※本記事は、アンジェス株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アンジェスは、遺伝子医薬品の開発・販売を主軸とする医薬品事業を展開しています。希少遺伝性疾患のスクリーニング検査受託サービスも提供し、ゲノム編集製品の研究開発も行っています。
単体従業員数は35名、連結従業員数は56名です。セグメントは医薬品の1つです。
アンジェスは、遺伝子医薬品の開発・販売、希少遺伝性疾患のスクリーニング検査受託を主に行っています。海外の連結子会社3社を通じてゲノム編集製品の研究開発も進めています。
また、2025年4月より、アンジェスが希少遺伝性疾患検査の「オプショナルスクリーニング」の運営を引き継ぎました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アンジェスは、遺伝子医薬の研究開発を専門とする企業です。同社グループは、革新的な医薬品開発を通じて国民生活や医療水準の向上に貢献することを目指しています。専門性の高い分野で、多様な人材、特に女性の活躍を重視する働き方を推進していることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アンジェスでは、従業員の平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も一定の長さを示しています。これは、専門性の高い医薬品開発の分野において、経験豊富な人材が長く活躍している傾向があることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 10,538,741円 |
| 平均勤続年数 | 7.4年 |
| 平均年齢 | 53.7歳 |
| 単体従業員数 | 35人 |
| 連結従業員数 | 56人 |
| 単体のグループ内比率 | 62.5% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人的資本を企業価値の源泉と位置づけています。遺伝子医薬の研究開発という専門性の高い分野において、女性をはじめとした多様で優秀な人材の確保を重視しています。
女性のキャリア形成や上位職への登用機会を積極的に拡大し、多くの女性社員が活躍できる組織を目指しています。具体的には、女性管理職の積極的な登用を通じて、多様性の確保に取り組む方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女賃金差異(全労働者)、男女賃金差異(正規雇用)、男女賃金差異(非正規雇用)は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
多様性・登用
管理職に占める女性の割合は、休職者を除く契約社員を含む従業員を対象としています。従業員役員は含まれていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性の割合 | 47.1% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アンジェスは、遺伝子医薬品の開発と販売、および希少遺伝性疾患のスクリーニング検査受託サービスを主軸とする事業を展開しています。新薬開発には長期の研究開発期間と先行投資が必要となる事業構造です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、遺伝子医薬品を中心とした医薬品の開発と販売、そして希少遺伝性疾患のスクリーニング検査受託サービスを主な事業としています。子会社であるEmendoBio社では、治療法が確立されていない疾患に対するゲノム編集製品の研究開発を進めています。医薬品開発事業は、新薬の製品化が難しく、研究開発費が先行する特性を持っています。
収益は、提携企業からの契約一時金やマイルストーンといった研究開発事業収益、早老症治療薬「ゾキンヴィ」の商品販売収入、そしてアンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)が実施する拡大新生児スクリーニング検査の手数料収入から得ています。当連結会計年度においては、ゾキンヴィの販売開始や拡大新生児スクリーニングの受託数増加により、事業収益は増加傾向にあります。一方で、EmendoBio社における研究開発事業収益は減少しました。当連結会計年度の売上高は、本邦の外部顧客への売上高が90%を超えており、国内事業が中心となっています。主要な顧客としては、株式会社エス・ディ・コラボへの売上高が最も大きくなっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの事業収益は、直近5年間で増加傾向を示しています。一方で、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失は継続して計上されていますが、当連結会計年度においては損失額が大幅に減少しました。これは、前連結会計年度に計上されたのれんの減損損失が当連結会計年度にはなかったことが主な要因です。営業活動によるキャッシュ・フローも、減少幅が縮小する傾向にあります。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | △136億円 | △146億円 | △56.5億円 | △75.4億円 | △52.9億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純損失 | △137億円 | △147億円 | △74.4億円 | △281億円 | △51.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △92.86 | △94.29 | △39.29 | △119.53 | △14.44 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり当期純利益は、前期と比較して損失額が大幅に減少しています。これは、前連結会計年度に計上されたのれんの減損損失が当連結会計年度には発生しなかったことが大きく影響しています。従業員数は前期から微増となっており、組織規模は安定しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり当期純利益(連結) | △511.4百万円 | △91.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、創薬系バイオベンチャーとして先行投資の段階にあり、財務状況は継続的な研究開発投資を反映した状態となっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から改善し、プライム市場の製造業平均と比較しても高い水準にあります。しかし、ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっており、収益性には課題が見られます。手元資金である現金及び預金は増加傾向にあり、事業活動を支える資金は確保されている状況です。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 21.6億円 | 30.8億円 |
| 自己資本比率 | 44.0% | 55.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | -195.8% |
| 現金及び預金 | 17.1億円 | 18.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の資金の出入りを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期もマイナスとなっています。しかし、その減少幅は前期に比べて縮小しています。投資活動によるキャッシュフローは、前期のマイナスから当期はプラスに転じています。これは有形固定資産の売却による収入が発生したことなどが要因です。財務活動によるキャッシュフローは、新株予約権の発行による収入が増加し、プラスとなっています。これらの結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローはマイナスですが、その減少幅は前期より縮小しています。同社グループは先行投資段階にあるため、エクイティファイナンスによる資金調達で事業活動を支えている状況です。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △66.1億円 | △57.5億円 |
| 投資CF | △1.3億円 | 19百万円 |
| 財務CF | 42.0億円 | 59.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △67.4億円 | △57.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、継続的な営業損失の発生と営業キャッシュフローのマイナスを計上しており、全ての開発投資を補う収益が生じていない状況です。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。同社は継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると判断しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、医薬品開発において競合他社との競争や薬価決定に関するリスクを抱えています。競合他社が想定より早く承認を取得したり、想定以上のシェアを獲得したりした場合、期待通りの収益を上げられない可能性があります。また、グローバルに事業を展開しているため、急激な為替変動によって事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、研究開発力に競争力の源泉があるため、専門性の高い研究開発担当者の確保が不可欠です。優秀な人材の確保や社内人材の教育が計画通りに進まない場合、業務に支障をきたす可能性があります。また、小規模組織であるため、限りある人的資源に依存している状況です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アンジェスは、遺伝子医薬の力を活用し、未だ有効な治療法がない疾患に革新をもたらすことを目指すバイオベンチャーです。世界中の人々のQOL向上に貢献するというビジョンのもと、革新的な医薬品開発に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「遺伝子の力を活用し、すべての人に治療の機会を届けます」をミッションとしています。あるべき姿として「遺伝子医薬のグローバルリーダーとして、未だ有効な治療法が存在しない疾患に革新をもたらし、世界中の人々のQOL向上に貢献します」というビジョンを掲げて事業活動を行っています。
サステナビリティに関する考え方としては、「国連持続可能な開発サミット」のSDGsの一つである『すべての人に健康と福祉を』を目標としています。治療法がない疾病分野や難病、希少疾患などを対象にした革新的な医薬品の開発を通じて、国民生活や医療水準の向上に貢献することを目指しています。また、持続可能な開発手段強化のため、積極的なグローバル・パートナーシップにも取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは人的資本こそが価値の源泉であると考えています。遺伝子医薬の研究開発という専門家領域において、女性をはじめとした多様で優秀な人材を確保することは、企業の持続的な発展に不可欠であると認識しています。
女性のキャリア形成や上位職への登用など、機会の拡大を積極的に進め、多くの優秀な女性社員が活躍する組織を目指しています。同社グループは女性管理職を積極的に登用し、多様性の確保に取り組んでいます。
また、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しています。代表取締役社長を委員長としたリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、サステナビリティに関する重要課題のリスク及び機会への対応の基本方針を議論しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、医薬品事業が製品化までに多額の資金と長い時間を要する特性から、継続的な営業損失や営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況です。この状況を解消し、継続的な発展を目指すことを重要な課題としています。
具体的には、自社既存プロジェクトの確実な進捗、開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大、開発プロジェクトにおける提携先の確保、そして機動的な資金調達の実施を重点テーマとして取り組んでいます。人的資本に関する具体的な指標及び目標は設定していませんが、引き続き女性管理職を積極的に登用し、多様性の確保に取り組む方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アンジェスは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が設置されています。取締役会は社外取締役を含む多様な専門性を持つメンバーで構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アンジェスの株主構成を見ると、筆頭株主はセントラル短資株式会社であり、金融機関や機関投資家が上位に名を連ねています。特定の創業家や事業会社が過半数を占めるような構成ではなく、多様な株主によって支えられていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| セントラル短資 | 2.57% |
| MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券) | 2.47% |
| 日本証券金融 | 1.89% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
アンジェスの役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は山田英氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田 英 | 代表取締役社長 | 1981年日本学術振興会奨励研究員、1982年三菱化成工業入社。2001年同社入社事業開発本部長、2002年同社代表取締役社長より現職。 |
| 佐藤 尚哉 | 取締役 | 1985年三菱化成工業入社。2015年京都大学医学研究科メディカルイノベーションセンター出向。2022年同社取締役経営企画部長、2025年同社取締役管理部長より現職。 |
社外取締役は、栄木憲和氏(元バイエル薬品代表取締役社長)、原誠氏(元大日本住友製薬取締役専務執行役員)、満倉靖恵氏(慶應義塾大学教授)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役は取締役会において専門的な知見や経験に基づき経営の監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アンジェスの役員報酬は、月例の固定報酬を基本としています。業績連動報酬は採用しておらず、中長期的な企業価値向上への貢献意欲を高める目的で、退任時に株式報酬型ストック・オプション(新株予約権)を割り当てる仕組みとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 73百万円 | 36.7百万円 |
| 社外役員 | 10名 | 68百万円 | 6.8百万円 |
当事業年度における報酬等の総額は1.4億円であり、対象となる役員の員数は合計12名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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