当期純利益は、前期から減少しています。これは、当期純利益が前期比で減少したことによる影響と考えられます。これらの指標の推移は、同社の生産性や収益体質の変化を示しています。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | - |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、財務基盤の安定性を維持しつつ、事業活動における資金の流れを管理しています。これらの状況は、同社が将来に向けてどのように資金を配分しているかを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は、前期から当期にかけて増加しています。当期の自己資本比率はプライム市場の製造業平均を上回る水準となっており、安定した財務基盤を維持していることがうかがえます。
手元資金である現金及び預金等は、前期から当期にかけて減少しています。これらの財務状況は、同社が堅実な経営を続けていることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 48.3% | 56.3% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 45.8億円 | 34.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に8.6億円の支出となりました。これは主に仕入債務の減少が影響しています。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得などにより0.1億円の支出となっています。フリーキャッシュフローはマイナスであり、本業の資金と投資活動を合わせた資金が流出している状況です。
財務活動によるキャッシュフローも、配当金の支払いなどにより2.2億円の支出となっています。同社は中長期的な成長に向けた投資を計画しており、資金の流動性を確保していると説明しています。この資金の流れは、今後の事業展開や雇用・給与の安定性を判断する上で重要な要素となります。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.3億円 | △8.6億円 |
| 投資CF | △1.4億円 | △0.1億円 |
| 財務CF | △2.4億円 | △2.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.9億円 | △8.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、官公庁顧客の政策動向や民間顧客の景気動向により、受注件数及び受注規模が変動し、業績に影響を及ぼす可能性があると認識しています。また、製品開発が予定どおり進まず自社製品販売比率が低迷すると、計画利益額の達成に支障がでる可能性も示しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、適切な人材を十分に確保できない場合や、在職中の従業員が退職した場合に、十分な開発・販売体制を築くことが困難となり、業績及び将来的な事業計画の達成に支障がでる可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本調理機は、集団給食における業務用総合厨房機器メーカーとして、社会生活に欠かせない「食」を支えることを使命としています。社是である「誠実奉仕・堅実経営・技術開発」のもと、お客様への貢献と社会の発展を目指す企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
日本調理機は、集団給食における業務用総合厨房機器メーカーとして、厨房業界随一を目指して前進することを基本方針としています。業界のリーディングカンパニーとして、お客様に「安心・安全な製品およびサービス」を提供することが経営理念です。
社会生活に欠かせない「食」を通して、新たな社会の発展に貢献することを目指しています。お客様に信頼される行動と高品質な製品・サービスを提供し、「食」を支える施設をサポートすることで社会的貢献を果たしています。
また、多様化・高度化する顧客ニーズを的確に捉え、人にやさしく、環境にやさしい新製品・新システムの開発を通じて、自社製品力とブランド力の強化、市場拡大を図っています。国内すべての地域を網羅した営業体制のもと、販売力の強化とさらなる成長を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「誠実奉仕・堅実経営・技術開発」を社是とし、お客様に信頼される行動と高品質で安心・安全な製品およびサービスの提供を重視しています。社会生活に不可欠な「食」を支える企業として、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを強化し、サステナブルな社会に向けた事業活動を推進しています。
人材は企業の重要な財産であると捉え、「人財」として育成する考え方を大切にしています。あらゆる人々の尊厳と基本的人権を尊重し、差別やハラスメントを行わないことを方針としています。
個々の多様性が組織に活かされるよう、お互いが尊重し合える職場環境を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、お客様に「高品質」「安心安全」「低環境負荷」な製品・サービスを提供し、社会に貢献するため、複数の課題に取り組んでいます。労働力不足に対応するための無人化・少人数での給食施設運営など、お客様のニーズに応える製品創出に向けた研究開発の強化を推進しています。
また、厨房機器および厨房システムの品質維持・向上を目指し、公共建築協会評価やISO9001の取得を通じて品質管理体制を徹底しています。従業員の技術資格取得奨励や多能工育成、テレワーク環境の充実、育児休暇取得奨励といった「働き方改革」を加速させ、企業競争力の向上を図っています。
内部統制システムの強化により、コンプライアンス・リスク管理を徹底し、従業員の労務管理や安全管理にも注力しています。さらに、サステナビリティ委員会を常設機関として設置し、ESGへの取り組みを強化することで、社会的課題の解決と企業価値の向上を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本調理機は、企業としての公共性を堅持し、お客様に安心・安全な製品とサービスを提供することで社会に貢献することを経営理念としています。持続的成長と企業価値向上を目指し、実効的なコーポレート・ガバナンスの継続運用を重視しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日本調理機従業員持株会が筆頭株主であり、同社の従業員が会社を支える体制がうかがえます。また、事業会社も上位株主に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本調理機従業員持株会 | 11.07% |
| マルゼン | 10.23% |
| 有限会社第一エア工業 | 8.99% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は齋藤有史氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 齋藤 有史 | 代表取締役 社長 | 1994年10月同社入社。2006年12月同社取締役営業本部副本部長、2013年12月同社常務取締役生産部門担当役員を経て、2015年12月より現職。 |
| 三島 博史 | 常務取締役 | 1994年4月同社入社。2016年4月同社業務統括部長、2021年12月同社取締役業務統括本部担当を経て、2024年9月より現職。 |
| 飯島 裕 | 取締役 | 1985年4月同社入社。2017年4月同社技術開発部門統括部長、2021年12月同社執行役員生産本部担当を経て、2022年12月より現職。 |
| 猪野田 光裕 | 取締役 | 1998年4月同社入社。2015年10月同社経理部長、2021年12月同社執行役員管理本部担当を経て、2023年12月より現職。 |
| 川北 拓 | 取締役 | 1998年4月同社入社。2018年10月同社業務統括本部統括部長兼業務企画部長、2023年12月同社執行役員経営企画室長を経て、2025年12月より現職。 |
社外取締役は、松浦宏文氏(元大和投資顧問取締役国際部長・指名報酬諮問委員会委員長)、三井聡氏(三井公認会計士・税理士事務所開設・監査等委員)、小粥純子氏(東北大学大学院経済学研究科教授・監査等委員)、宮島哲也氏(梶谷綜合法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が経営の監督機能と透明性向上に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬体系は、基本報酬(固定報酬と変動報酬)および非金銭報酬で構成されています。基本報酬は役位に応じた月額基準報酬と貢献報酬からなり、変動報酬は会社業績や担当部門業績、個人責務の3つの視点で配分されます。また、企業価値の持続的な向上と株主との価値共有を目的として、譲渡制限付株式報酬制度を導入しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.4億円 | 34.7百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 29百万円 | 7.2百万円 |
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