0 編集部が注目した重点ポイント
① 欧州拠点の構造改革を加速し下期の資産売却益で利益を補填する
欧州子会社STEP-Gにおいて、予定を上回る123名の人員削減を実施しました。これに伴い事業構造改革費用1,184百万円を特別損失として計上しましたが、2026年3月末までに完了予定の土地建物売却により、約1,900百万円の売却益を見込んでいます。不採算部門の整理により、国際事業の収益基盤を再構築する不退転の決意が見て取れます。
② 組織の適正化に向けた上限150名の希望退職者を募集する
2026年1月8日の取締役会において、上限150名の希望退職者募集を決議しました。2025年7月に見直した中期経営計画に基づき、早期の業績回復に向けた「収益構造改革」を断行するための措置です。組織のスリム化と人材の最適配置を進めることで、建築費高騰や新設住宅着工戸数の減少といった厳しい外部環境への耐性を高める狙いがあります。
③ 新設の大型押出ライン稼働により車体軽量化需要を捕捉する
マテリアル事業の新湊東工場にて、20年ぶりとなる大型形材の新押出ラインが2025年12月より稼働を開始しました。投資総額は約100億円にのぼり、自動車のEV化に伴う車体軽量化ニーズなど、中長期的な成長領域への供給能力を増強しています。減価償却費の先行負担はあるものの、輸送分野でのシェア拡大に向けた強力な布石となります。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年5月期 第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.2
中間期の連結業績は、売上高が1,787億円(前年同期比1.9%減)、営業利益が3億円(同81.9%減)となりました。国内では新設住宅着工戸数の減少や建設費高騰が響き、海外でもドイツ・タイ経済の低迷による販売量減少が直撃しています。特に国際事業において欧州拠点の構造改革を断行した結果、特別損失11億円を計上し、最終利益は21億円の赤字となりました。
通期予想(売上高3,700億円、営業利益40億円)に対する売上高の進捗率は48.3%、営業利益の進捗率は8.0%となっています。利益面での進捗は極めて限定的ですが、下期に価格改定効果の発現や構造改革に伴うコスト削減、さらに欧州での約19億円の資産売却益を見込んでいることから、通期予想は据え置かれています。
現時点では、利益目標の達成に向けた進捗が遅れている状況にあり、下期の巻き返しが採用市場においても注視すべきポイントです。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年5月期 第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.4
建材事業(三協アルミ社)
事業内容:住宅・ビル用サッシ、エクステリア商品等の開発・製造・販売。高断熱窓「STINA」等を展開。
業績推移:売上高 86,568百万円(前年比5.6%減)、営業利益 242百万円(前年比765百万円減)。
注目ポイント:新設住宅着工の減少により苦戦していますが、政府の補助金事業を背景としたリフォーム需要は堅調です。2025年8月発売の高断熱窓「STINA」の拡販や、カーポート型太陽光パネル架台「エネジアース」の販売増(前年比約24倍)など、脱炭素・省エネ領域での提案力が求められています。
マテリアル事業(三協マテリアル社)
事業内容:アルミニウムの鋳造・押出・加工。自動車部品や産業機械向け形材を提供。
業績推移:売上高 31,664百万円(前年比9.9%増)、営業利益 1,182百万円(前年比24.4%減)。
注目ポイント:自動車分野の販売量増加により増収を確保。100億円を投じた新押出ラインの稼働により、EV向けなどの高付加価値製品へのシフトを加速させています。利益面では減価償却費が重荷となっていますが、大型投資を収益化させるための生産技術や工程管理の専門家が必要不可欠です。
商業施設事業(タテヤマアドバンス社)
事業内容:店舗用陳列什器、サイン・看板等の企画・製造・施工。
業績推移:売上高 22,276百万円(前年比3.5%減)、営業利益 726百万円(前年比34.0%減)。
注目ポイント:物流費などのコスト増加が利益を圧迫していますが、小売業態の新規出店や改装需要は底堅い状況です。植物栽培ユニット「ココの葉」などの新領域開拓も進めています。従来の什器販売に留まらない、店舗空間のDX提案や環境配慮型サインの導入支援などが鍵となります。
国際事業
事業内容:欧州(STEP-G)およびタイ・中国等でのアルミ形材事業。三協大同鋁業を当期より新規連結。
業績推移:売上高 37,897百万円(前年比1.7%減)、営業損失 △1,305百万円(損失改善)。
注目ポイント:(注:三協大同鋁業は当期より連結、前年同期は未連結)。不振が続く欧州事業において、人員削減や拠点再編を伴う構造改革を断行中です。コスト削減効果により赤字幅は縮小傾向にあります。グローバルでの財務体質強化と事業ポートフォリオの見直しを担える人材が不可欠なステージです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年5月期 第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.8
三協立山は現在、2025年7月に改訂した中期経営計画に基づき、「早期業績回復に向けた収益構造改革」を最優先課題に掲げています。国内では150名の希望退職募集による組織のスリム化を進める一方で、マテリアル事業の新ライン稼働に見られるように、成長領域への投資の選択と集中を明確にしています。
今後は、不採算事業の整理(欧州での資産売却等)で得た原資を、高断熱サッシやリサイクルアルミ「グリーンアルミ」の採用強化といったサステナビリティ関連投資に振り向ける方針です。組織が大きく変わるこの時期は、既存の慣習に囚われず、抜本的な業務改善や新規市場開拓を牽引できる変革リーダーにとって、非常に大きなチャンスが存在するフェーズと言えるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
「収益構造改革」という大きな転換期にある同社において、自身の専門スキルがどのように固定費削減や生産性向上に寄与できるかを具体化しましょう。また、環境意識の高まりを背景とした住宅の高断熱化や、自動車のEV化に伴う車体軽量化といった社会的課題に対し、同社の技術力を通じて貢献したいという姿勢は、経営方針とも合致し高く評価されるはずです。
・「現在進めている収益構造改革において、私の所属予定部門が担う最優先課題とマイルストーンについて教えていただけますか?」
・「マテリアル事業での大型投資を早期に収益化するために、現場レベルで取り組んでいる工程改善やコスト管理の取り組みを伺いたいです」
・「希望退職者の募集等による組織再編が進む中で、中途採用者に対して期待される役割や文化的な変革への影響についてどのようにお考えでしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
成長や競争への勝利を阻んでいる
ずっと地方在住の人が多く、良くも悪くも田舎の会社であり、それが成長や競争への勝利を阻んでいるように感じました。県内でも中心市の会社ではないので地方色が非常に強いです。
(30代後半・マーケティング・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年5月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年5月期 第2四半期(中間期) 決算説明資料



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