0 編集部が注目した重点ポイント
① HGF遺伝子治療製品の米国申請を2026年に開始する
主力のHGF遺伝子治療製品について、米国での後期第II相臨床試験で良好な結果が得られたため、追加の第III相試験をスキップして2026年内の承認申請(BLA)を目指す方針を決定しました。国内では2024年6月に販売を終了し、経営資源を米国市場への早期参入に集中させる構造的シフトを鮮明にしています。
② 子会社Emendo社の事業再編により財務体質を改善させる
2023年度から着手した連結子会社EmendoBio社の事業再編成により、人員削減や研究開発体制の効率化を断行しました。前年度に計上した約200億円ののれん減損処理がなくなったことで、当期の純損失は大幅に縮小しています。今後は独自技術のライセンス供与による収益化フェーズへ移行します。
③ 検査事業の受託件数が年間9万件へと急拡大する
ACRL(アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー)による拡大新生児スクリーニング検査の受託数が順調に増加し、年間約9万件(2024年度の5万件から大幅増)を達成しました。創薬だけでなく、希少疾患の早期発見から治療までを支える「事業基盤の拡大」が実数値として成果を上げ始めています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 決算説明資料 P.5
売上高(事業収益)
874百万円
+35.8%
営業利益
Δ5,145百万円
損失幅縮小
当期純利益
Δ5,123百万円
大幅改善
2025年12月期の売上高は前年同期比35.8%増の8億74百万円となりました。早老症治療薬「ゾキンヴィ」の販売開始(3億2百万円計上)や、新生児スクリーニング検査の手数料収入の増加が寄与しています。営業損失は51億45百万円と、前年度の91億9百万円から大きく改善しました。
通期計画に対する進捗について、売上高実績は期初見通しの8億80百万円に対しほぼ計画通りの順調な推移となりました。子会社Emendo社の人員削減等の事業再編効果により、販管費も前年比65.7%減と大幅に抑制されています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 決算説明資料 P.6
医薬品開発事業(創薬)
事業内容:HGF遺伝子治療製品、NF-kBデコイオリゴDNA、ゲノム編集技術(Emendo社)などを用いた革新的なバイオ医薬品の開発。
業績推移:Emendo社におけるライセンス収入16百万円を計上。研究開発費は35億53百万円(前年比6.1%減)と高水準な投資を維持。
注目ポイント:米国でのHGF遺伝子治療製品の承認申請(BLA)に向け、米規制当局(FDA)との交渉や製造供給体制の構築が急ピッチで進んでいます。特に、ベーリンガー・インゲルハイム社との提携を通じた原薬製造体制の確立など、グローバル規模でのCMC開発や規制対応の専門職が活躍できるフィールドです。
注目職種:
臨床開発、薬事申請(US薬事)、CMC開発管理、提携推進(BD)
検査受託・商品販売事業
事業内容:拡大新生児スクリーニング検査の受託および、希少疾患治療薬「ゾキンヴィ」の独占販売。
業績推移:検査手数料収入は5億54百万円(前年比77%増)、商品売上高は3億2百万円(同23%増)と大幅な増収を達成。
注目ポイント:自治体や医療機関との連携強化により、国内の希少疾患市場における圧倒的なプラットフォームを構築しつつあります。検査から確定診断、治療薬提供までを一貫して支える独自のビジネスモデルへの進化が進んでおり、社会貢献度の高いヘルスケア営業や事業開発のチャンスが拡大しています。
注目職種:
学術営業、メディカル・アフェアーズ、検査技術開発、サプライチェーン管理
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 決算説明資料 P.8
2026年12月期は、売上高が前期比52.2%増の13億30百万円に達する見通しです。一方で、営業損失は102億30百万円と一時的に拡大する計画ですが、これは主力のHGF遺伝子治療製品の米国BLA申請準備費用および、上市後に備えた原薬の先行製造委託費用が増加するためです。
質疑応答や資料内で言及されている通り、現在は「米国での製品化を最優先」とする戦略を掲げており、このハードルを越えることが次なる成長の必須条件となります。また、資金調達の機動的な実施も継続課題として挙げられており、コーポレート部門においても、高い財務リテラシーや資本市場との対話能力を持つ人材が長期的に重要視されるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
「遺伝子の力を活用し、すべての人に治療の機会を届ける」というミッションのもと、米国市場への本格参入というバイオベンチャーとして最大の関門に挑むタイミングです。国内の安定的な検査事業と、米国でのハイリスク・ハイリターンの開発事業の両面を併せ持つ特異な構造に惹かれた点を強調すると良いでしょう。特に希少疾患分野での一気通貫した検査・治療体制の構築は、社会貢献性を重視する求職者にとって強い志望動機になります。
- 2026年の米国BLA申請に向けて、現在組織として最も強化したい専門機能やスキルは何でしょうか?
- ACRLの検査事業が急拡大していますが、今後のさらなる対象疾患の拡大に向けた技術的・組織的課題をどう捉えていますか?
- Emendo社の独自技術(OMNIヌクレアーゼ)を用いた新規ライセンス案件の獲得に向けて、どのような人材の活躍を期待されていますか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
19時を過ぎるとほぼ全員帰っている状態
全体的に、19時を過ぎるとほぼ全員帰っている状態。正社員でも、用事がある日であれば、18時ぴったりに帰宅する人も見られる。
(30代後半・その他・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- アンジェス株式会社 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- アンジェス株式会社 2025年12月期 決算説明資料



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