0 編集部が注目した重点ポイント
① ブラジル企業の完全子会社化でタマネギ種子のシェアを拡大する
2025年7月1日付で、ブラジルのタマネギ種子メーカーであるAgritu Sementes Ltda.の全株式を取得し、連結子会社化しました。ブラジルにおいてトマトに次ぐ市場規模を持つタマネギ分野を強化することで、南米市場でのプレゼンス向上を図ります。この構造的変化により、グローバルな開発・販売拠点でのキャリア機会がさらに広がっています。
② 海外卸売事業が牽引し第3四半期の経常利益は11.6%増を記録する
主力である野菜・花種子の販売がグローバルで好調に推移したことに加え、為替の円安効果(特にユーロ)が利益を押し上げました。売上高は前年同期比9.4%増、経常利益は11.6%増と、海外市場の成長を確実に取り込んでいます。世界各地のニーズに合わせた品種開発力の実績が、数値となって如実に表れています。
③ 親会社株主に帰属する純利益は進捗率86.9%と計画を上回る
当期純利益は、前年同期比11.2%増の86億96百万円となりました。通期予想100億円に対して第3四半期時点で86.9%に達しており、極めて高い進捗率で推移しています。投資有価証券の売却益や受取和解金の計上といった特殊要因も寄与していますが、本業の収益性が堅調であることが、転職者にとっての安心材料となります。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年5月期第3四半期 決算短信補足説明資料 P.2
売上高
72,669百万円
+9.4%
営業利益
9,323百万円
+3.9%
経常利益
10,441百万円
+11.6%
当期純利益
8,696百万円
+11.2%
当第3四半期は、グローバルでの野菜・花種子の販売が好調で、特に海外卸売事業が利益の柱となりました。為替レートは米ドルこそ前年並みでしたが、ユーロが184.26円(前年同期164.86円)と大幅な円安に振れ、売上高に対して24億29百万円のプラス影響をもたらしています。人件費や試験研究費などの販管費は増加傾向にありますが、それ以上に売上総利益が伸びたことで増益を確保しました。
通期業績予想に対する第3四半期時点の進捗率は、売上高で約72.0%、営業利益で約74.6%、経常利益で約80.3%、当期純利益で約87.0%となっています。利益指標の多くが目安の75%を超えており、業績は順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年5月期第3四半期 決算短信補足説明資料 P.3
国内卸売事業
事業内容:国内の農家や小売店向けに野菜・花の種子、育苗資材、農業用ハウス部材などを販売する事業です。
業績推移:売上高は101億86百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益は41億99百万円(0.8%減)と増収微減益でした。
注目ポイント:野菜種子はトマトの再評価やダイコンの新品種拡大により好調ですが、花種子は需要停滞の影響を受けました。一方で、被覆資材やハウス部材などの資材分野が伸びており、農業の効率化を支える資材提案の重要性が増しています。生産現場の課題を解決するソリューション営業が求められています。
海外卸売事業
事業内容:北中米、欧州、アジア、南米など世界各地の拠点を通じて、現地の気候やニーズに適した種子を販売します。
業績推移:売上高は567億62百万円(11.8%増)、営業利益は137億82百万円(7.2%増)と大幅な成長を達成しました。
注目ポイント:欧州・中近東ではトマトやカボチャ、南米ではキュウリやオクラなどが好調です。2025年7月からはブラジルのAgritu社が新規連結され、タマネギビジネスが強化されています。現地の嗜好を分析し、最適な種子を届けるグローバルマーケティングの知見が不可欠なフィールドです。
小売事業
事業内容:一般家庭向けの通信販売や、ホームセンター等の量販店向けに家庭菜園用の種苗・資材を販売しています。
業績推移:売上高は25億66百万円(14.4%減)、4億27百万円の営業損失を計上しています。
注目ポイント:厳しい天候の影響により、通信販売およびホームガーデン市場全体が低調に推移しました。現在は厳しい状況にありますが、趣味としての家庭菜園は根強い人気があり、天候に左右されにくい販売チャネルの構築や、EC戦略の強化など、事業構造の再構築に向けた専門人材が期待されています。
その他事業(造園緑花事業等)
事業内容:官公庁や民間向けの造園工事、マンション等の植栽維持管理、人材派遣などを展開しています。
業績推移:売上高は31億53百万円(14.6%増)、営業利益は1億44百万円(80.8%増)と大幅な増益を達成しました。
注目ポイント:資材や燃料高騰の逆風下でも、植栽維持管理の安定受注に加え、積極的な営業活動によるスポット工事の受注獲得が収益向上に寄与しました。環境緑化への関心が高まる中、緑の専門知識を活かした空間提案や管理運営のスキルが活かせる領域です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年5月期第3四半期 決算短信補足説明資料 P.11
2026年5月期の通期連結業績は、売上高1,010億円、営業利益125億円を見込んでいます。第3四半期時点の利益進捗率が高いため、通期予想の達成は概ね順調と言えます。成長の鍵を握るのは、2025年7月に仲間に加わったブラジルのAgritu社とのシナジー最大化です。南米でのタマネギ種子市場におけるシェア拡大は、グループ全体の収益基盤をより強固なものにするでしょう。
一方で、地政学リスクや人件費の高騰、不安定な天候など、不透明な要因も存在します。こうした環境下だからこそ、より高付加価値な新品種の開発や、サプライチェーンの効率化が求められています。同社は「株式給付信託(BBT)」の導入など、役職員のモチベーション向上にも積極的で、長期的な企業価値向上を共に目指せる人材にとって、非常に魅力的なフェーズにあります。
4 求職者へのアドバイス
世界的な食糧問題の解決に貢献できる「種子」というビジネスの社会的意義に注目。特に、ブラジル企業のM&Aなど、海外戦略が具体的に進展している点に触れ、自身の経験をどう活かしてグローバルな事業成長に貢献したいかを語るのが効果的です。また、天候リスクを品種開発や多角的な事業展開で乗り越えようとする「技術と戦略」の両輪への共感も強力な武器になります。
・「ブラジルAgritu社の連結化を受け、今後他の地域でも同様の資本提携やM&Aを通じた市場拡大を検討されていますか?」
・「欧州や南米で好調な野菜種子の勢いを、国内卸売事業の新品種導入や販売戦略にどうフィードバックさせていく計画ですか?」
・「小売事業の立て直しに向け、デジタルマーケティングやECの強化において、中途採用者にはどのような専門性を期待されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
農業や園芸が好きな人には良い職場
農業や園芸が好きな人には良い職場だと思う。保守的な社風なのであまり新しいことにチャレンジするような雰囲気ではないが、事業も拡大してきているので今後は新しいことにもチャレンジできるような体制も期待できる。
(20代後半・海外営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]上場企業の中では並みかそれより若干低い
給料は上場企業の中では並みかそれより若干低い程度。住宅補助や通勤手当も、上場企業の中では並みか若干低いように感じる。
(20代後半・海外営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年5月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年5月期第3四半期 決算短信補足説明資料



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。