0 編集部が注目した重点ポイント
① スマートキャンプを売却し経営資源を集中させる
2025年11月4日を実行予定日として、連結子会社であるスマートキャンプ株式会社の全株式を売却することを決定しました。これによりSaaS Marketingドメインは非連結化されますが、売却益として約63億円の特別利益を計上予定です。今後は成長性の高いBusinessドメインへリソースを集中させ、M&Aを含めた更なる拡大を目指す方針が示されています。
② EBITDAが過去最高額を更新し収益性が大幅に向上する
当第3四半期のEBITDA(税引前利益に支払利息や減価償却費等を加算した指標)は14.4億円と過去最高額を更新しました。前年同期の4.1億円から大幅に増加しており、EBITDAマージンも12%に達しています。先行投資を継続しながらも収益フェーズへの移行が鮮明となっており、通期での最終損益の黒字化も視野に入っています。
③ AIエージェントの実装で業務自動化を加速させる
AIが自律的にバックオフィス業務を代行する「AIエージェント」戦略を推進しています。請求書の自動ダウンロード代行や交際費精算エージェントなど、既存プロダクトへのAI実装が加速しています。単なるツールの提供を超え、人手不足を解消する「デジタルワーカー」として新たな市場を創出する姿勢は、エンジニア等の専門人材にとって魅力的な開発環境といえます。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年11月期 第3四半期 決算説明資料 P.3
※調整後EBITDA = 営業利益 + 償却費 + 営業費用に含まれる税金費用 + 株式報酬費用 + M&A関連の一時費用等(事業の基礎的な収益力を示す指標)
当第3四半期累計の売上高は353億円(前年同期比19.0%増)となり、主力のBusinessドメインが牽引する形で大幅な増収を達成しました。特に注目すべきは利益面の大幅な改善です。調整後EBITDAは前年同期比で約2.2倍に伸長しており、経営陣が掲げる「成長と利益の両立」が着実に進んでいます。また、法人向けSaaS ARRは前年同期比35.4%増の286億円と成長が加速しています。
通期予想に対する売上高の進捗率は、レンジ下限に対して71.3%、上限に対して67.7%となっており、当初の計画通り概ね順調に推移しています。第4四半期には価格改定の効果が本格化することや、スマートキャンプの株式譲渡に伴う巨額の特別利益計上が予定されていることから、通期業績の達成に向けた確度は高い状況です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年11月期 第3四半期 決算説明資料 P.4
Businessドメイン
事業内容: 法人向けバックオフィス業務効率化SaaS「マネーフォワード クラウド」を中心としたサービスの提供。
業績推移: 3Q売上高は87.4億円(前年同期比+31%)。中堅企業向けARRは前年同期比+48%と極めて高い成長を継続。
注目ポイント: 2025年6月に実施した価格改定の効果に加え、中堅企業向けの導入が加速しています。アウトルックコンサルティングやキャシュモ等のM&Aにより、クラウドERPからBPOサービスまで垂直統合した価値提供が可能になりました。コンポーネント型での機能提供やAIエージェントの実装が進んでおり、高度なプロダクト開発力とコンサルティング型セールスの重要性が高まっています。
Homeドメイン
事業内容: 個人向け家計簿・資産管理アプリ「マネーフォワード ME」等の運営。
業績推移: 3Q売上高は10.9億円。非連結化した保険代理店事業の影響を除いた実質成長率は前年同期比+7%。
注目ポイント: 三井住友カードとの戦略的合弁会社設立により、決済機能の統合など、お金の「見える化」から「決済・運用」までを一気通貫で提供する体制を構築しました。プレミアム会員数は61万人を突破しており、今後は金融サービスとの掛け合わせによる収益多角化を推進します。大規模なBtoCプラットフォームにおけるマーケティングや新機能開発の機会が豊富です。
Xドメイン
事業内容: 金融機関の顧客(個人・法人)向けDXサービスの開発・提供。
業績推移: 3Q売上高は8.0億円(前年同期比+8%)。ストック売上高は前年同期比+13.1%と堅調。
注目ポイント: 2024年12月に分社化し、戦略的パートナーとの資本業務提携の検討を開始するなど、意思決定の迅速化を図っています。JCBやオリコとの共創サービス「Cashmap」など、金融インフラを支える大規模案件が増加しており、エンタープライズ領域での開発実績を積める環境です。
Financeドメイン
事業内容: ベンチャーキャピタル「HIRAC FUND」による投資・支援事業。
業績推移: 3Q売上高は1.3億円。ベンチャーキャピタル事業の特性上、四半期ごとの変動が大きい領域。
注目ポイント: マネーフォワードグループの強みであるFintechやSaaSへの知見を活かし、スタートアップ業界の発展に貢献しています。組織再編により、以前本ドメインに含まれていた事業決済等のサービスはBusinessドメインへ移管され、現在はVC事業へ特化した体制となっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年11月期 第3四半期 決算説明資料 P.51
マネーフォワードは、2025年11月期の連結業績において、売上高495〜521億円、調整後EBITDA 25〜45億円という強気な見通しを据え置いています。特に質疑応答で言及された通り、スマートキャンプの株式譲渡に伴う約63億円の特別利益が寄与することで、これまで赤字が続いてきた通期純損益が初めて黒字になる可能性が示唆されています。これは同社にとって歴史的な転換点となります。
中期経営目標(2028年11月期)では、売上高1,000億円以上、EBITDA 300億円以上、長期的にはEBITDAマージン40%以上という飛躍的な成長を掲げています。戦略の柱は「AIによる圧倒的な生産性向上」と、BPOを組み合わせた「デジタルワーカー市場の開拓」です。今回のスマートキャンプ売却により得られる多額のキャッシュは、Businessドメインにおける魅力的なM&Aに投下される見込みであり(質疑応答で言及)、組織が急速に拡大し続ける中で、PMI(買収後の組織統合)や新規事業の立ち上げを担える人材へのニーズは一層高まるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
同社は現在、単なるSaaS企業から、AIとBPOを融合させた「デジタルワーカー」提供企業へと進化しようとしています。開発者であれば「生成AIを実務に落とし込む高度なプロダクト開発への挑戦」、営業や事業開発であれば「M&Aを通じた垂直統合型サービスの展開と、中堅・エンタープライズ企業の深い経営課題への伴走」を軸にすると、現在の戦略と合致しやすいでしょう。また、スマートキャンプの非連結化やSMBCとの合弁設立など、ダイナミックな事業ポートフォリオ管理に携わりたいという意欲も高く評価されるはずです。
・「スマートキャンプの売却資金をBusinessドメインのM&Aに投下する方針とのことですが、具体的にどのような技術領域やサービス領域を補完することを優先されていますか?」
・「AIエージェントの普及により、既存のカスタマーサポートやコンサルティング業務の役割分担は今後どのように変化していくとお考えですか?」
・「中堅企業向けの成長率がYoY+48%と非常に高いですが、組織として急拡大する中で、サービス品質とカルチャーをどのように維持されているのでしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
上司の目が末端まで及ばない
ただし、いまそしきがきゅうきょかくだいちゅうなので、上司の目が末端まで及ばないんじゃないかなぁと思ったり思わなかったりです。
(30代後半・外商・男性 ) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年11月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年11月期 第3四半期 決算説明資料
- 2025年11月期 第3四半期決算説明会 質疑応答の要約



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