※本記事は、株式会社クオンツ総研ホールディングス (旧会社名 株式会社M&A総研ホールディングス) の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2026年1月5日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
クオンツ総研ホールディングスは純粋持株会社であり、単体従業員数は0名、グループ連結従業員数は690名です。
同社グループは、M&A仲介事業、コンサルティング事業、オペレーティング・リース事業を展開しています。AIを中心としたテクノロジーとM&Aアドバイザーのサポートを組み合わせたハイブリッドなM&A仲介サービスを特徴としており、連結子会社10社を中心に事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、M&A総合研究所(M&A仲介事業)、資産運用コンサルティング(資産運用コンサルティング事業)、クオンツ・コンサルティング(コンサルティング事業)などです。
同社グループは2023年3月に持株会社体制へ移行し、コンサルティング事業の新規立ち上げや海外法人、オペレーティング・リース事業の子会社設立により業容を拡大しています。また、当連結会計年度よりコンサルティング事業を独立した報告セグメントとして追加しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、M&A仲介事業を主軸とする持株会社として、人材を最も重要な経営資産と位置づけています。社員の成長を支援し、個々の力を最大限に引き出すための環境整備に力を入れている点が特徴です。AI・DXシステムを活用した業務効率化や、ワークライフバランスを重視した働き方改革にも取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は純粋持株会社であり、業務を委託しているため、提出会社単体での従業員はおりません。そのため、平均年間給与、平均勤続年数、平均年齢のデータは開示されていません。なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 単体従業員数 | 0人 |
| 連結従業員数 | 690人 |
| 単体のグループ内比率 | 0.0% |
同社グループは、確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。この制度は国内グループ会社に適用されます。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を最も重要な経営資産と位置づけ、「競争力の源泉である人材の強化」をマテリアリティとして特定しています。社員一人ひとりの成長が持続的な企業成長の根幹であると考え、役職員が活躍できる環境や制度を整備し、個々の力を最大限に引き出すことを目指しています。
具体的には、多様なプロ人材が最大限に活躍できるよう、適材適所の人材配置を重視しています。成長分野への機動的な人材異動や、上司と部下の面談を通じた育成・活用計画の確認、社内公募制度の整備などにより、組織戦力の最大化を図っています。
社員の成長を支援する仕組みとして、資格取得や書籍購入の補助制度を設けています。これにより、従業員の専門性向上や自己啓発を多角的に支援し、プロフェッショナルとしての競争力強化を促進しています。また、従業員に対する中長期インセンティブとして持株会制度を導入し、中長期的な財産形成を支援するとともに、全社員対象の表彰制度でモチベーション向上を図っています。
ワークライフバランスの推進にも力を入れており、AI・DXシステムを活用した業務負担軽減や、労働法令を遵守した労務管理を行っています。健康診断の実施、勤務時間のモニタリング、長時間勤務者への通知・指導などを通じて、健康的で安全な職場環境の整備に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ (株)M&A総合研究所
男女ともコンサルタント職の平均給与が高いことに加え、女性コンサルタントに比べて男性コンサルタントの比率が高いことから、男女の賃金差異が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 41.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 42.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 122.2% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
クオンツ総研ホールディングスは持株会社として、M&A仲介事業を主軸に、コンサルティング事業やオペレーティング・リース事業など多角的なビジネスを展開しています。テクノロジーを活用した効率的なサービス提供を特徴としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、M&A仲介、コンサルティング、その他の事業セグメントを通じて収益を上げています。M&A仲介事業が収益の大部分を占めており、コンサルティング事業は前期から大きく拡大しています。特定の顧客に収益が集中することはありません。
M&A仲介
同社グループのM&A仲介事業は、AIを中心としたテクノロジーとM&Aアドバイザーのサポートを組み合わせたハイブリッドなサービスを提供しています。AIを活用してマッチングのスピードと質を向上させ、DX推進により社内業務の効率化を図っています。
収益は、M&A成約時に仲介手数料を収受する完全成功報酬制が主なモデルとなっています。譲渡希望企業からは着手金や中間報酬を収受しない料金体系を採用しています。
コンサルティング
コンサルティング事業は、戦略、IT、DXなどの総合コンサルティングサービスを提供しています。テクノロジーの力を最大限に活用し、クライアントの変革を支援しています。
収益は、クライアントへのコンサルティングサービスの提供から得ています。運営は、株式会社クオンツ・コンサルティングが行っています。
その他の事業セグメント
その他の事業セグメントでは、資産運用コンサルティング事業やオペレーティング・リース事業を展開しています。
収益は、オペレーティング・リース事業などから得ています。運営は、株式会社総研リースが行っています。
| セグメント | 売上収益(2024年9月期) | 売上収益(2025年9月期) | セグメント利益(2024年9月期) | セグメント利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| M&A仲介 | 163億円 | 151億円 | 85.6億円 | 57.5億円 | 38.0% |
| コンサルティング | 2.5億円 | 14.5億円 | △2.5億円 | △7.9億円 | △54.2% |
| その他の事業セグメント | - | 4百万円 | △43百万円 | △1.3億円 | - |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は、直近5年間で増加傾向にありましたが、当連結会計年度は前期からほぼ横ばいとなりました。一方で、税引前当期利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、当連結会計年度において前期から減少しています。
この利益の減少は、主にコンサルティング事業などへの先行投資が増加したことに対し、売上収益の伸長が限定的であったことによるものです。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | - | - | 86.4億円 | 165億円 | 166億円 |
| 税引前利益 | - | - | - | 82.5億円 | 47.7億円 |
| 税引前利益率 | - | - | - | 49.8% | 28.7% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | - | - | - | 56.6億円 | 27.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | 96.60 | 47.97 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益および従業員1人あたり営業利益は、当連結会計年度において前期から減少しています。これは、コンサルティング事業の拡大に向けた積極的な採用活動や先行投資が影響している可能性があります。組織規模の拡大に伴い、一時的に生産性指標が変動する傾向が見られます。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 36.3百万円 | 24.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 18.1百万円 | 6.9百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、事業拡大に向けた投資を進める中で、自己資本と手元資金の厚みを維持しています。キャッシュフローは本業で資金を生み出していますが、自己株式の取得により手元資金を大きく減少させている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率とROEを維持しています。自己資本比率は前期の71.2%から当期は62.8%となっていますが、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)も前期の78.3%から当期は39.2%に減少したものの、プライム市場平均を大きく上回る水準です。手元資金である現金及び現金同等物は、前期の102億円から当期は41.2億円に減少しました。これらの財務状況は、同社グループが事業拡大のための投資を進めながらも、一定の財務的な安定性を保っていることを示しています。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 89.1億円 | 51.0億円 |
| 自己資本比率 | 71.2% | 62.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 78.3% | 39.2% |
| 現金及び現金同等物 | 102億円 | 41.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが13.0億円のプラスとなりました。これは税引前当期利益を計上した一方で、法人所得税の支払いや預け金、営業債権及びその他の債権の増加があったことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、敷金及び保証金の差入による支出が増加したことにより、△3.5億円のマイナスとなっています。
その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは9.5億円のプラスとなりました。財務活動によるキャッシュフローは、自己株式の取得による支出やリース負債の返済による支出が増加したため、△70.1億円のマイナスとなっています。全体として、同社グループは本業で資金を生み出しつつ、事業拡大のための投資も行っていますが、自己株式の取得により手元資金を大きく減少させている状況です。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 57.2億円 | 13.0億円 |
| 投資CF | △3.1億円 | △3.5億円 |
| 財務CF | △26.7億円 | △70.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 54.1億円 | 9.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、M&A市場の低迷が経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると認識しています。景気の悪化や後継者不在企業の減少などにより、買収ニーズが縮小するリスクがあります。また、M&A仲介業務は参入障壁が比較的低いことから、同業他社との競争が激化した場合にも経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、M&A仲介業務が人材に依る部分が大きいため、人材の獲得と育成を重要な経営課題と位置付けています。雇用情勢の変化により人材を適時に獲得できない場合や、人材が大量に社外流出した場合、育成が計画通り進展しない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
クオンツ総研ホールディングスは、テクノロジーの力でM&A市場に変革をもたらし、社会に貢献することを目指しています。ここでは、同社グループがどのような価値観を持ち、どのような企業風土を育んでいるのかをご紹介します。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「M&A Techにより未来のM&A市場を創造する」という企業理念を掲げています。従来のM&A仲介サービスに存在するアナログな手法をテクノロジーで刷新することを目指しています。これにより、「成約スピードの向上」と「価格の抑制」を実現し、多くの会社がM&Aという選択肢を検討できる社会を創ることを目指しています。これらの取り組みを通じて、企業価値の最大化を図ることを経営方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、テクノロジーを活用した効率化と社会貢献を重視する企業風土を持っています。M&A仲介業務においてAIマッチングアルゴリズムを駆使し、業務の効率化と顧客への価値提供を追求しています。また、経営の健全性、効率性、透明性を高めるコーポレート・ガバナンスの強化に努め、法令遵守と企業倫理の確立を基本方針としています。人材を最も重要な経営資産と位置づけ、多様なプロ人材が活躍できる環境整備や、心身ともに健康で高いパフォーマンスを発揮できる職場づくりにも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、顧客サービス品質向上と投資家との適切なコミュニケーションを企業価値向上において重要視しています。案件ごとの進捗管理を適時に把握し、成約時期の変動を抑制するとともに、原因と対策を全社で共有し改善を進めています。また、競争力の源泉であるAIマッチングアルゴリズムの継続的な開発に積極的に投資し、買手候補企業の精度向上を図っています。人員増加局面における情報漏洩やデータ紛失を防ぐため、情報管理体制の強化も重点テーマとしています。さらに、優秀なM&Aアドバイザーの採用と教育体制の強化、およびM&Aアドバイザーの教育制度のシステム化による受託率や成約率の向上にも取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
クオンツ総研ホールディングスは、取締役会と監査役会を設置し、経営の健全性、効率性、透明性の強化に努めています。社外取締役や社外監査役を配置することで、多角的な視点から経営を監督する体制が構築されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役社長である佐上峻作氏です。その他、日本マスタートラスト信託銀行や海外の機関投資家が上位株主として名を連ねています。特定の株主が大きな割合を占めることで、経営に対する強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐上 峻作 | 57.96% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.29% |
| BROWN BROTHERS HARRIMAN (LUXEMBOURG) SCA CUSTODIAN FOR ARCUS FUND SICAV - ARCUS JAPAN FUND | 3.68% |
| UBS AG LONDON A/C IPB SEGREGATED CLIENT ACCOUNT | 2.97% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 2.35% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は佐上峻作氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐上 峻作 | 代表取締役社長 | 2013年9月マイクロアド入社。2015年11月㈱Alpaca(現スマートメディア)設立代表取締役就任。2018年10月同社設立。2019年1月同社代表取締役就任より現職。2023年3月M&A総合研究所代表取締役社長就任より現職。 |
| 矢吹 明大 | 取締役 | 2010年4月キーエンス入社。2015年7月日本M&Aセンター入社。2019年7月同社入社営業本部長。2020年4月同社取締役就任より現職。2023年3月M&A総合研究所取締役営業本部長就任より現職。 |
| 鏡 弘樹 | 取締役 | 2006年4月中京銀行(現あいち銀行)入行。2016年10月ストライク入社。2024年4月M&A総合研究所執行役員就任。2025年4月M&A総合研究所取締役就任より現職。2025年12月同社取締役CFO就任より現職。 |
社外取締役は、水谷亮氏(Beyond X代表取締役)、上山亨氏(カケルパートナーズ代表社員)、青木美佳氏(宇賀神国際法律事務所パートナー)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役は、企業経営者、大手金融機関出身者、弁護士といった多様な専門性を持つ人材で構成されており、多面的な視点から経営への助言と監視を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、固定報酬を基本としています。取締役の報酬は株主総会で決議された総額の範囲内で、業績と貢献度を考慮して決定されます。監査役の報酬も株主総会で定められた総額の範囲内で、監査役間の協議により決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 81百万円 | 27.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 25百万円 | 4.2百万円 |
同社グループの役員報酬総額は1.1億円であり、対象となる役員は合計9名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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