ホリイフードサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ホリイフードサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する外食企業です。「隠れ庵 忍家」などの和風ダイニングを北関東・首都圏中心に展開しています。第44期は決算期変更に伴う8ヶ月間の変則決算となり、売上高32億円、経常利益1.6億円を計上しました。既存店の効率化やインバウンド需要に対応した新業態の開発を推進しています。


※本記事は、株式会社ホリイフードサービス の有価証券報告書(第44期、自 2025年4月1日 至 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ホリイフードサービスってどんな会社?


北関東と首都圏を地盤に、「隠れ庵 忍家」をはじめとする居酒屋・レストランを多店舗展開する外食チェーン企業です。

(1) 会社概要


1983年に茨城県で設立され、「村さ来」のフランチャイズ加盟から事業を開始しました。2004年に主力業態となる「隠れ庵 忍家」1号店を出店し、2007年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行し、2025年には決算期を3月から11月に変更しています。

同社の従業員数は連結140名、単体132名です。筆頭株主は親会社である株式会社CCHで、第2位は創業者の堀井克美氏、第3位は証券業務を行う証券会社となっています。株式会社CCHは同社役員が代表を務める持株会社であり、強固な資本関係のもとで経営が行われています。

氏名 持株比率
CCH 47.12%
堀井 克美 4.05%
三菱UFJeスマート証券 3.47%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は藤田明久氏が務めています。社外取締役比率は10.0%です。

氏名 役職 主な経歴
藤田 明久 代表取締役社長 1996年同社入社。営業部長、執行役員営業統括部長、第1事業部長などを歴任し、2020年4月より現職。
大貫 春樹 取締役統括本部長兼経営管理本部長 1992年同社入社。営業本部長、人事部長、総務部長などを経て、2025年11月より現職。
根本 央紀 取締役購買物流部長 2001年旧ホリイプロジェクト入社。商品開発部長、企画開発本部長などを経て、2024年4月より現職。
高鍬 仁一 取締役 2005年グッドスタッフ入社。CCH代表取締役などを経て、2024年12月より現職。
伊藤 大貴 取締役 2013年グッドスタッフ入社。DEITA執行役員などを経て、2025年6月より現職。
鈴木 健之 取締役 2006年グッドスタッフ入社。CCH管理本部長兼経理部長などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、四ツ倉 宏幸(税理士法人Y&パートナーズ代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「北関東エリア」「首都圏エリア」「東北エリア」および「その他」事業を展開しています。

(1) 北関東エリア


茨城県、栃木県、群馬県において、「隠れ庵 忍家」「常陸之國 もんどころ」「益益」などの飲食店を運営しています。郊外ロードサイドを中心とした出店戦略をとっており、家族連れやグループ客を主なターゲットとしています。

収益は、来店客からの飲食代金です。また、このセグメントには本部および子会社における食料品等の販売も含まれます。店舗運営は同社が行い、食材や酒類等の仕入・供給は連結子会社のホリイ物流が担っています。

(2) 首都圏エリア


東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県において、「隠れ庵 忍家」「うま囲」「ボンジョルノ食堂」などを展開しています。駅前立地の店舗が多く、ビジネスマンや近隣住民の宴会・食事需要を取り込んでいます。

収益は、来店客からの飲食代金です。インバウンド需要に対応した高単価業態「エンペラーステーキ」などの新規出店も進めています。運営は同社が行っています。

(3) 東北エリア


福島県、宮城県、山形県において、「隠れ庵 忍家」「うま囲」「四〇屋」などを展開しています。北関東エリアと同様に郊外型店舗が多く、地域の飲食需要に対応しています。

収益は、来店客からの飲食代金です。不採算店舗の整理を進めつつ、収益性の改善を図っています。運営は同社が行っています。

(4) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、新規出店エリアや特定の試験的業態などが含まれます。大阪府における「ハラル和牛ラーメン 大阪武勇伝」などの新店舗もこの区分に含まれる場合があります。

収益は、来店客からの飲食代金です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第44期は決算期の変更により8ヶ月間の変則決算となっています。売上高は32億円、経常利益は1.6億円、当期利益は1.8億円となりました。期間が異なるため単純比較はできませんが、利益率は改善傾向にあり、コストコントロールや不採算店の整理が進んでいることがうかがえます。

項目 2025年3月期 2025年11月期
売上高 48億円 32億円
経常利益 1.8億円 1.6億円
利益率(%) 3.8% 4.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.8億円 1.8億円

(2) 損益計算書


第44期(8ヶ月)と第43期(12ヶ月)の比較では、売上総利益率は微増しており、原価管理が機能しています。営業利益率は4.6%を確保しており、短縮決算ながらも黒字を維持しています。

項目 2025年3月期 2025年11月期
売上高 48億円 32億円
売上総利益 35億円 24億円
売上総利益率(%) 73.4% 74.5%
営業利益 2.0億円 1.5億円
営業利益率(%) 4.2% 4.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賃金が10億円(構成比43%)、地代家賃が3.9億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


北関東エリアが売上の約半数を占める主力市場です。首都圏エリアはインバウンド向け新業態の出店などで売上を支えていますが、調整額(全社費用等)の配分前段階では各エリアとも黒字を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2025年11月期) 利益(2025年3月期) 利益(2025年11月期) 利益率
北関東エリア 22億円 15億円 2.5億円 2.2億円 14.6%
首都圏エリア 18億円 12億円 2.3億円 1.4億円 10.9%
東北エリア 8.0億円 4.7億円 0.4億円 0.5億円 11.0%
その他 - - - -0.1億円 -
調整額 - - -3.2億円 -2.5億円 -
連結(合計) 48億円 32億円 2.0億円 1.5億円 4.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2025年3月期 2025年11月期
営業CF 1.9億円 1.4億円
投資CF -0.3億円 0.1億円
財務CF 0.5億円 2.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は29.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「総合飲食企業として、働く者が誇りの持てる企業を目指す」という創業の精神に基づき、「それでお客様は満足か!」をスローガンに掲げています。一人でも多くの笑顔を実現することを事業の根幹とし、時代と共に多様化するニーズに応え、価値ある商品や感動的なサービスを提供することで地域社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


アルバイトを含めた全てのスタッフが理念を共有し、店長を中心にともに学び育つ「共育・共学の精神」を重視しています。有能な若手社員にチャンスを与えて組織の活性化を図るとともに、スーパーバイザーによる直接指導やマニュアルの見直しを通じて、安定した店舗運営力の向上に努める風土があります。

(3) 経営計画・目標


投資に対する回収状況を判断するために「EBITDA(償却前営業利益)」を、店舗の経費管理状況を判断するために「FLA値売上高比(食材・飲料原価、人件費、広告宣伝費の合計比率)」を重要な経営指標として採用しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後は、顧客満足度と従業員満足度の向上を最優先課題とし、QSCレベルの向上や報奨制度の充実を図ります。また、主力である「忍家」に加え、食事需要や日常利用を取り込む新業態の育成を進め、業態構成の適正化を目指します。出店戦略としては、北関東でのドミナント戦略を見直しつつ、集客力の高い首都圏エリアへの出店や、インバウンド需要に対応した店舗展開を推進する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員が最大の能力を発揮できる環境整備と、資質向上のための教育指導体制の確立を掲げています。営業実績に連動した報奨制度を充実させ、努力が正当に報われる環境を作ることで従業員満足度を高める方針です。また、店長を中心とした「共育・共学」により若手社員へチャンスを提供し、マネジメントスキルの向上と次世代人材の育成を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 40.7歳 10.5年 4,632千円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
男女賃金差異(全労働者) 44.7%
男女賃金差異(正規) 85.0%
男女賃金差異(非正規) 88.0%


※女性管理職比率および男性育児休業取得率については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、営業部門における女性社員採用(5名)、社員の一月あたり平均残業時間(20時間19分)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 感染症拡大に伴う営業被害


新たな感染症の拡大により、政府や自治体から営業自粛要請が出された場合、店舗休業や時短営業を余儀なくされ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、感染収束後も来店客数の回復に時間を要する場合があり、同様に業績への影響が懸念されます。

(2) 外食産業の動向及び競合の激化


外食市場は成熟し競合が激化しています。個人消費の低迷や価格競争の中で、消費者ニーズに合致した商品・サービスを提供できず、主力業態「忍家」等の集客力が低下した場合には、売上減少により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 店舗展開と出店戦略


北関東および首都圏エリアへの出店に集中しており、売上の大部分を同エリアに依存しています。天候や自然災害等により同エリアの経済状況が悪化した場合、業績に影響が出る可能性があります。また、敷金・保証金等の回収懸念や、不採算店の閉鎖に伴う減損損失等の発生リスクもあります。

(4) 人材の育成及び確保


店舗運営には優秀な人材、特に店舗責任者の育成が不可欠です。独自カリキュラムによる研修や正社員登用を進めていますが、人材育成が順調に進まない場合や、必要な人材を確保できない場合には、事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。