0 編集部が注目した重点ポイント
① スマートキャンプ社の譲渡と「AKASHI」事業の承継により組織を再編する
2025年11月期中にスマートキャンプ社の全株式を譲渡したほか、2026年3月31日付でソニービズネットワークス社から勤怠管理システム「AKASHI」事業を承継しました。不採算・非コア領域の整理(グループアウト)を進める一方で、強みであるバックオフィス領域へリソースを集中させています。中堅企業向けのHRプロダクトが拡充され、当該領域でのキャリア機会が大きく拡大するフェーズにあります。
② 調整後EBITDAが28.1億円に到達し過去最高の収益性を更新する
2026年11月期第1四半期において、調整後EBITDA(税引前利益に支払利息や減価償却費などを加減算した指標)が過去最高額を更新しました。売上高146.7億円に対し、調整後EBITDAマージンは19.2%と前四半期比で+8.4ptsの大幅改善を達成しています。広告宣伝費の最適化やユニットエコノミクスの重視により、投資フェーズから確実な収益化フェーズへと移行していることが数値で証明されています。
③ 「AI Cowork」の提供開始によりAIネイティブな事業成長を加速させる
「Money Forward AI Vision 2026」を掲げ、2026年7月より新サービス『マネーフォワード AI Cowork』の提供を開始予定です。単なる業務効率化に留まらず、AIが自律的にバックオフィス業務を遂行する「AIネイティブ」なプロダクト開発に20億円を投資しています。2030年までにAI関連でARR 150億円以上の創出を目指しており、AIエンジニアやAIを活用したコンサルティング人材の需要が急速に高まっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年11月期 第1四半期 決算説明資料 P.3
売上高
146.7億円
YoY +25.3%
調整後EBITDA
28.1億円
YoY +136.6%
営業損益
1.7億円
黒字転換
※調整後EBITDA = 営業利益 + 償却費 + 営業費用に含まれる税金費用 + 株式報酬費用 + M&A関連の一時費用 + その他一時費用(事業の真の収益力を測る指標)。
第1四半期の売上高は146.7億円となり、前年同期の117.1億円から25.3%の増収を達成しました。特にBusinessセグメントの成長が著しく、価格改定効果やカード事業の決済手数料収入が大きく寄与しています。営業利益も1.7億円と、前年同期の5.8億円の赤字から大幅な黒字転換を果たしました。また、非公開株式の売却により特別利益24.1億円を計上したことで、親会社株主に帰属する四半期純利益は18.3億円となっています。
通期予想に対する売上高の進捗率は約25.5〜27.4%(レンジ形式のガイダンスに基づく)となっており、例年1Qの売上比率が低めに出る傾向を考慮すると、業績は順調に推移しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年11月期 第1四半期 決算説明資料 P.5
Businessセグメント(バックオフィスSaaS・Fintech)
事業内容:『マネーフォワード クラウド』シリーズを中心に、会計・人事労務・支出管理等のバックオフィス業務を効率化するSaaSを提供。
業績推移:売上高は123.8億円(前年同期比+59%)。法人ARR(年間経常収益)は337.3億円となり、前年同期比で成長が加速しています。
注目ポイント:カード事業や早期入金サービスを含むトランザクション売上が前年同期比+200%(33.3億円)と驚異的な伸びを記録。SaaSの顧客基盤を活用して金融サービスを提供する「SaaS x Fintech」モデルが確立されました。中堅企業向けの導入も進んでおり、コンサルティングセールスや大規模開発に対応できるエンジニアの価値が高まっています。
Homeセグメント(個人向けPFM)
事業内容:家計簿・資産管理アプリ『マネーフォワード ME』を提供し、個人の金融課題解決を支援。
業績推移:売上高は12.6億円(実質成長率+17% ※Next Solution社非連結化影響を除く)。プレミアム課金収入が堅調です。
注目ポイント:2025年8月に実施した価格改定が奏功し、プレミアム課金収入が前年同期比+19%と成長。SMBCグループのモバイル金融サービス『Olive』との連携により、2026年3月から送客がさらに加速する見込みです。B2C領域でのUI/UX改善や、パートナー企業とのアライアンス経験を持つ人材に期待が寄せられています。
Xセグメント(金融機関向けDX)
事業内容:金融機関や事業会社の顧客向けに、バンキングアプリやデジタルサービスを共同開発。
業績推移:売上高は9.3億円(前年同期比+36%)。ストック売上・フロー売上共に前年を上回る推移です。
注目ポイント:JCB・オリコとの『Cashmap』開発が順調なほか、静岡中央銀行や香川銀行等へのバンキングアプリ提供が決定。導入金融機関が着実に拡大しています。金融機関の重厚なシステムと最先端のUIを繋ぐ、高度なシステムインテグレーション能力を持つPMやエンジニアの活躍の場が広がっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年11月期 第1四半期 決算説明資料 P.43
マネーフォワードは、2026年度を「AI実行の年」と位置づけ、既存リソースのアロケーションを含めAIプロダクト開発に20億円を投じる計画です。2026年7月提供開始予定の『AI Cowork』は、自然言語で指示を出すだけで複雑な経理業務を代行するエージェント機能を有しており、従来のSaaSから「AIネイティブな業務自律化ツール」への脱皮を図っています。
また、AIと専門スタッフを組み合わせた「AI-BPOサービス」の展開も強化しています。これにより、単なるツールの提供だけでなく、業務そのものを請け負うモデルへの拡張を進めており、顧客あたりの売上単価(ARPA)を2028年までに+30〜40%以上向上させる目標を掲げています。
採用面では、厳選採用の方針を継続しつつも、AI領域や中堅企業向けフィールドセールス、BPOオペレーション構築に長けた人材の重要度が増しています。また、質疑応答資料によると、M&Aについても「中核事業とのシナジーが明確な案件」については引き続き積極的に検討していく姿勢を示しており、経営企画やPMI(買収後の統合プロセス)を担うプロフェッショナルの出番も増えそうです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
マネーフォワードは現在、単なるSaaS企業から「AIによって業務を自律化させるAIカンパニー」への転換点にあります。「バックオフィスの生産性をテクノロジーで抜本的に変えたい」という想いに加え、新設された「AI-BPOサービス」や「Fintech領域の急速な拡大(YoY+200%増)」という具体的な成長ドライバーに触れ、自身の専門性がどの成長エンジンを加速させられるかを伝えるのが効果的です。
面接での逆質問例
- 「2026年7月提供開始のAI Coworkについて、リリース後の顧客体験の変革において私の職種(エンジニア/営業等)が最も貢献すべきKPIは何だと考えていますか?」
- 「中堅企業向けのコンポーネント型提案が進む中で、複雑なニーズを持つ顧客に対してプロダクト間の連携をどのように最適化されていますか?」
- 「AKASHI事業の承継によりHR領域が強化されましたが、既存の『クラウド勤怠』との棲み分けや相乗効果について現場で重視されていることは何ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社マネーフォワード 2026年11月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 株式会社マネーフォワード Fiscal Year 2026 Q1 Financial Results Presentation



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。