0 編集部が注目した重点ポイント
① OMO強化によりEC化率18.0%を達成し目標を突破する
ネットで購入し店舗で受け取るOMO(ECと店舗の融合)施策が奏功し、EC売上高は142億円超へと成長しました。中期経営計画の目標値16.9%を大きく上回るEC化率18.0%を実現しており、デジタル基盤を活用した顧客体験の向上が、実店舗の強みを活かした新たな成長エンジンとして確立されています。
② 修理・点検の需要拡大でサービス収益が力強く成長する
物価高による節約意識から「1台を長く使う」傾向が強まり、パーツ・サービス部門の売上高は240億円に到達しました。整備・点検のキャンペーン強化により、新車販売以外の収益基盤が強固になっています。今後は専門人材の育成を通じ、循環型ビジネスモデルへの転換をさらに加速させる方針です。
③ 新中計VISION2028始動で周辺事業の拡大に挑戦する
2027年2月期より新たな中期経営計画「VISION2028」がスタートします。「新成長への挑戦」を掲げ、リユース事業や法人向け外商など、周辺事業領域の探索と挑戦を重点戦略に据えています。既存のSPA(製造小売)モデルにCRM強化を掛け合わせ、国内6,000万台の保有自転車市場へ深くアプローチする計画です。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年2月期 決算説明資料 P.7
2026年2月期は、売上高が81,374百万円(前年同期比0.3%減)となりました。物価高による消費マインドの減退が影響し、一般車やスポーツ車の販売が伸び悩んだものの、電動アシスト自転車が前年比105.6%と好調に推移しました。
営業利益は3,937百万円(同28.2%減)と大幅な減益となりました。これは、専門性の高い人材確保のための賃上げの実施や、基幹システムの入れ替えに伴うコスト増、新規出店に伴う固定費の増加が主な要因です。短期的には利益を圧迫したものの、これらは次期以降の「新成長」に向けた不可欠な投資と位置づけられています。
通期計画に対する達成状況については、売上高は計画比100.5%と堅調に推移しましたが、利益面では計画を下回りました。これは、利益率の低い電動車の構成比上昇や、販管費の削減に制約があったためです。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年2月期 決算説明資料 P.10
小売事業(店舗)
事業内容:全国557店舗(直営539店・FC18店)を展開する国内最大級の自転車専門店チェーン運営。
業績推移:売上高64,918百万円(前年比97.4%)。既存店客数は96.9%と苦戦したものの、サービス収益が支える。
注目ポイント: 単なる物販の場から「体験とサービスの拠点」への転換を推進しています。特に都市型店舗の出店(期末14店舗)を加速しており、高付加価値な電動アシスト自転車の接客販売に注力しています。専門スキルの高い販売・整備スタッフへの期待が高まっており、教育拡充と人員最適化が進められています。
小売事業(EC)
事業内容:自社ECサイトおよびモールを通じた販売。ネット注文・店舗受取りサービスを中核とするOMO展開。
業績推移:売上高14,290百万円(前年比112.5%)。EC化率は18.0%に達し、過去最高の水準を更新。
注目ポイント: 自社アプリを通じたCRM(顧客関係管理)の強化により、オンラインから実店舗への来店誘導が非常に効率化されています。今後もデジタル基盤の刷新とアプリ会員基盤の活用により、パーソナライズされた情報提供を強化する方針です。デジタルを活用して顧客との接点(LTV)を最大化できるマーケターやシステム人材の活躍の場が広がっています。
その他事業
事業内容:FCロイヤリティ収入、卸売、リユース(中古自転車)事業、外商売上など。
業績推移:売上高2,166百万円(前年比96.5%)。リユース事業の体制整備を重点的に実施。
注目ポイント: 新中計「VISION2028」における最注力領域の一つです。リユース事業の生産体制強化に向けて西日本サポートセンターを増設しており、循環型経済への貢献と収益拡大を同時に目指しています。また、法人向けの外商や戦略パートナーとの協業拡大も掲げられており、従来の個人向け小売を超えたビジネス構築に挑戦できるフェーズです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年2月期 決算説明資料 P.15
2027年2月期は、売上高86,278百万円(前期比6.0%増)、営業利益4,300百万円(同9.2%増)と増収増益のV字回復を計画しています。新中期経営計画の初年度として、OMOとCRMの連携をさらに強化し、点検・洗車などのサービス領域の拡大を通じて来店機会を創出する方針です。
成長を支える基盤投資も加速させます。設備投資額として2,554百万円を計上し、デジタル・IT、物流、店舗への投資を継続。年間10店舗の新規出店(うち都市型2店舗)に加え、16店舗のリニューアルを予定しており、店舗の鮮度維持にも注力します。
特に注目すべきは、サービス収入の増加を見越した人員の最適化と教育拡充です。修理技能を有する専門人材だけでなく、システム関連のコスト増やデジタル基盤強化を支えるIT人材、SCMの最適化を担うプロフェッショナルの重要性が増しており、多様なバックグラウンドを持つ人材が挑戦できる環境が整いつつあります。
4 求職者へのアドバイス
自転車業界が「新車を売る」モデルから、修理やリユースを含めた「循環型」へと構造転換する中で、あさひはその先頭を走っています。「サステナビリティと成長の両立」や「OMOを通じた顧客体験のデジタル化」に魅力を感じる方にとって、非常に説得力のある志望動機が構築できます。特にEC化率の高さやサービス収益の成長は、同社のデジタル変革への本気度を示す重要な要素です。
- 「VISION2028におけるリユース事業や外商などの周辺事業領域において、中途採用者に最も期待される役割は何でしょうか?」
- 「EC化率が18%と高い水準ですが、さらなる顧客体験(CX)向上のために取り組んでいるIT投資の優先順位を教えてください。」
- 「サービス領域の拡大に伴い、店舗スタッフの評価制度やキャリアパスにおいて新しく導入された仕組みはありますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
先輩方は親切で丁寧に指導してくれます
教育の機会が少ないため、スキルアップには自ら積極的に取り組む必要がありますが、先輩方は親切で丁寧に指導してくれます。
(40代前半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]職場の文化にはまだ改善の余地があります
職場の文化にはまだ改善の余地があります。特に、男性中心の雰囲気が根強く残っており、女性社員の意見を取り入れた改革が進行中ですが、完全に浸透するには時間がかかりそうです。
(30代前半・人事・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年2月期 決算説明資料
- 2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)



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