0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期業績予想を下方修正し利益目標を大幅に見直す
2026年5月期の通期計画において、営業利益を2,500百万円から500百万円へ大幅に下方修正しました。主力のキャリアソリューション事業で、社内システムのリプレイス(システムの入れ替え)に伴う一時的な生産性低下や、企業の採用要件の高まりによる成約数減少が響いています。転職者にとっては、事業基盤の再構築フェーズにあることを理解しておく必要があります。
② ライフソリューション事業の営業利益が約5.8倍と急成長する
子育て支援や家事代行を担うライフソリューション事業が、売上高前年同期比+12.1%、営業利益は+484.1%と驚異的な伸びを記録しました。施設ごとの収支管理強化や自治体向けサービスの拡大が結実しており、グループ内の新たな成長柱として専門人材の活躍機会が大きく広がっています。
③ 地方創生事業で売上高が20%を超える高い伸びを示す
地方創生・観光ソリューション事業では、淡路島の「ニジゲンノモリ」での「鬼滅の刃」や「NARUTO」関連イベントが好調で、売上高は前年同期比20.4%増となりました。営業損失も前年から400百万円改善しており、観光を通じた地域活性化という同社独自のビジネスモデルにおいて、運営や企画のキャリア機会が拡大しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年5月期 第3四半期業績概況 P.1
売上高
2,294.7億円
(前年比 +0.2%)
営業利益
△13.3億円
(前年 △12.8億円)
純利益
△18.9億円
(42.7億円の改善)
第3四半期累計の連結売上高は229,470百万円(前年同期比0.2%増)と微増を維持しました。BPO(業務委託)の大型案件がピークアウトした影響を、人材派遣やライフソリューション事業の成長でカバーしています。利益面では、退職給付費用の増加やITインフラの利用料金改定に伴うコスト増が響き、営業損失は1,329百万円となりました。一方で、大阪・関西万博関連の収入増などにより経常利益は改善傾向にあります。
通期計画に対する売上高の進捗率は74.0%となっており、修正後の目標値に対しては概ね順調な推移と言えます。ただし、営業利益は通期予想500百万円に対し現時点で赤字となっており、第4四半期での大幅な巻き返しが求められる状況です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年5月期 第3四半期業績概況 P.4
BPO・エキスパートソリューション
事業内容: 官公庁・企業向けの業務委託(BPO)および事務・IT等の人材派遣サービスを展開。
業績推移: 売上高は前年同期比0.6%減の2,008億円。BPOの大型案件減を派遣単価の上昇で補う。
注目ポイント: 戦略的に付加価値の高い専門分野へのシフトを進めており、売上総利益率は22.2%(前年比+0.9pt)へ改善。プロ人材によるコンサルティング「ProShare」も拡大しており、専門性を武器にしたキャリアを構築したい層にはチャンスが豊富です。
キャリアソリューション
事業内容: ハイキャリア向けの人材紹介および再就職支援サービスを運営。
業績推移: 売上高は前年同期比2.5%減の105.1億円。営業利益は前年比16.9%減の31.5億円。
注目ポイント: 社内システムのリプレイス(刷新)により一時的に生産性が低下したことが利益を圧迫しました。一方で、再就職支援事業は事業構造改革を進める企業の需要が継続しており、サービス体制の強化が進んでいます。システム刷新後の生産性向上が今後の鍵です。
グローバルソリューション
事業内容: 北米、アジアなど海外拠点での人材派遣、紹介、BPOサービスを提供。
業績推移: 売上高は前年同期比5.7%増の86.9億円。北米や台湾の好調が寄与。
注目ポイント: 台湾では半導体製造業向けの人材紹介が拡大しています。米国では経理・給与計算のBPOが伸びる一方、投資費用が先行し利益は減少気味。海外事業の立て直しや新規事業創出に向けた、グローバルマインドを持つ人材の需要が高まっています。
ライフソリューション
事業内容: 保育施設運営などの子育て支援、家事代行、介護・ライフサポート事業。
業績推移: 売上高は前年同期比12.1%増の70.6億円。営業利益は4.1億円(前年0.7億円)。
注目ポイント: 施設ごとの収支管理徹底により利益率が大幅に改善。自治体向けの家事代行サービスなどが順調に拡大しており、安定性と成長性を両立。社会課題解決に直結するフィールドで、マネジメントスキルを発揮したい層に適した環境です。
地方創生・観光ソリューション
事業内容: 兵庫県淡路島を中心とした観光施設運営や地域活性化プロジェクト。
業績推移: 売上高は前年同期比20.4%増の59.6億円。損失幅は前年から4億円縮小。
注目ポイント: 人気IP(知的財産)を活用したイベント企画が、インバウンドやコアファン層の集客に成功しています。ニジゲンノモリでの新アトラクション開発も活発。観光×エンタメによる地方創生という、他社にはないキャリアを築けるのが最大の特徴です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年5月期 第3四半期業績概況 P.8
同社は通期連結業績予想を下方修正し、売上高310,000百万円、営業利益500百万円の必達を目指しています。特に「キャリアソリューション」でのシステム刷新後の立て直しと、「地方創生」事業のさらなる赤字幅縮小が、当面の最優先課題となります。
注目すべきは、大阪・関西万博の影響です。特別損失として1,075百万円の万博出展関連費用を計上する一方で、パビリオン運営に伴う協賛金や物販収入が営業外収益として計上されています。これらの一時的な要因を除いた「実力値としての収益性」がどこにあるのかを、面接等で確認することが重要です。また、「Wellness Cloud(ウェルネスクラウド)」などの新規プラットフォーム提供を開始しており、既存の人材サービスをデジタルで高度化できる人材の採用が加速する見通しです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
パソナグループは現在、基幹事業の「システム刷新による効率化」と、地方創生やライフケアといった「非人材領域の収益化」という二つの大きな転換点にあります。志望動機では、単に人材業界に興味があるというだけでなく、「デジタル基盤を用いた生産性向上」や「観光・社会福祉を通じた多角的な社会課題解決」への貢献を具体的に示すと、経営課題と合致しやすく高い評価を得られるでしょう。
面接での逆質問例
- キャリアソリューション事業での「システムリプレイス」が完了した後の、具体的な営業戦略や目標とする生産性の指標はどのようなものでしょうか?
- 地方創生事業の売上成長が加速していますが、通期の黒字化に向けたボトルネックとなっている要素と、その解消に向けた現場の取り組みを教えてください。
- 「Wellness Cloud」のようなデジタルプラットフォーム事業において、IT専門人材と現場のコンサルタントはどのように連携してサービスを創出していますか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
時短勤務などかなり融通がきく
女性がとても活躍している会社で、とくに家庭がある場合は最大限に考慮してもらえ、残業なし、時短勤務などかなり融通がきく。そしてそれをみんなが受け入れている風土。そのため、パソナグループ全体として育休取得率が高く女性が6割りを占める。
(30代前半・その他・女性) [キャリコネの口コミを読む]残業や休日出勤はとても多かった
残業や休日出勤はとても多かった。それが当たり前の風土があるため、有給は全くとれず、振休を消化するので精一杯だった。
(30代前半・その他・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社パソナグループ 2026年5月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 株式会社パソナグループ 2026年5月期 第3四半期業績概況 (2025年6月1日~2026年2月28日)



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。